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40代婚活の、道のりは遠い。OTONA SALONE編集長・アサミ(47歳)は婚活歴3年半。これまでに、婚活パーティや婚活アプリ、個室婚活、知人の紹介、バーで出会い探しなど、数々の婚活をやってきた。
デートする相手もゼロになっていたあるとき、知人のヘアメイクさんに起業家・50歳・筋肉男子のジムさんを紹介され、奥渋谷のイタリアンで食事会をしたのだが……⁉ この物語は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
知人のヘアメイクさんと一緒に3人での食事会をすることになったジムさん。当然、この日が初めて。なのに、唐突に「一緒に鹿児島へ行ってくれませんか」と言ってきた。
アサミ「いきなり鹿児島って、何をしに……ですか?」
初対面の相手を旅行に誘うだなんて、ワケがわからなくなった。なぜ鹿児島? 何をしに? どういう理由で? 聞いているうちにだんだんわかってきた。
ジム「お察しの通りです。婚活してらっしゃるというので……」
ヘアメイク「鹿児島の病院のお父様のところに、婚約者として一緒に行ってほしいんだって。フェイクでいいから」
ジム「もちろん交通費は出します! 御礼もします!」
余命宣告をされているジムさんのお父様が入院している病院へ、一緒にいってほしい。ジムさんが私を鹿児島へ誘った理由はコレだった。
そういう理由だったんだ……。
想像もしていなかった事実に、ただただ閉口するばかり。しばらく何も言えずにいた。
ヘアメイク「どうかしら? 来週じゃ、さすがに忙しい?」
ジム「来週じゃなくて、再来週でも大丈夫なんで」
ヘアメイク「朝イチで行けば、午後には東京に戻れるし」
二人して、なんとか鹿児島に行きを成立させようとしている。病床のお父様を安心させたい、という気持ちはわかる。だけどそれって……。
少し間をおいてから、私の考えを伝え始めた。
アサミ「ジムさんの、お気持ちはわかるんです」
ジム「あ、ありがとう」
アサミ「私にも70代の両親がいますし、元気ではいますけれど、年齢も重ねているので、安心させたいという気持ちは同じです」
ヘアメイク「そうよね、わかる」
アサミ「わかるんですけど……。ジムさんと一緒に、鹿児島へは行けません」
結論を言った。それはもう、迷うことなく。
アサミ「そういうウソをつくことは、できません。罪悪感が残ります」
さすがに人生で一度もウソをついたことが無い、とは言わない。ただ、罪の意識を感じるウソ、誰かを傷つけるウソはつきたくない。
アサミ「それに、私を会わせてもお父様は安心なさらないと思います。たぶん、ウソだって気づいてしまうと思うんです」
婚約者のフリをするだなんて、私にはできない。
アサミ「私は、自分に正直にいたいので……本当にすみません」
すみませんと言ったあと、どうしたらいいかわからなくて、しばらく頭を下げていた。
ヘアメイク「ごめなさい! アサミちゃんに、失礼な話だったよね」
ジム「ホント、すみません!」
ヘアメイク「断って当たり前のことだもの。頭上げて、ね」
顔を上げると、申し訳なさそうな顔をしている2人がいた。
ヘアメイク「ホントごめんね。こんな機会、セッティングした私が悪かったわ」
ジム「いや、そもそも僕が悪いんで」
どストレートに言ってしまった。でも、それでいい。私は自分に正直でいたい。
以前、友達に「そんな白黒つけすぎなくてもいいんじゃない? たまにはグレーでも」とか「清濁併せ吞むことも必要だよ」って言われたことがあるけれど……。
私はやっぱり白黒つけないと気持ちが悪い性分。これは、変わらないのかもしれない。
ヘアメイク「そうね。アンタが悪いのよ」
ジム「すみません……」
ヘアメイク「ちゃんと言っていい?」
ジム「はい」
ちゃんと言う? ちゃんとって、何のこと?
ヘアメイク「私がね、けっこう前にアサミちゃんの婚活記の話をジムにしてて、ずっと読んでくれてたんだって。面白かったらしく」
アサミ「ありがとうございます」
ヘアメイク「でね、結婚前提の彼女って話をお父様にしちゃったあと、最初は連れてこなくていいから写真だけでも見せろって言われたらしくて」
ジム「はい」
ヘアメイク「それで、アサミちゃんの写真を見せたらしいの」
アサミ「え!? なんでですか?」
ジム「すみません。とりあえず写真見せたら済むかと思って。そしたら病状が進むにつれて、連れて来いって話になって……」
アサミ「でも何で私の写真を」
ヘアメイク「OTONA SALONEのプロフィール画像よね? ホラ、ジムの女友達、20代しかいないから」
アサミ「はぁ……」
ヘアメイク「だから、どうしてもアサミちゃんに会わせてくれないかってジムが言ってきて」
ジム「軽率でした。ホントすみません」
アサミ「あえて言葉を選ばずに言いますけど、私の写真を勝手に使ったってことですよね」
おおげさに言えば、肖像権問題? いや、訴えないけどさ。
ジム「はい……」
アサミ「それはちょっと、ガッカリです」
ジム「すみません」
アサミ「起きてしまったことはもう仕方ないので、ひとつだけお願いがあります」
ジム「はい」
アサミ「お父様に、その写真のは間違いだったってお伝えいただけませんか?」
ジム「え…」
アサミ「お父様がその写真を信じていらっしゃるとしたら、心苦しいです。私がついたウソではないけれど」
ジム「そう……ですよね。わかりました」
そのあとは話題を変えて、3人で食事を楽しんだ。正確に言えば、ジムさんは筋肉にいい食べ物だけ楽しんだ。帰り際、ジムさんは深々と頭を下げてこう言った。
ジム「今日は本当にすみませんでした」
それからジムさんがどうしたかは、正直わからない。
あの日ヘアメイクさんは「実際に遊んでいる若い女の写真を送って、付き合ってるのは20代ですって正直に言えばいいじゃない」と諭していたけれど。
やっぱりジムさんは、若い女子好きだったのね(苦笑)。
ジムさんとはもちろん、それっきりになった。40代の婚活は、またデートするお相手がゼロの状態になった。
しかし、捨てる神あれば、拾う神あり? またもや突然のお誘いがやってきたのであった。それはなんと、同期からのお誘いだった……。
【続きは2020年2月5日(水)17時公開。お楽しみに!】
【前回はコチラ】
【40代編集長の婚活記#181】出会ってすぐ旅行へ誘う彼。その理由とは?
40代編集長の婚活記#182
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