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【医師監修】妊娠中の食欲vs体重管理 上手な付き合い方

目次

妊娠中は、食べられないのも、食べすぎるのも、体調や、体重のコントロールに影響するかもしれないと心配です。そのうえ妊娠前とは違う食欲のアップダウンに悩まされる妊婦さんも少なくありません。妊婦さんによくみられる食欲の変化の特徴と、食欲の波と上手に付き合う方法をまとめます。

この記事の執筆・監修ドクター 松峯美貴先生 医学博士、東峯婦人クリニック副院長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(ともに東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします!どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。 http://www.toho-clinic.or.jp/

妊娠すると食欲はどうなる?

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妊婦さんの食欲は、人によって個人差があるものの、妊娠時期によっていくらか特徴的な変化があります。その変化は、妊娠によるもので病的なものではありません。まず一般的な特徴を知っておきましょう。

食欲の波とうまく付き合おう

「食欲がひどく低下する時期」「無性に食欲が高まる時期」と波があることが多く、とくに次のような傾向があります。

・妊娠初期

吐き気や嘔吐など消化器系の不快症状を主とする「つわり」のために、食欲が著しく低下し、食べられない妊婦さんが多くみられます。

しかし、松峯先生は次のように話します。 「この時期の赤ちゃんはまだとても小さく、決して大量の栄養を必要としているわけではないので、初期のつわりで食事量が減ってしまうことにあまりストレスを感じなくても大丈夫です。著しい食欲低下は一過性の現象ですから、つわりの時期には食べられるものを、食べられる分だけ、無理せず食べましょう」。

たとえばご飯の匂いで吐き気が生じるなら、無理にご飯を食べなくてもよく、ゼリーでも、ジュースでも、口に入れられるものを食べてください。ただし、水でさえ飲んでももどしてしまうような場合や、体重が激減しているなど、入院治療が必要な場合もありますので、すぐにかかりつけの産科に相談しましょう。

また、それほどでなくても、食欲が低下している時期は「脱水症状を起こすリスクが高い」ので、くれぐれも気をつけることが大切です。

脱水症状のチェックは「水分を飲んだ量」ではなく「尿の様子」で行います。

「いつもより濃い尿が、すこししか出ない」と思ったら、すぐにかかりつけの産科に相談しましょう。このほか、口の中が渇く、汗の量が減る、皮膚の張りがなくなる、なども脱水による症状です。

妊婦健診では、問診と尿検査(尿中のケトン値)で脱水症状のチェックが行われる場合もあります。検査内容はかかりつけの産科によって違うので、脱水に限らず、何か心配なことがあったら、健診で主治医に相談してみましょう。

なお、後にご紹介する「分割食」は、食欲のない時期にある程度の食事量を確保するにも役立ちます。ぜひ参考に、無理なく、食事を楽しんでください。

・妊娠中期~後期

人によっては、妊娠中期に入ってつわりが治まってから、食欲が高まる場合が多くみられます。また、妊娠後期の中でも、赤ちゃんが下がって胃への圧迫が楽になるころになると、ついつい食べ過ぎてしまうことも。

たとえ、つわりの時期にあまり食べられなかった人も、食欲アップの波に乗じて食べすぎてしまうと、体重管理ができなくなってしまうので、要注意です。そのような場合におすすめしたいのが、「分割食」といって、満足感をあまり損なわずに適量の食事をとる食べ方です。

「妊婦は2人分食べなさい」は本当?

年配の人や、異文化で育った人などから、「赤ちゃんの分も食べなさい」といわれることがあるかもしれません。そんなときは母子の健康を気遣い、励ましてくれている気持ちだけ受け取っておきましょう。

妊娠さんの体と赤ちゃんの発育に「食べすぎ」はよくありません。バランスの取れた食生活をして、一定のペースで体重をアップしていきましょう。

1日にどれくらいのエネルギー量をとるべきかは、妊娠する前の体格や活動量によって違うため、主治医に聞き、それを目標値としましょう。

なお、妊娠によって1日に追加するエネルギー量は以下(表)が適当と考えられています。カロリーではわかりにくいので、食べ物でいうと50kcalの目安はバナナ1/2本、250kcalはごはん1膳(150g)、450kcalはクロワッサン2つ(@50g)程度になります[*1]。

平均的な活動レベルの女性の1日に必要なエネルギー量は2000kcal程度ですから、「2人分」も食べてしまったらひどく食べすぎになってしまうことが、この表の数値からもわかります[*2]。

妊婦の体重、増えすぎも増えなさすぎもNG

体重管理の目安

主治医から説明を受けたかと思いますが、出産するまでの体重管理の目標を再確認しておきましょう。体重管理の目標値は妊娠前の体格(BMI=ボディマス指数)によって違います[*3]。

・妊娠前BMI 18.5未満(やせ)の場合+9~12kg ・妊娠前BMI 18.5以上25.0未満(ふつう)の場合+7~12kg ・妊娠前BMI 25.0以上(肥満)の場合個別に主治医と相談して決めます(目安は+5kg程度)

体重が増えすぎると?

妊婦さんの体重が増えすぎると、妊婦さんは「過栄養」状態となりやすく、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、帝王切開分娩、巨大児(赤ちゃんの出生体重が4000g以上となること)など、お母さんと赤ちゃん両方に生じるリスクが高まります。

体重が増やせないと?

妊婦さんの体重が増やせないと、妊婦さんは「低栄養」状態となりやすく、妊娠・出産という女性の体にとって大変な体力を要するライフイベントで体にかかる負担が大きくなるだけでなく、赤ちゃんの発育遅延につながり、切迫早産(早産の危険性が高い状態)、早産(妊娠22週0日から妊娠36週6日までの出産)、低出生体重児(赤ちゃんの出生体重が2500g未満となること)のリスクが高まります。

妊娠中によくある胃腸のトラブル

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妊娠中期以降、「下部食道括約筋(かぶしょくどうかつやくきん)」のゆるみと、大きくなってきたお腹が胃を圧迫することによって「胃酸や胃の内容物の逆流」が起こることがあり、次のような症状が出ます。

・吐き気 ・胸焼け、喉焼け ・呑酸(どんさん:口や喉まで酸っぱい液がこみあげる感じ) ・嘔吐

「下部食道括約筋」とは食道と胃の境目にある筋肉で、これがゆるんでしまうのはホルモン分泌の影響なので、病的なことではないですが、胃酸や胃の内容物の逆流が繰り返し起こると「逆流性食道炎」という病気になり、産婦人科か、妊娠している旨を告げて消化器内科・胃腸科、または耳鼻咽喉科で治療が必要になります。

こうした逆流や、それに伴う吐き気・嘔吐などの症状は、妊娠中期以降の食欲が高まる時期に重なって起こることがあり、すると妊婦さんはつわりと同様につらく、体力を消耗し、大きなストレスになってしまいます。

そのような場合は、分割食で一度に食べる量を控えめにし、とくに胃腸によい食品(たとえば低脂肪の乳製品や発酵食品、胃腸を元気にする設計で開発された機能性食品など)を選んで、食事に1品加えましょう。

健康な食欲を維持するコツ

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分割食

食欲の有無や胃腸の調子にかかわらず、満足感を損なわず、適度に食べていける食べ方が分割食です。 「1人前×1日3回」ではなく、「半人前〜0.7人前程度(控えめ)×1日4または5回」にしてみましょう。

ストレスケア

日常の中での食欲のアップダウンは、自律神経のバランスが乱れていると起こりやすくなります。毎日すこしの時間でも運動や趣味の活動などでストレスを発散し、リフレッシュを心がけることも、予防に役立ちます。

まとめ

母子ともに健やかな出産に向けて、体重の管理は妊婦さんにとってとても大切なセルフケアです。食欲の変化になるべく左右されず、安定した食生活を送れるよう、食べ方に気をつける一方で、楽しく気分転換、ストレス発散できる活動にぜひ取り組んでみましょう。

(文・構成:下平貴子/日本医療企画、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです


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マイナビウーマン子育て

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