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【医師監修】統合失調症の向き合い方と治療法、完治はする?

目次

統合失調症と思われる症状で、家庭生活や社会生活に支障が起きていると感じてる方は、早期に医師の診察と治療を受けましょう。今回は、統合失調症との向き合い方と治療法をご紹介します。

この記事の監修ドクター

森若奈 先生 精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定産業医。精神単科病院、総合病院、クリニック、産業医等様々な場での経験を活かし、現在は予防医学や早期介入にも力を入れている。 女医+(じょいぷらす)所属。

統合失調症かも?と思ったら

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家庭生活・社会生活への支障

統合失調症の発生率は1%弱。つまり、100人に1人程度に発症すると考えられます。思春期〜30歳頃の発症が多く、国内では推計79.5万人の患者が治療を受けているとされます(*)。

そもそも統合失調症とは、脳の働きのまとまり(統合)がうまくいかなくなる精神疾患です。そのために様々な症状が出てきますが、中でも妄想や幻覚といった「陽性症状」が特徴的です。これらの症状のために、家庭生活・社会生活に支障が出るケースも少なくありません。これを「生活の障害」と言います。

また、統合失調症の方は自らの状態・病状に気が付くことが難しく、これが一層「生活の障害」(家庭生活や社会生活における支障)を深刻にするケースもあります。周囲から心配されているにも関わらず、患者がその気持ちに答えてくれなかったり、場合によっては周囲の方への不信感を強めるなどして、溝が深くなるケースもあります。このように自らの状態・病状に気が付きにくいことを「病識の障害」と言います。「生活の障害」「病識の障害」は共に、統合失調症の特徴と考えられています。

(*「みんなのメンタルヘルス総合サイト」厚生労働省 …「患者数」の項目を参照:2008年患者調査 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html)

専門医師による診察をおすすめ

「こころの病気」と聞くととらえどころがなく、治療が難しいようなイメージを受けるかもしれません。しかし、現在は研究が進み、有効な治療法も登場しています。そのため、できるだけ早く専門医による診察を受け適切な治療を始めることが、患者や家族の負担軽減につながります。

すでにご紹介したように、統合失調症の患者には自らの状態・病状に気が付くことが難しい「病識の障害」がある場合が多いです。それにより受診を拒否するケースも。病院に連れて行く際は、できるだけ無理強いせず、本人が納得したうえで受診するのが理想です。どうしても患者が応じてくれない場合は、精神保健福祉士や医師へ相談するようにしましょう。そうすれば、適切なアドバイスが受けられるほか、往診に来てくれることもあります。患者が応じてくれないからと、放置してしまう事は避けるべきです。できるだけ早期の診察が、統合失調症改善への第一歩です。

統合失調症の治療法

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抗精神病薬を使用

統合失調症の治療は「薬物療法」と「心理社会的な治療(精神療法やリハビリテーション)」のふたつが柱となります。

薬物療法でメインとなる薬が「抗精神病薬」です。抗精神病薬には「従来型抗精神病薬(定型抗精神病薬)」「新規抗精神病薬(非定型抗精神病薬)」のふたつがあります。「従来型抗精神病薬(定型抗精神病薬)」は、その名の通り、抗精神病薬の第一世代といったイメージです。主に陽性症状(妄想・幻覚など)に対する効果が期待できますが、それはドーパミンという神経伝達物質への作用によるものです。 一方、「新規抗精神病薬(非定型抗精神病薬)」は、陽性症状のみならず陰性症状に対する効果も期待できます。これはドーパミンだけでなく、セロトニンという神経伝達物質へ作用することによります。以下、新規抗精神病薬に期待できる効果を、詳しくご紹介します。

■陽性症状に対する効果 抗精神病作用により、統合失調症における陽性症状の改善が期待できます。具体的には、妄想・幻覚・自我障害などに対する効果が期待できます。

■陰性症状に対する効果 精神賦活作用により、統合失調症における陰性症状の改善が期待できます。具体的には、感情の平板化や意欲・興味の喪失などの障害に対する効果が期待できます。

■鎮静催眠の効果 衝動、不眠症状、興奮、不安などの軽減に効果が期待できます。

なお、現在の統合失調症における薬での治療は、1種類の新規抗精神病薬をメインに、その量や、他薬剤などの併用を検討することが多いです。大きな副作用を避けると同時に、無理のない服用を考えたうえで処方されます。

精神療法やリハビリテーション

精神療法やリハビリテーションは、統合失調症における「心理社会的な治療」です。薬物療法との併用により再発率の低下など、予後も順調であることが知られています。

先ほどの薬物療法が「機能修復」を主目的とする治療法であるならば、心理社会的な治療(精神療法やリハビリテーション)では「障害を受けなかった機能の向上やレベル低下の防止」と言えるでしょう。あるいは、より個別的な生活機能や、対人・社会スキルの回復を狙います。さらに、必要に応じて患者本人だけでなく家族も一緒に受けることを勧められます。以下、心理社会的な治療(精神療法やリハビリテーション)の具体例をご紹介します。

■心理教育 患者・家族に対して実施され、病気・治療・薬などの知識を身につけてもらうと共に、対処法や治療法、再発防止に役立てます。

■生活技能訓練 (SST=Social Skills Training)とも呼ばれる技能訓練方法です。認知行動療法に基づき、他者や社会とのコミュニケーションにおける問題に取り組み、その回復を目指します。

■作業療法 統合失調症が原因となり、持続性集中力などが低下している場合に、その回復を目指して実施されます。軽作業(料理、園芸などの作業)により、日常生活における作業能力の回復を目指します。

■デイケア 集団や対人に不安を抱える患者さんが、その回復を目指して利用します。市町村の福祉担当窓口ほか、受診中の医療機関にご相談ください。

休養と安静

統合失調症に限らず、「安静・休養」は、精神疾患の症状改善には不可欠といえます。できるだけ、気持ちが安定し、心が休まるような生活を目指しましょう。例えば、仕事を続けることがあまりにも辛い場合には、主治医の先生と相談し、休養を取ることも検討してみてはいかがでしょうか。無理をしない環境に心身を移すこともまた、統合失調症の重要な治療法のひとつと言えるでしょう。

生活レベルと完治について

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仕事はできるの?

統合失調症でも仕事ができるのか。これについては、かなり個人差があると考えられます。病気の経過の中でも特に「前兆期〜急性期」(様々な症状、もしくは前触れが出現し、幻覚や妄想などが現れる)については、仕事の継続が難しい人もいるかと思います。ただ、回復しているからといって、すぐに本調子で仕事をしよう(させよう)とするのも考えものです。

例えば、活動や意欲の減退・低下が見られる「陰性症状」については、改善しにくい場合もあります。「ただゴロゴロしているだけ」に見えても、本人は辛い思いをし、戦っている可能性も十分にあるのです。また症状が安定期に入っても、再発の可能性もあり、さらには残った障害のせいで仕事の継続が困難なケースもあります。とはいえ、薬の進歩などもあり従来に比べれば予後が良好であることは多いです。いずれ、万全な状態での社会復帰を果たすためにも、早期診察・早期治療が望まれます。

完治はするの?

現在、統合失調症は高い治療効果が期待できる病気といえます。既往歴がない初発患者のおよそ50%は「完全で長期の回復」が期待できるようになったとされます。(*)そのような意味でも、できるだけ早く専門医による診察を受け、適切な治療を始めることが大切です。

(*「みんなのメンタルヘルス総合サイト」厚生労働省 …「統合失調症とは」の項目を参照:WHO 2001 http://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_into.html)

家族や周囲との付き合い方

統合失調症の改善には、家族や周囲の人々の存在が不可欠です。患者本人の状態を、常に客観的に見守ってくれます。ただし、家族や周囲の人々が患者の状態や、考えていること、想いなどを必ずしも全て理解できるわけではありません。そんな時に重要な存在となるのが医師です。治療方針を定め、患者本人と家族や周囲の人々をつなぐ存在でもあります。

医師と患者も人間同士なので、どうしても「合う」「合わない」と感じることがあるでしょう。しかし、ちょっとしたことですぐに主治医を変えてしまうのは望ましくありません。時間やお金の浪費になるだけでなく、統合失調症の治癒を遅らせる可能性もあるからです。気になる点は、細かい事でも相談・質問するようにしましょう。必要に応じてセカンドオピニオンも選択し、そちらの医師にも相談するとよいでしょう。

まとめ

統合失調症は、早期診断・早期治療によって、完治に近い状態へ持っていったり、あるいは、重症化を防ぐことも期待できます。「統合失調症かも?」と気になる症状があれば、念のため病院に行ってみると良いでしょう。また、家族や周囲の人で様子がおかしいと感じられれば、早期の受診へとつながるように導いてあげてください。受診に応じない場合は、精神保健福祉士や医師へ相談しましょう。いずれにしても、統合失調症の治療では「自分を追い詰めず」「患者を追い詰めず(急かさず)」のスタンスが大切。気長に改善を目指しましょう。


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この記事の著者

マイナビウーマン子育て

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