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【岩井志麻子】「好きだけど別れる」の本音とは? 40代独身・カツ子の場合

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目次

仮に婚活のカツ子としておくが、カツ子は有名企業勤務でそこそこ美人だ。

元々そんな堅実でも尻軽でもなく、ぼんやりと好きな男と恋愛結婚したいと願っていたら、四十路の独身に。遅まきながら婚活を本気でやり始めた頃から、狙いを絞った。

「この歳まで待ったしこの歳になっちゃったんだから、あれこれ注文もつけないし夢も見ない。容姿、性格、すべてに目をつぶるから、とにかく社会的ステイタスのある男!」

 

学歴、収入、育ちのいい男性を紹介された

そう触れ回ったものだから、顔の広い先輩がある男性を紹介してくれた。

エリートのエリ男としておくが、彼は婚活市場の女が色めき立つ職業で、当然ながら学歴も収入も素晴らしい。際立つ美男ではないが、いかにも育ちが良さそうで、性格も穏やかだ。

そんなエリ男なのに、同じく四十過ぎて結婚歴なし。本人は結婚したいといい、ときおり令嬢と見合い、美女とデートもしているとか。なのに、どれも続かないらしい。

「カツ子がとにかく、あの職業の男なら後は何でもいい、っていうから会わせるのよ」と、先輩は念を押した。そして初めてのデートで、カツ子はいろんなものを思い知る。

 

エリ男と初デートのときに

エリ男はとにかく、会話がつまらなかった。そして、人の話をいっさい聞かなかった。

「ある人気デートスポットに行こうとなったので、私はそこが初めてだという彼が楽しめそうなコースをいろいろ考えました。会ってそれをいったら、にこにこしながら『前から行きたかったレストランを予約しました。予約が取れない店で有名ですよ』って。

素敵とは思ったけど、私の提案をまるっと無視して一言もなし。さらに店でもにこにこしながらひたすら料理の写真を撮って、せっせとSNSにあげるだけ。ほぼ会話なしで終わった後、いい雰囲気の散歩道に誘ったのに、ずっとスマホで野球の試合を見てました。

私が気に入らないのかと心配したら、次の誘いが来ました。彼は短気、不機嫌、威圧的、いっさいなく常に笑顔ですが、逆にそれが怖い。喧嘩にすらならないっていうか、もし怒ったら女側が一方的な悪者になるだけ。今までの女もみんな、それで逃げたんですよ」

 

なまじ良い人だから

カツ子は自分がとことん打算的ではないのを再確認し、エリ男とはそれっきりにした。

「彼が嫌な奴なら逆に、割り切って結婚したかも。私も彼も、なまじ良い人だからダメなんですよ。うーん、彼そのものを好きになれる女性に譲りたいです」

 

好きだけど別れるは演歌の華。

 


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OTONA SALONE|オトナサローネ

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