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一度身についた常識を変えるのは、並大抵のことではない。
そう話すのは、日本プロゴルフ協会A級ティーチングプロの小宮拓郎氏。
これまで何人ものアマチュアゴルファーを指導してきたが、当たり前の常識だけを教えても、なかなか“
本当の理解”
に到達しなかったそう。
しかし、「そんなのアリ!?」という想定外の驚きが伴うと、人もスコアも変わっていくのだ。
朝イチに全力でドライバー練習してはダメ!
スポーツは努力と根性で上手くなる。そんな大昔の“
当たり前”
を信じている人は、さすがにもういないだろう。
しかし、一度身についたクセはなかなか抜けないもの。真面目に努力してさえいれば、いつかは上手くなると信じて疑わない人も多いのではないだろうか?
スキルアップに努力は欠かせないが、それは正しい努力を続けた場合にのみ当てはまる。間違った努力は、いくらやっても時間のムダだ。
しかも、タチの悪いことに、そういった間違いほど、なかなか直せなかったりする。
たとえば、ラウンド前の練習でドライバーから振り始める人。「当たり前でしょ?」という声が聞こえてきそうだが、小宮プロは、準備体操もそこそこに全力でスイングするのはNG、練習になるどころかフォームをかえって崩しかねないと話す。
朝イチの練習はパターから始めるのが正解。カラダのほぐれていない朝は、動きの小さな短いクラブから練習して徐々にカラダを温め、最後にドライバーの練習をする。
その際も、全力で振らずにリズムを確認する程度にしておくこと。ラウンド最初のショットのために、いいイメージを思い描いてティーグラウンドに向かうと良いそうだ。
ボールを見過ぎるとミスにつながる
「ボールをよく見て打つ」とは、野球にしてもテニスにしても一般的に言われるアドバイスだ。ゴルフでも、言われたことがある人もいるだろう。
ゴルフのショットの基本は、構えた状態と同じ形でミートさせること。言い換えれば、実際にショットするときに、クラブを構えた形と違うとミスショットの原因となる。
だからアマチュアゴルファーは、ミート精度を上げるため、振り始めからインパクトの瞬間まで、ボールをよく見てスイングしがちだ。
しかし、バックスイングをしたときにボールを「見過ぎる」と、ミスにつながりやすいのだ。
バックスイング時に、左肩越し(右利きの場合)にボールを見ていると、そこにクラブを振り下ろしたくなる。だが実際に、クラブを握っているグリップを振り下ろすのは、左肩で見えなくなっている場所。クラブヘッドはボールに向かっていかなくてはならないが、グリップを振り下ろすのはもっと手前なのだ。
見えているボールに振り下ろす意識が強いと、グリップをボールに向かわせて、クラブのライ角が合わずにミスショットにつながってしまう。
だから、小宮プロは「ボールを見るのはいいが、見過ぎるのはよくない」とアドバイスする。
正しい理解こそが、正しい常識を作るのだ。
アゴ高のバンカーは、後ろに出しちゃえ!
運悪くバンカーに捕まった。しかも、目の前には大きなアゴが待ち構えている。
「さて、ここを越えてグリーンにのせることができるか……」
イチかバチかの難ショットにチャレンジする、それもゴルフの醍醐味だろう。しかし、1打で脱出できる保証はどこにもなければ、そもそも、そんな難しいショットを練習したことなど、ほとんどないはずだ。
そんなときは「後ろに出しちゃえ!」で問題解決。プラス1打でライのいい状態からアプローチできるのだから、これほどオトクなことはない。言われてみれば「その手があったか」と思わなくもないが、「ゴルフはカップに近づけるように打たなくてはいけない」という思い込みにとらわれていると、なかなか思いつかない技である。
「ほとんど努力をしなくても、考え方ひとつでスコアをまとめることができる」とは、こういうことなのだ。
数多くのレッスンを通して小宮プロが編み出した「ズルい」技。「ズルい」とは、ルール違反ではなく、誰もがとらわれている常識を問い直すという意味だ。
TJ MOOK『ズルい!ゴルフ技大全 保存版』では、年間3000レッスンの実績を持つ小宮拓郎A級ティーチングプロが、目からウロコの「ズルい」技、アイデア練習法を紹介している。
硬直化している頭とカラダを柔らかくして、楽しいゴルフを目指してもらいたい。
TJ MOOK『ズルい!ゴルフ技大全 保存版』
小宮拓郎 監修
この記事のライター
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