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40代にして婚活を始めて約3年。婚活パーティ、婚活アプリ、知人の紹介……何度かくじけそうになりながらも婚活を続けている、OTONA SALONE編集長アサミ。
一度はジェントルさんという恋人ができ真剣交際がスタートしたものの、約3カ月にして彼の病気や家庭の事情により分かれることに。失恋の喪失感に陥っていたアサミだったが……。この物語は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
ジェントルさんと別れて1カ月が経った。
仕事には何の支障もなかったけれど、失恋の傷はまだ癒えていなかった。彼のことが忘れられなかった。
ジェントルさんと話したい、会いたい。
本音はその気持ちでいっぱいだった。
連絡先は知っているし、自宅だってもちろんわかっている。でも、あれだけいろいろ話して、どうしようもないとわかって別れを受け止めたのだから……。連絡するなんてしつこい女だし、カッコ悪いし、迷惑だと思うし。
オトナの理性で感情をコントロールした。
もしかしたらこんなとき、自分の素直な気持ちをぶつけられたほうが幸せなのかもしれない。ときどき、客観的・理性的な自分がイヤになる。
婚活は完全にお休みしていた。婚活パーティに参加する気分でもなければ、婚活アプリを再開するテンションにもならない。
また、長い長い恋人いない歴の始まりなのかな。
でも、それ以上に危惧していたことがある。
彼以上に好きになれる人ができないんじゃないか、ということ。これもまた本音。
たぶん私は、恋愛感情を自覚するまでの導火線が、長いほうなんだと思う。ホレっぽくない。友達としてのLIKEまではいっても、恋愛のLOVEという気持ちになかなか至らない。
それに、ジェントルさんが素敵すぎたんだもの……。
いまにして思えば、ジェントルさんは私にはもったいないほど素敵な人だった。
仕事で活躍していて、知識が豊富で、尊敬できる。
やさしくて、気遣いができて、フェミニスト。
料理や掃除、ボタンつけなどの裁縫まで家事全般ができる。
清潔感があって、センスがよくて、背が高くて。
食事、香り、触り心地……感覚の好みも近かった。
そして、いつも言葉や態度で愛情表現をしてくれた。
こんな完璧すぎる彼に対して、私は何ができたんだろう? 与えてもらってばかりだったんじゃないだろうか?
……だからフラれるんだ。過去の恋愛を含め、私にはずっと好きでいてもらえる能力がない。
ずっと好きでいてもらうためには、なにが足りないんだろう。
美貌、財産、圧倒的な能力……ないなあぁ。
可愛げ、気遣い、愛情表現……たぶん足りないなぁ。
料理、家事全般……これも不得意だなぁ。
つまり、そもそもかけがえのない魅力がないってこと……? 考えれば考えるほど落ちこむ。
何事もなかったように日々を過ごしていたけれど、心の奥底では深い傷を抱えていた。夜、一人になるとジェントルさんのことを思い出して、涙する夜もあった。
だから、なるべく一人の時間を減らすよう、仕事や交友関係を深めることに勤しんでいた。
Y嬢「いまからふろふき大根、食べませんか?」
仕事の知人である10歳くらい年下のY嬢から突然に連絡が入ったのは、一人で家にいたくないと思っていた、まさにそんな時期だった。
アサミ「会食だったから、お腹はいっぱいなんだけど……」
Y嬢「ひとくちでいいんで! 行きましょう」
アサミ「うーん、わかった(笑)。どこにいるの?」
Y嬢「池尻大橋です!」
銀座から池尻大橋へ電車で移動している途中、Y嬢からメッセージがきた。まずは、待ち合わせの場所と思しきお店の場所。
焼き鳥のお店っぽかった。ふろふき大根はこのお店にあるってことかしら?
Y嬢「6人でここで飲んでます。でももうすぐ店出るんで、着いたら連絡ください!」
ん? もうすぐ店を出る? あれ、ふろふき大根は? 焼き鳥屋のふろふき大根がおすすめなんじゃないの?
なんだなんだ? よくわからない状況だぞ?
アサミ「了解です」
ふろふき大根問題はよくわからないが、とりあえず、そう返事をした。
ま、Y嬢は私より10歳以上若いからなぁ……まだ30代半ばだったよね、確か。
元気だよなぁ。6人で飲んでるっていうけど……きっとみんなY嬢くらいの30代メンバーの集まりなんだろう。47歳の私が参加して、場違いだったりしないかしら。ついていけるか不安。
ただでさえ失恋の傷で、フツーではいられるけれど、テンション高くはなれないし。
Y嬢以外がどんなメンバーかわからないまま、そして特に聞きもせず、池尻大橋の駅を降りた。とにかく誰かと一緒にいて、一人の時間を減らしたかったから。
一人でいたくない……。そんな気持ちになるなんて、自分で自分に驚く。
婚活を始めた初期は「一人の時間がないと無理!」とか「他人と24時間一緒にいる自信がない」「一人でいるほうが気楽」と言っていた。
そんな私が、一人でいることをさみしいと感じるようになったなんて……。
それは、ジェントルさんと二人で一緒にいることがとても幸せだったから、かもしれない。
彼と交際しているときは一人でいる時間が当然短くなったのだけれど、全然ストレスじゃなかった。週末、お泊りしたときは24時間以上一緒だったけれど、まったく大丈夫だった。むしろもっと一緒にいたいと思った。
一人でいるほうが気楽と思っていたのは、47歳になるまで二人でいることの心地よさを知らなかったからだろう。それを教えてくれたのは他の誰でもないジェントルさんなわけで……。
あ、またジェントルさんを思い出して一瞬、目がうるうるしてしまった。
これから楽しく飲んでるテンション高い集団に加わるんだから、こんな顔してちゃいけない! 切り替えて、切り替えて!!
池尻大橋の駅から少し歩くと、指定された焼き鳥のお店が見えてきた。
アサミ「もしもしY嬢、お店の前に着いたよ?」
Y嬢「はい! いまお店出るんで、そこで待っててください!」
あれ、やっぱりお店は出るんだ。ふろふき大根はどうすんのよ? そう思っていた矢先、テンションが高そうな一団がお店から外に出てきた。男女、半々くらい。そこにY嬢の姿もあった。
Y嬢「あーアサミさん! すぐわかりました?」
アサミ「うん、すぐわかった。で、このあとどうするの?」
Y嬢「ふろふき大根、行きましょう!」
アサミ「このお店じゃないんだ」
Y嬢「あ、ウチです!」
アサミ「え? Y嬢の家?」
Y嬢「じゃ、行きますよー! ついてきてくださーい」
集団「イェーイ!」
酔いのせいもあるのだろう、だいぶ陽気なメンバーのようだった。銀座での会食で軽くお酒をたしなんでいたけれど、すっかり移動中に酔いがさめた私とは、完全にノリが違う気がしたけれど。ま、楽しそうだからいいか。
そのまま巻き込まれるようにして、Y嬢の家へと向かっていったのだった……。
【ふろふき大根はY嬢の家! 謎の状況に合流したけれど!? 9月18日(水)17時をお楽しみに!】
【前回はコチラ】
#161 「恋愛維持力」がない 40代独女、3カ月でフラれる【40代編集長の婚活記】
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