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おとり広告は改善された? 違反の143社、抜き打ち調査の結果は

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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おとり広告の排除へ。143社に対し物件の抜き打ち調査を実施

住まいさがしには物件情報の比較検討が不可欠だが、その際、じゃまになるのが「おとり広告」。条件のよい架空物件やすでに成約済の物件を広告し、問合せがあれば来店させ、別の物件を勧める、というものだ。
従来から不動産公正取引協議会(以下、公取協)と不動産ポータルサイトが協力しておとり広告の排除に取り組んでいる。その一環として今年4月から7月にかけて賃貸広告の一斉調査が実施された。先ごろその概要が公表されたのでご紹介したい。

不動産ポータルサイトに掲載の143社を抜き打ち調査

おとり広告は、住宅を探している一般消費者にとってだけでなく、不動産事業者にとっても迷惑な存在だ。他社がありもしない物件や、成約済の人気物件をいつまでも広告しては、消費者はそのおとり広告につられて問い合わせをしてしまう。不動産業界では、おとり広告をなくすべく、多くの取り組みがなされている。

例えば、今年1月より首都圏公取協から厳重警告・違約金の措置を受けた不動産事業者は、SUUMO、LIFULL HOME’S、at homeなど主要な不動産ポータルサイトへの広告掲載ができなくなった。公取協と不動産ポータルサイトが連携して「おとり広告」排除に取り組んでいるのだ(参照/「おとり広告の排除へ。借りられない物件はなぜ広告される? 3つのワケとその対策」)。

スタートからもうすぐ1年。参加するポータルサイトも10サイトまで広がり、違反事業者への制裁効果はより強力なものとなっている。また8月からは近畿地区公取協でも同様の取り組みが始まり、現在6サイトが参加している(参照/「おとり広告はなぜ生まれる? 首都圏に続き近畿でも対策強化へ」)。

これに加えて新たな施策として実施されたのが今回の調査だ。「おとり広告ではないのか」といった指摘が入る前に能動的に物件が成約済か否かを確認する、いわば抜き打ち調査だ。
調査対象となったのは、過去に公取協から厳重警告・違約金の措置などを受けた事業者。「おとり広告」など違反広告をしていた可能性が高い事業者を対象として行われ、143社、929物件が対象となった。

違反事業者の業態は改善されたのか

今回の調査の目的の一つに「過去に違反した事業者の是正状況の確認」がある。公取協から厳重警告・違約金の措置を受け、不動産ポータルサイトへの広告掲載をストップさせられた事業者も、掲載停止期間が過ぎれば、再び広告掲載が可能になる(もっとも、掲載再開にあたっては、業態の改善状況や経営状態など、各不動産ポータルサイトの審査基準をクリアする必要がある。掲載停止期間が満了すれば自動的に広告掲載が可能になるわけではない)。

となると、もうおとり広告は掲載していないのかが気になるところだ。抜き打ちの広告調査により、そのチェックをするのも今回の調査の目的である。

おとり広告をやる事業者など、ずーっと広告掲載を認めなければいいではないか、と考える人もいるかもしれないが、そうとも言い切れないだろう。故意におとり物件を掲載するような事業者は論外だが、中には従業員数が少ないのに多数の物件を掲載していたため、成約済物件の削除が追い付かなかったというケースもある。人員を増員するなどチェック体制が整えば広告掲載が再開されてもよいだろう。家を借りる側にとっても、なるべく多くの選択肢の中から物件を選べることが望ましいからだ。

違反物件の割合は8.3%【画像1】調査物件数及び違反物件数と、調査事業者数及び違反事業者数(出典/首都圏公取協)

【画像1】調査物件数及び違反物件数と、調査事業者数及び違反事業者数(出典/首都圏公取協)

さて、気になる調査結果は、上の表の通りだ。929物件の調査に対し、78物件に「おとり広告」の違反が認められた。ランダムに物件を選んだ抜き打ち調査であることを考えれば、違反が8.3%に留まったことは広告の適正化が進みつつあることの現れという見方ができるかもしれない。

一方、今回調査対象となったのが、過去に公取協から注意を受けたことがある事業者なのであれば、より適正な物件情報の掲載・更新を、と考える人もいるだろう。人によって評価がわかれるところだろうと思う。

不動産広告の適正化をより一層進めていく

今後、おとり広告の排除に向けて、どのような対策がとられていくのか。首都圏公取協の事務局長の佐藤友宏さんにお話しを伺った。

【画像2】首都圏公取協の事務局長、佐藤友宏さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】首都圏公取協の事務局長、佐藤友宏さん(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

―― 公取協と不動産ポータルサイトが協力して物件調査を行うのは初めての試みですね。
そうです。私ども公取協でも従来から抜き打ち調査も含めた違反広告の調査を行っています。しかし、公取協の職員による調査だけでは、調査件数に限界もあります。今回、「ポータルサイト広告適正化部会」参加の5社の協力を得て、より多くの物件について一斉に調査できたことは、調査の網羅性を高めるという意味でも大きな意義があったと思っています。

―― 規約違反の可能性が高い事業者を調査対象としたとのことですが。
過去に表示規約違反による措置をうけたことがある事業者を中心に、調査を行いました。「ポータルサイト広告適正化部会」に参加する5社(※)が運営するサイトに広告掲載していた143社の物件から、ランダムに929物件を抽出して調査しました。

※アットホーム株式会社、株式会社CHINTAI、株式会社マイナビ、株式会社LIFULL、株式会社リクルート住まいカンパニー の5社

―― 32社、78件に違反が認められました。
おおむね改善に向けて努力して頂いていると考えていますが、残念ながら、まだ改善が不十分な事業者もあるようです。違反が認められた32社については、その内容に応じて一定の措置を講じていきます。特に悪質なものは事情聴取の対象とします。

―― 事情聴取の対象となった場合には行政にも報告されると聞いています。
都や県の宅建業法の所管課、景品表示法(※1)の所管課に加え、消費者庁、対象事業者が所属する会員団体へも、事業者名および違反内容を報告しています。極端に悪質なものがあれば、行政の方からも措置命令(※2)や監督処分がくだることも考えられます。

実際、8月には、おとり広告を理由に、県から景品表示法に基づく措置命令を受けた事業者もいます。

※1 「不当景品類及び不当表示防止法」。おとり広告など不当表示について規制している。

※2 不当表示の是正や再発防止等を命ずる行政処分のこと。消費者庁または都道府県からその企業名や違法行為の詳細が公表されるので、企業の信頼が大きく失われる要因になる。命令に従わない者には、罰則(2年以下の懲役又は300万円以下の罰金)もある。

―― 行政、公取協、不動産ポータルサイト、それぞれの立場から広告の適正化を図っていく、ということですね。今後もこういった調査を行っていくのでしょうか。
おとり広告の調査は、いろいろ難しい面も多々ありますが、管理会社などの協力も得ながら、今後も継続的に調査を行っていきたいと考えています。

おとり広告0の実現を目指して

不動産事業者、その従事者の方々の努力により、成約済物件などおとり広告が広告されることは以前と比べ減少しているのだと思う。大部分の事業者は日々、真面目に業務に取り組み、物件情報の更新にも力を入れている。今回の調査のような能動的な調査がある種の抑止力となり、おとり広告はさらに減っていくだろう。

とはいえ、まだ0となったわけではない。おとり広告が、多くの不動産広告の中から、自社の店舗に来てもらうために行われることを考えれば、相場よりも明らかに安すぎる家賃の物件については、一定の注意を払うことも必要だろう。

おとり広告を行う事業者の存在は、まっとうな事業者にとっても迷惑な存在だ。事業者間の公正な競争を害し、業界の信用を損なうからだ。おとり広告がなくなり、一般消費者も真面目な不動産事業者も安心できる日がくることを期待したい。

●取材協力
・首都圏不動産公正取引協議会 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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SUUMO

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