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【医師監修】妊婦が牛乳を飲むと赤ちゃんに悪影響はある? アレルギーは?

目次

日本人の約2人に1人は何かしらのアレルギーを持っていると言われています[*11]。アトピー性皮膚炎や牛乳アレルギーなどは赤ちゃんにも多い病気です。そのためか、「ママが妊娠中に牛乳を飲むと、赤ちゃんがアレルギーになりやすい」という“説”があるようですが、これは本当なのでしょうか?詳しく解説します。

この記事の監修ドクター 梁尚弘先生 りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

牛乳は栄養の宝庫

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最初に食品としての牛乳の特徴に触れておきましょう。

牛乳の特徴としてまず挙げられるのは、三大栄養素(炭水化物、蛋白質、脂質)がバランス良く含まれているということです。また、日本人に不足しがちなミネラルやビタミンB群も豊富です。ですから牛乳は一般的に、ふだんからなるべく摂取しておきたい食品と言えます。

カルシウム豊富で妊婦さんにとっても心強い飲み物

では、妊婦さんの場合はどうでしょうか。牛乳の特徴の1つである「カルシウムが豊富」という点は、実は妊婦さんにとってとても大きなメリットです。

というのも、日本人の多くはふだん、カルシウムの必要摂取量を満たしていないため、妊娠中は特に積極的に摂取することが望ましいからです。そしてさらに、牛乳や乳製品に含まれるカルシウムには、体内に吸収されやすいというすぐれた特徴があります。なお、成人女性のカルシウム摂取推奨量は1日650mgです[*2]。

牛乳についての疑問「これは心配ない?」

ここまで牛乳の良い面を挙げてきましたが、反対に、以下のようなあまり良くない影響もあるのでは?と聞いたことはないでしょうか。実際はどうなのか、その答えを探ってみます。

太りやすくなるのでは?

牛乳を習慣的に飲んでいると、太りやすくなるのではと心配な人もいるかもしれません。たしかに、100g当たりのエネルギー量は、普通の牛乳で67kcal、低脂肪乳で46kcalあります。しかし、ほかの飲料にも、豆乳46kcal、調整豆乳64kcal、コーヒー牛乳56kcal、コーラ46kcal、果実の炭酸飲料51kcal、りんごジュース(ストレート)44kcalといったエネルギーがあります[*3]。

どんな食品にもカロリーがありますから、食べ過ぎ飲み過ぎは肥満のもと。ただしそれは牛乳に限らず、あらゆる食品に共通して言える注意事項です。妊娠初期・中期は非妊娠時同様、牛乳瓶であれば1日1本分程度、妊娠後期や授乳期はそれに牛乳コップ半分/チーズ1かけ/スライスチーズ1枚/ヨーグルト1パックを追加して摂取することが推奨されています[*4]。

下痢をしやすくなるのでは?

確かにアジア人には乳糖不耐症の人が少なくありません。子どものころは牛乳を飲めたのに、大人になってからは飲むと下痢をしてしまう、という場合の多くは乳糖不耐症です。乳糖(ラクトース)の消化酵素であるラクターゼの活性が成長とともに低下していくため、このようなことが起こります。乳頭不耐症の場合は、牛乳以外の飲食物から栄養を摂取するようにしてください。

なお、乳糖不耐症の原因が乳糖にあることがわかっていなかったころは、「牛乳不耐症」などと呼ばれ、牛乳による食物アレルギーの一種だと思われていました。正しくは前述のように、消化酵素の活性の問題であり、アレルギーとは異なります。

大人が飲むと牛乳アレルギーになる?

乳糖不耐症に症状が似ている病気として、牛乳アレルギーがあります。ただ、乳糖不耐症が成人に多いのに対して牛乳アレルギーは乳幼児に多いものです。0歳での食物アレルギーは鶏卵がもっとも多く、2番目が牛乳、小麦とされています。一方、成人(20代以上)の食物アレルギーの原因は、小麦がもっとも多く、次が魚類、甲殻類、果物という順番です。牛乳アレルギーは一般的には3歳ぐらいになるとその60%が自然に治るとされています[*5]。

リステリア感染症の心配は?

国内で一般的に販売されている牛乳に関しては心配ありませんが 、海外では殺菌処理されていない牛乳を飲んだことで、リステリア症になったという報告があります。リステリア症はリステリア菌という細菌が原因の人畜共通感染症で、髄膜炎や敗血症などを起こし、お腹の赤ちゃんに影響を及ぼすことがあります。

リステリア症が重症化することはまれですが、免疫力が低下している妊婦や高齢者では注意が必要です。リステリア菌は低温や塩分濃度が高い環境でも増殖することができます。そのため、冷蔵庫に長期間保存され、加熱せずにそのまま食べられる食品から感染することがあります。妊娠中は未殺菌の牛乳、ナチュラルチーズなどの乳製品(加熱をせずに製造されるもの)を避けましょう。そのほかにもスモークサーモンなどの魚介類加工品や生ハムなどの食肉加工品も避けてください。

妊娠中に牛乳を飲むと赤ちゃんがアレルギーになる?

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さて、それでは本題に入り、「妊娠中は牛乳を飲まない方が良いのか」の疑問にお答えします。

アレルギーの予防にならないばかりか、ママの栄養障害の心配も

先に結論を言いますと、赤ちゃんのアレルギー発症を予防するために妊婦が特定の飲食物摂取を避けることは、現在、医学的に推奨されていません。

例えば、日本小児アレルギー学会の「食物アレルギー診療ガイドライン2016」には、「食物アレルギーの発症予防のため、妊娠中や授乳中に母親が特定の食物を除去することは、効果が否定されている上に母親の栄養状態に対して有害であり、推奨されない」と明記されています[*6]。

また、日本医療研究開発機構(AMED)研究班による「食物アレルギーの診療の手引き2017」では、「食物アレルギーの発症予防のために妊娠中と授乳中の母親の食物除去を行うことを推奨しない。食物除去は母体と児に対して有害な栄養障害を来す恐れがある」としています[*7]。

つまりどちらも、妊娠中に牛乳などのアレルギーの原因となり得る食品の摂取を控えたからと言って、赤ちゃんがアレルギーになりにくくなるわけではなく、むしろママの体に栄養面の問題を起こしかねない、と言っているわけです。

まとめ

ここまで紹介した内容から、「赤ちゃんが生まれた後、アレルギーにならないために、妊娠中に牛乳を飲まないようにする」ことは、意味がないとおわかりいただけたのではないでしょうか。意味がないだけならまだしも、さまざまな栄養素を豊富に含んでいる牛乳を避けることで、かえって害となる可能性もあります。不足しがちなカルシウムを豊富に含み、それ以外にも妊娠中にうれしい栄養素をバランスよく含む「牛乳」を上手に活用しましょう

(文:久保秀実/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです


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マイナビウーマン子育て

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