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最近よく聞くIoT(※)という言葉。これからの暮らしを便利にしてくれる技術だと言われているが、具体的にどう便利になるのか、ニュースを見たり聞いたりしただけでは今ひとつ分かりにくい。そこでIoTのある生活を体験できる、東京・上野のホステルで体験してみた。
※IoT/インターネット・オブ・シングス(モノのインターネット)の略。家電や設備がインターネットにつながることで従来にないサービスを可能にすること
IoT空間を体験できる「& AND HOSTEL(アンドホステル)」。プロデュースしている「and factory」はスマートフォンのアプリ開発などを手がけるIT企業だ。「スマートフォンで人々の生活に「+」を届けるというのが会社のビジョンです。誰かの生活を変えるような新しい価値を届けたいと思っています」と同社の茶置(ちゃおき)貴秀さん。
「& AND HOSTEL」は、スマートフォンと「不動産」を組み合わせることでどんな価値が生まれるか? から誕生した。2016年8月に福岡店、次いで2017年4月に浅草北店、そして2017年5月に今回取材した上野店が開業した。いずれもIoTのある暮らしを体験できる部屋が用意されていて、「ちょっと先にある未来を体験してもらうことが、私たちの提供する新しい価値です」と茶置さん。
HOSTELの名のとおり簡易宿泊型施設で、個室もあれば二段ベッドで多人数と一緒に泊まる部屋もある。全12室ある上野店でIoTのある暮らしを体験できるのは2部屋。早速その一つに潜入! といきなり部屋のドアの前でスマートフォンを取り出す茶置さん。アプリのボタンを押すと、従来のように鍵を挿すことなくドアロックが解除された。「同時に部屋の照明がつきます」(茶置さん・以下同)
中に入ると……見た目はフツーだ。普通のホテルの部屋だ。
ちょっとテレビが大きいかなと思っていると、いきなりそのテレビがついた。エアコンも動き出した。「従来ですと家電ごとにリモコンを操作しなければなりませんでしたが、この部屋では独自開発したスマートフォンのアプリ『&IoT Platform』ですべて操作できます」
スマートだ。特に初めて入った部屋ではどのリモコンが何を動かすのかすぐには分からないが、ここではすべて「&IoT Platform」アプリだけでドアの開け閉めや照明、テレビ、エアコンに空気清浄機といったさまざまなデバイスがスマートに操作できる。
寝るときは「ナイトモード」ボタンを押すと、ドアが施錠され、カーテンが閉じて、照明は薄暗くなり、エアコンは超微風の快眠モードに。逆に「アラームボタン」で時刻を設定すれば、その時刻に照明が明るくなり、カーテンが開き、テレビがつく。
【動画1】ナイトモードのボタンを押すと、ドアがロックされ、照明が落ちる。このようにボタン操作一つで異なるメーカーの家電や設備が連動して動くのは&IoT Platform の魅力だ(動画撮影/SUUMOジャーナル編集部)確かに最近ではスマートフォンで動かせる家電もある。しかしテレビ用のアプリを立ち上げて操作し、次にエアコンのアプリを探して、今度は電灯だけどどれだっけ……ってリモコン操作のほうが早いじゃないか! となりがちだ。その点、1つのアプリですべて操作でき、しかも1つのボタンを押すだけで家電や設備が連動して作動するのはとてもスマートだ。
「メーカーによって家電や設備の制御システムが異なるため、一般の家庭でそれらを連動させるのはまだ難しいのが現状です。私たちは&IoTアプリの開発に際して各メーカーに依頼して制御システムを開示してもらい、&IoTアプリ上で操作・制御できるようにシステムを組んでいます」
異なるメーカーの家電や設備を連動して操作をする体験をできるのが「& AND HOSTEL」の大きな特徴。将来は家庭でも同様にできるようになることを期待したい。
未来体験がこれからのIoTのある暮らしを加速させるここ数年、IoT対応商品の開発に取り組むメーカーが増えている。しかしさまざまなことができるものの、「どんな機能があると便利と思ってもらえるか」「どんな風に使えると便利と思ってもらえるのか」を検証するために、ユーザーに体験してもらう機会があまりないと茶置さんは指摘する。そこで「& AND HOSTEL」では各メーカーに利用者の利用状況や要望をフィードバックして、製品の改良に活かしてもらっているという。
「& AND HOSTEL」は2017年12月~2018年1月に都内に2店舗オープンする予定。2018年3月までにさらに2店舗、合計で全国7店舗を目指している。
「上野店で使用している家電や設備は氷山の一角。まだまだIoTに対応したデバイスはたくさんありますし、今後も新デバイスが登場してくるでしょう。IoT化で提供できるサービスはそれらの組み合わせ次第で無限にあります」
そのため、各ホステルで特徴をもたせて今後も多様な「ちょっと先にある未来」を提供していくという。
スマートフォンで施錠・解錠できるドアや点灯・消灯や調光できる電灯など「モノのインターネット=IoT」という意味では、今すぐ自宅で体験できるものもある。しかしドアが開くと同時に家の照明がついて……という連動はまだまだ一般家庭では体験できない、ちょっと先にある未来。
その到来を待ちわびながら、まずは「& AND HOSTEL」であなたも体験し、自ら「こんな未来が欲しい!」とホステルにリクエストしみてはいかがだろう。それが未来を実現する近道になるのだから。
●取材協力この記事のライター
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