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テーマのある暮らし[6] ラテンのリズムに囲まれ、国内外の音楽仲間が集うオープンな家

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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トロピカルなテイストに懐かしさのあるワールド・ミュージック楽団「キウイとパパイヤ、マンゴーズ」を率いて、世界各国を飛び回っている廣瀬拓音(ひろせ・たくと)さん。楽器とともに暮らし、国内外の仲間が気軽に集まれるオープンな家にリノベーションしました。【連載】テーマのある暮らし
この連載では、ひとつのテーマで住まいをつくりあげた方たちにインタビュー。自分らしい空間をつくることになったきっかけやそのライフスタイル、日々豊かに過ごすためのヒントをお伺いします。祖母から受け継いだ昭和の家をリノベーション

廣瀬さんが主宰している「キウイとパパイヤ、マンゴーズ」の本拠地は、23区内でありながら下町風情が漂う板橋区。自宅とスタジオを兼ねた一戸建てに、廣瀬さんと妻、保育園に通う長女と暮らしています。取材に伺ったのは、あと数週間で第二子の出産予定日というとき。臨月の大変ななか、家族そろって快くお話を聞かせてくださいました。

幅広いジャンルの本と並ぶのは、国際色豊かなフェスの写真や珍しい楽器の数々。右上の楽器は、取材中にお嬢さんが披露してくれたモザンビークに伝わる伝統楽器、可愛い音色が特徴の木琴ティンビラ(写真撮影/内海明啓)

幅広いジャンルの本と並ぶのは、国際色豊かなフェスの写真や珍しい楽器の数々。右上の楽器は、取材中にお嬢さんが披露してくれたモザンビークに伝わる伝統楽器、可愛い音色が特徴の木琴ティンビラ(写真撮影/内海明啓)

「この家は、もともと私の祖母が住んでいました。一人暮らしをしていた祖母と私たちで同居をはじめたのですが、1年弱で祖母がケガをしてしまって……。私たちも仕事で家を空けることが多いため十分なお世話ができず、祖母は岩手県在住の両親にお願いして、私たちがこの家を受け継ぐことになりました」と廣瀬さんの妻。

「岐阜県出身の僕は祖母の家によく行き来していたので、前の家も落ち着けて好きだったんです。でも、海外に演奏ツアーへ行ったとき、ホテルや友人の家のざっくりした空間が生活しやすそうだなぁ、と感じていました」(画像提供/TAIMATSU)

「岐阜県出身の僕は祖母の家によく行き来していたので、前の家も落ち着けて好きだったんです。でも、海外に演奏ツアーへ行ったとき、ホテルや友人の家のざっくりした空間が生活しやすそうだなぁ、と感じていました」(画像提供/TAIMATSU)

ひとつひとつの部屋が区切られていた日本家屋に住んで9年。
「前の家に愛着もあったのですが、朝起きてから家を出るまで、とにかくふすまの開け閉めが多くて、座ったり立ったりの動作も多いことがストレスに感じていました」

生活の流れがスムーズで、たくさんの仲間たちが気軽に遊びに来てくれる開放的な空間づくり。そして、廣瀬さんの創作活動となる仕事場を快適にすることをテーマに、リノベーションを決めた廣瀬さん夫婦。友人であり、設計士の松尾さんに相談しました。

20個以上ある太鼓の置き場所を何とかしたい!

廣瀬さんは「キウイとパパイヤ、マンゴーズ」での活動のほか、ブラジル北東部の伝統芸能「マラカトゥ・ナサォン」をベースとした爆音ブラジル大太鼓集団「BAQUEBA(バッキバ)」の代表も務めています。ご自身の太鼓は5個ですが、メンバーの楽器も預かっているため大小合わせて20個以上の太鼓が自宅にあるのです。

「今まで、太鼓は2階の部屋に積んでいて、いつ崩れてもおかしくない状態。積み上げた太鼓に囲まれて、冷や冷やしながら仕事をしていました(笑)。それに、太鼓の出し入れがもう大変で……。階段が狭いので、太鼓を抱えて1階と2階を何度も往復。太鼓を車に載せるだけで、小1時間はかかっていました。それを頻繁にしていたので、かなりキツかったです」

そこで設計士の松尾さんが提案したのは、バスルームやトイレなど水周りの上を太鼓のスペースにすること。

「1階の天井をギリギリまで上げて、水周りをボックスで囲んで、その上に太鼓を置くことにしました。その分だけ水周りの天井は低くなりますが、太鼓の高さをきっちり計って、十分な天井の高さを取っています」と話す松尾さん。これで、太鼓の置き場所はクリアになりました。

身長178cmの廣瀬さん曰く「前の家は鴨居が175cm程だったので、ちょっと油断すると頭をぶつけちゃうんです。水周りの天井が少し低いといっても、今ではぶつけることもなく快適です」(写真撮影/内海明啓)

身長178cmの廣瀬さん曰く「前の家は鴨居が175cm程だったので、ちょっと油断すると頭をぶつけちゃうんです。水周りの天井が少し低いといっても、今ではぶつけることもなく快適です」(写真撮影/内海明啓)

水周りを囲んだボックスには、南米の路地裏をイメージしたラテンカラーの黄色を施しました。まるで太陽が降り注いでいるような明るさと温かみのあるアクセントは、廣瀬夫婦のお気に入り(写真撮影/内海明啓)

水周りを囲んだボックスには、南米の路地裏をイメージしたラテンカラーの黄色を施しました。まるで太陽が降り注いでいるような明るさと温かみのあるアクセントは、廣瀬夫婦のお気に入り(写真撮影/内海明啓)

玄関はいらない!? 誰でも好きなところから出入り自由

松尾さんが、廣瀬さんとの打ち合せでビックリしたのは「玄関は、なくてもいいから。みんながどこからでも入って来られるようにしたいし、リビングダイニングは土間みたいな仕様にして土足OK!」という点。さすが! グローバルに活動している人は考え方がおおらか(笑)と思いつつ、その楽しい発想にワクワクしたとか。

そこで、従来の玄関は扉1枚分のスペースに縮小して、リビングダイニングの掃き出し窓に幅広の縁側を設置。玄関はもちろん、縁側からも人の出入りができるようにしました。そのうえ、ここが駐車スペースになっているため、太鼓の搬出入にも便利と一石二鳥。いままで小1時間かかっていた搬出入が、わずか10分程度と6分の1に短縮できたそうです。

「我が家に来る人のほとんどは、玄関を使わずにここから出入りしています(笑)」と廣瀬さん。幅が広く、大きな掃き出し窓と縁側がウエルカムな空気を醸し出してくれています(写真撮影/内海明啓)

「我が家に来る人のほとんどは、玄関を使わずにここから出入りしています(笑)」と廣瀬さん。幅が広く、大きな掃き出し窓と縁側がウエルカムな空気を醸し出してくれています(写真撮影/内海明啓)

そして、掃き出し窓の向こうに、何やらもうひとつの扉が……。
実は、こちらはかつての勝手口。キッチンだったスペースを小上がり和室にして、ゲストルームに。海外からもたくさんの友人・知人が訪れる廣瀬家には、ブラジルから来日した太鼓の師匠をはじめ、フランス、カメルーン、台湾……とすでに5カ国の客人が滞在。和のテイストを楽しみながら、寛いでいかれたそうです。

「もし彼らの滞在中に、僕たちが出かけるときは、この勝手口のカギを渡します。そうすれば、彼らも好きなときに外出できるし、いつでも帰って来られます(笑)。それに、この小上がりはカーテンで仕切ることができるので、ひとりになりたいときは閉めればOK。向こうとリビングで違う音楽を流していたこともあったくらい、みんな自由に過ごしています(笑)」

お嬢さんの友達がたくさん来たときは、賑やかな遊び場に変身。畳なので、赤ちゃんの昼寝やハイハイにも最適です。出産後は、しばらくの間、妻と赤ちゃんの寝室になる予定とか(写真撮影/内海明啓)

お嬢さんの友達がたくさん来たときは、賑やかな遊び場に変身。畳なので、赤ちゃんの昼寝やハイハイにも最適です。出産後は、しばらくの間、妻と赤ちゃんの寝室になる予定とか(写真撮影/内海明啓)

ちなみに、当初土足OK! といっていた土間風の床は、靴を脱ぐことにしたそうです。
「実際やってみたんです、土足を。そしたら、思った以上に床が汚れるのでやめました(笑)。よく考えたら、海外でも帰宅したら靴を脱いだり、ルームシューズなどに履き替えたりしていることって多いんですよね。部屋のスリッパとトイレのスリッパを替える、ということは、彼らにとって謎みたいですけど……(笑)」

洗面所って必要? バスルームの扉もいらないよね?

下の写真を見ると、一般的な住まいに当たり前のようにあるものが、ふたつありません。
それは、バスルームの扉と洗面所。

「扉があると、溝なども含めて汚れやすいじゃないですか。掃除も大変だし、なくてもいいかなぁと思ったんです。シャワーカーテンで水の跳ねを防げるし、これが意外と寒くないんですよ。夫にも実家の母にも、反対されましたけどね」と笑う廣瀬さんの妻。

バスルームと脱衣所とはシャワーカーテンで仕切られていて、同じ素材の床でつながっています。扉ひとつないだけで、一体感のある開放的な空間に(写真撮影/内海明啓)

バスルームと脱衣所とはシャワーカーテンで仕切られていて、同じ素材の床でつながっています。扉ひとつないだけで、一体感のある開放的な空間に(写真撮影/内海明啓)

そして、廣瀬家には洗面台はなく、バスルームのなかに小さなシンクを設置してあるだけです。
「帰宅してすぐのところに、手を洗う場所があればいいと思って(笑)。そしたら、洗面所にこだわらなくてもいいのかな、と。だから、キッチンにもうひとつ手洗い用のシンクを設けました」と廣瀬さん。

その一方で、妻は「最初、キッチンとバスルームの2カ所にシンクって必要? と思いました。でも、実際に生活してみると、子どもの上履きとか洗うのにバスルームのシンクは便利で、それぞれ使い方が違うなぁと感じています」

リビングダイニングにつながるキッチンに設けられた手洗い用のシンク。帰ったらすぐに手を洗えて、ここで歯磨きも。大工さんにつくってもらったキッチンテーブルは、収納力も抜群(写真撮影/内海明啓)

リビングダイニングにつながるキッチンに設けられた手洗い用のシンク。帰ったらすぐに手を洗えて、ここで歯磨きも。大工さんにつくってもらったキッチンテーブルは、収納力も抜群(写真撮影/内海明啓)

既存の窓にずっしり重みのある防音戸をつけたスタジオ

2階には、廣瀬さんがレコーディングや演奏で使うスタジオがあります。
壁の中には防音シートを入れて、窓は既存のまま使用し、そこに防音戸を設置しました。この防音戸を実際に持ってみましたが、厚みもあってずっしり。この重厚感ある防音戸をロープで上げ下げするのに役立ってくれるのが、ヨットの金物です。

開け閉め自由の防音戸なので、明るい日差しを取り入れることも可能。CM音楽や映画音楽などの作詞作曲を手がけている廣瀬さんの創作スペース(写真撮影/内海明啓)

開け閉め自由の防音戸なので、明るい日差しを取り入れることも可能。CM音楽や映画音楽などの作詞作曲を手がけている廣瀬さんの創作スペース(写真撮影/内海明啓)

ロープで防音戸を閉めれば、スピーカーからかなりの大音量で音楽を流しても音漏れすることがなく、ご近所への配慮もばっちり(写真撮影/内海明啓)

ロープで防音戸を閉めれば、スピーカーからかなりの大音量で音楽を流しても音漏れすることがなく、ご近所への配慮もばっちり(写真撮影/内海明啓)

「前は、ここに20個以上の太鼓があったので、ものすごい圧迫感がありました。すっきりした環境で音楽づくりができるのは快適で、創作のアイデアもどんどん沸いてきます」

ちなみに、お嬢さんの友達が遊びに来ると、このスタジオは“DJプリキュア化”することも多いのだそう。
「娘たちが大好きなアニメ『プリキュア』のCDをかけると大喜びで、ここで踊りまくってくれるんです。その姿にこっちもテンションと音量が上がって、クラブのようなノリに……。かかっているのは、アニソンなんですけどね(笑)」
その様子も拝見したかったくらいですが、このスタジオが音楽仲間だけでなく、子どもたちにとっても憩いの場になっていることは間違いありません。

将来のライフスタイルを見据えて自由に変更できるつくりに

かつて2部屋に仕切られていた2階は、収納スペースを挟んでスタジオと寝室がつながっている仕組み。収納につけた扉の開け閉めによって、個室にしたり、オープンなスペースにすることも自由自在です。

本棚の反対側はクローゼットになっていて、大容量の収納スペースを確保。スタジオの反対側には家族の寝室があり、将来は子ども部屋として使えるスペースも(写真撮影/内海明啓)

本棚の反対側はクローゼットになっていて、大容量の収納スペースを確保。スタジオの反対側には家族の寝室があり、将来は子ども部屋として使えるスペースも(写真撮影/内海明啓)

「昔の日本家屋って、どちらかといえば家に1歩入ったら全てがプライベートな空間って感じじゃないですか。我が家は、誰もが気軽に来てもらえるオープンなつくりにしていますし、家族が集まるリビングも半分プライベートで半分がオフィシャル。完全なプライベート空間は、寝室だけと思っています。家族といえど、ひとりひとりの個人ですからね。だから、寝室以外はオフィシャルな要素を意識していたい、と思っています」

バーベキューパーティーができそうな広いスペースのバルコニーには、ベンチも設置。もうすぐ家族が増えて、ますます賑やかな笑い声が聞こえてきそうです(写真撮影/内海明啓)

バーベキューパーティーができそうな広いスペースのバルコニーには、ベンチも設置。もうすぐ家族が増えて、ますます賑やかな笑い声が聞こえてきそうです(写真撮影/内海明啓)

家のつくりはもちろん、夫婦のオープンマインドな人柄によって、とにかく明るくてウエルカムな空気にあふれている廣瀬家。国内外の音楽仲間にとっても、子どもたちにとっても音楽を思いっきり楽しめて、人と人とのふれあいを大切にしている家は、つい長居してしまいたくなるような居心地の良さがありました。

●取材協力
・キウイとパパイヤ、マンゴーズ
・BAQUEBA
・TAIMATSU一級建築士設計事務所 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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この記事のライター

SUUMO

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