アプリでmichillが
もっと便利に

無料ダウンロード
ログイン・会員登録すると好きな記事をお気に入り登録できます

僧侶&心理カウンセラーの山口依乗さんに聞く、「5月病」の原因と乗り越え方

/

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

他のおすすめ記事を読む
セリアさんこれって本物ですか…!?精巧すぎて頭が混乱する…ミニサイズの観葉植物
僧侶&心理カウンセラーの山口依乗さんに聞く、「5月病」の原因と乗り越え方

新年度からはや1カ月半。新しい環境や人間関係にすっかり慣れた人もいれば、順応できずに辛い思いを抱えている人もいることだろう。この時期はとりわけ「5月病」なる言葉とともに、心身に不調をきたす人々の姿がクローズアップされる。今まさに、その5月病にさいなまれているという人、あるいは「なんとなくやる気が出ない」といった予備軍も少なくないかもしれない。このしんどい状況を、いかにして乗り切ればいいのか? そのヒントを探るべく、僧侶であり、心理カウンセラーの資格をもつ山口依乗(えじょう)さんにお話を聞いた。
真面目な人ほど要注意! 「5月病」の正体とは?

山口さんは浄土真宗本願寺派の女性僧侶。心理カウンセラーとしても30年間にわたり臨床の現場で学び、仏法、心理学の両面から身障者・高齢者などの心のケアに携わってきた。

まずは、心理学の見地から5月病のメカニズムを伺った。

「人は誰しも、新しい環境では緊張し、テンションが上がります。ある意味、特別な興奮状態にあり、また、早く認めてもらいたいという思いも相まって、最初の1カ月は疲労感を感じないまま頑張れる。しかし、疲れは気づかないうちに蓄積されています。そのタイミングでゴールデンウイークの大型連休を迎え、興奮状態が落ち着くと同時にそれまでの疲れがどっと押し寄せてしまうのです」(山口さん、以下同)

そうした疲労感を抱えたまま仕事に復帰しても、これまでのようには頑張れない。そのことが心に負荷をかけ、やがては「5月病」と呼ばれる症状に発展していく。

「先月はあんなに頑張れていたのに……などと自分を責め、やがては無気力になる。これが5月病の主たる原因です。ただ、みなさんに知ってもらいたいのは、4月までの状態が異常だっただけで、今は興奮が収まって『普通に戻った』だけなのだということ。特に、真面目な人ほど自分を責める傾向にありますから、どうか気にしすぎないでいただきたいです。そもそも、新しい環境になって2カ月にも満たない5月の段階で、結果を出そうと気負いすぎないことです。人が新しい環境に順応するには、3カ月程度の時間を要するもの。仏教の修行の区切りも100日間、約3カ月なんです。ここを乗り越えて初めて、次の階段を上ることができます。ですから、最初の3カ月は心と身体を慣れさせるための準備期間だと思ってください」

なお、5月病に陥りやすい人の特徴は、大きく2つのタイプに分類されるという。

「まずは先ほども申し上げた『真面目タイプ』。特に周囲に合わせすぎてしまう優等生です。もう一方は『頑固タイプ』。こちらは自分のやり方に固執し、組織のルールに合わせることができない方、うまくいかないと他者のせいにしてしまう方ですね。一般的な傾向として、真面目タイプは自己評価が低く、頑固タイプは自己評価が高い。一方で、自己承認欲求が強いことは、両者に共通しています。認めてもらいたい気持ちが強いがゆえに、うまくできない自分に苦しんでしまうのです」

山口さんによれば、5月病から脱却するには、まず自分がどちらのタイプなのかを自覚することが重要なのだとか。

「自分のタイプを自覚できれば、対処法も分かってきます。とはいえ、自分を客観的に見ることはなかなか難しいですよね。そんなときは、家族や友人、同僚など誰でもいいので、遠慮のない間柄の人に『自分はどちらのタイプなのか』と、率直に聞いてみてください。そして、真面目タイプに該当する場合は、会社で無理に良い顔をしないこと。頑固タイプであれば、なかなか難しいこととは思いますが少し寛容な心をもつように努めてみてください」

仏教に「心の病」という概念はない。まずは体調を整えること

一方、仏教の視点から5月病をとらえると、そのアプローチはまるで異なるようだ。

「心(精神)は無であると、仏教では説かれています。つまり、存在しないものなんです。ゆえに仏教の考えでいえば『心の病』というものはなく、5月病の諸症状も身体の変調の一環であるととらえられます。よって、『心が弱った』と感じても心そのものを治療するのではなく、身体の調子を整えていくことが心の回復につながるという捉え方ですね」

「最初から存在しない」と割り切ることができれば、心のありように思い悩むこと自体が意味をなさなくなる。そこまで達観するのは難しいかもしれないが、気持ちを軽くする考え方の一つではあるだろう。

「五月病もうつも『心の病』と思われがちですが、それは決して心が病んでいるのでなく、身体の疲れからくるものです。疲労を感じないからといって頑張り過ぎてしまったり、過去の自分にとらわれたりするのはやめましょう。自分で自分を病気にしないでください。辛いと感じたら、まずは生活のリズムを整えることです。バランスの良い食事、十分な睡眠、適度な運動は基本。そして、常に身体をリラックスさせるよう心掛けてください。

朝、目覚めたときや通勤電車の中、会社の昼休みなどに深呼吸をしてください。息を深く吸って、長く吐く。脳内の酸素が入れ替わり、ゆっくりと体内に溶け込んでいけば自ずと身体も心も癒やされます。禅には静かに自分の息を数える『数息観( すうそくかん)』という修養法があります。雑念を廃し、心静かにまずは10回の呼吸を数えてみましょう。歩きながらそれを行えば歩行禅になります。こうした簡単にできることのなかから、自分にとって癒やしにつながる方法を見つけてみてください」

新人のころや職場環境が変わったタイミングは特に、いち早く環境に順応すること、仕事を覚えることに躍起になってしまうが、それらも心身の健康があってこそ。自分を守る作法として、山口さんの言葉を心に留めてみてはいかがだろうか。

●取材協力
・寺カフェ 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

【住まいに関する関連記事】



この記事のライター

SUUMO

ありがとうを贈るとライターさんの励みになります

トップへ戻る

ライフスタイルの人気ランキング

新着

カテゴリ

公式アカウント

ログイン・無料会員登録