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家庭環境、ストレスが問題? チックの原因と正しい対応

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目次

子どもがよくやるまばたきや首をかしげる行為はクセだと思われがちですが、もしかしたらチックという症状の可能性もあります。チックは以前は親の育て方が問題と言われがちでしたが、実は原因はそれではなく、他のさまざまな原因がありました。チックは自然に緩和されていくものなので、親が指摘するとかえって逆効果になってしまいます。

この記事の監修ドクター

森若奈 先生 精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、日本医師会認定産業医。精神単科病院、総合病院、クリニック、産業医等様々な場での経験を活かし、現在は予防医学や早期介入にも力を入れている。 女医+(じょいぷらす)所属。

チックとは

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チックとはどんな疾患?

チックとは子どもに多く、だいたい5~10人に1人が経験するといわれている、一見すると普通の癖のように見える神経疾患です。症状は、自分の意思とは関係なく、突発的で急速な、反復性がある、リズムなく運動や発声が繰り返されます。乳幼児期からの心と体の成長に伴って見られ、大人になるにつれて普通は自然と消失します。しかし、まれに、学童・思春期まで続き、生活に支障が出る場合もあり、このように慢性化するものはチックではなく、「トゥレット症候群」と呼ばれます。

チック症は、動きが中心の「運動チック」と、発声が中心の「音声チック」の2つに分類され、さらにそれぞれに「単純チック」と「複雑チック」に分けられます。運動チックとは、多くは首から上の動作として症状が出ることが多いです。具体的には、瞬きを繰り返す、目を動かす、顔をしかめる、首を振る、肩をすくめる、などが「単純性運動チック」とされ、手足の動きや、ジャンプ、スキップなどに見える発作、物に触る、蹴るなどが「複雑性運動チック」に分けられます。

音声チックとは、単純性のもので発声、咳払い、鼻鳴らし、複雑性のもので、公共の場や人前で言うことではない汚言症、他人の言った言葉を繰り返す反響言語や、音声や単語の発声を繰り返す反復言語などがあります。チックは気持ちや体に負担がかかると増加したり、集中したりしていると減少し、また、通常睡眠中には減少します。

発症しやすい人・タイプとは?

チックの発症年齢は、3~4歳から始まり、特に6、7歳の学童期によく見られます。大部分のチックは10歳までに出現し、女子よりも男子に発症が多く、男女比は3対1とされています。 チック症は、対人関係が不器用である、不安やストレスを感じやすい、緊張を感じやすいなど、デリケートな子どもに発症しやすいといわれています。また、優しい性格の子も多いといった見方もあります。

チックは治る?

チックの大半は一過性の軽いものであり、成長を重ねるにつれてチック症が改善していくといわれています。慢性チック障害でも思春期が最悪の時期であり、思春期を過ぎると消滅することが多いです。しかしなかには、症状が進んだり、長期化したりして、トゥレット症候群と診断されてしまうケースもあります。そのようなときにはまず経過を観察し、本人がつらそうであったり、生活に支障が出るような場合であれば、薬物療法などを考えます。

この病気はくせのように見えるもので、見た目には病気だとわかりにくい症状なので、わざとやっているのではないか、悪意があるのではないか、などと誤解されることも少なくありません。しかし、そこで叱ったり、無理にやめさせようとするのは逆効果になってしまい、かえって悪化を招いてしまう恐れもあります。

チックの原因

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体質(遺伝的要因)が原因に?

原因は完全には解明されていませんが、65~90%に家系発症がみられることから、遺伝的要因があると考えられています。また、一卵性双生児の場合、一致率が53%と高く、二卵性双生児の場合は8%というデータも報告されています。さらに、原因として、大脳基底核のドーパミン神経受容体の異常が示唆されています。ドーパミン神経とは、情動、注意、意欲、報償(損害を償うこと)、依存、歩行運動などをつかさどる重要な神経のことです。このドーパミン神経系の活性低下にともなう受容体の過活動がチック症を促していると考えられ、これらのことから、チック症になりやすい性質を持っている親の脳の構造が子どもと似ていると遺伝しやすいのではないかと考えられています。

しかし、チックになりやすい因子(脳の体質)を持っていても症状を出す人と出さない人がいたり、また症状が出ても同じ症状とは限らず、違った形で症状が現れることもあるようです。ですから、親がチックだからといって必ずなるとは限らないようです。

精神的要因も?

チックは精神面によって発症する場合もあり、「緊張」との関係も大きいそうです。緊張感の上下が激しいときは、比較的チックの症状が出やすいようで、例えば人前で発言したりするときや、年度替わりでクラスや担任の先生が変わり、緊張感が前より強くなると、チックを発症する子が増える傾向があります。しかしその反対に、リラックスしている時に症状が多く出るタイプもあります。学校や保育園、幼稚園ではチックが目立たないのに家庭ではチックが多いことがあるのがこの例としてありますが、これは家庭に問題があるのではなく、むしろ学校などで緊張したあとでリラックスしたためです。

また、チックは心の負担にも左右されます。たとえば親や先生などに叱られたり、友達などに悪口を言われたりして心にマイナスの負担がかかったりすると、チックの症状が顕著に出ることもあります。緊張や不安だけでなく、楽しいことで気持ちが高ぶったときにもチックは増加する傾向にあります。テレビを観たり、ゲームをしたりしている時にチックが目立つことはよくあります。一方で同じように楽しいことに集中して作業をしているときはチックは減少する傾向にあります。

そして心の状態だけでなく、チックは疲労でしばしば増加して、発熱で減少することがあります。1日の中では夕方から夜にかけて増加する傾向にありますが、上記にも述べたように、睡眠中にはほとんど見られません。

クセや習慣が引き金になることも?

さらに、少数ですが、もともとのクセや習慣がチック症として進行してしまう場合もあります。例えば、社会的に広くみられる左利きの人に対する強引な矯正などでそのストレスの後遺症により発症することがあるとも言われています。また、結膜炎を生じた際の目のかゆみでまばたきしていたのがクセになったケースや、テレビの観過ぎによる目の疲れが原因となってチック症状が起こるケースもあります。

チックの症状自体もクセに見えるものが多いので、チックかクセか判断しづらい点も、チック症の難点といえます。

チックの対応

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チックかも?と思ったら

幼い子どもが行う動作が症状の中に多いため、「うちの子ももしかしたらそうなのかもしれない」などと心配されるお母さんも多いかと思います。チックは、単なるクセなのか非常に判断が難しい場合もあるうえ、程度の差もあるので、まずしばらくは様子を見ることが第一です。病気とはいっても、一種のクセのようなものでもある「チック」は、あまり神経質になる必要もなく、成長や時間とともに軽減、消滅していくものです。

ただし、本人が症状によってつらい思いをしていたり、生活面に支障がでたり、周りに迷惑がかかってしまうようでしたら、かかりつけの医師や、専門の小児精神科の先生に相談して、適切な診断とアドバイスをいただくのが最善でしょう。

チックと診断されたら

チックと診断されたらまず重要になるのは、子どもとの接し方や環境づくりです。チックというのは自分では止められないもので、親や先生に「やめなさい!」と叱られても逆効果です。悪いことをしているわけではないので、責めるような言い方をしたり、無理に行動をやめさせたりするようなことはしないようにしましょう。

過剰に反応するのではなく、見守る姿勢で、子どもの周りの環境から心の負担になっていると思われるものを取り除いてあげましょう。声掛けをする際は、「つらくない?」、「痛くない?」などと、子どもの気持ちに寄り添った声掛けを心がけてください。本人がチックの症状を意識しないよう、運動で発散させたり、何か熱中できるものを与えたりして挙げるのもよいでしょう。

また、学校や幼稚園、保育園の先生に前もって症状について話し、理解ある対応をお願いすることも、子どもが精神的に傷つくことのないように、あるいは自信をもって本人の力を発揮できる生活を送れるよう、サポートすることもとても重要です。

慢性化、重症化したチックの場合、心理療法と行動療法が用いられます。中でも有効なのが、行動療法の1つである、「習慣逆転法(ハビットリバーサル法)です。この治療法は、意識化練習、拮抗反応の学習、リラクゼーション練習、偶然性の管理、汎化練習の5つのステップをマスターすることで大きく症状が改善するといわれています。

チックは基本的には薬物療法の対象とならない疾患ですが、日常生活に支障をおよぼすほど重症な場合に限り、薬物療法がおこなわれます。用いられる薬には、ドーパミンの過剰な働きを抑制する「ハロペリドール」などがあります。

まとめ

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チック症を緩和するには、周囲の理解が必要です。子どもが幼いうちはあまり気にする必要はないと思いますが、成長するにつれ、チックの症状に神経質になる子どもも多くいます。その1つの理由として、精神的にも身体的にも敏感な時期に、学校などの集団生活で、チック症の症状が出ることへの不安やいらだちがあります。そういった時期に「周りから変に思われるからやめなさい」「気をつけなさい」と注意することは決してしないでください。本人は無意識にしてしまっているため、やめたい気持ちと裏腹に、勝手にチックの症状が出てしまいます。そのことがストレスとなり、心への大きな負担となってしまうからです。

かつてはチックの原因は親の過干渉や親子関係が原因とされており、つい指摘をしてしまいがちですが、以前も現在も、チックは親の育て方が悪くて発症するものではありません。チックはいずれ自然と改善することが多いので、症状が現れたら、周囲が過剰に反応するのではなく、症状に理解を示し、注意したりせずにしっかりと向き合い、ストレスや負担を取り除く努力をしましょう。

また、慢性化・重症化してしまいそうになったら、早めに専門医に適切な診察を受けることも大切です。チック症と正しく向き合い、医師や家族や周りの人の理解を得ながら経過を見守っていきましょう。


情報提供元:マイナビウーマン子育て

更新日:2017年1月19日

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