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コロナ禍「日本の奇跡」を生み出してしまったこの怪物の正体

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目次

特定行政書士・社会学者・ベトナム国立フエ科学大学特任教授の近藤秀将です。

私は普段、アジア地域を中心とした移民の立場を守り、日本の入管へ橋渡しをする入管実務を手掛けています。このコロナ禍ではアジア各国の自分のオフィスとやりとりをしながら、日本の立ち位置の特殊性を実感していました。

よく日本は、「同調圧力」が強い社会だと言われています。

そして、この言葉が発せられるときは、マイナスの意味をもつことが多い傾向にあります。

一方、コロナ禍においては、この「同調圧力」こそが、その拡大防止に役立っている側面が指摘され始めています。

【コロナ後の世界#3】

ロックダウンしなかったのに死者が少ない「日本の奇跡」

 

現在、全世界における新型コロナウィルスの感染者は924万人、死者は44.7万人です(2020年6月24日現在)。

感染者(239万人)及び死者(12.3万人)ともにアメリカが最も多くなっており、イギリス、イタリア、フランス、スペイン等の欧米諸国では深刻な状況となっています。

一方、日本は、感染者17,968人、死者955人。

日本の人口が1.2億人であることからすれば、欧米諸国のような深刻な状況にないことが理解できます。

 

法的強制に基づくロックダウンを経ず、あくまで「自粛」という国等からの「お願い」レベルで、コロナ禍に対応している日本の姿を見て国際社会は、どう思っていたのか。

 

確かに、はじめは「生ぬるい対策だ!」「直ぐにニューヨークのような悲惨な状況になる!」「なぜ日本人は、決断できないのか!?」等という批判的な論調が多くありました。

しかし、実際に欧米諸国に比べて圧倒的に死亡者数等が少ないことが明らかになると、この批判的な論調が変化しました。

 

それらを一言でまとめると「よくわからないけど日本すごい」ということになるでしょう。

 

日本は、アベノマスクのような「余興」をやる余裕を見せながら、そして責任所在を曖昧にしたままコロナ禍をやり過ごしつつある、世界的にみても「稀有な国」というわけです。

 

日本で「同調圧」が高まりやすいシンプルな理由とは

 

 

「“第二波”は、いつくるのか?」

私達の生活の中でこの漠然とした不安は、日々大きくなっています。

実際、既に中国北京市では、「第二波」の兆候が出ています。

あれほど厳格な防疫体制を敷いていた北京でも第二波の兆候が出たことは、中国内外で驚きをもたらしました。

とはいえ、これから先のウィズコロナ世界においては、第二波、第三波というのは、「季節の風物詩レベル」のものにすぎません。

特別なものでなく、当然起きるものです。

だからこそ日本政府は、「新しい生活様式」を提唱し、その実践例を公表しています。

出典・【厚生労働省】新しい生活様式の実践例 クリックで拡大

この「新しい生活様式」は、①身体的距離の確保、②マスクの着用、③手洗を基本としています。

①は、二人以上の「双方行為」、そして②と③については、個人の「単独行為」です。

②と③は、「自分が気をつければ良い」というものですが、①は、相手がいることから、それほど簡単ではありません。また、②と③は、①を実効するための前提ともいえます。

 

この内容を読み解くと、①は「組織的圧力」を含んでいることがわかります。

飲食店での「席を一つ潰す」「透明のアクリル板設置」等の物理的措置、学校での「1〜2m身体的距離確保」「同方向を向いての活動」等の人的措置として行われています。

 

そして、「組織的圧力」が次第に「同調圧力」という怪物に変貌するのが日本なのです

 

かつて、イギリスの思想家トマス・ホッブズ(1588-1679)が、その著書「リヴァイアサン」において巨大な権力を「リヴァイアサン」(旧約聖書(ヨブ記)の怪物)に例えましたが、同調圧力は、「リヴァイアサン」と呼びたくなるほど、恐ろしい怪物です。

この怪物は、日本各地で騒動を起こした「自粛警察」のような行動派を生み出します。法的強制とは異なった「強制」を発現させるのです。

 

日本の同調圧力のすさまじさ、在留外国人にも影響を与えるレベル

私の事務所は、外国人が多い地域として知られている「池袋駅北口」にありますが、外国人も、しっかりとマスクをつけて街を往来しています。

日本の同調圧力は、在留外国人へも訴求力があります。

よく、外国人は、日本のルールに従わないと言われますが、それは彼らのほんの一部であり、大部分は日本社会の同調圧力に取り込まれて行きます。人の関わりが希薄と言われる東京ですら、それほどに強い。いわんや地方をや、です。

私は、この記事の冒頭で、日本は、責任所在を曖昧にしたままコロナ禍をやり過ごせつつある、世界的に見ても「稀有な国」と述べましたが、この「稀有な国」の存立を可能としているのが「同調圧力」であると考えます。

同調圧力は、圧力をかけてくる主体が曖昧でありながら、それに有無を言わさないほどの力を持っています。

 

圧力主体が曖昧だからこそ、その結果に対する責任も曖昧

私が仕事で接する在留外国人達も、日本で過ごす時間が長くなるにつれ「これが日本では当たり前」という同調圧力に取り込まれていき、気がついたら日本人と同じ行動様式を身につけています。

 

コロナ禍においては、マスク着用及び消毒を徹底し、人との距離を確保する、という「新しい生活様式」が、在留外国人にも驚くほど浸透しました。行動だけ見れば見分けがつきません。

 

ただ、同調圧力は、その圧力をかけている主体が曖昧だからこそ、社会変革には適さないのも事実です。

この社会が「コロナ以前」に戻ることはありません。

しかし「新しい生活様式」自体が前述の通り「同調圧力」を核としていることから、そのルールを順守することが目的化してしまいました。

これは、戦前・戦後を通じて日本が抱え続けている問題と言えます。

 

顕著な例が教育の現場。これは明らかに本末転倒

 

例えば、先例主義の強い教育の現場でこれは顕著にみられます。

ZOOM等を使用したオンライン授業ができる人的、物的条件が整っていても、なお「登校」に固執する学校が多くあるのはご存知の通りです。私には理解ができない。

特に、小学校では深刻です。ご存知でしょうか、多くは1日中マスクを着用し、お互い雑談せず、給食も会話をせず食べる決まりです。

冷静に考えてください。死者が出るほど暑い日本の夏に、マスク着用を基本とし、児童間の会話と行動を抑制するのは正気の沙汰ではありません。特に低学年では、身体的精神的ストレスが多く、かえって不利益になるでしょう。

ルールの順守が先に立ち、肝心の成果、この場合は子どもの教育という目的が見えていない例です。間違いなくこの先、こうした例がすべての分野で再生産され続けていきます。

 

悪しき習慣・同調圧力は意識して撲滅していくべきとき

ウィズコロナ世界においては、コロナ以前の様式に囚われることなく、柔軟な対応しなければなりません。

そうしなければ、コロナ禍をやりすごせなくなります。

私たちは、「同調圧力」というリヴァイアサンを飼い馴し、ウィズコロナ世界に合わせた本当の意味での「新しい生活様式」に基づいて生きていかなければならないのではないでしょうか。

 


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この記事のライター

OTONA SALONE|オトナサローネ

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