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台所道具店とキッチンが一体となった土切敬子さんの一軒家 その道のプロ、こだわりの住まい[7]

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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台所道具店とキッチンが一体となった土切敬子さんの一軒家 その道のプロのこだわりの住まい[7]

井の頭公園近くの住宅街にある「だいどこ道具ツチキリ」は、店主の土切敬子さん一家が暮らす自宅でもある。1階を改装して一部を店舗にしていて、すぐ横にはキッチンとダイニングがあるというつくり。キッチンは、商品の使い心地を確かめながら、日々の食事をつくる場所。また、ダイニングは、商品を包んだり会計をしたりすることもあれば、毎日のご飯を食べるスペースでもある。仕事柄、決して物が少ないわけではないが、きちんと整理されて動きやすい空間になっている。それは、長年培ってきた道具を選ぶ目があってこそ。その秘訣を教えてもらった。【連載】その道のプロ、こだわりの住まい
料理家、インテリアショップやコーヒーショップのスタッフ……何かの道を追求し、私たちに提案してくれるいわば「プロ」たちは、普段どんな暮らしを送っているのだろう。プロならではの住まいの工夫やこだわりを伺った。店のすぐ隣にある生活の場所

土切さんの冷蔵庫には、タイマーが4つも貼り付けてある。ガス台の下の収納には、たくさんの鍋やフライパンが置かれていて、ツール立てには、さまざまな形状のおたまや菜箸、トングなどの調理道具がある。
「自分で使い勝手を試しているから、同じ道具が増えてしまって。でも、使いやすい重さや長さかどうかはもちろん、台所で目にして気持ちのいいデザインかどうか、確かめているものもあるし、気に入って使い続けているものもあるんです。どうにかしたいけれど、こればっかりは仕方ないですね。楽しいんですよ」と笑いながら教えてくれる。
土切さんが営むのは台所道具を専門とした店。主婦として日々の食事をつくりながら、ひとつひとつの道具の使い勝手を確かめ、合格と思えたものを店に並べている。キッチンは、店のすぐ横にあって、店に訪れたお客さんもまた、そこで実際に使い込んだ道具を目にしたり、試しに使ったりもできるという。

扉を開けた先が店としてのスペース。左手にダイニング、さらに左奥にキッチンがあり、柱と段差で緩やかに区切っている(写真撮影/嶋崎征弘)

扉を開けた先が店としてのスペース。左手にダイニング、さらに左奥にキッチンがあり、柱と段差で緩やかに区切っている(写真撮影/嶋崎征弘)

「家で使う道具も、店に並べる道具も、使い勝手がいいことはもちろん、毎日目にして嫌にならない、すっきりしたデザインのものを選んでいます」と土切さん(写真撮影/嶋崎征弘)

「家で使う道具も、店に並べる道具も、使い勝手がいいことはもちろん、毎日目にして嫌にならない、すっきりしたデザインのものを選んでいます」と土切さん(写真撮影/嶋崎征弘)

二度のリフォームで一軒家を住居兼店に

お店のスペースは、以前はリビングだった場所だ。この一軒家は2003年に購入した中古住宅。購入後にすぐリフォームをして、天井を抜いて広さを感じさせるようにしたり、使いやすい大きさのキッチンスペースを確保したりと暮らしやすく整えていた。
もともと土切さんは、デザイナーとしてテキスタイル業界や紅茶店などで働きながら、家事を切り盛りしていた。娘が成長して手が離れ、仕事を辞めて自宅でできることはないかと考えるようになったという。そして、もともと好きだった台所道具を扱う店をやりたいと考え、2016年に1階の一部をリフォームをして翌年にオープンしたというわけだ。

築23年だった一軒家を、購入時にまずは左の状態にリフォーム。店舗を構えるため、2016年に再度一部を右の状態にリフォームした

築23年だった一軒家を、購入時にまずは左の状態にリフォーム。店舗を構えるため、2016年に再度一部を右の状態にリフォームした

キッチンは、最初のリフォーム時からそれほど変化はしていないという。大きなシンクとステンレス製の調理台があって、料理も掃除もしやすいつくりになっている。「本当はガス台横のオーブンを置いているスペースもステンレス製にしたかったけれど、予算を考えて断念したんです。もともと使っていた木製の棚を組み込んでさらに大きな天板を乗せたらこれはこれでいいかな、と」
木製の棚は使いやすい高さにカットし、棚板の間隔も調整して、鍋や大皿を収納している。下にはワイン箱に手を加えた収納ケースもあり、食材や日用品のストックを入れていて収納力は抜群だ。

ガス台の横にある棚は高さをカットしてオーブンの使いやすい高さに。窓にも木製棚を取り付けて収納スペースに(写真撮影/嶋崎征弘)

ガス台の横にある棚は高さをカットしてオーブンの使いやすい高さに。窓にも木製棚を取り付けて収納スペースに(写真撮影/嶋崎征弘)

重さのある鍋類は、出し入れしやすいようスライド式の棚板に。リフォーム時に伝えてつくってもらったもの(写真撮影/嶋崎征弘)

重さのある鍋類は、出し入れしやすいようスライド式の棚板に。リフォーム時に伝えてつくってもらったもの(写真撮影/嶋崎征弘)

毎日使う道具も、試す商品もあるキッチン

たくさんの道具がしっかりと収まるように工夫されたキッチンは、窓から奥まった場所にあるにもかかわらず、明るい。ここには天窓が設置されているからだ。そこから光が差し込んでキッチン全体を明るくしているうえに、さらには道具にとってもいい環境を生み出している。

「ちょうど光の当たる場所に、せいろやざるなどを掛けるようにしました。しっかり乾かしたい道具の定位置にしているんです」

天然素材のものは、手にもほかの道具にもあたりがやわらかい。とはいえ、洗った後には水分を蒸発させなければカビの元になってしまう。風通しが良く、光の当たる場所が定位置なら安心というわけだ。

天窓からの光が当たる収納棚の横を、せいろやざる、カッティングボードなどの定位置に。乾かしやすく、取り出しやすい状態(写真撮影/嶋崎征弘)

天窓からの光が当たる収納棚の横を、せいろやざる、カッティングボードなどの定位置に。乾かしやすく、取り出しやすい状態(写真撮影/嶋崎征弘)

調理台の上に並ぶ調味料入れは、店で扱っている商品でもあり、かねてから愛用しているというアウトドア商品だ。「中身が見えてすぐ手に取れるし、アウトドアで使うためのものだから、軽いうえに密閉性も高い。出しっ放しになるものだからできるだけシンプルなデザインもいいですよね。口が広くて洗いやすいのも主婦にとってはありがたいし」と教えてくれる。その言葉には、一人の使い手としての視点をもって選んでいることがしっかり伝わってくる。「今はこっちの鍋を試しているところ。パッと持った感じは軽くていいなと思っているけれど、使い続けているうちに不便なところが出てこないか検証中」と話す。

透明のボトルは「ナルゲン」のキッチンキャニスター。「プラスチックの匂いもしないし、冷凍も煮沸もできるんですよ」。土切さんは焙煎麦と小豆を入れている(写真撮影/嶋崎征弘)

透明のボトルは「ナルゲン」のキッチンキャニスター。「プラスチックの匂いもしないし、冷凍も煮沸もできるんですよ」。土切さんは焙煎麦と小豆を入れている(写真撮影/嶋崎征弘)

使い続けたらどう変化していく道具なのか。液だれせずに使える調味料入れなのか。鍋を重ねたら収納スペースはどれくらい必要なのか。実際に使うとなったときに湧き出る疑問の答えが、土切さんのキッチンには詰まっている。
ただ、あえてオープンにしているからこその悩みもあるだろう。

「キッチンもダイニングも家族が使う場所です。オープンしたばかりのころは、お客さんがいるときに飲み物を取りに来るのにも躊躇していました。私もお昼ご飯をどこで食べたらいいのかむずかしかったりして。でも、お互いに少しずつ慣れてきたし、解決法をいろいろ試しながら、なんとかなっています」

キッチンの奥にある洗面所。白いタイルと大きな洗面で海外のような雰囲気。掃除用のスポンジやクロスなどを試して使っている(写真撮影/嶋崎征弘)

キッチンの奥にある洗面所。白いタイルと大きな洗面で海外のような雰囲気。掃除用のスポンジやクロスなどを試して使っている(写真撮影/嶋崎征弘)

経験に基づいて選んだ台所道具

お店スペースは、住居スペースよりも一段低くなっていて段差がある。お客さんがそこに腰掛けてゆっくり話すことができ、昔の商店のような雰囲気だ。すぐ目の前がキッチンだから、土切さん自身が使い込んだ商品を持ってきて、どういう状態になるか見せることもできる。もちろん、希望すればキッチンに入って実際に使うこともできるというおおらかさにびっくりする。
「場所柄お子さん連れのお母さんも多いので、ここに絵本も置いておくようにしました。子どもが退屈しないでいられれば、ゆっくり見られるかなと思って」と、さすがの気配りもある。

オープン時から少しずつ棚が増えて、商品も幅広くなってきた。企画展やイベントを行うことも多い(写真撮影/嶋崎征弘)

オープン時から少しずつ棚が増えて、商品も幅広くなってきた。企画展やイベントを行うことも多い(写真撮影/嶋崎征弘)

取材時、新しい鍋を買おうかと悩むスタッフに、土切さんは雪平鍋について教えてくれた。
一般的に雪平鍋としての定番は、アルミの打ち出しのものが多い。しかし、見せてくれたのは、さらに内側にテフロン加工を施したものだった。

「こびりつきにくいし、手入れが楽なんです。野菜をさっと炒めてそのまま煮込んだりできて使いやすいし、持ち手が熱くなりにくい構造なのもいい。容量目盛りもあるし。それに出しっぱなしでも嫌じゃないすっきりしたデザインなのもいいですよ」

さらにもう一種類を取り出して説明は続く。

「これは、ステンレス製の多重構造のタイプ。アルミよりもちょっと重くなるけれど、保温性は高いから、じっくり煮込む料理には向いていますよね。これはこれですごくおすすめ。どんな料理をつくりたいかで選べばいいと思いますよ」

どちらも蓋のない鍋だが、横にはセットのように蓋が並んでいる。土切さんがサイズもデザインもぴったり合うものを探した。自身が使ってみて、あったほうが便利だと思ってのことだ。

鍋一つとってみても、土切さんの言葉にはリアリティがある。生活のなかで実際に使い、それぞれのメリットだけでなくデメリットも確認したうえで教えてくれる。使い手と売り手、二つの視点を大切にして道具と向き合っていることが伝わってきた。

土切さん自身も愛用している片手鍋。商品にはどれも実体験に基づいた丁寧な解説が書かれていて分かりやすい(写真撮影/嶋崎征弘)

土切さん自身も愛用している片手鍋。商品にはどれも実体験に基づいた丁寧な解説が書かれていて分かりやすい(写真撮影/嶋崎征弘)

「これで目玉焼きをつくるとおいしいし、スルンと取れて気持ちいい!」と教えてくれたエッグベーカー。卵以外にちょっとした野菜を蒸したりできて便利(写真撮影/嶋崎征弘)

「これで目玉焼きをつくるとおいしいし、スルンと取れて気持ちいい!」と教えてくれたエッグベーカー。卵以外にちょっとした野菜を蒸したりできて便利(写真撮影/嶋崎征弘)

変化していく、家と店ダイニングにある食器棚には、海外で買い付けてきたものなどこれから店に置く予定の商品がスタンバイしている(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニングにある食器棚には、海外で買い付けてきたものなどこれから店に置く予定の商品がスタンバイしている(写真撮影/嶋崎征弘)

店とキッチンが隣り合っていることで、夏には冷たい麦茶をお客さんに出せることもあるし、冬にはストーブに置かれた鍋からおでんのいい匂いに満たされることもある。土切さんのキッチンは、道具を試す場所でもあり、毎日のご飯をつくる場所。それがお客さんにもきっと伝わるに違いない。
最近、キッチンに小ぶりのダイニングテーブルが導入された。お店からは見えないので気兼ねなくお昼を食べることができるし、家族も使いやすいスペースになってきたという。店の棚は少しずつ増えてきて、土切さんが紹介したい商品も、試していきたい道具もまだまだたくさんありそうだ。

ダイニング側から見たキッチン。カウンターの下も収納になっていて、普段の食事に使う食器が並んでいる(写真撮影/嶋崎征弘)

ダイニング側から見たキッチン。カウンターの下も収納になっていて、普段の食事に使う食器が並んでいる(写真撮影/嶋崎征弘)

●取材協力
土切敬子
テキスタイルの企画デザインや紅茶店でのデザイン、アートディレクションの仕事を経て、2017年に自身の店「だいどこ道具 ツチキリ」をオープン。確かな道具選びの目と暮らしぶりが注目され、さまざまな媒体で紹介されている。●店舗情報
だいどこ道具 ツチキリ
三鷹市井の頭5-2-28
0422-46-8759
11:00~18:00
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この記事のライター

SUUMO

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