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【医師監修】トキソプラズマ症とは? 妊娠中に感染したときの症状とリスク

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目次

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「トキソプラズマ症」という言葉を聞いたことはありませんか?トキソプラズマ原虫の感染によっておこる感染症ですが、妊婦が始めて感染するとおなかの赤ちゃんに悪影響を与える怖い病気です。妊娠中の人や、妊娠を考えている人はしっかり予防に努めたいもの。今回はトキソプラズマ症の症状や予防法について解説します。

この記事の監修ドクター

産婦人科専門医中林稔 先生 日本医科大学卒業。東京大学医学部付属病院で研修後、三井記念病院医長、虎の門病院医長、愛育病院医長を経て現在三楽病院産婦人科長。 診療のみならず、学会・各地講演をはじめとする医学の普及活動を行う傍ら、教育にも幅広く従事しており、2008年には中林助産師学院を共同設立。自ら講師を務め、6年間連続助産師国家試験合格率100%を達成中。

トキソプラズマ症とは

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トキソプラズマ症は、単細胞の原虫「トキソプラズマ」に感染することによっておこります。その感染経路や症状とはどんなものでしょうか?

トキソプラズマ症とは?

「トキソプラズマ(Toxoplasma gondii)」は、世界中でみられる原虫です。大きさは幅3μm(マイクロメートル)、長さ5-7μmで、形は、半円〜三日月形をしています。ネコ科動物を終宿主とする寄生性単細胞生物で、宿主となる動物種や感染ステージ、免疫状態等により、「増殖型(タキゾイト)」「シスト」「腸管型(オーシスト)」という3つの形態をとることがわかっています。

感染するのは、人を含む多くの哺乳類や鳥類。人の感染率は、国・地域・年齢・食生活・衛生状態などによって異なります。フランスでは約85%が感染していると言われていますが、これはフランスでは生の肉や加熱が不十分な肉を食べる傾向が高いことと関係していると考えられます。一方、日本でも成人の10%前後が感染しているという報告もあります。

トキソプラズマに感染する人は少なくありませんが、症状が現れるのはごくわずか。多くが感染していても、免疫の力で、発症しないようにトキソプラズマを抑え込んでいるためです。なお、一度感染すると終生免疫が継続して二度と感染はしません。

トキソプラズマの感染経路

トキソプラズマは、人を含む哺乳類・鳥類の場合、口から感染し消化管から体内に侵入します。

口からの感染は、トキソプラズマに感染した肉を食べてしまうことから始まります。トキソプラズマは細胞内で増え続け、直径10μmほどの頑丈な壁を持つ「シスト」と呼ばれる状態に。その壁に守られて増殖していきます。その「シスト」がある肉を、ほかの動物が食べると、さらにその動物の体内で感染し広がっていきます。人における感染では、加熱が不十分な食肉を食べることが原因のひとつとされています。

もうひとつの考えられる感染源は「ネコ」です。ネコ科の動物では、腸管内上皮において増殖しやすく、「オーシスト」と呼ばれる球形の状態になりフンの中に出ます。フンの中に含まれたオーシストが、何らかの形で口に入ると感染してしまいます。

トキソプラズマは経口感染で、空気感染、経皮感染はしません。ただし、眼瞼結膜からも感染することがわかっています。

トキソプラズマ症の症状

感染したとしても、免疫システムが正常の場合、多くは無症状です。症状が出たとしても、リンパ節の腫れ、微熱、はっきりしない体調の悪さなど、軽度のインフルエンザのような症状で、そのうち自然に治ります。

ただし、小さな子どもや免疫機能が低下している人では、重篤な症状が出ることがあります。その症状は感染部位によって異なり、例えば脳のトキソプラズマ症(脳炎)になると、半身の脱力感、言語障害、頭痛、錯乱、けいれん、昏睡などが起こります。

そのほか、肝臓の炎症がおきたり、肺炎を発症したり、心臓の炎症(心筋炎)を起こす場合もあります。こうなると、臓器は正常に機能しなくなり、生命が脅かされることもあります。

妊娠中に感染したらどうなる?症状とリスク

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免疫が正常に機能している場合は多くは無症状ですが、おなかに赤ちゃんがいる妊婦の場合は話は別です。妊娠中に初めてトキソプラズマ症に感染すると、流産や死産につながるほか、赤ちゃんが病気を持って生まれることもあります。

妊娠中に感染した場合のリスク

妊娠中の女性がトキソプラズマに初めて感染した場合、トキソプラズマが胎盤を介して胎児に感染することがあります。これを「先天性トキソプラズマ症」と呼びます。妊娠中にトキソプラズマに初感染したからといって、必ずおなかの赤ちゃんにも感染するというわけではありませんが、注意は必要です。

先天性トキソプラズマ症の症状

妊娠初期に感染し、胎児が先天性トキソプラズマ症になると、流産になるリスクが高くなります。

妊娠中期の場合は、低出生体重、脳炎、黄疸、肝臓と脾臓が大きい肝脾腫、リンパ節が腫れるリンパ節腫脹になることも。妊娠後期になると、先天性トキソプラズマ症の4つの主要な症状と呼ばれる「精神運動発達の遅れ」「水頭症」「網脈絡膜炎」「脳内石灰化」が見られるほか、痙攣や貧血、血小板減少、黄疸、肝機能障害などを発症することもあります。

また、先天性感染の後、免疫力が低下してトキソプラズマが活性化すると「眼トキソプラズマ」を発症することも。「眼トキソプラズマ」になると、視力障害や眼の痛み、まぶしさなどの症状が出ます。

感染した場合の対処法

もしも感染したとしても、ほとんどの場合、治療は必要ではありません。しかし、成人で症状が現れた場合、また乳児で感染していることが分かっている場合は、スルファジアジンとピリメタミン(pyrimethamine)、ロイコボリンといった薬を用いて治療を行います。

妊婦がトキソプラズマに感染した場合、赤ちゃんへの感染を防ぐために「アセチルスピラマイシン」という抗生物質が使用されます。アセチルスピラマイシンは胎盤で濃度が高くなる性質があるため、胎盤でトキソプラズマと戦い、赤ちゃんへの感染を食い止めます。完全に感染をストップさせることは難しいのですが、起こりうる影響を軽減することができると言われています。

一般的に、トキソプラズマは妊娠初期では胎児に移行しにくく、後期になればなるほど胎児に移行しやすいとされています。そのため、早期発見が何よりも大切になります。早期に感染を発見し、適した治療を受ければ、おなかの赤ちゃんへの影響を小さく抑えることができます。

トキソプラズマ症を予防するには?妊娠前・妊娠中の注意点

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妊娠中に感染すると、おなかの赤ちゃんに悪影響が及ぶことがあるトキソプラズマ症。感染を予防するにはどうしたらいいのでしょうか。予防方法や感染しているか確認できる血液検査について紹介します。

妊娠前に血液検査を受けよう

トキソプラズマに一度感染していれば、体の中に抗体ができているので、おなかの赤ちゃんへの感染を心配する必要はありません。また、妊娠から6ヶ月以上前までに感染していれば、胎児への影響はないと考えられています。

では、実際に自分がトキソプラズマに対しての免疫を持っているか知りたい場合はどうしたらいいのでしょうか。

妊娠中や妊娠を望んでいる人は、トキソプラズマに対する抗体があるかどうかをチェックする血液検査を受けましょう。妊娠中なら妊婦健診の際にトキソプラズマ抗体の有無を検査できます。費用は1,000円前後ですが、自治体によっては、公費助成を受けられるところもあります。

食事・調理の注意点

まず、一番重要なことは、「よく加熱したもの以外は絶対に食べない」ということ。生肉や加熱が不十分な肉には、生きたトキソプラズマが含まれていたり、付着している可能性があります。

トキソプラズマを含む可能性がある肉は「ローストビーフ」「ユッケ」「牛肉のたたき」「馬刺し」「鳥刺し」「鹿刺し」「鯨刺し」など。ステーキもレアやミディアムの場合はトキソプラズマが死滅していない可能性があるため、中心部の赤みがなくなるまでしっかり火を通しましょう。「生ハム」は加工品なので大丈夫では?と思う人もいるかもしれませんが、加熱されていないためNGです。

トキソプラズマは低温や乾燥にも強い原虫です。中心部が「-12℃になるまで冷凍庫で数日間冷凍する」「中心部が67℃になるまで加熱する」が感染予防になりますが、家庭用冷蔵庫の中には中心部が−12度にならないものも多いため、しっかり加熱することが確実な方法と言えるでしょう。

また、包丁やまな板などの調理器具の洗浄も大切です。包丁やまな板などは、生肉用と野菜用に分け、使い終わったらしっかり洗浄し、清潔を心がけましょう。土に触れていた野菜や果物類はしっかり洗い、皮はむいて食べるようにします。

ガーデニングなど土を触る際の注意点

トキソプラズマの終宿主である猫のフンの中には、トキソプラズマのオーシストが入っているものがあります。オーシストはフンを介して土壌などに入り、その中で数か月以上生存し、一般的な消毒薬では死滅しません。そのため、畑や花壇などの土に素手で触れた場合、そこから口に入り感染してしまう可能性があります。

ガーデニングや野菜作りが趣味の人も、妊娠中はできるだけ土に触れるのを避けたほうがいいでしょう。どうしても行いたい場合は、手袋をはめ、作業が終わったあとは石けんと水でしっかりと手を洗ってください。

また、猫は公園の砂場などもよくフンをします。妊娠中に上の子どもを連れて砂遊びをする人もいるかもしれませんが、しっかり対策に努めましょう。

猫を飼っている場合の注意点

家の中で猫を飼っている場合は、どのように対処したらいいのでしょうか?「うちは完全に室内で飼育しているから感染していない」と考える人もいるのですが、完全室内飼育の猫でも、トキソプラズマに感染する可能性があり、注意が必要です。

オーシストは、感染力を持つようになるまで、最低でも24時間が必要と考えられています。感染力を持つ前に猫のフンは処分し、猫のトイレは毎日掃除をして清潔を保つように心がけます。猫のトイレ掃除は、できるだけ妊婦以外の人が行うのが望ましいでしょう。どうしてもトイレ掃除をしなくてはならない場合、使い捨て手袋やメガネを装着し、作業後は手洗いを徹底します。

猫は主に外でトキソプラズマに感染するため、外に出すのは避けてください。猫への感染を防ぐためにも、生肉を与えるのはやめましょう。

また、妊娠中に新たに猫を飼い始めるのも要注意。猫がトキソプラズマに感染しているかわからないため、知らず知らずのうちに感染してしまう可能性があります。

まとめ

感染すると、おなかの赤ちゃんに悪影響が及ぶ可能性があるトキソプラズマ症。だからといって、必要以上に肉料理に神経質になったり、猫に触れることを怖がっていては、それがストレスになってしまいそうですよね。正しい知識を身に付けて予防に努めることが何よりも大切。気になる人は、早めにトキソプラズマ抗体の検査を受けるようにしましょう。


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情報提供元:マイナビウーマン子育て

更新日:2017年5月30日


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