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シェアハウス、ソーシャルアパートメント、DIY可能物件、クリエイタープロデュース型物件など、いまは賃貸物件もバリエーション豊か。個々のライフスタイルにあった物件を選択できるようになった。そんな中、賃貸物件の新たな形を提案しているのが「カスタムアパートメント」だ。敷金礼金なしで家具・家電が借り放題。空間をシェアするシェアハウスとは違う、“モノをシェア”する新しい暮らしとはどのようなものだろうか。
カスタムアパートメントとは?
JR・小田急線の登戸駅から徒歩3分。多摩川の土手沿いにある3階建の新築の建物が「カスタムアパートメント多摩川」だ。駅近で新築、2・3階の住居部分からは多摩川が一望できるという、聞いただけで気になる物件。部屋は全室バス・トイレ・ミニキッチンの1Rタイプ。さらに、冷蔵庫・洗濯機・シングルベッド・デスクや収納になるシェルフが付いているので、コンパクトな荷物で新生活をスタートすることができる。
50種類以上の家具や家電が借り放題!何といっても、この物件の最大の魅力は、50種類以上の家具や家電が借り放題という家具・家電のサブスクリプションサービスが付帯されていることだろう。レンタルできる家具・家電は、ダイソンの掃除機、LEDプロジェクター、BoseのBluetoothスピーカー、Play Station VR、バルミューダのトースター、シェルフ、スツール、テーブルなど、デザインや機能性に優れた幅広いアイテムがラインナップされている。レンタル方法も、住民専用サイトで商品・日時を指定して予約するだけなのでとても簡単。一人暮らしにはちょっと高価なアイテムを日常で気軽に使うことができるのがうれしい。家具・家電のサブスクリプションサービスが付いている分家賃は相場より少し高めだが、最新の家具・家電を購入することなく使いたいときに気軽にレンタルできる環境は、日々の生活をより豊かにしてくれそうだ。
リビング代わりとなる、管理員のいるカフェ予約したアイテムをレンタルする場所であり、この物件のリビング的な場所となるのが1階にあるリビングショップ。ここでは、カフェやレストラン開業を目指す人が地域の住民に向けた実験店舗を経営している。2019年4月からは、「リビングショップ 旅カフェ SHANTI店」がオープン。日中はカフェ、夜はバーとして利用できるこのお店では、ネパールで修行した店長によるカレーや世界のビール、コーヒーなどを楽しめる。
「リビングショップ 旅カフェ SHANTI店」のスタッフ・千丈さんは、この物件の管理員でありカスタムアパートメントの住人でもある。千丈さんも他の入居者もこの4月から新生活をスタートさせたばかり。新社会人、新大学生が多いそう。
「僕もこのカスタムアパートメントに住んでいるのですが、冷蔵庫や洗濯機、ベッドまでついているのがありがたいですよね。レンタルできる家具・家電もいいものがそろっています。“ちょっといいもの”“使ってみたかったもの”を試すことができると、生活がグッと明るくなりますよね。また、いいものの効果を実感すると、今後の人生で“安物買いの銭失い”をしなくなるのではと思います(笑)。家電などを購入する必要がないので、引越しも車1台に収まるくらいの荷物でできました」
千丈さんが一番魅力を感じているのが、このカスタムアパートメントの在り方だという。モデルは“昔の長屋暮らし”なのだとか。
「今のシェアハウスの主流は、空間をシェアするシェアハウスですよね。でも、カスタムアパートメントは、個人の生活が自分の部屋で完結するワンルームのアパートに加えて、モノだけをシェアする。その中継地点となるのがこのリビングカフェというイメージなんです。隣人の顔が見える一人暮らしってなかなかないじゃないですか。新しい暮らし方の実行役になれたらいいなと思います」
都市ではなかなか感じることのできない、隣の人の顔が見える暮らし。その魅力について、千丈さんはこう続ける。
「僕は東京出身なんですけど、ここに引越すまでの1年はたまたま仕事の関係で地方を転々としていて。それで分かったことがあるんです。地方では生活する地域で働いている人が多いため、働いているときも暮らしているときも人の顔が見えるということ。一方東京は、東京で働いていても暮らす場所は別の地域だったりするし、生活する時間帯も違うから、人がたくさんいるのにすぐ近くにいる人は知らない人だったりします。当たり前のことなんですけど、ずっと住んでいるとなかなかそれに気づかない。地方だといつも誰かに見られているように感じる人もいるかもしれませんが、東京にずっと住んでいた僕からすると、いつもそばに知っている人がいることってすごく安心するんですよね。それは、東京に欠けているような部分だとも思うんです。
この カスタムアパートメントの取り組みは、近くの人と顔を合わせることができる。“あそこに行けば誰かがいる”という安心感って大事じゃないですか。リビングカフェでも、日常的に使うモノの貸し借りを通して、人とのつながりを感じてもらいたいです。そういう安心できる場所があるだけで孤独じゃなくなるし、ライフスタイルは変わると思うんですよね」
「地域コミュニティを担う場を目指したい」また、カスタムアパートメントの住民だけではなく、近隣の住民やお店の常連さんにも優しい場所をつくりたいと語る千丈さん。
「ここは多摩川沿いで、ランニングや散歩をする人が多い場所。ご近所さんにお散歩途中に気軽に立ち寄ってもらったり、地域の人がわいわいできる場として活用してもらえるようにしていきたいですね。また、今後は地域の人もここのレンタルアイテムを借りられる制度をつくってもいいかもしれません」
ミニマリストやアドレスホッパーなど、モノを持たない新しい生き方が提案されている昨今。カスタムアパートメントは、モノを介して生まれるコミュニティ、いまの時代に必要なちょうどいいつながりの豊かさを感じられる場所になりそうだ。まだ始まったばかりのカスタムアパートメントの取り組みに今後も注目したい。
●取材協力この記事のライター
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