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【医師監修】妊娠初期にインフルエンザ感染! 胎児への影響は? 薬・予防接種は大丈夫なの?

目次

妊娠初期にインフルエンザにかかってしまったら、症状で辛いうえに「赤ちゃんへの影響」が心配になりますよね。ここでは、妊娠初期にインフルエンザにかかってしまった場合、胎児にどんな影響があるのか、どのように治療するのかなどについて解説します。

妊娠初期にインフルエンザにかかったら、胎児にはどんな影響が?

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まずは、気になる「インフルエンザで赤ちゃんにどんな影響があるのか」について解説します。

赤ちゃんへの影響

「妊娠初期」とは妊娠13週(妊娠4ヶ月の2週目)までの時期を指しますが、このころ妊婦さんがインフルエンザに感染したら、赤ちゃんに影響はあるのでしょうか。

赤ちゃんに影響することはほとんどない

基本的に、妊娠中にインフルエンザに感染しても、ウイルスが胎盤を通って胎児に影響することはほとんどないと考えられています[*1]。

妊婦さんが妊娠初期にインフルエンザにかかった場合、神経管閉鎖障害や心臓の奇形などの先天異常が増えたという報告もありますが、これはインフルエンザウイルスが直接、赤ちゃんに異常を起こしたのではなく妊婦さんが高熱になったためで、「解熱剤などによる適切な治療を受ければ先天異常のリスクは上昇しない」とされています[*1]。

また、流産や死産の増加についてインフルエンザ感染との関連がみられたとの報告もありますが、一方でインフルエンザ感染の有無にかかわらず、一般的に流産は15%前後の割合で起こるものです[*2]。

つまり、妊娠中、インフルエンザにかからずに済むのならばもちろんそれに越したことはありませんが、もしインフルエンザに感染してしまっても、それによってすぐに赤ちゃんに良くない影響があるのではと心配するよりも、まずはきちんと治療を受けることが大切なのです。

妊婦さんへの影響

また、妊娠の有無によって、インフルエンザの症状などに何か違いはあるのでしょうか。

インフルエンザにかかると、「38℃以上の発熱」「頭痛」「関節痛」「筋肉痛」などの症状が出ますが、多くの場合、特に治療をしなくても1、2週間で自然に治ります。ところが、5歳未満の乳幼児や65歳以上の高齢者、呼吸器の持病などがある人の場合は、気管支炎や肺炎などを併発し重症化することがあります。

妊婦さんも、インフルエンザにかかると重い合併症を起こしやすいと言われています。インフルエンザが流行している時、産後の人に比べて妊婦さんは妊娠14~20週で1.4倍、妊娠27~31週で2.6倍、妊娠37~42週で4.7倍、心肺機能の悪化で入院するリスクが高かったという報告もあります[*3]。

ですから、妊娠中はとくに、予防接種やうがい・手洗いの励行、人込みを避けるなどの対策を行い、できるだけインフルエンザにかからないよう注意することが大切です。そして、かかってしまったら、赤ちゃんへの影響を最小限にするため、また妊婦さん自身の重症化を防ぐために、医療機関を受診してできるだけ早く治療を受けることが勧められます。

妊娠初期にインフルエンザに感染! どうすればいいの?

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妊娠初期にインフルエンザにかかってしまったら、どうすれば良いのでしょうか?

産院に相談してから、内科を受診

「妊娠中だからすぐに産科を受診」と考えてしまいそうですが、それはちょっと待って! インフルエンザは、妊婦さんがかかると重症化することがあるので、もし感染していたらほかの妊婦さんにうつさない配慮が必要です。

インフルエンザの代表的な症状

インフルエンザでは、下記のような症状が比較的急速に現れるのが特徴です[*4]。 ☑38℃以上の発熱 ☑頭痛、関節痛、筋肉痛、全身倦怠感 ☑のどの痛み、鼻汁、咳、吐き気・嘔吐、下痢などがある場合も

症状が出てから「48時間以内に受診」して治療を受ける

上記のような症状が見られたり周囲に感染者がいたりして、妊婦さんが「インフルエンザにかかったかもしれない」と思ったら、まず、かかりつけの産科医療機関に電話で連絡しましょう。医療機関を紹介してくれたり、紹介先の医師に診療情報を連携してくれたりすることがあります。

その際、もし、「いつもと違うお腹の強い張りがある」「性器から出血していたり、水っぽいおりものが出るなど、破水しているかもしれない」「下腹部の痛み」などの症状もあったら、あわせて伝えてください[*2]。

インフルエンザにかかったら、症状が出てからできれば48時間以内に受診し、薬による治療を受けます。もし、かかりつけの産科医からとくに指定がない場合は、近くの一般医療機関を受診しましょう。この場合も事前に電話で「インフルエンザかもしれないこと」「妊娠していること」を連絡したうえで、指示に従って受診しましょう。受診の際はマスクを着用し、母子手帳も忘れずに。

救急車を呼ぶ場合[*2]

下記のような症状がある場合は、救急車(119番)を呼びますが、その際も、必ず「インフルエンザの症状がある」「妊娠している」ことを伝えましょう。

☑安静にしていても/移動時に、呼吸が苦しい ☑立ち上がれない、歩けない ☑意識がもうろうとしている、けいれんが起きた

受診したらどんな治療を受けるの?

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インフルエンザは、おもに、オセルタミビル(タミフル®など)、ザナミビル(リレンザ®)、ラニナミビル(イナビル®)など、ウイルスの増殖を阻止する「抗インフルエンザ薬」で治療します。これらの3種はいずれも、妊娠初期を含め妊娠中に使用しても問題ないと考えられています[*5]。

発症後48時間以内に治療開始

抗インフルエンザ薬は、症状が出始めてから48時間以内に使い始めることが大切です。体の中に入ったインフルエンザウイルスは急速に増殖しますが、症状が出てから2~3日後にもっとも数が多くなると言われています[*6]。そうなる前に、できるだけ早くウイルスが少ない段階から抗インフルエンザ薬を使い始めることで、「症状が早く治まる」「重症化予防」という効果が期待できるのです。

ただし、48時間経ってしまったらこれらの薬がまったく効かなくなるということではありません。また、インフルエンザの治療では抗インフルエンザ薬のほかに、解熱剤で高熱による体力の消耗を防ぐといった対症療法がおこなわれることもあります。妊婦さんは重症化のリスクが高いので、発症から48時間過ぎてしまっていた場合でも受診しましょう。

出された薬はすべて飲み切ること

なお、症状が良くなったからと言って抗インフルエンザ薬を途中で勝手に止めてしまうと、その薬が効きにくいウイルスができることがあるので(耐性化)、処方された日数分、きちんとすべて飲み切ることも大切です。もし副作用と思われる体調不良(下痢やおう吐など)が出たら、医療機関に相談しましょう。

妊娠初期のインフルエンザQ&A

ここでは、妊娠初期に気になるインフルエンザに関するよくある疑問と回答をまとめて解説します。

妊娠初期なのに薬が出た。飲んでも大丈夫なの?

A.ほとんど心配ないと言われている。まずは薬を使ってきちんと治すことが大切

「受診したらどんな治療を受けるの?」でも解説したとおり、医療機関では、現時点で妊婦さんに使用しても赤ちゃんに影響することは低いと考えられている薬が処方されます。

たしかに、妊娠初期、とくに妊娠4週~10週ごろ(妊娠3ヶ月)までは「器官形成期」とも呼ばれ、赤ちゃんの体の重要な器官がつくられ、放射線や薬などの影響を受ける可能性がある時期です[*3]。

抗インフルエンザ薬も「完全に安全」ということが確認されているわけではありませんが、薬を使わずにインフルエンザの症状が重くなって妊婦さんも赤ちゃんも命の危険にさらされるより、薬を飲んで早く治した方がメリットが大きいから薬で治療するということです。

赤ちゃんへの影響や副作用など、薬について不安なときは遠慮せずに医師や薬剤師に質問し、説明を受けましょう。

インフルエンザの予防接種は妊娠初期も受けていいの? 赤ちゃんに影響はないの?

A.妊娠初期もOK。妊娠中いつでも接種できる

インフルエンザの重症化予防にもっとも効果があるのは、やはり予防接種を受けることです。現在日本で使用されているインフルエンザワクチンは病原性をなくした不活化ワクチンで、妊娠中に接種することで妊婦さんや赤ちゃんに危険を及ぼす可能性は非常に低いとされています。

なお、妊婦さんを重症化から守ってくれるのはもちろん、妊娠中にインフルエンザワクチンを接種しておくと、生後6ヶ月までの赤ちゃんがインフルエンザにかかる確率も減らしてくれます [*3]。生後6ヶ月までの赤ちゃんはインフルエンザワクチンの接種が認められていないので、このメリットも大きいです。

卵アレルギーの場合も接種して大丈夫なの?

インフルエンザワクチンには卵タンパクが含まれていますが、かなり微量です。インフルエンザの予防接種や鶏卵、鶏肉、その他鶏由来のものでアナフィラキシーや全身症状を起こしたことがある人は接種できませんが、卵アレルギーはあるものの(卵白特異的IgE抗体陽性)、卵加工品を食べても無症状など、その人のアレルギーの程度によっては接種可能な場合もあります[*7]。

インフルエンザにかかった場合のリスクと起こると考えられる副反応とのバランスを考慮して接種するかどうか判断されるので、心配な場合は事前に医師に相談するようにしましょう。

インフルエンザの予防接種はいつまでに受けておけばいいの?

インフルエンザウイルスは変異しながら流行するので、毎年、流行時期の前に接種しておくことが必要です。インフルエンザは通常、12月末~翌年3月ごろにかけて流行するので、遅くとも12月中旬までには接種を終わらせておきましょう。現在のインフルエンザワクチンの発症予防効果は、接種後2週間~およそ5ヶ月間、持続するとされています[*7]。

妊娠中なのに近くにインフルエンザの人が!どうしたらよい?

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A.抗インフルエンザ薬の予防投与という方法も

インフルエンザ患者と濃厚接触した場合は、オセルタミビル(タミフル®など)、ザナミビル(リレンザ®)の投与で70~90%、発症を予防できるとされています。この方法は、万人に勧められているわけではありませんが、重症化しやすい妊婦さんや分娩後2週間以内の女性では勧められています[*3]。思い当たる場合は医師に相談し、説明をよく受けて、正しく使用しましょう。

なお、この方法で100%発症を予防できるというわけではないので、疑わしい症状が現れたら「妊娠初期にインフルエンザに感染! どうすればいいの?」で解説したことを参考に、事前に電話相談のうえ、医療機関を受診してください。

まとめ

妊娠初期にインフルエンザにかかってしまった場合、赤ちゃんに影響はあるのかどうか、また受診の仕方などの対処法について解説しました。一番良いのは流行時期の前に予防接種を受けておくことですが、つい忘れてしまうこともあれば、予防接種を受けていたとしても感染し発症することもあります。もし疑わしい症状が出たら、薬が飲みたくないからと我慢するのではなく、まず医療機関に電話で相談してください。妊娠中は重症化しやすい病気なので、受診の際は、他の妊婦さんへの配慮も忘れないようにしましょう。

この記事の監修ドクター 産婦人科医・医学博士宋美玄先生 大阪大学医学部医学科卒業。丸の内の森レディースクリニックの院長として周産期医療、女性医療に従事する傍ら、テレビ、書籍、雑誌などで情報発信を行う。主な著書に、ベストセラーとなった「女医が教える本当に気持ちいいセックス」がある。一般社団法人ウィメンズヘルスリテラシー協会代表理事

(文:マイナビウーマン子育て編集部/監修:宋美玄先生)

※画像はイメージです

参考文献 [*1]厚生労働科学研究 新型インフルエンザ対策(A/H1N1) 妊娠中の人や授乳中の人へ https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/pdf/ninpu_1217_2.pdf [*2]国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター:インフルエンザについて(医療関係者向け) https://www.ncchd.go.jp/kusuri/news_med/h1n1.html [*3]産婦人科診療ガイドライン―産科編2017 http://www.jsog.or.jp/uploads/files/medical/about/gl_sanka_2017.pdf [*4]厚生労働省「令和元年度インフルエンザQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou01/qa.html [*5]]国立成育医療研究センター 妊娠と薬情報センター:妊娠中のお薬Q&Aインフルエンザにかかった場合に、薬を使用することはできますか? https://www.ncchd.go.jp/kusuri/lactation/qa_ninshin.html [*6]中外製薬:インフルエンザ情報サービス「治療(薬)について」 https://influ-info.jp/faq/faq3.html [*7]日本ワクチン産業協会予防接種に関するQ&A http://www.wakutin.or.jp/medical/pdf/qa_2019.pdf#page=269

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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この記事の著者

マイナビウーマン子育て

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