生理痛、漢方薬に頼った方がいいケースとは?おすすめできる漢方3選

更新日:2022年5月26日 / 公開日:2022年5月26日

生理痛(月経痛)があっても、適切な薬の服用などはせず、そのままやり過ごしている人も多いようです。今回は注意すべき生理中の痛みと、痛みをやわらげるコツ、そして生理痛に効果がある漢方薬について漢方薬剤師の西崎れいな先生(KAMPO MANIA TOKYO)に教えていただきます。

この記事でお伝えすること

1. 生理痛はなんで起こるの? 2. 病気が隠れているかも?注意すべき痛みについて 3. 生理痛をやわらげるためにできること 4. 生理痛に効果のある漢方薬は?

解説してくれた先生 KAMPO MANIA TOKYO 管理薬剤師 西﨑れいな 先生 昭和大学薬学部卒。大手調剤薬局、多診療科クリニックの院内調剤室勤務を経て、漢方専門店にて管理薬剤師。漢方相談や漢方の啓発に努め、2021年より現職。監修を務めるKAMPO MANIAでは、自分の症状や体質からカスタマイズしてくれるサービスも受けられる。

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1. 生理痛はなんで起こるの?

※この記事では病名以外は「月経」を一般的な表現である「生理」という言葉を使って解説します —————————

それはつらい状態ですね。 漢方のお話に入る前に、そもそも生理がどのようなものかを確認しておきましょう。

女性の体は毎月卵巣から卵子を排出(排卵)し、妊娠が可能な状態になると、それを迎え入れるために子宮の内側にある子宮内膜を厚くして赤ちゃんのベッドを作ります。妊娠が成立しなかった場合には、このベッドが必要なくなるので、血液とともに剥がれ落ち月経が起こるのです。

このとき、「プロスタグランジン」という物質が分泌されることで、子宮を収縮させて排出を促すのですが、まさにこの物質が腹痛や腰痛に代表される生理痛の痛みの原因になっているのです。そして、生理痛のうち日常生活に支障をきたすほどに痛みを伴うもの「月経困難症」とよび、これは病気です。

2. 病気が隠れているかも?注意すべき痛みについて

生理痛について先にお伝えしておきたいのは、生理痛がひどくて日常生活に支障をきたしているような場合、まずは一度産婦人科に行ってほしいということです。

痛みのせいで寝込んでしまったり、鎮痛剤が手放せず1日に何回も飲んでしまったり、会社や学校を休むようなひどい痛みがある場合は、本来子宮の中だけに存在するはずの子宮内膜が別の場所にくっついてしまう「子宮内膜症」という病気のサインかもしれません。

他にも経血が極端に多かったり、レバーのような塊が頻繁に混じったりする場合も、子宮にできる良性の腫瘍「子宮筋腫」などの疑いがあります。

これらの病気は痛みの原因になるだけでなく、将来不妊や流産の原因になることもあります。10代のまだ体が未熟なうちに痛みを感じることはありますが、一般的には体の成熟とともに痛みは軽くなると言われています。しかし、現代のストレス社会や生活習慣の乱れにより心身の負担が重なって、20代以降で痛みが強くなっている人も少なくないでしょう。 どの年代でも、我慢できないほどの強い痛みがある場合は早めに婦人科を受診しましょうね。

病気の早期発見にもつながりますし、月経困難症と診断されれば、治療に使われる低用量ピルをはじめとしたお薬や治療は保険がききます。低用量ピルは必要な量のホルモンが補充されることで、排卵が抑制され、子宮内膜が薄い状態を保ち、生理を軽くするお薬です。他にも、生理のタイミングをコントロールでき、PMSを軽減する効果も期待できるので、まだ服用経験がない方は専門家に相談して一度試してみてはいかがでしょうか。

また、お子さんを望まないのであれば選択肢のひとつとして 、IUDという小さな避妊具を子宮に入れる治療もあります。子宮の中で少しずつホルモンを放出させることで、子宮内膜を薄く保ち、経血量が減って生理がとても楽になります。

ピルと違って全身に作用するわけではないので、ピルが合わなかった人も使用でき、毎日の服用なく数年維持できるという利点があります。これらの治療は産婦人科で受けることができます。生理痛がつらいと感じる方は、相談してみましょう。

3. 生理痛をやわらげるためにできること

生理痛をはじめとした生理トラブルの多くは、「血(けつ)」が足りない血虚(けっきょ)、血の巡りが悪く停滞している瘀血(おけつ)といった状態が根本的な原因として考えられます。

漢方薬だけで解決するのではなく、生活する上でも血虚や瘀血の改善が必要なので、次のような生活改善とセットで考えましょう。

1.鉄分を含む食材を多めにとり、生活リズムを整える 食事は3食しっかり摂るようにしましょう。血虚体質の方は、血を補うための食事をおすすめします。鉄分は、ほうれん草や小松菜、レバーや赤身の肉、赤身の魚などに多く含まれているので積極的に摂るように。 また、過度なダイエットは避けて、睡眠時間を十分に確保し、生活のリズムを整えることで心身の負担が軽減されます。

2.血液がうまく巡るように、適度な運動を これは生理痛に限ったことではありませんが、ウォーキング、ジョギングなどの軽い運動は気、血、水の巡りをよくするのにとても大切です。だからといって生理の最中に激しい運動をするのは逆効果。普段からの継続が重要なので、くれぐれも無理をしない程度にしましょうね。

3.痛みを感じたらあたためる無理せず鎮痛剤も活用して これはとてもシンプルですが、即効性があり効果が感じられる対策です。子宮を収縮させるプロスタグランジンは、子宮や子宮周りの血流を減少させるため、これが生理痛や腰のだるさ、腰痛、冷えの原因になっています。患部を温めることで血流を促し、痛みを緩和することができます。 また痛みが強い時は我慢せず、市販の鎮痛剤や、後ほどご紹介する芍薬甘草湯などの漢方薬で痛みをやわらげてください。鎮痛剤はクセになる、と思い避けている人もいますが、市販の鎮痛剤も漢方薬も、用法・用量を守って適切に服用していれば効かなくなるといったことはありません。必要なときは安心してお薬の力を借りましょう。

4. 生理痛に効果のある漢方薬は?

ピルは体に合わない場合もありますし、そもそも排卵を抑える薬なので、妊娠を望んでいる方は使えません。そういった方には、産婦人科でも医療用の漢方薬が処方され、広く活用されています。

生理の問題を抱えている場合によく使われる漢方薬は、駆瘀血剤(くおけつざい)といって、血の滞りを改善し、血の流れを良くする漢方薬です。 婦人科の三大漢方薬である加味逍遙散当帰芍薬散桂枝茯苓丸は、むくみ、冷え、貧血、頭痛など、生理に関わるさまざまな女性特有の疾患の治療に使われます。

生理痛に使われる痛み止め効果の高い芍薬甘草湯を含めて、代表的なものをご紹介します。前述の生活の工夫と合わせて、血虚や瘀血の原因となっている生活習慣を見直しながら、うまく活用していきましょう。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)

【体質、症状】証にかかわらず、痛みを感じている人に頓服として使用されます。 【効能】痛み止めとして使用される代表的な漢方薬です。芍薬、甘草という痛みをとる作用がある生薬2種類で構成されたシンプルな漢方薬です。生理痛だけでなく、こむら返りや腰痛、腹痛などの幅広い痛みの軽減に用いられます。 【使われている生薬】芍薬、甘草 【服用のアドバイス】主に頓服薬として使われるお薬ですので、痛みが収まったら速やかに服用をやめましょう。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)

【体質、症状】血が不足した状態、血虚(けっきょ)の方に向いています。痩せ型で冷えが強く、足腰のむくみがあり、貧血傾向の場合に有効です。 【効能】当帰、川芎、芍薬は血の巡りをよくして体を温め、全身に栄養を運びます。利水作用のある茯苓が含まれていて、滞った水の流れをよくするため、むくみにも効果が期待できます。婦人科の三大漢方薬のひとつで、幅広い年齢の女性の不調に効果があり、安胎薬といって、妊婦さんが安心して飲めるお薬でもあります。 【使われている生薬】当帰、川芎、芍薬、茯苓、蒼朮、沢瀉

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)

【体質、症状】血行不良の状態である瘀血(おけつ)の方に向く漢方薬で、肩こりや頭重感、下腹部の痛みがある場合に有効です。経血に塊があったり、舌の裏側の静脈が薄紫色でボコッと浮き出ている方は瘀血タイプと考えられます。 【効能】瘀血を改善する駆瘀血剤(くおけつざい)の代表的な漢方薬です。血の巡りを良くする桃仁や牡丹皮、痛みをやわらげる芍薬、気血の流れを整える桂皮、水の巡りを改善する茯苓で構成されています。 【使われている主な生薬】桂皮、芍薬、桃仁、茯苓、牡丹皮

まとめ

薬剤師の先生から漢方について学ぶ「ママのお悩み漢方相談室〜不調な私の取扱説明書〜」。第15回の今回は、生理痛のメカニズムと、痛みのあるときに気をつけたい病気、生理痛に効果のある漢方薬についてお伝えしました。ひどい生理痛の背景に婦人科の病気があることも。一度産婦人科で診てもらいましょう。また、生理痛があるのに妊娠を望んでいるためピルなどを使えない場合は漢方薬がおすすめできます。上手に活用してくださいね。

(解説:西﨑れいな 先生<KAMPO MANIA>)

※画像はイメージです

参考文献 症状からチャートで選ぶ漢方薬翔泳社 生薬と漢方薬の辞典日本文芸社 まずはこれだけ!漢方薬じほう 漢方薬辞典主婦と生活社 日本産科婦人科学会「子宮内膜症」

※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、薬剤師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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