うちの子どのタイプ?【屁理屈・嘘・無視】の3種類別「中間反抗期」の取扱説明書|心理カウンセラー解説

更新日:2022年10月8日 / 公開日:2022年10月8日

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年長さんから小学校低学年ぐらいの頃、お喋りも随分上手になったり自分でできることが増えて成長を喜んでいた矢先、口答えをするようになったり、聞こえないふりをしたり…反抗的な態度を取るようになってしまい対応に悩む親御さんは多いのではないでしょうか。そんな中間反抗期のお子さんに、家庭でできる対処や関わり方のコツをご紹介します。

(文:うららか相談室 野瀬綾子/臨床心理士・公認心理師)

中間反抗期はいつごろ起こる?

「中間反抗期」とは、年長さん~小学校低学年頃のお子さんに見られる反抗期のことです。 第1次反抗期と、第2次反抗期の間に訪れるため、こう呼ばれています。

※中間反抗期の時期には諸説あります。

2つの反抗期、「イヤイヤ期」と「思春期」

第1次反抗期は、一般的には「イヤイヤ期」「魔の二歳児」などと呼ばれ、「何でも自分でチャレンジしたい!」という気持ちが「イヤ!」という言葉で表されたり、主体性と甘えの間での葛藤が癇癪として表れる時期です。1歳半を過ぎたころから始まり、2歳半がピークだと言われています。この記事を読んでいらっしゃるパパ・ママの中にも手を焼いた覚えのある方も多いのではないでしょうか。

第2次反抗期とは、小学校高学年から中学生頃、いわゆる思春期に訪れる反抗期です。親や大人に反発したり否定することで自分の価値観やアイデンティティを確立していく時期です。身体の急激な成長や異性への感情の変化、部活の上下関係などといった生活環境の変化を受け、悩みやストレス、不満、コンプレックスを感じやすく精神的にも不安定になりやすいものです。

中間反抗期が起こるわけ

これらの2度にわたる反抗期の間、イヤイヤ期も落ち着いて穏やかに過ごせるかと思っていたら子どもが何かと反発してくるようになった…それは「中間反抗期」の表れかもしれません。

中間反抗期は、第1次反抗期・第2次反抗期と同様に自我の発達が大きく関係しています。

成長に伴い言語能力や情緒の発達し、小学校入学に伴う環境変化により、子ども同士のコミュケーションはより活発になります。今まで子どもにとっての人間関係の中心は親や家族でしたが、徐々に友達との関わりにシフトしていきます。友達との関係を深めていく中で社会性や協調性を身に付けたりと成長することで「自分で考えたい」「自分で決めたい」という気持ちも大きくなり、自己主張が強くなることで大人から見ると反抗的な態度に映ってしまうのです。

また、友人関係においては、家庭のように自分の思い通りに過ごすことはできないため、我慢したり、衝突したりすることで多かれ少なかれストレスを感じていることも原因となります。 ————————— 関連記事 ▶︎学童に、旗振り当番に、PTA! こんなにある「小1の壁」をどう乗り越えた? #渡邊大地の令和的ワーパパ道 Vol.27

中間反抗期のよくある5つの特徴

中間反抗期によくみられる行動としては次のようなものがあります。

【1】反抗的な態度で言うことを聞かない

成長に伴い、この頃の子どもは様々なことを「自分で決めたい」「自分でやりたい」と強く思うようになります。そんな時に親から「〇〇しなさい」と言われるとつい反発したくなってしまうのです。

【2】嘘をついたりごまかしたりする

外出前に「トイレに行っておいてね」と伝えると本当は行っていないのに「もう行ったよ!」と言ったり、学校からまっすぐ帰ってくるように言っているのに寄り道をしてきて「学校で居残りしていた」と言ったりと、ちょっとした嘘をつくこともあります。

【3】口答えをしたり屁理屈を言ったりする

これまで親の言うことをそのまま受け入れていたのが、だんだん考える力がつき、次第に親の言うことにも矛盾や間違いがあることに気づき始めます。ああ言えばこう言うで、「お母さんだってやってるじゃん!」「この前、お父さんも同じことしてたのに!」などと口答えや屁理屈が多くなってきます。

【4】聞こえないふりをしたり無視したりする

反発できる時にはあれこれと口答えする子ども達ですが、「早く起きないと学校に間に合わないよ」「もう約束のゲーム時間が過ぎているよ!」と言っても知らんぷり、なんてこともあるでしょう。

【5】干渉されることを嫌がる

誰と遊んだのか、学校で何をしたのか聞いても教えてくれなかったり、忘れ物をした翌日に「明日は大丈夫か一緒に確認しようか」といっても鬱陶しそうに「自分でやるから」と突っぱねられたり、何かと干渉されることを嫌がることがあります。

自立への一歩を踏み出した子どもは、小学校中学年頃になると「ギャングエイジ」と呼ばれる世代に入り、親や教師などの周りにいる大人よりも自分のそばにいる仲間などからの影響を強く受けながら行動するようになります。友達同士のグループでのルールや秘密といった自分達だけの世界を大切にするあまり、パパ・ママからの干渉を鬱陶しく感じるのだと考えられます。 ————————— 関連記事 ▶︎ヘリコプターペアレントとはどんな親?子への過干渉リスクをチェックリストで診断【心理カウンセラー監修】

中間反抗期は男の子・女の子で違う?

男の子・女の子のご兄弟姉妹を育てていらっしゃる親御さんが「上のお兄ちゃんの時は◯◯だったけど、妹の方はちょっと様子が違う?」と思うなど、性別によって違いがあるのかが気になる方もいらっしゃるかもしれませんね。

男の子の場合|邪魔されて反発、イライラして物に当たる

一般的に男の子は自分の好きなことに夢中になると他のことが見えなくなる傾向があります。本人が集中している時に「早くしなさい」「ゲームの時間を守りなさい」などと声を掛けると「邪魔してほしくない!」と反発されることに繋がります。

また、気持ちを言葉にすることが上手くできずにイライラして物に当たったり、理由も分からず反抗的になることもあります。

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女の子の場合|友人関係でストレスをため、八つ当たり・口答え

女の子は男の子よりも複雑な人間関係を作ることが多いため、友達からどう見られるかといった評価を気にしたり、グループ内での関係でストレスを抱えたりしやすいと言えます。こうしたストレスを発散するために家族に八つ当たりしたり、口答えしたりといった行動が目立つようになります。

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大切なのは本人の性格

ここまで男女の違いについてご説明しましたが、確かに傾向はあっても、あくまでも傾向と目安です。お子さんそれぞれが持っている性格に合わせた対応が何よりも大切ですので、ご参考程度にお考えいただき、お子さんに合った接し方を探してみてください。

中間反抗期への対応、3つの心得

少しずつ世界を広げて自分を確立しようとしたり、何でも自分で考えてやってみようと試行錯誤しているのが中間反抗期です。頭ごなしに叱っても反発を買うことに繋がりますし、せっかく出てきた成長の芽を育んであげたいですよね。では親としてどんな心構えで接すれば良いのか考えてみましょう。

① 押さえつけるのではなく、子どもの思いを尊重する

例え失敗に繋がったとしても、先回りして口うるさく言うよりも 「自分で決めてチャレンジできた」経験 「失敗を踏まえてどうするかを考えられた」経験 の方がこの時期の子どもには大切です。こうした経験が自己肯定感を高めることにも繋がります。成長するいい機会だと思い、落ち着いたタイミングでゆっくりと話を聞いてみましょう。

② 干渉しすぎず、見守りの姿勢でいる

少しずつ親離れを始めるこの時期、子どもの世界も大切にしてあげましょう。 いじめや犯罪などモラルに反すること、危険なこと、家族の約束事として守ってほしいことは毅然と注意する必要がありますが、それ以外のことは見守る姿勢が求められます。友達との秘密や自分だけにしておきたいことを無理に聞き出すのはぐっとこらえましょう。

③ 感情に飲み込まれず、冷静に話す

生意気な言動をとる子供に対し、カッとなって激しく怒りたくなることもありますよね。ただ感情に任せてきつく言うことは、反抗期の子どもにとっては逆効果です。伝えるべきことを簡潔に伝え、こちらの感情をぶつけることのないように心がけましょう。

本当は「甘えたい気持ち」もある中間反抗期の子ども

親としては口答えをされたり反抗的な態度を取られると、ついカッとなって「屁理屈言わないの!」「そんなこというならもう勝手にしなさい!」と言ったり、突き放したくなったりするものですよね。しかし大人が感情的になると、子どもは余計に不満を募らせてしまいます。

親よりも友だちとの関係を優先させ、何でも自分で決めたがる中間反抗期のお子さんですが、まだまだ本当は甘えたい気持ちもあるものです。大人に突き放すような態度を取られると受け入れてもらえない不安や孤独感を感じてしまいます。

子どもの頃に育まれる自己肯定感は、主体性を持って人生を前向きに生きる原動力です。未熟なところはたくさんあっても、自分なりに色々なことを考えているのです。

反抗期のタイプ別、関わり方のポイント

では最後に、中間反抗期で見られる言動によって3つのタイプに分けて、それぞれ親はどのように関わっていけばいいかをお伝えします。

<ああ言えばこう言う>口答え・屁理屈タイプ

口答えをされるとカチンときてしまいますが、こちらの感情は置いておいて、子どもが言わんとしていることを少し冷静に考えてみましょう。 私たち大人も完璧な人間などいませんし、子どもの言い分にも一理あること、あるいはこちらの言い方にも間違いや矛盾があることも少なくありません。子どもはよく見ているものです。頭ごなしに押さえつけるのではなく「確かにあなたの言うことも一理あるよね。ママも(パパも)気を付けるから、あなたもルールは守ろうね」と声をかけてみてはいかがでしょうか。

<ごまかしちゃえ>隠しごと・嘘タイプ

例えば帰宅後手を洗っていないのに洗った、宿題が残っているのにもう終わったといったような自分が面倒なことをごまかすための嘘については、一旦は受け入れてから「でも今からおやつだからもう一度洗ってこようか」「ちょっと心配だからお母さんにも確認させてね」などといったように、嘘の追及ではなく、こちらの都合や思いでこうしてほしいとお願いする方がスムーズに行動に導けるかと思います。

見過ごせない嘘だった時は……

何とか目をつぶれるところはつぶったとしても、自分を守るための嘘や誰かを傷つける嘘については見過ごしたくありませんよね。しかし、こうした嘘についても、真正面から追及しても反発されてしまい、本質的な話をするまでに時間がかかるところがあります。

例えば友達に意地悪をしてしまったことを否定してきたとして、「あんた何でそんなことしたの!ごまかさないの!」ではなく「あれ、私が知っていることとちょっと違うと思うな。ほんとはどうだったのか、考えてから話してね」と伝えてください。 問い詰められるのではなく、子ども自身が自分で考えて答えることが大切です。そして本当のことを話してくれたら「本当のことを話してくれてありがとう」とほめた上で、何が間違っていたのかを話すようにしましょう。

肯定的な立ち位置での「正直に話してね」が効果大

とある心理学の実験では、自分のついた嘘に追い詰められたオオカミ少年の話と、桜の木を折ってしまったことを正直に打ち明けて父から褒められたアメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンの話では、ワシントンのエピソードを聞いた子どもたちの方が嘘をつくことが減ったという報告もあります[*1]。嘘は駄目と言われると制限されている感じがして反発を覚えてしまいますが、「正直に話してね」と言われるとよりストレートに伝わりますし、肯定的な指示の方が受け入れやすいと考えられます。

<右から左へスルー>無視タイプ

「部屋を片付けてね」と言っても無視され、「今日は学校どうだった?」と聞いてもスルーされ…こちらの声かけを無視することが多い子もいます。 このような場合、声かけのタイミングや方法を変えることで改善されるケースもあります。

何かに夢中で気づいてないことも

子どもが何かに熱中している時に声を掛けている場合は、本当に気付いていないことや、「今いいところなのに」と聞こえないふりをしていることも考えられます。 こうした場合には、様子を見ながら段階的に声をかけて、子どもが気持ちを切り替えられるようにするとスムーズにいくかもしれません。 例:「あと10分したら……」「ここが終わったら……」「もうすぐだよ」等

漠然とした質問は答えにくい

上記の例では「学校どうだった?」という漠然とした質問をしています。こうした場合は「何から答えればいいの?」「何を聞きたいの?」というように、困ったり面倒になって無視している可能性があります。 「休み時間は楽しかった?」「何の授業が大変だった?」と聞きたいポイントを絞って質問することで答えやすくなるかと思います。

質問に怯えているケースも

何を言っても怒られるからと感じていたり、子どもが葛藤していることの核心をつかれるような質問についても無視されることがあります。叱るべきところは叱って切り替えるよう心がけたり、「困った時は話してね」と常に伝えておくことで話しやすい雰囲気を作ることも大切です。

まとめ

「あれもこれもしてあげないと」とてんやわんやだった日々が過ぎ、少し落ち着いたかと思った矢先に反抗的な態度を取られるようになり、戸惑ってしまうパパ・ママもいらっしゃるかと思います。 しかし、中間反抗期を迎えるということはそれだけ子どもが成長した証、子どもにとって親が安心して気持ちをぶつけることができる存在であるという証でもあります。 ちょっとしたコツを心がけつつ親子の時間を楽しみ、子どもの成長を見守りたいですね。

(文:うららか相談室 野瀬綾子/構成:マイナビ子育て編集部)

※写真はイメージです

この記事の執筆者 臨床心理士・公認心理師 野瀬 綾子 先生

臨床心理士・公認心理師。大学院修了後は、精神科病院・リハビリテーション病院で心理士として、小中学校ではスクールカウンセラーとして、また若者サポートステーションやひきこもり支援センターで相談員として勤務。精神疾患、認知症、高次脳機能障害、脊椎損傷のご本人様やご家族様の相談、発達障害や不登校、いじめ、子育てのお悩みへの対応、ニートやひきこもりの方への支援、就労相談や8050問題への対応を担当。 現在、うららか相談室にてビデオ・電話によるオンラインカウンセリングを受付中。 ■野瀬綾子先生への相談

参考文献 [*1]KangLee et al.Can Classic Molal Stories Promote Honesty in Children?,2014 PsychologicalScience25(8)



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