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【医師監修】子供の滲出性中耳炎。原因と症状、治療について

目次

「中耳炎」はよく聞く病名だと思いますが、「滲出性中耳炎」は聞き慣れないかもしれませんね。でも、実は滲出性中耳炎は未就学児のほとんどがかかる耳の病気です。そこで今回は、滲出性中耳炎の原因、症状、治療法について詳しく解説しましょう。

この記事の監修ドクター 梁尚弘先生 りょうキッズクリニック(埼玉県所沢市)院長。平成10年順天堂大学卒業後、日本大学小児科研修医、沼津市立病院小児科、横須賀市立市民病院小児科、日本大学小児科助教、瀬戸病院小児科医長を経て現在に至る。小児科専門医。

子供の「滲出性中耳炎」って、どんな病気?

子供がかかりやすい中耳炎には「急性」と「滲出性」がありますが、症状や原因は違います。この2つにはどんな違いがあるのでしょうか。

滲出性中耳炎とは?急性中耳炎とどう違うの?

私たちの耳は、外側から内側へ向かって外耳、中耳、内耳と言う3つの部分に分けられます。耳の穴の奥にある鼓膜の内側が中耳です。中耳は空気の入った鼓室(こしつ)と呼ばれる空間になっていて、耳管という管で鼻へとつながっています。

耳の構造のイメージ (右耳を前から見た図)

滲出性中耳炎(しんしゅつせいちゅうじえん)は、中耳に慢性的な炎症が起こり、滲出液という液体がたまった状態になって聞こえが悪くなる病気です。

一般的に中耳炎と言われるのは「急性中耳炎」で、これは中耳の粘膜にウイルスや細菌が感染して炎症を起こす病気です。鼻に入ったウイルスや細菌が、鼻の奥から中耳につながる耳管を通って中耳に入り炎症を起こすのです。

これに対して滲出性中耳炎は、扁桃の腫れにより耳管がつぶれたり、かぜや鼻副鼻腔炎、急性中耳炎などにかかり、中耳の圧力が下がることで滲出液がたまって起こります。

滲出性中耳炎の症状は?

急性中耳炎では、鼓膜が腫れたり赤くなったりして急に耳が痛みます。熱が出たり、鼓膜に穴が開いて、耳の中から耳だれが出てくることもあります。

一方、滲出性中耳炎は急性中耳炎と異なり、普通、痛みはありませんが、中耳内に液体がたまって鼓膜の振動が悪くなるので、外からの音が伝わりにくくなります。滲出性中耳炎のおもな症状は、

・耳がふさがったような感じがする ・耳に違和感がある ・聞こえが悪くなる

などです。

滲出性中耳炎では、痛みや発熱などの症状はなく、鼓膜に穴があくこともありません。そのため、症状をうまく伝えられない乳幼児が滲出性中耳炎になるとなかなか気づきにくいのですが、耳をよくさわる、頭を振る、呼びかけへの反応が悪い、などの様子でわかることがあります。

小学生以上になると、声をかけられたときに聞き返すことが多くなったり、テレビの音を大きくしないと聞こえなくなるなどのことから、家族が気づくことが多いでしょう。

ただ、子供の滲出性中耳炎は3ヶ月以内に自然に治ってしまうことがほとんどなので[*1]、周囲が気づかないうちに治っているというケースもあります。

滲出性中耳炎にかかりやすいのは、どんな子?

滲出性中耳炎は、かぜや急性中耳炎にかかった子の約50%が発症するといわれています。1歳までに50%以上、2歳までに60%、小学校入学までには90%以上がかかるといわれているほど子供に多い病気なのです[*2]。

鼻やのどに炎症が起こっているとかかりやすいという特徴があるので、かぜでのどが赤くなっていたり、慢性鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎でよく鼻がつまっていたり、いつも鼻水が出ていたりする場合は、要注意です。

なお、一度滲出性中耳炎にかかった子供の30~40%は再発し、5~10%は治るまでに1年以上の治療が必要になることがわかっています[*1]。

滲出性中耳炎の治療は何をするの?

自然に治ってしまうことも多い滲出性中耳炎ですが、治らない場合には症状に合わせて服薬や手術などの治療が必要になります。

滲出性中耳炎かどうかはどうやって調べるの?

滲出性中耳炎は痛みがないため、「いつの間にかなっていた」というケースがほとんどです。かぜや急性中耳炎などにかかったあとで、上記のような特徴的な様子が見られるときは、滲出性中耳炎の疑いがあります。気になるときは、早めに耳鼻咽喉科を受診しましょう。

耳鼻咽喉科では、専用の器具で鼓膜の状態を観察したり、鼓膜の動きを見る検査で中に液体がたまっているかどうか、などを確認して診断します。

滲出性中耳炎の治療は?

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経過観察

子供の滲出性中耳炎は3ヶ月以内に自然に治ることが期待できます。そこで、聞こえの悪さや鼓膜の状態によっては、診断がついても3ヶ月間は特に経過観察をすることがあります。ただし、この間何もしないということではなく、必要な検査や炎症・感染に対する治療は行われます。

保存的治療・薬の服用

経過観察中の保存的治療として、カルボシステイン(中耳などにたまっている液体・粘液を出しやすくする薬)という薬を服用することがあります。また、鼻副鼻腔炎がある場合は抗菌薬(抗生物質)、アレルギー性鼻炎がある場合はその治療薬を飲む場合もあります。

保存的治療・薬以外の治療

鼻副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎などで鼻水が出ている場合には、こまめに鼻水を吸い取ります。また、耳管通気といって、鼻から空気を入れて耳管から中耳に空気を送る治療を行うこともあります。これは、低下した中耳の圧力を正常に戻し、中耳内にたまった滲出液が出やすくする治療法ですが、これにより急性中耳炎を起こすこともあるので、医師の指導の下行う必要があります。

おもな手術治療・チューブ留置

3ヶ月間、経過観察をしても自然に治らないときは、手術を行うこともあります。よく行われるのは鼓膜内にチューブを入れるチューブ留置法で、中耳に溜まった液体の排出を助け、聴力を回復するための手術です。局所麻酔で行いますが、乳幼児の場合は全身麻酔で行うこともあります。

チューブを入れる期間はだいたい2年くらいですが、途中で自然に抜けてしまうこともよくあります。なお、チューブを入れるため鼓膜に穴をあけますが、チューブを抜けば穴は普通、自然にふさがります。

そのほか行われる手術治療

鼓膜切開 鼓膜に穴をあけて、中耳内にたまっている滲出液を吸い出します。滲出液の状態を確認したり、治療方針を決めたりするために行われることもあります。

アデノイド切除術 チューブ留置手術だけでは効果があまり見られないときに、耳や鼻の慢性炎症のもとになっているとされるアデノイド(鼻の奥にある扁桃)の切除手術が行われることもあります。

滲出性中耳炎にならないためには?

一度かかると再発することも多く、治療が長引くこともある滲出性中耳炎。かからないようにするため、まずは予防につとめましょう。

滲出性中耳炎の予防方法

急性中耳炎はしっかり治す

子供の滲出性中耳炎は急性中耳炎がきっかけになって見つかることが多いとされています。急性中耳炎になったら、完治するまで薬を飲み続けるなどしっかり治療することがとても重要です。

鼻炎や副鼻腔炎の治療を受ける

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滲出性中耳炎は、かぜやアレルギーによる鼻炎や副鼻腔炎をきっかけになることが多いので、これらの予防や治療も大切です。

かぜの流行期には手洗い・うがいをこまめにしたり、栄養バランスのよい食事、十分な睡眠をとることも心がけましょう。また、アレルギー性鼻炎がある場合は、放っておかずに治療を受けましょう。

まとめ

痛みがなく症状も目立たないので、気づきにくいのが「滲出性中耳炎」です。聞こえが悪くなるため、放置すると子供の言葉の発達に影響が出たり、鼓膜の状態が変化してしまうこともあります。かぜや急性中耳炎に続いてかかることが多いので、日ごろからそうした病気の予防につとめることが大切です。そして、子供が耳を頻繁に気にしていたり聞こえが悪そうな様子が見られたときは、早めに耳鼻科を受診しましょう。

(文:村田弥生/監修:梁尚弘先生)

※画像はイメージです

参考文献 [*1]日本耳科学会・日本小児耳鼻咽頭科学会:小児滲出性中耳炎診療ガイドライン2015年版 https://www.otology.gr.jp/common/pdf/guideline_otitis2015.pdf [*2]日本耳科学会・日本小児耳鼻咽頭科学会:小児滲出性中耳炎診療ガイドラインについて一般の方・おうちの方へ http://minds4.jcqhc.or.jp/minds/pub_otitis-media-with-effusion-in-children/pub_otitis-media-with-effusion-in-children.pdf

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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この記事の著者

マイナビウーマン子育て

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