子どもの好きなキャラクターが暴力! 「エルサゲート」に注意 #親と子のネットリテラシー入門

更新日:2022年8月20日 / 公開日:2022年8月20日

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ここ数年で、子どもを取り巻くデジタル環境は劇的に変化。私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。

執筆者プロフィール 鈴木朋子さん ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザー スマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。 著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。

仕事や家事が立て込んでいるとき、スマホやタブレットは大人を手助けしてくれます。「ちょっとYouTubeを見ててね」とスマホやタブレットを渡しておけば、その間に仕事の電話をしたり、揚げ物の料理を作ったりできますね。

でも、YouTubeを見せておくのも心配という保護者の方も多いでしょう。YouTubeはひとつ動画を見終わってもおすすめの動画を表示し、「自動再生」がオンになっていれば延々と再生してしまいます。いつの間にか保護者が知らない動画にたどり着き、見ていることもあります。

そんなとき、注意していただきたい動画があります。「エルサゲート(Elsagate)」と呼ばれる悪質な動画です。

悪質な動画「エルサゲート」とは

“エルサゲート”とは、暴力や排泄物、性的な内容など、子どもに不適切なテーマの動画を子どもに人気のキャラクターで作った動画です。人気のディズニー映画『アナと雪の女王』の主人公「エルサ」と、政治スキャンダルなどの呼び名に使われる「ゲート」を組み合わせた言葉です。

エルサの名前が使われていますが、子どもに人気があるほかのキャラクターも勝手に利用されています。たとえば、「アンパンマン」や「しまじろう」、NHKの子ども番組のキャラクターも利用されています。自作のアニメを作成して公開している人もいれば、公式のおもちゃを動かして動画を作成していたり、着ぐるみを着て自演していたりとさまざまです。

エルサゲートは一見すると悪質な動画だとわかりません。子どもが「アンパンマンの動画だ」と思って再生すると、アンパンマンが残虐に誰かをいじめたり、いたずらを繰り返したりとキャラクターらしくないショッキングな内容が表示されます。

エルサゲートが問題となったのは2017年頃からです。海外メディアを中心に大きく取り上げるようになり、YouTubeもエルサゲートに該当する動画を大量に削除しています。

しかし、現在でもエルサゲートに当てはまる動画が散見されます。日本では、子ども向けチャンネルを装ったエルサゲート系のアカウントがいくつかあり、更新を停止しているアカウントにも過去に作った動画が残されています。

コメント欄がオフになっている動画が多く、見なければ内容がわかりません。そのチャンネルの動画がすべて明確に不適切ではないのですが、公式では作らない内容が多く見られます。

なぜエルサゲートが作られるのか、その理由は再生回数による収益目的や単なるいたずら目的などと言われています。いずれにしても子どもを利用するなんて、迷惑な話ですね。

「エルサゲート」から子どもを守るには

エルサゲートのような不適切な動画を見せないために、大人はどうすればいいのでしょうか。

その方法をご紹介したいのですが、残念ながら完全に見せないことは難しいかもしれません。子ども向けアプリ「YouTube Kids」でも、人気のキャラクターを勝手に使った一般の人による動画が表示されます。子どもに問題がない内容かもしれませんが、著作権法違反をする人が制作した動画には安心できません。

とはいえ、できることはあります。まず不適切な動画を見かけたら、YouTubeに「報告」することです。すぐに動画が削除されることは少ないかもしれませんが、報告をするとYouTubeが審査に入ります。報告を少しずつ積み重ねることで、プラットフォームが健全化されていきます。

不適切な動画は右上のメニューから「報告」を選んでYouTubeに報告する

また、YouTubeよりもYouTube Kidsを使うことです。YouTube Kidsでも動画がすり抜けてくることはありますが、安全性は高いでしょう。時間制限が簡単にできるなど、子ども向けならではの機能も備えられているため、なるべくYouTube Kidsで見せるようにします。

年齢に合わせたコンテンツが表示される「YouTube Kids」を利用する

YouTubeで見せるのであれば、「自動再生」しないように設定しておくだけでも、知らないうちに見たことがない動画に触れる危険から免れます。YouTubeのアカウントメニューから「視聴時間」を選び、「次の動画を自動再生」をオフにしておきましょう。

YouTubeの自動再生をオフにする

そしてできれば、子どもだけでYouTubeを見る時間を減らすようにします。YouTubeを見るときは、親子一緒に視聴します。それができないときは、NetflixやAmazonプライムビデオなど、サブスクリプション動画サービスを活用しましょう。これらのサービスには、一般ユーザーが作成した動画は表示されず、公式に作られた動画が公開されているため、不適切な動画から我が子を守ることができます。

我が家に合った運用方法でお子さんをエルサゲートから守ってあげてくださいね。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)

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