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NY現地レポ! 新型コロナ、戦争、物価高。「モノ不足」に市民が悲鳴

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

“あれもこれも”足りない!アメリカで深刻なモノ不足事情

コロナ禍になって3年目。アメリカでは「モノ不足」が叫ばれるようになって久しい。
2020年3月、日本と同様、アメリカでも人々は未曾有の脅威に備え「買いだめ」に走った。それによりトイレットペーパー、消毒液、不織布マスク、風邪薬、長期保存用のパスタや米といった食料品、ミネラルウォータなどがスーパーの棚からごっそり消えた。
感染拡大の落ち着きとともに品不足は解消されたが、コロナ禍3年目の今年になっても、さまざまな「モノ不足」が社会問題になっている。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

アメリカで深刻な粉ミルク不足

日本では、新型コロナや戦争などに関連して材料不足・労働力不足による値上げや品不足が取りざたされているが、それだけとも限らない。例えば今春、ベビーフォーミュラ(粉ミルクなど乳児用ミルク)の品薄が子を持つ親にとって切実な問題となった。

そもそもの原因は、粉ミルクを飲んだ乳児4人が細菌による感染症で入院、うち2人が死亡したことだ。この粉ミルクは米最大手アボット・ラボラトリーズのミシガン州の工場で製造されたもので、同社は問題発覚後、製品を回収し工場の稼働を停止した。その影響で消費者がパニック買いをしたことで、5月半ばには全米で粉ミルクが常時より43%減り、どの店でも品薄状態に陥った。

きっかけは1社の感染症によるもので、厳密に言えば労働力不足や戦争などが関連したものではないが、コロナ禍で社会不安が広がるなか、人々がニュースに敏感になり、ちょっとした異変を感じては買いだめに走り、商品が棚からごっそりなくなるという意味では、この2年で発生したほかの品不足騒動と類似している。

その後FDA(アメリカ食品医薬品局)は、外国製粉ミルクの輸入を認める方針を発表し、ヨーロッパからの輸入に頼る緊急対策を打ち出した。さらに、工場の衛生環境の見直しなどを条件にアボット社の再稼働を許可したことで、問題はさしずめ落ち着いたように見られるが、店によってはまだ品薄状態だ。足りない地域の人々は、他州に買いに行ったりオンラインで購入したりしている。

7月下旬になっても、ニューヨーク市内のドラッグストアでは乳幼児用製品が品薄状態  (c) Kasumi Abe

7月下旬になっても、ニューヨーク市内のドラッグストアでは乳幼児用製品が品薄状態 (c) Kasumi Abe

ドラッグストアでは、タンポンも不足気味だ。まったくないわけではないが、商品によっては空の棚が目立つ。

タンポン売り場。7月下旬、ニューヨーク市内のドラッグストアにて (c) Kasumi Abe

タンポン売り場。7月下旬、ニューヨーク市内のドラッグストアにて (c) Kasumi Abe

ニューヨークタイムズによると、タンポンの品薄状態はインフレによる消費者物価の上昇が背景にあるという。また、金融関連の専門メディア、ブルームバーグによると、インフレにより今年5月の時点で、生理用ナプキンの平均価格は今年の初めに比べて8%以上上昇し、タンポンの価格は10%近く上昇した。

タンポンの製造を行うタンパックス(Tampax)社は、コットンやプラスチックなどの原材料を入手するのに高いコストがかかっていることにより(製造が)非常に不安定であると発表している。

コロナ禍以降のモノ不足について、ニューヨークタイムズは、粉ミルクやタンポン以外にも「トイレットペーパー、自動車、厨房機器などの世界的なサプライチェーンが品薄の危機に晒されている」と報じた(筆者の住むエリアでは、トイレットペーパーの仕入れはここ1~2年ほど安定しているが、全米では品薄の場所もあるようだ)。

また筆者は本屋を取材した際、出版業界でも紙不足と労働力不足で印刷が減っているという話も聞いた。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)によると、2021年6月と比べて、食品価格は10.4%上昇した。具体的に卵は33.1%、レタスは11.4%、パンは10.8%値上がりし、消費者物価指数(CPI)は1981年以来もっとも高い上昇率だという。ガソリンの高騰も報じられている。

インフレ以前もアメリカの都市部では物価、家賃、外食費は高かったのだが、以前ならスーパーでちょっとしたものを購入し て5000円~1万円程度で済んでいたものが、インフレの今は、6000円~1万1000円出さないといけない状態だ。買い物1回あたりは約1.1倍と微増だが、塵も積もれば結構な出費となる。筆者も極力外食を減らし自炊を増やしているのはもちろんのこと、単価が高くなったもの自体の購入自体をやめた、もしくは購入する回数を減らしたケースもある(例えば、6ドルから数セント値上がりしついに7ドルに達したお気に入りのジュースなど。6ドルでも高いと思ったが、7ドルになると手が出せない域になったと感じた)。

価格高騰の波は、さまざまな分野に影響を及ぼす

例えばニューヨークでは、数々の映画でもおなじみの観光地であるセントラルパークのボートハウスが2022年10月16日、150年の歴史に幕を閉じることが7月21日に発表された。閉店理由は「人件費と物価の上昇による」という。「また1つ、ニューヨークのアイコンがなくなる」と、市民を失望させるニュースだった。市内ではコロナ禍以降、店舗の閉店が増えるなど、ボートハウスの閉店は氷山の一角だ。

(写真/PIXTA)

(写真/PIXTA)

また、都市部では住宅不足による家賃高騰も続いている。

新型コロナがサプライチェーンにもたらす影響

コロナ禍初期、行動制限により世界中の工場が操業を停止した。それにより何が起こったかというと、サプライチェーン(商品や製品が消費者の手元に届くまでの調達、製造、在庫管理、配送、販売、消費という一連の流れ)の一時停滞と、世界の物流の寸断だ。

コロナ禍3年目のいま、初期とは別の問題が生じている。一時は停滞していた経済活動が回復し、需要が増えたのはいいが、供給が追いつかない状態なのだ。コロナ禍以降、住宅着工件数が急増したことで、輸入木材の価格は2021年10月の時点で、コロナ禍前の2019年12月に比べて1.8倍に、自動車や電子機器に使われる銅の価格は2021年11月、2019年12月の1.5倍にはね上がった。木材や銅などの資源価格が急激に上昇し、コンテナ不足などもあり物流が混乱している状態だ。

労働力も足りない

コロナ禍以降の不足は「モノ」など物質だけではない。「人」や「労働力」もそうだ。

筆者は日常生活のあらゆる場で、人手不足を感じている。例えば、銀行に行くにも予約が取りにくい状況だ。その理由を行員に尋ねると「Labor shortage(人手不足、労働力不足)」と説明される。薬局では、万引き防止で鍵のかかった商品を出してもらおうと店員を呼んでも、しばらく誰も来てくれないことがある。スタッフが足りていないのだ。

(写真/PIXTA)

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現在は真夏のプールシーズン真っ盛りだが、ライフガード不足でいくつかの公共プールの閉鎖(もしくは入場制限)が報じられた。

また、今はそれほど深刻ではないものの、今後はオリーブオイルの品薄も懸念されている。オリーブの生産国の1つ、イタリアでオリーブ急速衰退症候群といってオリーブの樹木を枯らす細菌が急速に蔓延しているのが原因だ。専門家によると、そのせいで過去5年間で生産量が約50%も損なわれるなど大きな被害が出ている。これに加え、世界中のサプライチェーンの問題、労働力不足、ウクライナでの戦争も供給に影響を及ぼすというのだ。

このようにコロナ禍以降の「人・モノ不足」は、アメリカのみならず世界各地での切実な問題だ。
市井の人の視点としては、モノ不足に関して「まったくない」状態ではないので行政の目立った対策はないものの、以前と比べて「チョイスが限られるようになった」のは事実。世界的なサプライチェーンの問題はしばらく続きそうだが、それさえ解決できたら少しは人・モノ不足も解消されていくだろうと、人々は期待を寄せている。

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SUUMO

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