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「40代の婚活」と書いて「むずかしい」と読む。OTONA SALONE編集長・アサミ(47歳)、婚活歴は3年半以上になるが、まったくもって結婚に至りそうな気配がない。
ある日の会食後、同期に誘われた日本橋のバーで、ハイシャさん(47歳、未婚・独身、歯科医)を紹介されたのだが……。この物語は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
同期が席を外したあと、バーの個室に入ってきたのはハイシャさんの妹さんだった。話の様子から察するに、ブラコン気味なのだろう。47歳の兄が婚活相手にダマされないか心配で一緒に来たのだという。
まずは、私のことを頭のてっぺんから足の先までくまなく観察。そして、ひとこと。
妹「わりと庶民的な方ですのね」
初対面でいきなりキタコレ(苦笑)。すごい先制パンチ。いや、その通りだから否定しないけど!
その後は怒涛の質問をしてきた。
実家のこと、住まいのこと、住宅ローン、年収……。もしかして、結婚相談所の登録に来たのかしらと思うほど、プライベートな質問を遠慮なくぶつけてくる。
質問に答えたり、はぐらかしたりの対応をしていたら、またもやパンチが飛んできた。
妹「バリキャリの編集長と会うって聞いたから、どんな華やかな方がいらっしゃるかと思ったけど、アサミさんは、わりとフツーのお家柄の方なんですね」
フ、フツーの家柄。ええ、そうです、そうですとも。それが何か?
……頭の中ではそんな言葉が浮かんでいるけれど、口には出さなかった。妹さんの挑発じみた言葉に乗ったって仕方がない。不快ではあるけれど、同じように対抗したって意味がない。
チラリ、妹さんの横にいるハイシャさんの顔を見た。
驚いた。
妹さんのちょっと無礼な言葉を聞いて、彼女を制そうとも、オロオロする様子もなかった。ただ飄々とした顔をして、のんきにタバコをふかしていた。
いまの会話を横で聞いていて、そんな顔していられるんだ……。
心の中で何かのスイッチが入った。せっかくだから……楽しい夜にしよう。
アサミ「あの、妹さんはどんなお仕事をされているんですか?」
妹「兄の歯科医院を手伝っています」
アサミ「あぁ、だから一緒に来られたんですね。平日に兄妹で合流するのって、なかなか難しいですけど、職場がご一緒なんですね」
ハイシャ「いや、妹は共同経営してるだけだから。普段は歯科医院に勤務してないんです」
妹「ええ、私は家にいたので。兄が車で私を迎えにきて、一緒にここへ来たんです」
お迎え!? ハイシャさん、わざわざ妹をお迎えに行っただと? 妹さんがブラコンなだけじゃなく、ハイシャさんもシスコンなのかいっ?
妹さんのブラコンっぷりも驚いたけれど、ハイシャさんもなかなかの曲者かもしれない。
アサミ「本当に兄妹で仲良しなんですね……」
妹「送り迎えは、いつものことですから」
アサミ「えっ?」
妹「私が出かけるときは、いつも車で送り迎えしてくれるんです」
いつも送り迎えする? ハイシャさんは妹の運転手かいっ!
待てよ、送り迎えできるってことは、もしや一緒に住んでいるってこと⁉ だとしたら、いろいろ難しいぞ、ハイシャさん。
アサミ「一緒にお住まい……じゃないですよね?」
妹「ええ。でも、わりと近くに住んでいるので」
ハイシャ「そのほうが何かと安心じゃないですか」
ああ、そう! そうなの! 40歳も過ぎた兄妹だけど、そんなにベッタリなの!
どうやらこの兄妹、妹さんが兄にベッタリなだけでなく、兄のほうも過保護なのか、逆らえないのか、だいぶ依存しているようだ。
アサミ「お近くにお住まいと言ってましたよね」
妹「はい」
アサミ「失礼な質問かもしれませんが、妹さん、ご結婚は?」
妹さんに向かって尋ねた。けれど、答えたのは彼女じゃなかった。
ハイシャ「いまは独身、バツイチなんですよ」
あら、こういうときは兄が答えるのね。
ハイシャ「妹は実家に住んでるんです。僕が、実家の近くに一人暮らしをしていて」
妹「でも実質、半分は家にいるよね」
体を横に倒し、ハイシャさんにもたれかかった妹さん。まるで恋人のようなそぶり。
そして、勝ち誇ったようにニッコリとした笑顔で、私をジッと見つめてききた妹さん。
大丈夫ですよ、あなたと勝負するつもりなんてまったくないですから……。
個室のドアが開いた。席を外していた同期が戻ってきた。
アサミ「ちょっと、遅いじゃない」
同期「悪い。ちょっとマスターと話に盛り上がっちゃって」
アサミ「こちら、ハイシャさんの妹さんだそうです」
同期「知ってるよ」
淡々と答える。え、同期は彼女が来てたこと、わかってたの?
妹「ええ。何度も一緒にゴルフへ行ってますから」
アサミ「あぁ、そう」
同期「この店でも何回も会ってるし」
それじゃ最初に一瞬、部屋に入ってきたときからわかってたんだ。ハイシャさんと妹さんが一緒に来たって。それに何回も会ってる? ……っていうことは、妹さんのキャラクターもある程度わかったわけね。
ジロりとにらみつけるような視線で同期の顔を見て、「大変だったんだけど!」と、目で訴えた。
すると彼は「ごめん」というような表情をした。
あー、なるほど。だから最初に言ってたのか。「たぶんアサミのタイプじゃないと思うよ」って。
同期が席に戻ってきたら、妹さんの質問は急に他愛のない質問になった。
妹「アサミさん、ゴルフをなさるんですよね」
アサミ「はい。下手くそですけれど」
ハイシャ「だから今度、一緒にラウンドしようって話になったんだ」
同期「まだ先だけどね」
そうだった。一緒にゴルフのラウンドをする約束してた。
妹「じゃ、私もご一緒させていただいていいかしら?」
同期「どうせ声かけるつもりだったでしょ?」
ハイシャ「まぁ、女性がいたほうがいいでしょ。アサミさんも」
アサミ「……そうですね」
社交辞令でそう答えた。
もし女性メンバーがこの妹さんと私だけだったら……。相当キツイ。いくら私でも彼女には合わせられない。
ゴルフの日が来ないことを祈りながら、心無い会話を続けていた。
【続きは2020年3月25日(水)17時公開。お楽しみに!】
【前回はコチラ】
【40代編集長の婚活記#188】前代未聞!どうなの? 妹同伴で婚活する47歳の男って!
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