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20代、30代の婚活と、40代のソレとはだいぶ様子が違う。OTONA SALONE編集長・アサミ(47歳)、婚活歴3年。婚活パーティ、婚活アプリ、知人の紹介、一人行動……など、さまざまな婚活を続けてきた。
婚活2年半でジェントルさんという恋人ができたけれど、たった3カ月にして破局。失恋に落ち込んでいた矢先、飲み会のお誘いをもらう。仕事飲みだと期待せずに行ってみたけれど……⁉ この物語は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
おさらいしよう。編集長・アサミを除く、「ふろふき大根」飲み会のメンバーは以下の4人だった。
Y嬢:イベント会社に勤務の35歳の女性で10年来の知人。既婚。コウハイちゃん:Y嬢の会社の後輩女性で、33歳。婚活に興味津々。センパイさん:Y嬢の会社の先輩男性で、40歳。既婚。ゲームさん:Y嬢の仕事の取引先であるゲーム会社のプロデューサーの男性48歳。バツイチ独身。
Y嬢以外はこの日が初対面。だけどノリが合うからなのか、Y嬢の家というアットホーム感のせいか、そんな感じがしない。わりと居心地のいいメンバー。
ゲームさんのスピード離婚話にちょっと盛り上がりつつも、話は私の婚活話へと戻っていく。
コウハイ「そうそう! アサミさん、どういう男性がタイプなんですか?」
アサミ「うーん…。誠実で、やさしくて、尊敬できる人かな」
タイプの男性としてあげたことって……結局、ジェントルさんの好きだったところだ。あ、また彼のことを思い出してる。我ながら引きずるタイプの女だ。
Y嬢「どうですか、ゲームさんは? 私、長らくお仕事でご一緒させてもらっていますけど、誠実でやさしい人だと思います」
大きな目をキラキラさせながら私にむかって言っているY嬢。さっきから何度か同じことを言っている。ナニ? これはどういうコト……?
よくわかんないけど、ま、思ったことを率直に言おう。
アサミ「素敵だと思います。フランクに接してくださるから話やすいですし」
Y嬢「ですよね! ホントに素敵な人なんですよ」
アサミ「正直、モテると思います」
コウハイ「そういえば周囲の女性たちのあいだでも人気ありますよね」
ゲーム「全然そんな話、聞かないよ。教えてくれないと」
コウハイ「私たちのレベルでは手の届かない人ですから、ゲームさんは」
ゲームさんはとても好感が持てる。会ってまだ数十分だけど、初対面とは思えない感じ。いい人だと、思う。
Y嬢やコウハイちゃんとの会話を聞いていても、とてもフランク。どうやらゲーム業界では有名な人みたいだけど、けっしてエラそうになったり、上から目線になったりしない。だからみんなの話を聞いていて楽しい。
あぁ、私はかなり言葉づかいを気にするんだな……。強い口調の人は苦手。婚活の初期に会ったエリートさんやホワイトさんは、ちょっとそういう印象があった。
ジェントルさんを好きになったのも、穏やかでやさしい口調だったからだ。最初はそれこそゲイなのかと思ったくらい、ソフトでフェミニンな話し方だった。それが私には耳ざわりがよくて……。ジェントルさんの話はずっと聞いていられた。
私をリアルに知っている人は私のことを“よくしゃべる人”と認識していると思う。
だけどジェントルさんとは聞いているほうが多かった。ときどきジェントルさんが「なんだか僕ばっかり話しちゃってますね、ごめんなさい」と私に言うほど。そのくらい、彼の話を聞いているのが幸せだった。
あぁ、またまたジェントルさんのことを思い出してる。
家で一人、彼のことを考えてしまう時間を少しでもなくそうと思って、急に誘われた飲み会に来たのに。みんながワイワイと飲んでいる場所なのにふとした瞬間に彼のことを思い出している。
彼を思い出さないようにしたいのに。
彼を忘れてしまいたいのに。
ギューッと胸の奥の何かを掴まれたような気持ちになる。苦しい……。
いかん、いかん! 何やってるんだ、私。
せっかくの飲み会。みんなと一緒に楽しまなくちゃ。フラれてから1カ月が経とうとしている。彼からの連絡は何もないし、もちろん私からも何もしていない。そう、このまま……忘れなくちゃいけない。
目の前のグラスに入った白ワインを一気に飲み干した。まるでヤケ酒を飲むように。そういえば失恋してから、ヤケ酒もヤケ食いもしていなかったな。むしろあえて規則正しくしていたかもしれない。
あーもう、今日はとことん飲もう! ……と言ってもお酒弱いから、すぐ限界がくるんだけど(苦笑)。
Y嬢の自宅で飲み始めてから小一時間が経過。
ビールのロング缶が2本、ワインボトルが2本完全に空いた。私も含め、全員がかなりいい感じに酔っぱらっていた。あるときからテレビ画面にYou Tube動画を映し、あーだこーだ話していた。
Y嬢「アサミさん、どういうアーティストが好きなんですか?」
アサミ「昔から好きなのはユニコーン!」
ゲーム「あ、オレ、デビュー直後のライブ行った」
アサミ「マジですか⁉ 超うらやましい! 高校生の頃ですか?」
ゲーム「そうそう」
アサミ「埼玉県秩父市の高校生は行けなかったですー。いいなぁ、都会っ子」
ゲームさんとは趣味が合うのかも⁉ 1歳違いだけあって見てきたカルチャーが近いのかもしれない。
ゲーム「じゃユニコーン観よう! 『働く男』!」
アサミ「いいですね!」
ほかの3人もかなり音楽好きのようで、特にY嬢やコウハイちゃんは全然、世代が違うのに楽しくユニコーンの映像を観ていた。
気がつけばY嬢がまるでDJのように、次から次へとノリのいい音楽動画を再生している。なんだか楽しくなってきたぞ。
音を楽しむと書いて「音楽」、文字通りだね。知らない曲でも聴いているだけで楽しくなれる。音楽ってステキな文化。
ずっとアップテンポの曲が続いていたけれど、ピアノのイントロで始まるバラードが流れてきた。伸びやかな声の女性ボーカル。
真っすぐにスッと心に染み入ってくるような声! なんて素敵な声のアーティストなんだろう。
アサミ「このアーティスト、なんて人ですか?」
Y嬢「Aimer(エメ)ですよ」
アサミ「すごい、いい声ですね」
名前を聞いたことはあったけれど、ちゃんと曲を聴いたのは初めてだった。
全員、無言で曲に聴き入っていた。曲がサビに差し掛かった。
その瞬間━━。
歌詞のひと言ひと言が、私の心に刺さった。
ほおには、自然と一筋の涙が流れていた。
曲のタイトルは『あなたに出会わなければ~夏雪冬花~』。それはあまりに、いまの気持ちと重なりすぎる歌詞だった……。
↑リアルに聴きながら涙した曲です。いま聴いてもうるうるします……。
【曲を聴きながら涙するアサミ。その心にあったものは⁉ 10月9日(水)17時をお楽しみに!】
【前回はコチラ】
#164 飲み会で出会った48歳バツイチ男性。40代独女、どうする?【40代編集長の婚活記】
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