春なのに冷え性……漢方薬で改善するなら4つのタイプ別に注目!

更新日:2022年4月11日 / 公開日:2022年4月11日

いくら温めても手足が冷たく、体全体もなんとなく不調がある……そんな女性は少なくありません。今回は「冷え性を改善する漢方薬」について、漢方薬剤師の西崎れいな先生(KAMPO MANIA TOKYO)に教えていただきます。

この記事でお伝えすること

1. 冷え性と冷え症は違う? 2. 心がけたい「体を冷やさない」生活とは? 3. タイプ別「冷え」に効果のある漢方薬は?

解説してくれた先生 KAMPO MANIA TOKYO 管理薬剤師 西﨑れいな 先生 昭和大学薬学部卒。大手調剤薬局、多診療科クリニックの院内調剤室勤務を経て、漢方専門店にて管理薬剤師。漢方相談や漢方の啓発に努め、2021年より現職。監修を務めるKAMPO MANIAでは、自分の症状や体質からカスタマイズしてくれるサービスも受けられる。

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1. 冷え性と冷え症は違う?

まず「冷え」の定義について少しお話できればと思います。

そもそも冷えというのは本人の感じ方次第で、人の主観によるものですよね。体温が何度以下だとか、血液検査でこの数値が基準値を超えたとか、そういう客観的な指標がありません。それに、女性の場合は月経周期によっても体温の変動があります。

西洋医学的に検査値などで診断ができないため、冷えは疾患としては捉えられず、治療薬も存在しません。対照的に、漢方医学における「冷え」は病気の一歩手前の状態「未病」と捉えて治療の対象となります。

「冷え性」は冷えやすい性質であって、寒がりというイメージかと思いますが、「冷え症」は冷えによってお腹や頭、関節が痛くなる、下痢になるなど、さまざまな不調が引き起こされるのです。

実際、冷えに悩んでいる人は単純に冷えだけではなく月経トラブルや疲れやすさだるさ、下痢やめまいなど、さまざまな症状に悩まされていることが多いです。冬になると手足が冷えて質の良い睡眠がとれないなど、悪循環になってしまいます。冷えにお悩みの皆さんは心当たりがあるのではないでしょうか。

体を冷やさない生活を心がけながら体質に合う漢方薬に出会えると、冷えの改善に伴ってむくみや月経トラブルなども自然と改善されていくことが多いのです。これが漢方の面白いところでもありますね。

2. 心がけたい「体を冷やさない」生活とは?

生活習慣のなかでできることは、以下のようなことですね。

1.生ものや冷たいもの、油っぽいものを控える 生野菜やお刺身などの生もの、氷を入れた飲み物、冷たくて甘いもの、油っぽいものなどをとりすぎないこと。漢方医学では「湿邪(しつじゃ)」といって、体が湿気を帯びた状態になり、水分代謝が滞ってしまうという考え方があります。この状態が冷えを招くのです。真夏にホットを飲めとまでは言いませんので、無理のない範囲で、火を通したもの・温かいものを食べるようにしましょう。

2.屋内と屋外の寒暖差は衣類でうまく体温調節すること 極端な寒暖差は自律神経の乱れにもつながるので、あまり空調を効かせすぎないようにします。オフィスなど自分で調整できない場所では、膝掛けを活用したり、カーディガンなど羽織れるものを携帯したりして、体温調整できる服装にして、脱ぎ着するといいでしょう。

3.お風呂はシャワーですませず湯船にゆっくり浸かる シャワーより湯船、は皆さんよくご存知かと思います。とはいっても熱いお湯に短時間浸かるのではなく、体の芯が温まるまで、38〜40度くらいのぬるめのお湯にゆっくり浸かるのがおすすめです。子供と一緒のお風呂だと難しいかもしれませんが、たまには誰かに任せてリラックスできる時間を作りましょう。

4.運動する習慣をつける 冷えを訴える人の多くは、筋肉量がそれほど多くなく、基礎代謝が低くなって体内で熱を生み出しにくくなっています。冷え症が男性に比べて女性が多いのは、筋肉量の違いとも言われます。筋肉量が増えれば血流がよくなり、冷えにくい体づくりにつながります。

いい気づきですね。冷えているからモコモコに厚着していれば治るのか?というとそうではありません。「冷えるから温める」という方式が当てはまらない人もいて、下半身や手足が寒いだけで、全身を温めるとかえってほてりを感じてしまう人もいます。

3. タイプ別「冷え」に効果のある漢方薬は?

実は、冷えの原因にもいくつかパターンがあるんです。

漢方医学の分野でも、冷えは証(しょう)※によって対処方法や漢方薬の選択肢の幅が広く、見極めの難しい領域でもあります。 ※証:漢方医学において、漢方薬を選ぶ際に患者の体質、状態をしめすものさしのこと。詳細は「漢方の証ってなに?」の記事を参照。

併発している症状の特徴などから、自分に合った漢方薬を選択することが大切です。ざっくり分類すると、こんな感じに分けられます。 タイプ1. 手足の先が冷え、血が不足している タイプ2. むくみや重だるさを伴って、水が滞っている タイプ3. 下半身の冷え、血の巡りが悪くなっている タイプ4. 体を温める力が弱くなっている

はい、それぞれのタイプ別に、代表的な漢方薬をご紹介しますね。自分がどのタイプに近いかをイメージして、症状や体質に合いそうなものを検討してみてください。もし迷うようなら専門家に相談してみましょう。

当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)

【体質、症状】体力がなく、寒さで手にしもやけができたり、手足の先が冷えるもの。また、冷えて下腹部の痛みがあるような場合に有効です。先程のタイプ1の人に向いています。血虚(けっきょ)といって、血が不足して栄養不足になっている状態です。 【効能】血行をよくして、体を温めるはたらきのある漢方薬です。血を補う当帰に加え、体を温める呉茱萸、生姜などを含みます。芍薬、甘草は痛みをとる作用があり、冷えによって引き起こされるお腹の痛みや生理痛などに使用されることもあります。 【使われている主な生薬】大棗、当帰、桂皮、芍薬、細辛、呉茱萸など 【服用のアドバイス】血虚タイプの方は、漢方薬以外にも血を補う(補血)ために、ほうれん草、人参、赤身肉、レバーなどを食事に摂り入れましょう。また、夜型の生活は血虚を助長するため、今よりも就寝時間を1時間早めるなど、少しずつ早寝の習慣をつけましょう。

真武湯(しんぶとう)

【体質、症状】水分代謝が悪く体内で水が滞った状態、すなわち水滞(すいたい)の方。先程のタイプ2の人に向いている漢方薬です。下半身や手足の冷えのほかに、むくみやめまい、倦怠感などがあり、胃腸が弱く下痢をしやすいなどの症状がある場合に有効です。 【効能】茯苓(ブクリョウ)はキノコに由来する生薬で、体の余分な水分を取り除く利水作用があり、滞った水の流れをよくする働きがあります。附子には痛みをとったり、体を温める作用があります。 【使われている生薬】茯苓、芍薬、白朮、生姜、附子 【服用のアドバイス】このタイプの人は胃腸機能が低下していて冷えやすく、水がたまりやすい体質です。水分の摂りすぎに注意し、冷たいものを控えるようにしましょう。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

【体質、症状】血の巡りが悪く血行不良の状態、すなわち瘀血(おけつ)の方。先程のタイプ3の方に向いている漢方薬です。手は暖かいのに足は冷たいなど、上半身や顔にはのぼせやほてりがあるのに、下半身が冷えるタイプの方に向いています。 【効能】桂皮はみなさんがよく知っているシナモンのことです。気血の流れを整える作用があります。血の巡りをよくする代表的な生薬である桃仁、牡丹皮で循環を改善し、芍薬で炎症を抑えて痛みを和らげます。 【使われている生薬】桂皮、芍薬、桃仁、茯苓、牡丹皮 【服用のアドバイス】締めつけのある衣類や薄着は要注意!適度に運動をして血の巡りを良くするよう心がけましょう。

八味地黄丸(はちみじおうがん)

【体質、症状】体を温める力が弱くなっている、陽虚(ようきょ)の状態です。このタイプ4の方は、下半身の冷えがあって寒くなるとかぜをひきやすく、関節痛、排尿トラブルなどを伴う場合もあります。 【効能】体本来の温める力を高めて、痛みをとる作用があります。生殖や発育、成長を主る「腎(じん)」の働きを補い、特に加齢に伴う冷えに効果的です。また、体に必要な水分を保持したり、排出したりと体内の水分バランスを調節します。 【使われている主な生薬】地黄、山茱萸、山薬、茯苓、沢瀉、牡丹皮、桂皮、附子 【服用のアドバイス】体を温める作用のある附子は、冷えに効果のある漢方薬によく使われていますが、体に合わないと熱感やしびれ、のぼせなどの副作用が出ることがあります。飲み始めてからこれらの症状が出た場合は使用を中止して専門家に相談しましょう。

まとめ

薬剤師の先生から漢方について学ぶ「ママのお悩み漢方相談室〜不調な私の取扱説明書〜」。第10回の今回は、体を冷やさない工夫と、冷えのタイプ別に向いている漢方薬についてお伝えしました。冷えは様々な不調の原因になるので、生活の工夫をしていきましょう。タイプも十人十色なので、自分に合った漢方薬の選択を!迷ったら自己判断せず専門家を頼ってくださいね。

(解説:西﨑れいな 先生<KAMPO MANIA>)

※画像はイメージです

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、薬剤師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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