アプリでmichillが
もっと便利に

無料ダウンロード
ログイン・会員登録すると好きな記事をお気に入り登録できます

【医師取材】「HTLV-1ウイルス」って何? 赤ちゃんに感染するの?影響は?

このコラムに「ありがとう」を贈ってください。
michillライターさんの励みになります

目次

友だち追加 新着記事をお知らせします!

日本全国で感染者が多くなっている「HTLV-1ウイルス」。赤ちゃんにも、母乳から感染するといわれているウィルスについて知っていきましょう。

この記事の取材先ドクター

武田クリニック 武田寿之院長 当院では、出来る限り患者さんの目線になってお話を伺うことを大切にしています。 ささいなことでも何でも相談していただき、本当の意味での「家庭医」を目指しております。 http://www.nerima-med.or.jp/kikan/byoin/kobetsu_base.php?id=235/

母乳から感染する赤ちゃんの白血病とは?

471989937

Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2

感染原因のHTLV-1とは

「あるウィルスが、母乳を通じて赤ちゃんに侵入。感染すると白血病になるかも?」…そんな記事をどこかで見た事がありますか。母乳を通じて赤ちゃんに侵入・感染、白血病の原因ともなり得る、このウィルスは「HTLV-1」と呼ばれます。ちなみに「HTLV」はHuman T-cell Leukemia Virus type 1(ヒトT細胞白血病ウィルス-1型)の頭文字を取った略称です。このウィルスは主として白血球の中の「Tリンパ球」に感染することからこう呼ばれています。特徴としては、一度感染すると「生涯このウィルスを持ち続ける事になる」という点でしょう。このようにウィルスを持ち続ける状態のことを「HTLV-1キャリア」と言います。しかしながら、感染しても大半は無症状で、約95%は生涯病気を発生する事はありません。これについては後に詳しくご説明します。

国内に108万人前後の感染者

我が国におけるHTLV-1の感染者(いわゆるHTLV-1キャリアの人々)はどれくらいいるのでしょうか。平成20年度の厚生労働省令の調査では「約108万人」とされています。これは、日本の総人口の約1%にあたりますので、大変多い人数と言えるでしょう。実際、この数は「B型肝炎」や「C型肝炎」の感染者数とあまり大差ありません。一方、全世界におけるHTLV-1の感染者は「推定1000万人強」と言われています。つまり日本人は、世界のHTLV-1感染者その10%前後を占めている事になります。単にHTLV-1感染者の数が多いだけでなく、感染者の割合が高いことには以外に驚かれる人も多いでしょう。

感染者は九州に多い?

HTLV-1の感染者が九州に多いのは事実です。正確には「これまでは九州にHTLV-1の感染者が多かった」のです。感染地域について見てみますと、1990年〜2000年くらいまでは、かなり九州に多く「他の地域の5〜6倍」という高い感染者数を占めていました。しかし2010年以降、九州は減少し、関東や中部地方での増加傾向が見られます。それでも依然として「沖縄、鹿児島、長崎、高知」は世界的にも感染率が高い地域。同じくHTLV-1の感染者が多い「中南米、中東、アフリカ」などの地区と肩を並べます。最近では都市部の感染率が高いことも注目すべき点と言えるでしょう。いずれにしましても、関東や中部地方での増加傾向が見られる以上、九州の皆さんはもちろんのこと、それ以外の地域にお住まいの皆さんもHTLV-1感染している可能性は決してゼロではありません。

HTLV-1ウイルスに感染するとどうなるの?

628442848

Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2

95%は病気にならない

「HTLV-1に感染したらどうなっちゃうの?」…そんな心配される人も多いことでしょう。しかし、感染しても特別な症状も出ませんし、先ほどもご紹介したように、約95%は生涯に渡り病気を発症する事はありません。それ以外の約5%の人は、かなり長い期間をかけてが成人T細胞白血病リンパ腫などにかかります。確かに、HTLV-1に1度感染すれば「HTLV-1キャリア」となり、ウィルスが終生存在することになりますが、大半の人は症状が出ることなく、ただ保有し続けるだけということになります。

発症する可能性のある病気

HTLV-1感染者のごく一部にしか発症しないとは言え「感染して起こりうる疾患」については正しい理解が必要です。具体的には発症する可能性のある病気を以下にご紹介します。

■成人T細胞白血病リンパ腫(ATL) 成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は感染者の約5%が発症する代表的な疾患と言えます。免疫を司るリンパ球が癌化したものですから、免疫低下を招き重症感染症に陥ったり、病型によっては急激に悪化するものもあるので注意が必要です。しかし近年抗癌剤の進歩や骨髄移植などにより治療成績は向上しています。成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)は、一般的に「発症までには約40年以上の年月を要する」と言われています。平均の発症年齢は約67歳で、男性は女性の3〜4倍多いです。さらに、40歳以上のキャリアからの発症は「1000人に1人」などと言われています。

■HTLV-1関連脊髄症(HAM) 次にHTLV-1関連脊髄症(HAM)ですがウィルスが脊髄内に侵入し慢性炎症により脊髄神経が侵され下肢の麻痺や排尿障害などが徐々に起き進行性疾患と言われています。30〜50歳に好発し、一年間で約3万人に一人の割合で発症します。

■HTLV-1関連ぶどう膜炎(HU) HTLV-1関連ぶどう膜炎(HU)は、ウィルスが眼のぶどう膜に慢性炎症を作り発症します。すでにご紹介したHTLV-1関連脊髄症(HAM)と合併することもあります。症状としては、飛蚊症、霧視、充血、視力低下を招き、再発しやすいと言われていますが、ステロイドの点眼薬などで割合予後は良好です。キャリアの約0.1%程度発症し、女性は男性の約2倍高いと分かっています。いずれの疾患もどのキャリアから発症するかなど詳しい事は解明されていません。

感染していたら妊娠・出産はできないの?

それではもしHTLV-1に感染している事が判明したら、妊娠や出産は出来ないのでしょうか。まずはパートナーと良く話し合い、それでも子供を望むというお互いの意思確認をしっかりとする事です。その上で決して誤解のないようにHTLV-1感染症に対して正しく相互理解をし決してぶれない強い信頼関係を構築する事が一番大切です。HTLV-1に感染していても妊娠自体には影響がない事、産まれてくる赤ちゃんに奇形性が高まったりその後に異常が出る事は無い事などを再確認する必要があります。従って妊娠や出産は十分に可能です。

HTLV-1ウイルスの予防法

142094124

Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2

赤ちゃんへの感染を防ぐ

ママがHTLV-1キャリアである場合、どのような感染予防が考えられるでしょうか。まず、主な3つの感染経路を以下に確認しましょう。

・母子感染…母乳を介した感染です ・性行為による感染…パートナーとの性行為を通じた感染です ・血液感染…感染者からの輸血など血液を介した感染です

以上の中でも、感染原因として1番多いのは「母子感染」です。最近は、HTLV-1感染の原因の大半は「母乳を介しての感染」とも言われています。したがって妊婦の方は、出産前に検査してHTLV-1キャリアと分かれば適切な対策を講じて母子感染を予防しなくてはいけません。具体的なメカニズムとしては、母乳中に含まれるHTLV-1に感染したリンパ球が赤ちゃんの体内に入る事によって起こります。感染した母親から生後4ヶ月以上母乳を継続した場合は赤ちゃんの約20%が感染します。 さて、具体的な対策としては以下の3つが挙げられるでしょう。

・全て人工乳にする ・母乳を与える期間を3ヶ月以内にして以降を人工乳にする ・一度凍結した母乳を与える

例えば、HTLV-1キャリアのママが4ヶ月以上母乳を与えると、約20%の赤ちゃんに感染します。しかし、人工乳に替えれば、その確率は6〜8分の1に軽減出来ます。しかしながら、最初から母乳にせず人工乳にして育てても、約3%は感染してしまう計算になりますので「完全に感染を防ぐ手立てはない」ということになります。これらの対策で感染の確率はかなり低下させることが期待できますが、完全ではないということですね。ちなみに、凍結した母乳の場合も、感染確率を約3%以下に抑制出来ることが分かっています。このようなポイントを念頭に置きつつ、母乳のメリットも考慮し、主治医の先生を交え、家族の意向と照らし合わせながら、ベストな方法を慎重に決定する必要があります。

パートナーからの感染を防ぐ

HTLV-1は性行為でも感染します。特に性行為を長きに渡り続けているような夫婦間での感染が多いと言われています。性行為によるパートナーからの感染は、男性の精液中に含まれるHTLV-1に感染したリンパ球が原因とされています。実際は夫婦間での感染率などの詳しいデータはありませんが、通常は性行為による感染はコンドームの使用で予防出来るとされています。補足として、ごくわずかではありますが、HAMやHUは報告されていますが、夫婦間で感染しても成人してからの感染でATLの発症の報告はありません。

HTLV-1ウイルスの検査

614517006

Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2

妊婦健診の標準メニューに加えられました

厚生労働省は平成23年度より「HTLV-1抗体検査を妊婦健診において標準的検査項目に追加する」と発表されました。つまり、妊婦の皆さんがHTLV-1キャリアかどうか、あらかじめ検査することができます。そして、もしもキャリアだと判明した場合には、出来るだけ早期に予防・対策を講じることで、母親からの赤ちゃんへの感染を可能な限り防ぐことが期待できます。すでにご紹介したように、赤ちゃんへの主な感染の原因は「母乳」です。したがって、主治医の先生や家族と話し合い、新生児の栄養対策をどうするかについて考える必要があるのです。これにより、赤ちゃんへの感染率を極めて低く出来る可能性が生まれますし、HTLV-1感染しなければもちろん、ATLをはじめとした疾患の発症を防ぐことが出来ます。この抗体検査は、妊娠約30週頃までに受けることが推奨されています。費用はもちろん原則公費負担で無料です。

まとめ

妊娠を考えている女性などは特に「私だけは大丈夫」と考えずに、検査を受けることをおすすめします。妊婦さんについては、妊婦健診の際にHTLV-1抗体検査を公費(無料)で受けることが可能ですから、忘れずに検査してください。万が一、HTLV-1ウィルスに感染していても、95%は病気にかかることがありません。したがって「心配しすぎず、しかし油断しすぎず」を基本に、検査・対処を実施することが望ましいでしょう。


関連記事


情報提供元:マイナビウーマン子育て

更新日:2017年7月12日


0

michillライターさんの励みになります

お友だち追加で最新のコスメ、ビューティー、ファッション情報などを専門家が毎日お届けします!

友だち追加 キャンペーン情報もお知らせ!
この記事に投票する

回答せずに結果を見る

よく読まれています

SNSでも新着記事をお知らせしていますmichill 公式アカウント

ログイン・無料会員登録