【医師監修】子供も花粉症になる?何歳から? 大人との違い、花粉症だと思ったらやること

更新日:2020年6月6日 / 公開日:2020年6月6日

春の訪れを感じさせる風物詩と言えば、昔なら春一番やつくしの子などでしたが、今は花粉症の症状で春を知るという人も少なくありません。そして最近は、子供の花粉症も増えているとのこと。大人とは少し異なる注意点もあるようです。

この記事の監修ドクター 梁尚弘先生 りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

花粉症は何歳からなるの?

花粉症はアレルギーによる病気。花粉に対して体の中にできる抗体が一定量を超えると花粉症を発症します。作られる抗体の量が限界を超えるには年月がかかるため、従来、子供は花粉症にならないと考えられていました。ところが花粉症の発症年齢は、年々低下しているようです。

小さくても花粉症になる子が増えている

1998年と2008年に花粉症有病率の全国調査が行われ、その結果、1998年に7.2%だった5~9歳の有病率が、2008年には13.7%に上昇していました。また同様に、10~19歳でも16.7%から31.4%に増えています[*1]。さらに、1~2歳で花粉症を発症したとの報告もみられるようになっています。

こんなしぐさに注意!子供と大人の花粉症、どう違う?

子供の花粉症は大人の花粉症と少し症状が異なります。

子供の花粉症、ここが大人と違う

花粉症の一般的な症状と言えば、くしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが特徴。子供も基本的には同じですが、鼻の症状に関しては、大人は鼻水が多いのに対し子供は鼻づまりが多い傾向があり、鼻のかゆみも子供でよくみられます。

子供の症状に気づいてあげられるのはママやパパ

このような症状が現れると、成人であれば当然のように「また花粉症の季節が来たな」と気づくのですが、子供は何が起きているのかわからず、症状を訴えず、鼻や目をこすったり、鼻水をすすったり、口を開いて呼吸をしていることがあります。顔をしかめたり、鼻をくんくんするといったしぐさや、いびきがひどくなることも。そういった変化に気づいたら、花粉症を疑って医療機関に連れて行きましょう。 花粉症のためによく眠れず日中にボーっとしていたり、食欲が低下したり、イライラしやすくなったり、風邪をひきやすくなるといった影響も心配です。

花粉症のために学習に集中できないことも

お子さんが花粉症であることに気づかないままだと、集中力が保てずに勉強に身が入らず、成績の低下も心配されます。実際に花粉症と学業成績の関連を示したデータも報告されています。

風邪や他の病気との見分け方

花粉症でみられる鼻水や鼻づまり・くしゃみなどは、風邪などでも現れます。花粉症とほかの病気の違いについて解説します。

花粉症では基本的に鼻水は透明で熱はないことが多い

風邪との違い

まず、風邪と花粉症の違いですが、風邪の場合、鼻水に黄色か緑色の色がつくことが多く、痰や咳が出たり、発熱、場合によっては下痢がみられます。それに対して花粉症では、水っぽい透明の鼻水が出て、目のかゆみ、涙目などが主症状です。 また、花粉症は春を中心とした花粉が飛散する時期に限られるという季節性があります。ただし、スギ以外の花粉にも反応してしまう人では、季節性が少ないこともあります。

通年性アレルギー性鼻炎との違い

ダニやカビなどに対するアレルギーのため、症状が1年中続いてしまう通年性アレルギー性鼻炎も花粉症に似ている病気で、花粉症と併発することもあります。どちらもアレルギーの病気なので症状は似ていますが、通年性アレルギー性鼻炎では朝起きた直後に発作のように強い症状が現れることがあります。

副鼻腔炎との違い

鼻の奥の粘膜に炎症が起きる副鼻腔炎では、粘り気のある鼻水が出たり、頬のあたりや歯が痛んだりすることがある点が、花粉症との違いです。

子供では他のアレルギーとの関連が強い

喘息、アトピー性皮膚炎とのアレルギーマーチ

花粉症を含むアレルギー性鼻炎と同じアレルギー性の病気の中で、子供に多い病気として、喘息やアトピー性皮膚炎があります。これらの病気は1人の子供に時期をずらして発症することがあり、これを「アレルギーマーチ」と呼ばれています。 具体的には、小児喘息の70~80%がアレルギー性鼻炎を発症し、アレルギー性鼻炎の20~30%が気管支喘息を発症。そして、アトピー性皮膚炎の子供の約30%はスギ花粉症を発症するという報告があります。[*1]また、花粉症によってアトピー性皮膚炎の症状がひどくなったり、花粉症を治療することで喘息のコントロール状態が改善したりします。

花粉症から食物アレルギーに

花粉に対する抗体が、ある食べ物に対しても反応してしまい、食物アレルギーの症状が現れることもあります。シラカンバ(白樺)の花粉に対する花粉症で起こりやすく、リンゴ、桃、サクランボなどを食べた後に多いと報告されています。症状は、それらの食べ物を食べた後に、口の中がかゆくなったり、喉の違和感を感じたりといったことです。このような花粉症との関連で生じる食物アレルギーは、ほとんどの場合一時的なもので、時間がたつと治まります。

花粉症が意外な病気につながることも

子供の花粉症で鼻づまりが強いと副鼻腔炎や中耳炎、扁桃炎、時には呼吸障害や成長障害を起こすことがあります。そのような強い鼻づまりが続いていて薬物治療の効果が十分でない場合は、鼻の奥のかたちを整えたり、レーザーで焼く手術を検討します。

そもそも花粉症って、どんな病気?

さて、ここまで花粉症という病気そのものの解説をしっかりせずに話を進めてきました。とても多い病気のため、だいたいのことはおわかりになっていると思いますが、改めて簡単に解説しておきます。

花粉症はアレルギーの病気

花粉症はその名のとおり、花粉が原因となって起こります。体に侵入しようとする細菌やウイルスを排除する仕組みである免疫が、とくに問題のない花粉に対して過剰に反応してしまい、抗体を作り花粉を外に追い出そうとする病気です。その結果、くしゃみ、鼻水、涙などのアレルギー症状が起きます。

原因がスギ花粉だけ、シーズンは春だけとは限らない

原因となる花粉の種類としてはスギがよく知られていますが、スギ花粉はヒノキ花粉と交差抗原性※があります。どういうことかというと、スギ花粉に敏感に反応してしまう人は、ヒノキの花粉にも反応してしまいやすいということです。 スギ花粉の飛散時期は2~4月ですが、ヒノキは5月まで続きます。スギやヒノキ以外にも、イネ科の植物の花粉症もあり、その場合、秋まで症状が続きます。

※交差抗原性:原因となるもの以外でも、構造が似ているもので症状が出る

花粉症が増えている原因は、実はよくわからない

日本で花粉症が増えている原因は、実際のところよくわかっていません。戦後に植林したスギが成長して花粉を飛散させるようになったこと、大気汚染、栄養が豊か過ぎる食生活や感染症が減った影響で免疫が過剰に反応しやすくなっている可能性、住宅構造が密閉化され花粉が室内にとどまりやすくなったことなど、さまざまな理由が想定されています。

子供が花粉症かもと思ったらどうすればいい?

では、花粉症の治療へと話を進めていきます。

受診科は小児科、耳鼻咽喉科など

どの診療科に受診すべきかですが、まずは小児科でよいでしょう。また、鼻症状が強ければ耳鼻咽喉科、目の症状が強ければ眼科と判断しても構いません。

花粉症かどうかはどうやって調べるの?

大人の花粉症は毎年のことなので症状と季節性からだいたい判断できますが、子供の場合、花粉症と思われてもほかの病気の可能性を否定する必要性が高いため、より詳しい検査が行われます。 鼻の中を観察し、鼻水の中の細胞を調べたり、血液をとって抗体を調べる検査なども行い、それらの結果を総合的に判断します。

花粉症はどうやって治療するの?

花粉症の治療は、花粉を避けることと薬物治療が柱で、それに最近ではアレルゲン免疫療法も行われるようになっています。

できるだけ花粉を避ける

花粉に対するアレルギー反応が花粉症ですから、花粉をできるだけ避けることで症状を抑えられます。

花粉飛散予報を活用する

天気予報とともに最近は花粉飛散予報が流れます。花粉の飛散量が多い日は、あまり外で遊ばせないほうがよいでしょう。

外出時はマスク、眼鏡、帽子

外出の際にはマスクを着用し、できれば眼鏡や帽子も使ってください。衣服はつるつるした材質のものがよいでしょう。

帰宅したら花粉を落とす

帰宅したらまず玄関先で衣服と帽子をはたき、それらは玄関にかけて室内には入れないようにします。また、全く症状をなくすことはできませんが、すぐに顔を洗い、うがいをすることで、多少の症状の軽減が期待できるでしょう。

洗濯ものは部屋干し

花粉シーズンは洗濯物を室内で干すことをお勧めします。

空気清浄機や加湿器を使う

空気清浄機を使ったり加湿器で湿度を上げると室内に舞う花粉の量を減らせます。ただし湿度が高すぎるとダニやカビが増えやすく、通年性アレルギー性鼻炎ではそれが症状に影響してしまうことに配慮してください。

床や畳を塗れた雑巾で拭き掃除

床や畳を濡らした雑巾で拭きましょう。乾いた雑巾では花粉が舞ってしまいます。

そのほかの工夫

鼻粘膜の状態をよくするため、ストレス、睡眠不足などの悪化因子を避けましょう。軽い運動なども勧められるので、花粉対策をした上で体を動かしましょう。

薬物治療

花粉症の薬には、飲み薬、鼻噴霧薬(点鼻薬)、点眼薬があり、症状によって使い分けたり併用したりします。 薬の成分としては、抗ヒスタミン薬と言われるアレルギー症状を引き起こすヒスタミンという物質の作用を抑える薬を中心に、炎症を抑えるステロイド薬、ヒスタミンとは別のアレルギーを起こす物質であるロイコトリエンの作用を抑える薬などが使われています。 なお、一部の抗ヒスタミン薬は、オレンジやリンゴ、グレープフルーツなど果物ジュースと一緒に飲むと、作用が低下してしまいます。薬は水か白湯で飲みましよう。

鼻噴霧薬や目薬の使い方

小さなお子さんで、鼻噴霧薬や目薬を自分で使えない場合は、大人がさしてあげてください。鼻噴霧薬は鼻をかませた後に使います。目薬をさすときに目をつぶってしまう子供が少なくないですが、目の周辺を清潔にし、閉じた目の上から目頭付近に薬液を落とし、瞬きさせれば大丈夫です。

花粉飛散前から薬で治療を始めたほうが効果的?

花粉症の治療は、花粉飛散シーズンの少し前からスタートしたほうが効果的と言われています。ただし子供の場合、その効果を示した科学的データがまだなく、また最近は飲んだらすぐに効く薬が増えてきたので、必ずしも飛散前に治療をスタートしなければいけないわけではないという考え方も出てきています。

いつから治療を開始するかは医師とよく相談して決めてください。そうするためには、やはり早めに受診しておいたほうがよいかもしれませんね。

アレルギー反応を少しずつ鈍らせる「アレルゲン免疫療法(減感作療法)」

花粉症を完治させることができるかもしれない治療法として、アレルゲン免疫療法があります(以前は減感作療法と呼ばれていました)。この治療法は、アレルゲン(花粉症の場合は花粉)を、アレルギー反応が起きない程度のごく少量ずつ体に入れ、体をアレルゲンに慣れさせる治療です。

アレルゲンを体に入れる方法としては、注射による方法(皮下免疫療法)と、舌の下に薬を含み、しばらくそのままにしたあとに飲み込む方法(舌下免疫療法)の2種類があります。どちらも数年間継続が必要で、行ったからといって必ず花粉症が治るというものではありません。また、実施にはいくつかの条件があります。

まとめ

花粉症といっても、大人の場合と子供の場合では、いろいろな面で違いがあります。親が花粉症で「花粉症についてはよく知っている」と思っても、自分の経験をそのままお子さんに当てはめられるわけではありません。医師の診察をきちんと受けて、正しい治療を続けていってください。

(文:久保秀実/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献 [*1]小児科58(8),p.769,2017.小児の花粉症

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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