アプリでmichillが
もっと便利に

無料ダウンロード
ログイン・会員登録すると好きな記事をお気に入り登録できます

憧れの“田舎暮らし”実現を自治体も後押し。「お試し移住」体験者に聞いてみた

/

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

他のおすすめ記事を読む
この付録ローソンさんにしかないって…反則でしょ!大人がガンガン使える!高機能黒バッグ
憧れの“田舎暮らし”実現を自治体も後押し。「お試し移住」体験者に聞いてみた

田舎暮らしに憧れはあっても、なかなか一歩を踏み出せない。そんな人におすすめしたいのが、リーズナブルな滞在費で一定期間住みたい地域に暮らしてみることができる「お試し移住」。全国的な広がりを見せているこの取り組みについて、今回は、特にお試し移住が盛んだという北海道と近年移住者が倍増しているという静岡県の事例を見ながら、その実態に迫ってみたい。
就業体験つきで宿泊費が無料の場合も! プランはさまざま

「お試し移住」「ちょっと暮らし」などと呼ばれ、行政やNPOが手がける移住体験住宅が全国にあることをご存じだろうか。なかでも北海道は、人口減少に歯止めをかけるための移住促進事業をはじめた十数年前より、いち早くお試し移住の取り組みも行っていたことなどから、現在、道内各地でこの取り組みが広まっている地域だ。

1週間から1、2カ月ほどの利用ができ、利用料も一般住宅の賃料やホテルの宿泊費などより割安に抑えられているケースが多い。お試し移住の情報が掲載されているNPO法人「住んでみたい北海道推進会議」のホームページ「北海道で暮らそう!」では、約100市町村のお試し移住情報が掲載されており、幅広い移住体験のプログラムが用意されている。

この「住んでみたい北海道推進会議」が実施した「北海道移住体験モニター」へ応募し、筆者の住む北海道岩見沢市を訪れた夫婦がいる。2016年12月に8日間滞在した、大阪在住の熊田誠治さん、明子さん夫妻(ともに51歳)だ。このプログラムは、移住後、仕事を見つけるために役立つ介護や福祉、保育などにかかわる就業体験つきで、宿泊費無料、レンタカー貸与と支援体制が充実しているのが特徴だ。

【画像1】岩見沢のグループホームで就業体験を行った熊田夫妻(写真左奥)。明子さんが、臨床検査技師の資格を持っていることもあり、医療や福祉関係のプログラムを選んだと言う(画像提供/岩見沢市)

【画像1】岩見沢のグループホームで就業体験を行った熊田夫妻(写真左奥)。明子さんが、臨床検査技師の資格を持っていることもあり、医療や福祉関係のプログラムを選んだと言う(画像提供/岩見沢市)

なぜ岩見沢へ? お試し移住先を決めた夫妻の選択

「北海道移住体験モニター」には、旭川市や室蘭市など道内16市町が参加していたが、夫妻はなぜ岩見沢を選んだのだろう? 地元に住む筆者からすると、有名な観光名所や物産品があるわけでもなく、本州にはあまり馴染みのない地味な地域に感じられるのだが……。

「もともと空知エリア(札幌と旭川の間の内陸部)への移住を希望していました。特に南空知は札幌や千歳空港にも遠くないですし、すでに移住をした知り合いが住んでいるという縁もありました」(明子さん)

北海道に憧れがあり何度も旅をしたことがある夫妻が考えていた移住先は、秘境のような大自然に囲まれた場所よりも、仕事を見つけることができる“街”だったという。あるとき大阪で開催された「北海道暮らしフェア」で岩見沢のブースを訪ねたところ、マンションもあり、医療施設も充実していることを知り、自分たちの条件に合う場所だと思ったそうだ。

【画像2】岩見沢には複数の移住体験住宅があり、熊田夫妻が利用したのは栗沢クラインガルテン。(画像提供/岩見沢市)

【画像2】岩見沢には複数の移住体験住宅があり、熊田夫妻が利用したのは栗沢クラインガルテン。(画像提供/岩見沢市)

【画像3】札幌と旭川の間に位置する岩見沢市は、交通の要衝として発展した町で人口は約8万人。年間降雪量は約6.5メートルにもなるが、毎日のように道路の除雪作業が行われ、生活に支障をきたさない体制が整っている。(写真撮影/熊田誠治)

【画像3】札幌と旭川の間に位置する岩見沢市は、交通の要衝として発展した町で人口は約8万人。年間降雪量は約6.5メートルにもなるが、毎日のように道路の除雪作業が行われ、生活に支障をきたさない体制が整っている。(写真撮影/熊田誠治)

お試し移住したからこそ分かった、現地での体験とは?

熊田夫妻が、岩見沢で移住体験をしたのは昨年12月。岩見沢は北海道でも有数の豪雪地帯ということもあって、実際に滞在2日目には驚くほどの積雪があったそう。

「豪雪地帯だけれども除雪はしっかりされているとあらかじめ聞いていたので、予想を超えるほどの大変さは感じませんでした。ただ、札幌に出たときは路面がツルツルに凍結していて、歩くのがやっとという状態。最初にぼくたちが苦労するのはここだなと、行って初めて分かりましたね」(誠治さん)

このプログラムでは、午前中はグループホームで就業体験を行うが、午後はフリーの時間もあったため、札幌や旭川に行ったり、市内各地を訪ねたりしたという。
「岩見沢は交通の便が思った以上によく、札幌などの都市にもすぐに行けることが分かりました。それなのに、農村や山間部のほうに行くと、いい感じの田舎の景色もあって、すごくいい町でしたね」(明子さん)

こうした町の様子や除雪の状況などで好印象を持った熊田夫妻。滞在した栗沢クラインガルテンは、市民農園と別荘のように利用できる「ラウベ(滞在小屋)」のある施設。冬の利用者は少ないこともあり、誰の足跡もない一面の雪景色に感動し、朝に見ることができた樹氷に心を奪われたそうだ。

このように現地で生活をしたからこそ得られる体験によって、移住への気持ちがさらに高まったという夫妻だが、大阪での仕事や家庭の事情があり、すぐに動くという決断にはいたっていない。けれど、いつか北海道へ根を下ろしたいという夢は、この移住体験で確信に変わり、ずっと持ち続けているそうだ。

【画像4】宿泊したクラインガルテンの雪景色はすばらしかったという誠治さんは、この場所で数えきれないほどシャッターを切った。「夕方の4時頃の空の色が紫色に輝いていたのに感動しました」。(写真撮影/熊田誠治)

【画像4】宿泊したクラインガルテンの雪景色はすばらしかったという誠治さんは、この場所で数えきれないほどシャッターを切った。「夕方の4時頃の空の色が紫色に輝いていたのに感動しました」。(写真撮影/熊田誠治)

【画像5】明子さんが感激のあまり涙したという樹氷を撮影した1枚。早朝、キラキラと輝くダイヤモンドダストも見られたそう。(写真撮影/熊田誠治)

【画像5】明子さんが感激のあまり涙したという樹氷を撮影した1枚。早朝、キラキラと輝くダイヤモンドダストも見られたそう。(写真撮影/熊田誠治)

1日1000円で暮らしながら仕事探しも可能! 静岡県の「お試し移住」とは?

では、北海道に比べて、年間を通じて気候が穏やかな静岡県での「お試し移住」の状況はどのようなものだろうか? 昨年度の県外からの移住者数は787人で、前年度から2倍になったと県が発表したように、移住地としての注目度が年々高まっている地域だ。

全国約850地域と連携して地方暮らしを推進する「ふるさと回帰支援センター」(東京都有楽町)内にある、「ふじのくにに住みかえる」静岡県移住相談センターには、移住を検討する人々が連日訪れているという。相談員を務める宮嶋千恵美さんによると、年齢層で多いのは30~40代。そのため住まいを移すだけでなく、まず仕事を見つけることが移住の条件となる場合が多いそうだ。

静岡県で移住体験ができる施設は、ここ1年で各地に整備され始めている。静岡県公式移住・定住情報サイト「ゆとりすと静岡」には、お試し住宅一覧が掲載されており、1日1000円で利用できる築100年以上の古民家や、1日3800円で宿泊可能なゲストハウスなど、さまざまタイプの施設がある。

これらの施設の利用条件となっているのが、事前に相談員と面談をすること。単なる憧れではなく本気で移住を考える人に住宅を提供したいという考えがあるからだ。
「移住体験では、住宅に住むだけでなく、さまざまな行政のサポートが受けられるようになっています。商工会議所や産業の担い手とも提携しているので、暮らしながら仕事を探すことも可能です。ぜひアクティブにお試し住宅を使っていただきたいですね」(宮嶋さん)

【画像6】「ふじのくにに住みかえる」静岡県移住相談センターでは、二人の相談員が常駐。宮嶋千恵美さん(左)と橋本真理子さん(右)(画像提供/「ふじのくにに住みかえる」静岡県移住相談センター)

【画像6】「ふじのくにに住みかえる」静岡県移住相談センターでは、二人の相談員が常駐。宮嶋千恵美さん(左)と橋本真理子さん(右)(画像提供/「ふじのくにに住みかえる」静岡県移住相談センター)

【画像7】東伊豆にあるお試し住宅。築100年以上の古民家が、1日あたり1000円で利用できる(画像提供/東伊豆町)

【画像7】東伊豆にあるお試し住宅。築100年以上の古民家が、1日あたり1000円で利用できる(画像提供/東伊豆町)

移住へのステップにつなげる秘策は、お試し移住期間に何をするか

宮嶋さんがアクティブに移住体験住宅を活用した例としてあげてくれたのは、今年1月に東京から東伊豆町に移住して、パン屋を開いた下平秋夫さん(54歳)だ。パン屋を開きたいという目標をもっていた下平さんは、昨年9月の移住体験期間中に開業の足がかりをつくっていった。下平さんによると、移住体験をする以前からHPなどで店舗探しに着手していたそうだが、東伊豆に実際に滞在してみて、街の人と触れ合い、この地が気に入り、かつ役場・商工会等のサポートもあり物件の決断も加速したという。そして移住後の今年の2月、東伊豆に「米粉パン 稲虎」をオープンし、夢を実現したのだ。

下平さんのように夢を形にできる人には明らかに傾向があると、移住相談にくる何人もの人々を見てきた宮嶋さんは話す。「移住できるのは、なぜ移住をしたいのか、どういう生活をしたいのかが明確で、自ら行動に移すことができる方ですね」
もし仮に漠然と移住に憧れを抱く人が相談にきた場合、移住の具体的なビジョンをともにつくりあげていくよう心がけているという。

先に紹介した、岩見沢で移住体験をした熊田夫妻も、あえて冬の北海道を体験したことで、テレビや新聞などで見聞きしていた情報ではわからない豪雪地帯の暮らしのリアリティが得られたと語っているように、「お試し移住」は、移住後の暮らしをイメージするために欠かせない体験と言えそうだ。

都会を離れて田舎暮らしをしてみたいと考えている人は、気になる都道府県の移住相談窓口にまずアクセスしてみてはどうだろうか? 都道府県ごとの移住相談センターが設置された「ふるさと回帰支援センター」を利用したり、東京・大阪・名古屋などで開催される、移住フェアへ足を運べば、「お試し移住」の情報も入手可能だ。観光ではなく、暮らすという視点で地域を体験することが、夢の実現へとつながる大きな一歩となるにちがいない。

●取材協力
・岩見沢市
・NPO法人 住んでみたい北海道推進会議
・「ふじのくにに住みかえる」静岡県移住相談センター 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

【住まいに関する関連記事】



この記事のライター

SUUMO

ありがとうを贈るとライターさんの励みになります

トップへ戻る


ライフスタイルの人気ランキング

新着

カテゴリ

公式アカウント

ログイン・無料会員登録