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【医師監修】妊婦のおたふく風邪感染のリスクは? うつってしまった時の検査と治療方法

目次

おたふく風邪が流行していたら、特に妊婦さんは細心の注意を払いましょう。妊娠中、おたふく風邪がうつるとどんなリスクがあるのか、予防法や治療法について詳しい情報をお伝えしていきます。

この記事の監修ドクター 産婦人科医・医学博士宋美玄先生 大阪大学医学部医学科卒業。丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった「女医が教える本当に気持ちいいセックス」がある。また、「とくダネ!」に木曜コメンテーターとして出演中。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事

流行性耳下腺炎(おたふくかぜ、ムンプス)ってどんな病気?

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おたふくかぜは「かぜ」?ムンプスって?

おたふくかぜはムンプスウイルスと呼ばれるウイルスの感染症です。医学的には流行性耳下腺炎といいます。

病名に「流行性」と入っているくらいですから、いわゆる「はやりやまい」の一種で、特に幼児や学童の間で流行します。ただし大人がかかった場合、合併症などが起きて重症になりやすい傾向 がみられます。

病名にある「耳下腺」とは、耳の下のあたりにある、唾液を作る分泌腺のことで、その部分が炎症を起こします。その炎症のために特徴的なほおの腫れが現れ、おたふく(おかめ)のように見えることから、おたふくかぜと呼ばれます。

なお、「かぜ」とは、さまざまなウイルスや細菌によって鼻やのどに炎症が起こる感染症の総称で、原因となる病原体は200種類以上あると言われています。 流行性耳下腺炎、おたふくかぜもその一つです。

おたふくかぜはワクチンで予防できる感染症であるにもかかわらず、任意接種(希望者のみに行われ、費用も自己負担の予防接種)であるためワクチンの接種率が低く、いまだに流行を繰り返しています。

おたふくかぜの主な感染経路は「唾液」

おたふくかぜは唾液を介した飛沫感染で人にうつります。飛沫感染とは、咳やくしゃみ、会話などによって口から飛ぶ病原体が含まれた水分、つまり唾液の細かい粒を周りの人が吸い込むことで感染することです。飛沫が飛ぶ距離(おおむね2メートル)より離れていれば感染する可能性は低くなります。

これに似たものに空気感染がありますが、空気感染の場合は同じ空間(部屋や教室など)にいると距離が離れていても感染する可能性があります(結核、麻疹、水ぼうそうなど)。おたふくかぜはこれらほどではありませんが、感染力は強いと言われています 。

飛沫感染のほかに、唾液の付着した手や物を触ることによる接触感染でも人にうつります。これらの経路により、幼稚園や学校などで感染した子供を介して、家庭内に広がることがあります。

なお、おたふくかぜは一度感染するとほとんどの場合、終生免疫が得られます。ただし再感染したという報告もみられます。

大人が感染した場合の症状~ほおの腫れ以外に、合併症にも要注意

ムンプスウイルスに感染すると、おたふくかぜに特徴的なほおの腫れが現れ、それとともに発熱します。ほおの腫れは痛みを伴い、食べたり飲んだりする時に痛みがより強くなります。発症から2~3日目あたりがほおの腫れのピークで、1週間ほど、遅くても10日で引いていきます。

なお、これらの症状が現れない「不顕性感染」がおたふくかぜでは30%ほどあるとされます。ただし症状はなくても唾液の中にウイルスが存在するので、人に感染します。

ここまではおたふくかぜの典型的な経過ですが、実はムンプスウイルスに感染すると、おたふくかぜだけでなく、男性では精巣炎、女性では卵巣炎を起こすことがあります。その頻度は、思春期以降では男性の20~30%、女性の7%前後です 。頻度はそれほど高くはありませんが、それらが不妊の原因になる場合もあります。

また、ムンプスウイルスは中枢神経に入り込みやすく、そのため無菌性髄膜炎(脳と脊髄を包んでいる膜状の組織「髄膜」に起きる炎症)を起こすことがあります。おたふくかぜによる無菌性髄膜炎は、通常軽症と言われていますが 、ごくまれに脳炎を発症して命にかかわったり後遺症を残すことがあります。

また、頻度としては低いのですが、おたふくかぜが永続的な難聴や膵炎を引き起こすことがあります。難聴は通常、左右どちらかの耳に起こりますが、中には両耳に生じることもあります。

おたふくかぜはいつ流行る?潜伏期間はどのくらい?

おたふくかぜは全国の小児科医療機関の中の約3,000カ所から患者数が報告されることになっている感染症です。その調査によると3~5年周期で流行していることがわかります。

季節的には春~夏にやや多い傾向がありますが、一年を通してみられます。 患者数は多い年で年間百数十万人、少ない年は数十万人と推計されています。

これは小児科のみからの報告なので大人の患者数ははっきりしませんが、ここ数年で6歳未満の割合が少し減り, 10歳以上の患者割合が増えている傾向にあると言われています。

なお、ムンプスウイルスに感染してから症状が現れるまでは、16~18日ほ どの潜伏期間があります。

妊婦さんが感染した場合のリスク

どの時期の感染が危険?赤ちゃんへの影響は?

おたふくかぜでは、妊婦さんからお腹の赤ちゃんに感染することはまれ と言われていますが、妊娠初期の感染で流産の確率が高まる可能性、また妊娠中に感染すると低出生体重児が多くなる傾向にあると言われています。

なお、妊娠中のおたふくかぜの感染と赤ちゃんの先天性奇形については関係がないとされています。

治療方法や対処方法について

ムンプスウイルスを減らす抗ウイルス薬はありません。そのためおたふくかぜに対しては、原因療法(病気の原因を直接的に治そうとする治療)ではなく、現れた症状ごとに治療を進める「対症療法」が行われます。

例えば発熱に対して解熱薬を使う、脱水には点滴を行うといったことです。

おたふくかぜを予防するにはどうしたら良い?

妊娠する「前」に予防接種を受けておくことが大切です

おたふくかぜを効果的に予防する唯一の方法は、ワクチン接種です。おたふくかぜでは、ワクチンにより90%前後の感染予防効果があるとされています。

ただし、妊婦さんはおたふくかぜのワクチンを接種することができません。おたふくかぜワクチンはウイルスの病原性を弱めた「生ワクチン」で、理論的には胎児に移行する可能性が考えられるからです。おたふくかぜの予防接種は妊娠前に受けておきましょう(接種後2カ月は妊娠しないことが勧められています )。

なお、おたふくかぜの予防接種は、現在、任意接種とされていますが、日本小児科学会は子供への接種を推奨しています。予防接種によって非常にまれに無菌性髄膜炎や脳炎などが起こる可能性はあるものの、その頻度は、予防接種を受けずにおたふくかぜにかかりそれらを発症する頻度より低いと言われています。

抗体検査を受ければ、感染する可能性の有無がわかる

おたふくかぜは基本的に、一度感染すると二度とかからない病気と言われていますが、過去に感染したことがあるにもかかわらず再感染したという報告も一部あります。

おたふくかぜに感染する可能性があるかどうか調べるのに有効なのが抗体検査です。ただし、一般的な妊婦健診では、おたふくかぜの抗体検査は行われていません。ですから自費で負担することにはなりますが、妊娠を考えている女性は抗体検査を受け、必要であればワクチン接種を受けておくようにしましょう。

日常生活でできる予防法

妊娠前に予防接種を受けることができなかった妊婦さんは特に、おたふくかぜが流行っている地域ではできるだけ不要な外出を避け、また子供との接触を控えるようにましょう。

また、おたふくかぜが流行すると、国立感染症研究所や自治体のホームページに、その状況が掲載されますので、確認するようにしましょう。おたふくかぜに限らず、感染症を予防するための一般的な対策として、マスクや手洗いをすることも大切です。 国立感染症研究所「流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ) https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ra/mumps.html 各地の感染症情報(地方感染症情報センター一覧)/東京都感染症情報センターサイト内 http://idsc.tokyo-eiken.go.jp/klink/

まとめ

一般に「おたふくかぜ」として知られている流行性耳下腺炎。多くの場合でそれほど心配のない病気ですが、時に難聴などの後遺症を残すことがあり、成人女性では時に卵巣炎を引き起こす場合があることも覚えておきたい感染症です。おたふくかぜはワクチンで防ぐことができる病気ですので、任意ではあるものの妊娠を希望する女性は予防接種を受けておきたいものです。

(文:久保秀実、監修:宋美玄先生)


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この記事の著者

マイナビウーマン子育て

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