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【医師監修】とびひはどんな病気︖ 症状や感染経路を知って正しく予防しよう

目次

初夏から夏にかけて、小さな子どもがかかりやすい感染症の1つに、「とびひ」があります。ここでは、とびひがどういう病気なのか、とびひの原因、予防法、治療法などを紹介していきます。

この記事の監修ドクター 大越陽一先生 杏林大学医学部卒業、杏林大学医学部小児科学教室任期助教、埼玉県立小児医療センター循環器科医長を経て現在アルテミスウィメンズホスピタル小児科部長。小児科専門医

とびひを知ろう

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「とびひ」とは変わった病名ですね。まずはその病名の意味を解説しましょう。

とびひとは

とびひは、皮膚にできた小さな傷口から細菌が入り込み、水疱(水ぶくれ)や痂皮(かさぶた)ができる感染症です。引っ掻いたりすると、火事で火の粉が「飛び火」するように他の部位にも症状が広がることから、「とびひ」と呼ばれています。

医学的な病名は「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」です。膿痂疹とは、膿疱(水ぶくれの中に膿があるもの)とかさぶたが混ざっている状態を指す用語です。

黄色ブドウ球菌という細菌により引き起こされることが多いのですが、溶連菌(ようれんきん。A群β溶血性連連鎖球菌)という細菌が原因となる場合もあります。これらが接触によって人に伝染(感染)するため、「伝染性膿痂疹」といいます。

とびひには大きく分けて2つのタイプがある

とびひは10歳以下の子どもに多く、思春期以降には少なくなりますが、成人にみられることもあります。

とびひには症状によって、大きく2種類のタイプがあります。それぞれについて、詳しく解説していきます。

(1)水疱性膿痂疹(すいほうせいのうかしん)

子どものとびひに多いタイプで、6~7月の高温多湿の時期に増えます。日本国内で起きるとびひの多くがこのタイプです。暖房設備が充実したことと気候の温暖化のため、冬季の発症もみられるようになってきました。

このタイプの原因は通常、黄色ブドウ球菌という皮膚の常在菌(健康な人にも存在するありふれた菌)の1つです。近年は、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)という抗菌薬(抗生物質)が効きにくいタイプの細菌が原因の場合も増えています。

「水疱性膿痂疹」の症状

虫に刺された所を掻き壊したり、アトピー性皮膚炎のために皮膚のバリア機能が低下している部位から細菌が増殖し、発症します。一見なにもない所から発症し、誘因がはっきりしないこともあります。

感染した皮膚の角質層の下に水疱(みずぶくれ)ができます。かゆいからと掻くと潰れて赤くなり、かさぶたになります。水疱の中には細菌がいて感染力が強いために、掻いた時に指についた細菌が他の部分に広がり次々に増えていきます。また、接触によって他の人に感染することがあります。

(2)痂皮性膿痂疹(かひせいのうかしん)

非水疱性膿痂疹(ひすいほうせいのうかしん)とも呼ばれるとびひで、成人でも発症することがあるのは主にこちらのタイプです。季節性はあまりありません。

このタイプの原因の細菌は溶連菌が多く、アトピー性皮膚炎に合併する事が多いです。また、とくに衛生環境の良くない国でよくみられます。ただし、水疱性膿痂疹と同じ黄色ブドウ球菌により起こることもあります。

「痂皮性膿痂疹」の症状

前述の水疱性膿痂疹では「とびひ」するように広がるのに対して、こちらのタイプでは膿疱が一気に広がる傾向があります。かゆみは強くありませんが炎症が強く、膿をもった水ぶくれから厚いかさぶたができます。

また、リンパ節が腫れたり、発熱やのどの痛みを伴うことがあります。溶連菌が原因の場合には、合併症としてまれに腎炎が起きることもあります。

とびひのよくある経過と合併症、紛らわしい病気

とびひのよくある経過と、合併症、とびひと紛らわしい別の病気などについても解説します。

とびひの経過、潜伏期間は?いつごろ治るの?

とびひは、傷や虫に刺された箇所をかいたりなどして細菌に感染し、その数日から10日ぐらいたってから発症します[*1]。この潜伏期間がより長い場合もあります。

ただ、水疱性膿痂疹、痂皮性膿痂疹とも、治療をすれば1、2週間ほどで良くなる、予後の良い病気です(治療などについては、後半の「かかってしまった場合の治療法とは」で解説します)。

重症化や合併症に注意

ここまでで説明したとおり、とびひは基本的には皮膚に水ぶくれやかさぶたができる病気で、通常、薬で比較的時間もかからず治すことができますが、人によっては重症化しやすかったり、皮膚以外に症状が出たりする場合もあります。

アトピー性皮膚炎がある場合などには重症化しやすい

痂皮性膿痂疹の場合、もともとアトピー性皮膚炎がある人では重症になりやすい傾向があり、顔全体が厚いかさぶたに覆われるような場合もあります。

ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)

新生児や乳幼児では、とびひの原因細菌である黄色ブドウ球菌が作り出す毒素が全身に回り、ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群(SSSS)という合併症が起きることがあります。

この合併症になると、全身がヤケドしたように赤くなり痛みます。そして弱い刺激で皮膚に水ぶくれができたり、表皮が剥がれ落ちます(ニコルスキー現象といいます)。

皮膚の症状以外には、38℃程度の発熱、食欲不振などがみられます。

治療では、抗菌薬の点滴などをおもに行います。そのため入院が必要とされますが、ピークを過ぎると急速に良くなることが多いです。

腎炎

溶連菌による痂皮性膿痂疹では、とびひの症状が一段落した後に、糸球体腎炎という腎臓病が起きることがあります。これにより、血尿や蛋白尿、尿の減少、浮腫(むくみ)、高血圧などが現れます。

症状にあわせて、安静や塩分・水分制限、薬による治療を行うため、入院治療も必要になります。

多くは一過性の急性腎炎であり、治療により腎機能は元の状態に回復しますが、慢性腎炎に移行して長期間の治療継続が必要になることもあります。

とびひと間違いやすい病気とは

とびひは、症状や季節性などから診断され、多くの場合、診断は比較的簡単とされますが、紛らわしい病気と見分けるために、詳しい検査が必要なこともあります。

例えば、子どもの肛門のまわりなどに赤い水疱ができるカポジ水痘様発疹という病気や、高齢者では水疱性類天疱瘡や落葉状天疱瘡との鑑別が必要です。

とびひの予防法と治療法について

それでは、とびひにならないための予防対策、なってしまった場合の治療法について話を進めます。

とびひの予防法

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清潔に保つ

皮膚を清潔にすることが大切です。とくに夏場は1日1回は入浴し、汗をかいた後にはなるべくシャワーを浴びましょう。

あせもや虫刺されは早めに治療を

とびひの誘因の1つが虫刺され。外出の際には虫に刺されにくい服装をしましょう。虫に刺されてしまった箇所や、あせも、アトピー性皮膚炎などは適切に処置・治療して、皮膚のバリア機能を保ちましょう。 かゆい所を掻き壊さないように、爪は短く切っておくことも大切です。

なお、虫よけ薬は成分としてディート(DEET)を含むものは、6ケ月未満の乳児に使ってはいけません。6ケ月以上2歳未満では1日1回のみ使用可とされています[*2]。

ほかに乳幼児にも使える虫よけとして、肌に直接塗らずに衣服に吹きかけて使用するミストタイプ、服やベビーカーに貼るシールタイプなども市販されています。

鼻をいじらない

とびひの原因菌として多い黄色ブドウ球菌は常在菌です。つまり、体のどこにでもいる可能性があるのですが、鼻の中に多くいることがわかっています。鼻をいじった後、指に菌がついたままほかの場所を触って感染すると考えられます。 ですから、なるべく鼻はいじらず、こまめに手を洗うようにしましょう。

かかってしまった場合の治療法とは

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とびひは細菌感染症なので、原因細菌にあった抗菌薬(抗生物質)で治療します。最近は、メチシリンというブドウ球菌に効く抗生物質に耐性をもったMRSAによるとびひも増えているため、どの薬なら効果があるかを調べる「薬剤感受性検査」も行われます。

なお、とびひの症状が現われるのは皮膚ですが、細菌は全身にいるため、外用薬(塗り薬)だけでなく内服薬(飲み薬)も使われることがあります。治療を始めると数日で症状は軽快しますが、再発防止のため、そこからさらに2日ほど治療を続けます[*3]。

また、かゆみのために掻くことがとびひの拡大につながるため、かゆみ止め(抗ヒスタミン薬)が処方されることもあります。

水疱性膿痂疹の治療

水疱性膿痂疹は黄色ブドウ球菌によるものが多く、抗菌薬としてセフェム系という種類の薬が使われます。治療期間は7~10日ほどです[*3, 4]。

痂皮性膿痂疹の治療

溶連菌による痂皮性膿痂疹では、ペニシリン系という種類の抗菌薬が使われます。皮膚の症状だけであっても全身投与(内服などによる)が必須です。

治療期間は水疱性膿痂疹の場合よりも少し長く10~14日間です[*3, 4]。これは、前述のように痂皮性膿痂疹では皮膚症状が治まった後に腎炎が起きる可能性があり、その確率を下げるためです。

ホームケアについて

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かゆくても掻かないこと、もし掻いてしまってもなるべく水疱が潰れないようにしておくため、爪を短く切りましょう。

入浴またはシャワー浴で患部をよく洗浄してください。洗浄の際には、石鹸をよく泡立てて、その泡でそっと洗い、強くこすらず、その後は石鹸をよく洗い流すようにしてください。 タオルを共用しないことも大切です。

薬を塗ったり、リント布で覆った部分は、その上からガーゼを広くかぶせ、患部からの分泌液が漏れ出さないようにテープや包帯で固定してください。絆創膏は、蒸れて菌が増殖する可能性があるため使わないほうがよいでしょう。

兄弟やほかの人・子どもにうつさないために

とびひにかかった子どもを隔離する必要はなく、患部を外用薬で処置し浸出液が浸み出ないようにガーゼ等で覆ってあれば通園・通学も可能です。ただし、とびひの範囲が広い場合は保育園や学校は休ませたほうが良いでしょう。

プールや水遊びでの水を介して感染することはありませんが、肌が擦れ合うことがあるので、治癒するまで避けてください。

子ども同士でタオルや寝具は共用せず、洗濯も他の人とは別にして、洗濯後は日光によく干してください。

とびひが家庭内で子どもから親へ感染することはほとんどありませんが、兄弟間での家庭内感染は起こります。入浴を介した感染も完全には否定できないので、罹患している子どもは最後に入浴させるようにしましょう。

まとめ

とびひは、患部を掻き壊した手を介して、症状が他の部位にも広がったり、まわりの人に感染したりします。とびひかもしれないという症状があるときは、なるべく早めに医療機関を受診するようにしましょう。

(文:久保秀実/監修:大越陽一先生)

※画像はイメージです

参考文献 [*1]日本小児科学会学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説(2019年7月改訂版)p39 https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/yobo_kansensho_20190728.pdf [*2]南江堂「今日のOTC薬―解説と便覧― 改訂第3版」p.365,2015 [*3]医学書院「標準皮膚科学 第10版」p.50,405,414,2013 [*4]医学書院「今日の小児治療指針」p.575,2003

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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