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「これって通報した方がいい!?」周囲にはわかりづらい、幼児虐待かどうかの判断基準

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痛ましい幼児虐待のニュース。身近でもありえることですが、通報するレベルの判断が難しいところ。今回、中川淳一郎氏が、ご自身の経験から判断基準にしていることを教えてもらいました。

記事の著者

ネットニュース編集者中川淳一郎 1973年生まれ。東京都立川市出身。一橋大学商学部卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を担当。2001年に退社し、しばらく無職となったあとフリーライターになり、その後『テレビブロス』のフリー編集者に。企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々なネットニュースサイトの編集者となる。主な著書に、『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『ネットのバカ』(新潮新書)、『夢、死ね!』(星海社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)、『電通と博報堂は何をやっているのか』(星海社新書)など。

「なんでリンゴが3つでミカンが2つあって合わせて5個だって分からないの!」 「もぉぉ、いい加減にしてよ!もう出なくちゃいけないのに何グズグズしてるのよ!」

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これに続くのが女児の「ギャーッ!」という泣き叫ぶ声である。かつて私が住んでいた集合住宅では、朝になると母親が娘(当時推定4歳~6歳)に冒頭のような激怒をし、娘が泣き続けるという展開が一週間に3回ほど発生していた。時には机をバンバンと叩く音も聞こえ、それにより、娘の泣き声は加速度的に音量を増していくのだった。時刻は朝の6時から7時ぐらいにかけてのこと。夫は5時30分ぐらいには自宅を出て、その後にこのやり取りが発生していた。その期間は2年以上にも及び、ある日ピタリとやんだ。その一家は引っ越したわけではなく住み続けていたので、本当にやんだのである。

当時、児童虐待のニュースも数多く報じられていただけに、私は通報すべきかどうかを悩んでいた。ただ、他人様の家庭の揉め事を児童相談所や警察沙汰に通報するのもプライバシー侵害にあたると考え、それは躊躇していた。かといって本人に「あなたはなぜいつも娘さんを怒鳴っているのですか?」と正面きって言うのも憚られた。泣き叫ぶ娘を可哀想だと思うことに加え、私自身も頻繁にこの怒鳴り声&鳴き声のセットを聞くのに精神的に参ってしまった面もある。とにかくこれらから解放されたかったのだ。

そういった理由から、通報をすべきかしないべきかを子育て経験がある人々に聞くことにした。ツイッターでこの件を聞いたところ、「通報一択」「何を躊躇しているのですか、その子を救うためにも早く通報してください」「疑わしいだけでも通報すべき」といった意見がいくつか寄せられた。しかし、同じ相談を子育て経験者の知り合いにしたところ、真逆の意見ばかり寄せられたのだ。

「それは放っておいたほうがいいですよ」 「その程度のことはよくあることですよ」 「家庭ごとの事情はありますから、他人が口出しをすべき話ではありません」

こうした意見を彼らはしたが、その後にこう続けた。

「その子の姿を見ることはあるのですか?」

私は「あります」と答えるとこう続ける。

「母親と一緒だと思いますが、母親とはどんな感じの接し方をしていますか?顔面に傷やアザがあったりはしますか?」

これに対しては、「いつも仲良さそうに手を繋いでいますし、顔に傷やアザは確認できません」と答えていた。すると「まぁ、静観しておいた方がいいですよ」という返事が毎度帰ってきた。そして、結果的にある時を境に「怒鳴り声+鳴き声コンボ」は終わったのである。彼らには「あの怒鳴り声、終わりましたよ」と報告したら「でしょぉ」と言われた。通報をしなくても良かったと今になって思うのだが、果たしてあの怒鳴り声はなんだったのか。

母親と顔を合わせると普段から会釈はしていたが、ある時「ウチ、うるさくてごめんなさいね」と言われた。「はい、うるさいので怒鳴るのやめてもらえませんか」などと言うわけもなく「いえいえ、そんな、うるさいなんてことはないですよ」と伝えていたのだが、我々の会話はこれ以上に発展することはない。

推測するに、彼女は娘に「お受験」の特訓をしていたのではないかと思うのだ。冒頭の「リンゴが3つ、ミカンが2つ」といった発言もそうだし、時々駐車場でボールをつく練習もしていた。私立の名門小学校に入るために、必死の勉強をさせ、マナーや球技のスキルを上げていたのかもしれない。

その憶測通りというか、その子が6歳ぐらいに見えるようになった年の秋から一切の怒鳴り声と鳴き声が消えたのだ。相談した相手にこのことを伝えると、こう言われた。

「あぁ、お受験だったのでしょうね、それは。中川さんみたいに、子育てをしたことがない人からすると、本当にビビるかもしれませんが、案外親は怒鳴ってしまうものです。子供も泣き叫ぶことはありますが、その後にちゃんとフォローを親がしてあげれば、子供も『虐待』とは捉えられません。手をあげていない以上、私はその母親の愛情は感じることができます」

こうしたことは子育て経験のない私には一切分からない点である。しかし、思い返せば小学校時代、姉とおもちゃの所有をめぐりケンカをしていたら突然母が子供部屋に乗り込んで「コラッ!アンタたち、なんばしよーとね!」と言い、ケンカの原因たるおもちゃを取り上げ、さらには学校の教科書や漫画なども含め、次々と巨大なゴミ袋に入れ始めたのである。

その鬼の形相に姉と私は泣き叫び、「もうケンカはしませ~ん」と訴えかけた。そして、二人してゴミ袋に入れられたおもちゃや本を丁寧に元の場所に戻した。虐待か否かというものは決して他人には判断できないもの。だからこそ、「子育て」という行為には大人になってからも数々の新たなる発見をすることができるのだろう。こうした経験をした結果、他人の家の状況に安易に口出しはすべきではないものの、身体中に傷やアザがあるようだったら躊躇せず通報をすべき、といったことはこの一連の騒動から決めた次第である。

(中川 淳一郎)


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情報提供元:マイナビウーマン子育て

更新日:2017年6月7日


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