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【医師監修】子供の便秘のサインと危険な便秘の見分け方、予防法と対処法

目次

便秘は大人の病気だと思っていませんか? いえいえ違います。子供にも便秘は起こります。また最近は子供の便秘が増えているとも言われます。大人の便秘とは違う注意点も。その特徴と予防法、対症法を解説します。

この記事の監修ドクター 梁尚弘先生 りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

そもそも「便秘」とは?

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「便秘」という言葉は古くから一般的に使われてきた言葉ですが、人によって定義や捉え方が少し異なることもあります。医学的には、便秘は「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」とされ、病気や症状を指すのではなく、「状態」を指す言葉として定義されています[*1]。 このような状態として具体的には、子供の場合、例えば排便時の肛門の痛みで泣き出したり、いきんでも排便できなかったり、肛門が切れて血が出るような場合が当てはまります。

「慢性便秘症」では、どの程度うんちが出ない?

4歳未満の場合

少し専門的になりますが、4歳未満の子供の場合、以下の項目の少なくとも2つが1ヶ月以上続いていると「慢性便秘症」と診断されます[*2]。

1.1週間に2回以下の排便 2.トイレでの排便を習得した後、少なくとも週に 1 回の便失禁 3.過度の便の貯留の既往 4.痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往 5.直腸に大きな便塊の存在 6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往

なお、乳児では排便が週2回以下、あるいは硬くて痛みを伴う排便で、かつ上記うち少なくとも1つがある場合、便秘とみなされます。

4歳以上の場合

一方、4歳以上の小児では、少なくとも2ヶ月にわたり週1回以上の頻度で、下記の項目の2つ以上に当てはまり、かつ過敏性腸症候群の基準※を満たさないこととされています。

1.1週間に2回以下のトイレでの排便 2.少なくとも週に1回の便失禁 3.便を我慢する姿勢や過度の自発的便の貯留の既往 4.痛みを伴う、あるいは硬い便通の既往 5.直腸に大きな便塊の存在 6.トイレが詰まるくらい大きな便の既往

子供の便秘は珍しい?

子供の便秘は決して珍しいものではなく、10人に1人かそれ以上の頻度と考えられています[*3]。子供の便秘は、離乳の開始または終了のころ、トイレットトレーニングの時期、通学し始めたころなどに始まりやすいと言われています。

他の子の排便回数はどのくらい?

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排便回数は、年齢や成熟度、乳児では授乳法などによって異なります。母乳栄養では1日平均3回、人工乳栄養では平均1日2回の排便を認めるという報告や、母乳栄養では授乳ごとに排便を認めるという報告もあります。

もう少し大きくなると、2歳までに排便回数は1日1~2回に減少し、3~4歳で1日1 回程度となると言われます。このような年齢に伴う排便回数の減少は、食べた物が腸を通過するのにかかる時間の長さが関連していて、その平均は、生後1~3ヶ月で8.5時間、生後4ヶ月〜2歳で16時間、3~13歳で26時間、思春期以降は30~48時間と言われます[*2]。

なぜ便秘になるの?

便秘の原因を知っていただくため、食べた物がどのようにして便になるのかからお話しします。

うんちが出るメカニズム

食べ物はお腹の中で、主に小腸で消化吸収されますが、一部の食物残渣(残りかす)は大腸に行き、そこで水分が吸収されながら、ゆっくりと肛門の方へ送り出されます。その間に水分はほとんど吸収され、固形の糞便になります。

糞便が直腸に到達して直腸の壁を刺激すると、それが脳に伝わり便意を感じます。そして排泄してもよい状態になると、肛門括約筋がゆるみ、少しいきむと便が排泄されます。

便秘のタイプ

便秘には、その持続時間から、一過性のものと1~2ヶ月続く慢性のものに分けられ、また、メカニズムからは、何かの原因があって起こる便秘と原因がわからない習慣性(特発性)の便秘に分けられます。 慢性便秘の大半は原因が明らかでなく、子供の便秘も9割以上は習慣性(特発性)の便秘と言われます[*4,5]。

習慣性(特発性)の便秘の原因

育児、生活状況の問題

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離乳食開始時期などの食事内容の変化、牛乳アレルギー、排便時の嫌な経験、時期や方法が不適切なトイレットトレーニング、入園や小学校入学、引っ越しなど生活環境の変化、親の過干渉、性的虐待、いじめなどが、子供の便秘につながることがあります[*2]。

便量の減少と乾燥

食物繊維の摂取量が少ないこと、あるいは食べる食事の量そのものが少ないこと、慢性的な脱水などは、大人の便秘だけでなく子供の便秘の原因としてもよくみられます。食事関連では、牛乳が便秘の原因である場合もあります。そのほか、遺伝的な体質が便の状態に関係することもあります。

排便時の痛み

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太くて硬くなった便を排泄すると痛みが生じたり出血したりと、大人でも排便にひと苦労します。子供の場合は、それによって排便とは苦痛なことと捉えてしまい、次第に排便を避けるようになることがあります。なお、便秘が長く続いていて腸の中に大きな便の塊ができると、液状の腸内容物が漏れてきて、下着を汚したり便失禁、あるいは下痢のような症状が現れることもあります。

便秘の悪循環

子供がいったん排便を苦痛なことととらえてしまい、排泄を我慢するようになると、便は大腸の中により長時間とどまります。大腸は水分を吸収する部分ですから、便はより硬くなっていき、排便時の苦痛はさらにひどくなってしまいます。このようにして便秘は悪循環に陥ります。

また、便が直腸にあるのに排泄を我慢していると、次第に直腸が鈍くなり、便が溜まっているのに便意を催さなくなってきます。このような二重の悪循環で、子供の慢性の便秘はますます悪化してしまいます。

何か病気があって便秘を起こしている場合

腸や肛門、ホルモンや神経の病気のために便秘になることもあります。強い腹痛や食べた物を吐き出してしまう、体重が増えないなど、ほかの症状を伴う便秘、あるいは通常の治療を続けていてもなかなかよくならない便秘は、何かの病気が隠れていないか、医療機関できちんと調べてもらったほうがよいでしょう。

大人とは違う子供の便秘の特徴

子供の便秘は大人の便秘と違って、まだよくわかっていないことがあるのも事実。例えば食べ物が大腸を通過する時間は、子供の場合の正常値は知られていません。乳幼児くらいまでは、腹圧を上昇させながら下腹部の筋肉を弛緩させる排便時の協調運動ができないことも、便秘の原因の1つとして考えられます。

また、便秘になると大人でも気分が乱れがちになるものですが、子供も同じでイライラしやすくなったり、場合によっては学校嫌いなってしまうこともあるようです。

子供の便秘の治療の鍵は親の理解

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子供の便秘を治すには、まず、適切に排便すれば痛みは少なく、排便後にすっきりすることを実感してもらうことが大切です。ときに、子供の排便の世話などが保護者の負担となり、ママやパパの我が子に対する感情がマイナスに傾きかけてしまうことも。しかしそれを子供にぶつけたのでは、便秘の治療がスムーズにいかなくなってしまいかねません。

子供が排便できたときにはほめてあげるなどして、二人三脚、三人四脚で治療をしていってください。

なお、同じ家庭内の親子はほぼ同じものを食べているため、親も便秘の場合、食事内容が子供もの便秘の原因の可能性があるので、家族ぐるみで食生活を見直してみましょう。

こんな仕草は便秘かも!

子供が排便時の痛みを嫌って排便を我慢することがあると書きましたが、そのような時、子供は独特な行動、仕草をすることがあります。

例えば、足を交叉させる、カーテンの後ろに隠れる、部屋の隅や机の下に潜り込む、お尻を床につける、爪先立ちをするなどです。このような場合は、トイレに行きたいのではないかやさしくたずねてあげてください。

便秘の対処法

それでは、子供の便秘の対処法に話を進めます。

こんな場合はまず医療機関へ

対処法として最初に、医師の診察を受けるべき状態を挙げます。以下に該当する場合は、まずは医療機関を受診してください。

・排便が週に3回より少ない ・排便が5日以上ない日が続く ・毎日出ていても、出す時に痛がって泣いたり、肛門が切れて血が出る ・小さいコロコロの便や、軟らかい便が少しずつ、1日に何回も出る

ご家庭でもできる予防・対処法

生活習慣の改善

医師の診察を受けて、大きな異常はないとわかったら、生活習慣を改善し便秘解消を図ります。 生活習慣の改善による便秘解消効果は、すぐに目にみえるような効果がでるものではありませんが、子供の健康全般にもよいことです。具体的には以下の3項目が大切です。

1.早寝早起きをし、規則正しい生活をする 2.バランスのとれた食事を3食きちんととり、決まった時間以外の間食を避ける 3.掃除や軽い運動などをして、なるべく体を使う

適量の水分摂取

便秘の解消に水分補給よいと言われていますが、実は科学的な根拠は十分でありません。ただし、体が脱水状態の場合は便秘になりやすいことは確かですし、適度な水分補給自体、体にとってよいことです。食物繊維もとれる具だくさんの味噌汁やスープなどを飲むようにするのもいいでしょう。

なお、乳児期の便秘には、着衣や寝汗などによる発汗の過剰で脱水傾向になっていることが影響していることも考えられるので、水分不足に注意してください。また、幼児期になったら水筒を持ち歩くようにするとよいでしょう。

トイレの環境を整える、トイレに十分時間をかける

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便意を感じたら我慢しないことが大切です。また、食後、なるべくなら朝食後にトイレに行くことを習慣にしましょう。トイレには十分時間をかけるようにしましょう。そのために、トイレの環境を見直し、子供にとって心地いい場所になるように工夫してみてください。

また、排便の際には足を踏ん張ることが大切。便座に腰かけた時に足が床につかないと、踏ん張りがききません。その場合は踏み台を置くなどしてください。

そのほかにも、学校で落ち着いてトイレに行ける環境を確保するため、必要があれば担任の先生や養護教諭に相談しましょう。

トイレットトレーニングの中止

トイレットトレーニングを開始した後に便秘になったとしたら、まだタイミングか早すぎたのかもしれません。

そのような場合はまず便秘の治療を受け、規則的な排便習慣が十分ついてからトレーニングを再開しましょう。

便通を促すマッサージと肛門の刺激

おなかの上に「の」の字を書くように、軽く力を入れてマッサージすると、腸の働きが活発になります。お風呂あがりなどにやってみましょう。

また、肛門を少し刺激してあげることも、試してよい方法です。綿棒の先端にワセリンやベビーオイルをつけ、肛門に出し入れしてみてください。

ただし、これらの方法は経験的に行われてはいるものの、科学的な研究での効果はまだ証明されていません。ですから子供がいやがるのであれば、無理して行うことはないでしょう。

医療機関での治療

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最後に、医療機関で行われる便秘治療についても少し触れておきます。

まずは便のつまりを取り除く

医療機関では最初に、便塞栓症の有無を確認します。便塞栓症とは、腸の中に大きな便の塊が栓のようになっていて、後から送られてくる便が詰まってしまっている状態です。この状態では飲み薬の効果は期待できないので、まず詰まっている便を浣腸などによって取り除く治療が行われます。

続いて薬物治療

続いて薬物療法が行われます。便秘の薬にはいろいろなタイプがありますが、まずは浸透圧性下剤といって、便を柔らかくするタイプの薬が処方されることが多いようです。

排便回数が増えると一時的に肛門があれて痛むことがあり、外用の麻酔薬が一緒に処方されることもあります。

なお、便秘の薬物治療は通常数ヶ月から数年続けます。症状が軽くなったからといって服用を中止してしまうと、すぐに再発してしまうことが少なくありません。便秘が解消し、子供自身で排便が問題なくできるようになってからも、すぐに薬を中止するのではなく、少しずつ量を減らしていきます。 薬を長く使うことで耐性ができるのではないか、薬の効果を得られにくくなるのではないかと心配する保護者の方がいますが、そのようなことが起きるとの科学的なデータは十分あると言えず、むしろ薬を途中でやめることにより便秘が再発してしまうことのほうが問題です。

排便日誌をつけてみよう

便秘の治療中に、排便回数や服薬状況を記録する「排便日誌」をつけることで治療がうまく進むことが少なくありません。どのような時に便秘がひどくなるのか、その理由がわかってきて改善につなげられますし、治療継続の意欲も高まります。その記録を通院の際に医師に見せて、アドバイスをもらいましょう。細かい記帳が負担なら、まずはその日に排便があったかなかっただけでもよいので、記録してみてはいかかでしょうか。

まとめ

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子供の便秘はいろいろな点で大人の便秘と異なります。排便を怖いことだと思って便意を我慢している子供も少なくなく、そのために便秘の悪循環に陥ってしまうことも。適切に対処して、便秘のないすっきりとした排便感覚を、早くお子さんに知ってもらえるとよいですね。

(文:久保秀実/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献 [*1]日本消化器病学会関連研究会慢性便秘の診断・治療研究会「慢性便秘症診療ガイドライン2017」 [*2]日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」 http://www.jspghan.org/constipation/files/guideline.pdf [*3]こどもの便秘の正しい治療/日本小児栄養消化器肝臓学会・日本小児消化管機能研究会 http://www.jspghan.org/constipation/files/pamphlet.pdf [*4]南山堂「イラストを見せながら説明する育児のポイントと健康相談」p.94-97,190,2016 [*5]Gノート4(4),p.747,2017.子どもの便秘へのアプローチ

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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この記事の著者

マイナビウーマン子育て

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