気になる「二世帯住宅」のホントのところ。実際に二世帯住宅で暮らしている家族に聞いてみた

更新日:2017年6月28日 / 公開日:2017年6月28日

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親と子ども、孫の3世代がひとつ屋根の下で生活する「二世帯住宅」。今から40年以上前に誕生し、主に地価の高い都市部で普及してきた。子育てしながら夫婦共働きという若い世代が増える昨今は、再度、注目を集めている。そこで、「親世帯と子世帯、本当に仲良く暮らせるの?」「お金はどう分担してる?」など気になる話を、実際に二世帯で暮らしている家族に聞いてみた。
玄関とお風呂を共有。お互いの家族のペースを大事に生活する

横浜市在住のHさん家族は夫妻(ともにアラフォー)と2人の娘、夫の両親(ともに70代)と暮らしている。2015年に完成した今の住まいは2階建てで、建物面積は約100m2。二世帯で共有しているのは、玄関とお風呂、そして家族全員の衣類を収納するクローク。洗面所とトイレはそれぞれ分離してあるプランだ。現在は1階でHさん夫妻と子ども・愛犬が、2階で夫の両親が生活している。

【画像1】Hさん邸の間取図。主に1階のLDKと洋室1でHさん家族が、2階の洋室2と和室で夫の両親が生活している

「もともとは別々に暮らしていたのですが、親世帯の経済的な負担や近い将来の介護、自分たちも共働きであることを考え、近くにいたほうがお互い助かるだろうということから、二世帯住宅を選びました」と夫のHさんは話す。もともとはHさん自身が育った実家があったが、二世帯での生活には無理があるため、取り壊して新しく建物を設計・建築することに。費用は、Hさん夫妻が建築費を負担し、土地は親名義のままで、将来的には土地をHさん夫妻が相続するという取り決めだ。普段の暮らしはというと「お互いにほとんど干渉せず、困ったときに助け合う」のが基本だとか。

「起床時間も違えば食事の好みも違うので、日常で一緒にすることなどは特に決まっていません。帰ってきたなとか、出かけたんだな、とかは気配で分かるくらい。この、ほどよい距離感、干渉しない感じがいいのかも」と妻は話す。とはいえ、二世帯住宅といえば、「嫁姑問題」を思い浮かべる人も少なくないだろう。トラブルや、むっとしたときの対応などはどうしているのだろうか。

「イラっとしたことがあれば、腹にためずにその場で言うことにしています(笑)」と妻。親世帯も同じ感覚なので、お互いに大きなトラブルになる前に言い合うことで解消できていて、今のところストレスになることはほとんどないという。

【画像2】二世帯で共有している玄関とお風呂。入浴の時間や順番は決めていないが、ゆずり合いやひと声かけることで、気持ちよく使えている。玄関まわりの掃除は妻が、お風呂掃除はHさんが担当する(写真撮影/片山貴博)

【画像3】おじいちゃん、おばあちゃんが寝起きする和室。日当たりもよく、一日中明るい。障子のむこうは1階リビングの吹抜け(写真撮影/片山貴博)

【画像4】2階の親世帯が生活するキッチン。おばあちゃんが使いやすいよう、Hさんの妻が“かける収納”を考案してディスプレイ。とても好評だそう(写真撮影/片山貴博)

おかずのおすそ分けや子どもの世話、将来の介護……共に暮らすメリットは大

ほかにもストレスなく暮らすためのルールとして、「共用部分であるお風呂は入浴を終えて、栓を抜くときにひと声かける」、「Hさん世帯に来客があるときは事前に知らせておくこと」などが「自然な習慣」としてあるくらい。家事の分担としては、妻が親世帯も含めた6人分の洗濯をし、Hさんが親世帯と子世帯から出るゴミ収集とゴミ出し、共用部分の風呂掃除を担当している。夫婦のいずれかに負担が偏らないよう家事を分担し、まめにコミュニケーションをとっているのも、うまくいくコツなのかもしれない。

「間取りもよく考えられていると思います。設計担当者からキッチンを分けるプランを提案してもらいましたが、暮らしてみると、これがお互い快適に暮らせるポイントなんだと思いました」
とはいえ完全分離ではなく、1階のリビングと2階の和室がつながっているので、障子越しに気配が分かる感じが心地よいそう。ちなみに妻からのリクエストは、リビングに大きい鏡が欲しいという程度だったとか。

あらためて、二世帯住宅のメリットについても聞いてみた。
「2人の娘のうち、1人を病院につれていくとか、ちょっとしたときに子どもの面倒を見てもらえることや、おかずのおすそ分けができることかな。おばあちゃんの旅行の洋服をコーディネートしてあげたり、荷造りを手伝うことも。おじいちゃんにはパソコンやスマホの設定をしてあげたり、日常の小さなことを助け合っています」と妻。

「親と私たちのタイミングがかみあって、二世帯という選択になりましたが、お互いにすぐそばにいる安心感はなにものにも代えがたいですよね。あと、妻は面倒見がいいので、まめに動いてくれるし、自分は幸せものです(笑)」とHさん。

現在は、親世帯が2階で暮らしているが、介護が必要になったら1階で暮らしてもらうことも考えているという。

「2階は日当たりもいいし、天窓もあるので一年中明るい。でも、移動が大変になる日も来ると思うので、そのときは1階で暮らしてもらうことを考えています」(Hさん)。また、2人の娘の部屋としてはロフトを確保してあるとか。バリアフリーであることはもちろん、可変性のある間取りにしてあるため、今だけでなく将来も安心して暮らせることがポイントといえそうだ。

【画像5】共用している2階の洗面所と脱衣所。1階にはまた別にHさんと娘たちが日常的に使う洗面所がある(写真撮影/片山貴博)

【画像6】吹抜けから1階を見下ろしたところ。2階の和室には障子があり、お互いの声がそれとなく聞こえるよう、工夫されている(写真撮影/片山貴博)

【画像7】庭の手入れはおじいちゃんが担当している。普段はカーテンをしめているため、おじいちゃんが作業をしていても目が合うことはなく、「自然に気配を感じる」くらいだそう(写真撮影/片山貴博)

親世帯と子世帯では、食事の好みも生活時間帯も違うもの。それでも仲良く心地よく暮らせているのは、ほどよい距離感のある「間取り」のおかげなのかもしれない。

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