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【医師監修】ほうじ茶のカフェインは大丈夫? 妊婦や赤ちゃんへの影響について

目次

今回は、妊婦さんや子供にやさしいイメージのあるほうじ茶に着目します。妊娠中や小さい子供に飲料を与えるとき、まずは気になるカフェイン関連の情報からまとめ、ほうじ茶に含まれるカフェイン以外の成分や取り入れ方のコツも紹介します。

この記事の監修ドクター 浅川恭行先生 平成5年 東邦大学医学部卒業、同東邦大学大学院医学研究課入学、横須賀聖ヨゼフ病院を経て平成21年より東邦大学医療センター大橋病院 産婦人科講師。平成23年より医療法人 晧慈会 浅川産婦人科 理事。平成28年より同産婦人科、理事長、院長。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本内視鏡外科学会技術認定医、日本産婦人科医会幹事、日本産科婦人科内視鏡学会理事、日本女性医学会 評議員

まずは気になる妊婦さんのカフェイン摂取についておさらい

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妊婦さんはカフェインNG?

妊娠中や小さい子供の飲み物で、まず気になるのは「カフェイン」を含むかどうかではないでしょうか。カフェインは、コーヒーをはじめ、紅茶、緑茶、玄米茶、ウーロン茶などのお茶のほか、栄養ドリンク(エナジードリンク)や清涼飲料水にも含まれています。のちほどくわしく紹介しますが、今回のテーマである「ほうじ茶」にもカフェインは含まれています。

カフェインには、中枢神経系の刺激(興奮)、急激な血圧の上昇、代謝率の上昇、利尿(尿が出やすくなる)など、さまざまな作用があります。そして、過剰に摂取した場合、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠症、下痢、吐き気などの症状を引き起こし、健康に害を及ぼす可能性があります。

そのため、世界保健機関(WHO)をはじめとする各国の保健機関は、妊婦、授乳中の女性、または子どもに対して、1日当たりのカフェイン摂取量を制限するよう助言しています。しかしカフェインの影響には個人差があること、胎児への影響がまだ確定していないことなどから、それらの見解には差がみられます。

参考までに、主な機関が公表している「1日あたりのカフェイン摂取量」の制限を紹介しましょう[*1, 2, 3]。

世界保健機関(WHO) 妊婦に対しては「コーヒーを1日3〜4杯まで」(カフェイン摂取量の記載はなし)。

米国保健福祉省(DHHS)・農務省(USDA) 健康な大人の適正なカフェイン摂取量は、1日当たりコーヒー3~5杯またはカフェイン400 mgまでとしています。

欧州食品安全機関(EFSA) 妊婦・授乳婦については1日当たり200 mgまでとしています(妊婦以外の大人の場合は、1日当たり400 mgまで)。なお、子どもについては、長期カフェイン摂取に関する研究が少なく根拠は確実ではないと断ったうえで、体重1kgあたり1日3 mgであれば悪影響はみられないと考えられるとしています。

英国食品基準庁(FSA) 妊婦については、1日当たり200mg(コーヒーをマグカップで2杯程度)までとしています。

豪州・ニュージーランド 妊婦さん向けの記載はありませんが、大人に対しては210 mg(インスタントコーヒー約3杯)までとしています。子どもについては、体重1kgあたり1日3 mgまで。5~12歳の子どもに対しては、1日当たり95 mg(コーラ飲料なら約2缶相当)。

カナダ保健省 (HC) 妊婦、授乳中、妊娠を予定している女性については、300 mg/日(コーヒーなら、237ml×2杯程度)まで。健康な大人については、400 mg/日(コーヒー237 ml×3杯程度)までとしています。なお、4~6歳の子どもは45mg/日、7~9歳の子どもは62.5mg/日、10~12歳の子どもは85mg/日まで(コーラ飲料なら355ml缶1~2缶くらいまで)としています。

日本では厚生労働省がカフェイン過剰摂取について注意喚起しており、その中で上記の目安が紹介されています[*4]。

このように、妊婦さんはカフェインを一切摂取してはならないというわけではなく、問題がないと考えられている摂取量の目安を意識して、適度な摂取にとどめるよう心がけることが大切です。

カフェインの摂取量にはどうして制限があるの?

さきほど、カフェインの過剰摂取は、めまい、心拍数の増加、不眠症、下痢、吐き気などの悪影響を引き起こす可能性があると紹介しましたが、妊婦さんが過剰に摂取した場合は、妊娠中・出産・産後に起こるさまざまな異常のリスクを高める可能性があるとされています。

とくに、大量のカフェイン摂取は低出生体重児のリスクを高めるという報告があります。また、喫煙している女性ではカフェインの摂りすぎにより胎児の発育不全のリスクが増加すると言われています[*5]。カフェインは自然流産や早産のリスクに関連しているという報告もあります。ただ、これについては、関連は認められない/十分な証拠がないとする報告もあります。

これらの関連を考慮して、WHO含め各国の保健機関は、妊婦さんに勧められるカフェイン摂取の上限量を公表しているわけです。ただ、カフェインによる影響には個人差も大きく、因果関係がはっきりしていないことも多いため、紹介したとおり機関によって推奨量には多少ばらつきのある状況になっています。

ほうじ茶もカフェインを含んでいる

さて、ここからは今回の本題である「ほうじ茶」について、ほうじ茶が含むカフェインの量から紹介していきましょう。先ほど紹介した海外のカフェイン摂取量の上限値は、だいたいコーヒー何杯という単位で表されていました。そこで、ほうじ茶ではどれくらいの量に相当するのかを概算してみました。

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ほうじ茶のカフェインの量は?

まず、ほうじ茶に含まれるカフェイン量は、文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」によると、20 mg/100 mLとされています(コーヒーは60 mg/100 mL)。

欧州食品安全機関、英国食品基準庁、カナダ保健省によると、妊婦さんに推奨されるカフェイン摂取量の上限は1日当たり200〜300mgです。つまり、ほうじ茶としては1,000〜1,500 mLになり、湯飲み1杯を150 mLとすると、およそ6〜10杯程度に相当します(※茶葉の種類や抽出方法によってもカフェインの含有量は異なります)。

参考までに、他の飲料に含まれるカフェイン量の目安と比較してみましょう[*6]。 ・コーヒー:60 mg/100 mL(コーヒー粉末10 g、熱湯150 mL) ・インスタントコーヒー:57mg/100mL(熱湯140mLにインスタントコーヒー2 g使用した場合) ・せん茶:20 mg/100 mL(浸出法:茶10 g、90℃ 430 mL、1分) ・ほうじ茶:20 mg/100 mL(浸出法:茶15 g、90℃ 650 mL、0.5分) ・玄米茶:10 mg/100 mL(浸出法:茶15 g、90℃ 650 mL、0.5分) ・ウーロン茶:20 mg/100 mL(浸出法:茶15 g、90℃ 650 mL、0.5分) ・紅茶:30 mg/100 mL(浸出法:茶5 g、熱湯360 mL、1.5~4 分) ・ココア(※粉末の純ココア):200mg/100 g ・麦茶:0 mg/100 mL(市販品6製品の成分を分析した結果[*8])

乳幼児への影響は?

カフェインには、覚醒度を高め、睡眠を妨げる作用が知られており、実際、乳幼児がカフェインを含む飲料を摂取すると、睡眠量に影響することが指摘されています。ただ、授乳中の母親が摂取したカフェインのうち母乳に移行する量は一般に1%未満と少なく、少量のカフェインは乳幼児に有害な影響を与えないという報告もあります[*7]。

授乳中については大量に摂取しなければ、過剰に不安になる必要はないようですが、カフェインにはさまざまな作用があるだけでなく、乳幼児では、成人に比べ、体内のカフェイン代謝(排泄)が遅いことが知られています。つまり、乳幼児ではカフェインの作用が成人よりも長く続く可能性があるため、摂取量には注意することが大切です。

さて、日本の乳幼児は、カフェインを含む飲料をどれくらい摂取しているのでしょうか。乳幼児(0〜6歳)をもつ東京都の母親280人を対象に行ったアンケート調査によると、カナダ保健省が提唱する最大摂取量(1日当たり2.5 mg/体重[kg])を超える可能性のある乳幼児が夏季(8月)に8.2%、冬季(12月)に10%いるということが報告されています。この調査では、母親の3人に1人近くは子どもに与える飲料中のカフェインについてほとんど意識していないこともわかりました。また、この調査でほうじ茶について、カフェインが含まれていると回答した母親の割合は、自宅で入れたもの・市販品ともに20%程度にとどまっていることもわかりました[*8]。

体にやさしいイメージのあるほうじ茶ですが、茶葉を使用しているため、比較的少量であってもカフェインを含んでいます。妊娠中だけでなく、乳幼児に与える場合にも各飲料が含むカフェイン量に少し注意を向けるようにしましょう。

乳幼児もほうじ茶を飲める?

お茶の中ではカフェイン量が比較的少ないとされるほうじ茶ですが、それでもカフェインは含みます。赤ちゃんが摂取するカフェインをできるだけ減らしたい場合、市販されている乳幼児向けのほうじ茶を選ぶこともできます。代表的な製品をいくつか紹介しましょう。

・ピジョン:赤ちゃんのベビーほうじ茶 一般向けほうじ茶と比べて低カフェイン。メーカーによると、カフェイン量は一般的なほうじ茶のおよそ1/3とのこと。 https://amzn.to/2Yotris

・和光堂飲みたいぶんだけ ほうじ茶 使い切りの個包装タイプ粉末。カフェイン量は一般的なほうじ茶の半分以下に抑えている。 https://amzn.to/2XFDodW

ほうじ茶に含まれるカフェイン以外の成分

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ほうじ茶をはじめ、お茶にはカフェイン以外に、ビタミン類、ミネラル類、食物繊維、タンニン、アミノ酸などの成分も含まれています。

妊婦さんにうれしい成分:ピラジン

ピラジンという名前を聞いたことはありますか?ピラジン類は高温で焙煎されるほうじ茶などの独特な香りをつくる主要成分です。ピラジン類にはさまざまな作用がありますが、そのひとつとして血液を流れやすくする作用があると言われています。また、ピラジン類の一種である2,3-ジメチルピラジンには睡眠を持続させ、脳の鎮静効果もあることが知られています[*9]。

少し注意が必要な成分:カテキン・タンニン

ほうじ茶に含まれるカテキン(お茶の渋味成分。酸化するとタンニンになる )は、抗酸化作用、抗がん作用、コレステロール調節作用、血圧上昇抑制作用、殺菌作用があるとされ、生活習慣病に対する予防効果が研究されています。ほうじ茶に含まれるタンニンの量は、浸出液100mL当たり40mgで、煎茶の70mgよりは少ないものの、玄米茶の10mgよりは多めです[*10]。

さまざまな有益な作用がある一方で、このカテキン(タンニン)には鉄の吸収率を低下させる可能性があるとも報告されています[*11]。妊娠中は鉄欠乏性貧血になりやすいものですが、食事中やその前後には、タンニンを多く含む濃い緑茶、紅茶・コーヒーなどは避け、できるだけ薄めに入れるか、カテキンを含まない飲料(麦茶など)を選んだほうがよいでしょう。

ほうじ茶を上手に取り入れよう

比較的少量のカフェインは含まれていますが、独特な香気を楽しめるほうじ茶。妊娠中や授乳中、育児中に飲む場合は、さまざまな飲み物から摂取する全体のカフェイン量に注意し、できるだけ推奨されている上限量を超えない範囲でほうじ茶を楽しむ飲むようにしましょう。また、「カテキン・タンニン」の項で紹介したとおり、食事中やその前後にはあまり濃く入れたものは避けた方がよさそうです。カフェインの覚醒作用による影響を避けるために、夜間もはあまり飲まないようすることをお勧めします。

まとめ

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ほうじ茶は、香ばしい香りがなんとなく気持ちを穏やかにしてくれるだけでなく、実際、体にうれしい影響を及ぼす成分が含まれていることも紹介しました。ただし、比較的少ないとはいえ、ほうじ茶もカフェインを含むのは事実です。妊娠中はとくに、特定の飲み物ばかりを大量に飲むよりも、コーヒーのようにカフェインの多いものは一日の摂取上限量に注意しながら、麦茶、タンポポコーヒー、黒豆茶、ルイボスティーなどのノンカフェイン飲料で口に合うものを組み合わせて、心も体もリラックスできるティータイムを楽しんでみてはいかがでしょうか。

(文:小林晋三/毎日新聞出版MMJ編集部/監修:浅川恭行先生)

※画像はイメージです


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