読み込み中
ログイン・会員登録すると好きな記事をお気に入り登録できます

おたふく風邪ワクチンは危険!はウソ?子供に接種させたい理由と接種時期・回数

このコラムにありがとう

目次

治療法の存在しない感染病であるおたふく風邪。現在日本では、任意のワクチン接種が進められていますが、その任意接種にはどのような意味があるのでしょうか。また、ワクチンによる危険性とはどのようなものなのでしょうか。

この記事の監修ドクター

女医によるファミリークリニック大井美恵子先生 当院では受診していただく患者様は家族と思い治すことをモットーとしており、生まれたときから、生涯を終えるときまで、ご家族全員のプライベートホームドクターを承っております。最新の小児科内科皮膚科・美容医療に、東洋医学などの代替医療やアンチエイジング医療を取り入れながら、 ご家族全員がいつまでも健やかで美しくあるためのオリジナル医療を提供しております。 http://www.familyclinic-hiroshima.com/

おたふく風邪ワクチンの接種が推奨されるのはなぜ?

509537874

Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2

おたふく風邪とは、流行性耳下腺炎の通称で、パラミクソウイルス属のRNAウイルスであるムンプスウイルスの、通常、初感染による臨床像です。五大感染症定点把握疾患に定められており、我が国では、3~4年ごとに大きな流行を認めています。おたふく風邪に対して、現在、ウイルス特異的な治療法はありません。隔離などによる流行の拡大阻止には限界があるため、おたふく風邪の流行への対策にはワクチンによる予防が中心となります。

おたふく風邪(流行性耳下腺炎)とは

ムンプスウイルスが体内に入ると、唾液を作る耳下腺や額下腺、舌下腺などが腫れてきます。また、高熱が出ることもあります。さらに、ウイルスが全身にまわると、髄膜炎(頭痛や吐き気、熱など)や膵炎などを起こすこともあります。妊婦がかかると流産することもあります。他人からウイルスをもらって2~3週間後に症状は出てきますが、周囲にうつすのははれる数日前から、はれがひくまで(約9日間)です。主として、飛沫感染によって広がりますが、患者との直接接触や、唾液を介した接触でも感染します。発症6日前ぐらいからウイルス排出があるので、自分でも気づかないうちに周囲に感染を広げていることがあります。

おたふく風邪の症状は何と言っても、1週間程度続く耳下腺の膨張(とそれに伴う高熱)ですが、「やられる」のは耳下腺ばかりではありません。ムンプスウイルスは全身のいろいろなところ、特に神経組織や内分泌系線組織に広がります。これにより、様々な合併症(髄膜炎、脳炎、難聴、膵炎、精巣炎、卵巣炎等)を起こしてきます。

実は怖い!おたふく風邪の真実

おたふく風邪は、発症すると治療法がありません。かかったら、「早く治りますように」とお祈りするしかありません。さらに、おたふく風邪の合併症発生率は、意外に高く、おたふく風邪にかかった患者のうち、0.01~0.5%が「ムンプス難聴」という合併症になっています。おたふく風邪は流行する病気ですから、流行の規模によって患者数が変わりますが、近年の報告では日本で年間43~144万人の患者が出ているとされています。間をとって平均100万人とすると、日本では毎年5000人がおたふく風邪の合併症によって難聴になっている(発生率0.5%として)ことになります。

多くの場合は、片側性であり、小児の場合、難聴を発症したことに本人・周囲ともに気づかないことも珍しくなく、発見が遅れてしまうこともあります。また、合併症が出るかも‟運次第”で、出たとしても同じく治療は出来ず、‟治ってくれる”までただ時を待つのみです。そもそも、起きてしまったら、治らない場合もあります。たとえば、ムンプス難聴は聴覚神経の死滅によって起こるので、もし起きてしまったら治癒はほぼ見込めません。また、おたふく風邪の合併症として最も頻度が高いのが、髄膜炎です。さらに、ムンプスウイルスは小児の無菌性髄膜炎の起因ウイルスの大部分を占めます。

ワクチンを接種すれば感染の心配はなくなる?

ワクチンを接種すれば100%おたふく風邪の感染を防げるわけではありません。しかし、発症の危険性はほぼなくなります。また、集団の85%以上が接種すれば流行を防ぐことが可能となります。そのため、学校や自治体で協力してワクチン接種に取り組む必要があります。摂取率を高く維持して流行をコントロールできれば、副作用が起こる可能性もあるワクチン接種の中止も検討することができるようになるのです。

おたふく風邪ワクチンは危険なの?

680796855

Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2

治療法のないおたふく風邪。それなら、感染を予防できるワクチンをみんなで接種して、感染を防げるのなら、何も問題はありません。しかし、そのワクチンの接種がなかなか進まないことには、理由があるのです。その理由とは何なのでしょう。

ワクチン接種のリスクとは

それではなぜ、日本において、おたふく風邪ワクチンの定期接種化がおくれているのでしょうか。それは、ワクチンによる副作用の問題があげられます。おたふく風邪ワクチンの副作用としては、軽度な副作用として接種24時間後以内の接種部位の痛みや接種後10~14日後の微熱、また、アレルギー反応の重要なアナフィラキシーがあります。この反応は適切に治療すれば大丈夫と言えます。

おたふく風邪ワクチンは、ウイルスを弱毒にしたものですが、毒性を全くゼロにはしていません。1200人に1人無菌性髄膜炎を起こすかもしれませんが、自然に罹ると10~20人に1人ですから、頻度は少ないです。ワクチンによる難聴は非常にまれで、数十万人に1人程度と言われています。また耳下腺の腫れが軽くみられることもあります。自然発症に比べると、副作用からくる発症や合併症がはるかに少ないことが、世界中で予防接種が予防接種が行われている理由です。

おたふく風邪の合併症の中で最も恐ろしいであろう難聴が予防接種の副作用で起こる可能性は、ほぼ皆無です。そこで、問題となるのが、おたふく風邪ワクチンによる無菌性髄膜炎です。ムンプスウイルスは、中枢神経親和性が強く、ワクチン株においても同様で、ワクチン接種後2~4週間頃におたふく風邪ワクチンによる無菌性髄膜炎が起こることがあると言われています。しかし、これら重度の副作用の発生率は極めて低いことが事実です。

定期接種にならないのはなぜ?

日本では、1981年に自国でのおたふく風邪ワクチンが市販され、任意接種が開始されました。定期接種による接種率の上昇とともに、おたふく風邪の流行のピークは低くなったものの、おたふく風邪ワクチンによる無菌性髄膜炎の発生が問題となり、各社独自株によるMMRワクチンの接種も行われましたが、1993年にMMRワクチンの使用は中止となりました。2014年の時点でMMRワクチン接種による健康被害として厚生労働大臣により認定されているのは総数1,041名、死亡一時金受給者3名、障害児養育年金受給者2名、障害年金受給者6名、医療費医療手当受給者1,030名です。

MMRワクチンが中止されたあとは、再びおたふく風邪ワクチンが任意接種として使用されてきました。しかし、現在は、Hoshino株とTorii株という2製剤が国産単味ワクチンとして任意接種されています。国産ワクチンの抗体陽転率は海外で主に使用されているものより高くなっていますが、髄膜炎の発生率は0.03~0.06%と比較的多く、発生頻度はMMRワクチンが中止されたときと比べて、大きく改善されてはいないません。このことが、定期接種化を困難にしている原因のひとつであると考えられています。しかし、自然におたふく風邪にかかることに比べると、リスクが低いことは事実であるので、定期接種に向けての動きはあります。

おたふく風邪ワクチンの接種時期・回数

512435920

Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2

おたふく風邪のワクチンは、ウイルスの毒性を弱めた生ワクチンで、ニワトリの細胞を使って作られています。摂取量は0.5mlを1回、皮下に注射します。基本的には、2回接種が勧められています。摂取間隔は、5年程度空けて接種したほうが望ましいでしょう。接種時期については、1歳を過ぎたら接種が可能です。摂取の回数は、日本では、1回接種になっているので、保育園や幼稚園での集団感染を防ぐためにも、1歳過ぎで集団生活を始める前に接種することが望ましいとされています。

おたふく風邪の罹った報告が多い年齢は、4~5歳、2~3歳、6~7歳の順です。また、ワクチンでも、時に免疫がつかない場合があります。抗体陽性になる率は80~100%と言われていて、徐々に低下する例もあるので、実際に防御として世界的に言われている効果は75~91%です。単独で接種するほうが抗体陽性率は上がるのですが、多く行われている、麻疹、風疹、おたふく風邪を混合したMMRワクチンでも抗体陽性になる確率は、73%、2回接種で86%になると言われています。

アメリカでは、1967年からワクチンの使用が始まり、1977年からは1歳以上の幼児を対象に定期接種(=全児童を対象とした無料接種)に組み入れられました(この時は1回接種)。これによりほぼすべての子供が接種を受け、おたふく風邪の患者数は激減しましたが、1986~87年に起きた流行が問題視され、1989年からワクチンの2回接種が実施されるようになりました。

今ではおたふく風邪は全米で年間300例以下しか発生せず、ほぼ絶滅状態です。アメリカは日本のざっと2倍は人口がありますから、もしも日本が同様に予防接種すれば、年間150人以下しか患者が発生しないことになります。

世界全体では、61%の国で定期接種(全児童に接種)として行われ、その91%が2回接種を採用しています。ですが、日本では、約30%の児童しか接種しておらず、世界の中でおたふく風邪の予防に関して、いかに遅れをとっているかが読み取れます。

まとめ

508654690

Getty logo 25b7f2c61b43cc8578dbdb4391bff44f15fecbfdcfd25ce56be1fa24f6dc74a2

1981年から始められた我が国のおたふく風邪ワクチンの1歳以上の子供に対する任意接種。おたふく風邪ワクチンの効果と安全性は諸外国での成績などより明白ですが、わが国では、残念ながら現在も定期接種の対象になっていません。詳細な接種率は不明ですが、メーカーの出荷数から約30%程度と算出されています。なかなか接種率が上がらない、その主な理由はMMRワクチンによる無菌性髄膜炎の発生であった。しかし、ワクチン接種に伴う無菌性髄膜炎の発症は自然感染よりはるかにリスクが低いのです。

日本ではおたふく風邪ワクチンの接種は任意接種なので、経済的に受けられない子供がいたり、おたふく風邪ワクチンは危険である、といった間違った情報が流れてしまったりと、様々な問題を抱えています。日本でもできれば、2回接種を早期に定期接種化することが、必要になっています。


関連記事


情報提供元:マイナビウーマン子育て

更新日:2017年1月18日

この記事に投票する

回答せずに結果を見る

SNSでも新着記事をお知らせしていますmichill 公式アカウント

ログイン・無料会員登録