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2020年は新型コロナウイルスによる景気低迷で、「今年のボーナスは当てにならない」とあきらめていた方も多いはずです。実際のところ、ボーナスの支給額は減っているのでしょうか?
本記事では2020年夏のボーナスの支給額とボーナスの使い道について、日本生命が行ったアンケート結果をもとに解説します。おすすめのボーナス活用法についても書いていますので、参考にしてください。
コロナの影響により多くの企業で減収減益となっている2020年上半期ですが、夏のボーナスへの影響はどうなっているでしょうか?
日本生命の調査によると、2020年夏のボーナスの平均支給額は55.4万円です。昨年の平均支給額が61.0万円なので約5万円の減少ですが、極端に少ないわけではありません。
次に、ボーナスが前年度より減った人の割合を見てみます。日本生命の調査では、ボーナスが増えた人が7.5%、減った人が30.1%、変わらないという人が62.4%となっています。
ボーナスが減ったと回答した人の割合は次の表のようになっており、製造業や生活関連サービス業で減少が目立っています。
順位
業種
ボーナスが減った人の割合
1位
製造業
42.2%
2位
生活関連サービス業、娯楽業
40.0%
3位
金融業、保険業
34.4%
4位
宿泊業、飲食サービス業
34.2%
5位
卸売業、小売業
32.8%
出典:ニッセイインターネットアンケート「夏のボーナス・新型コロナウイルス感染症の影響」にもとづき筆者作成
多くの企業では、コロナの影響が出る前に夏のボーナスの支給額を決定しています。そのため、夏のボーナスは思ったほど減ってなかったという人も多いはずです。
コロナによるダメージは、2020年冬のボーナス以降に本格的に表れることが予想されます。そのことも頭に入れて、ボーナスの使い道を考えておきましょう。
心配だった2020年夏のボーナスですが、前年度と変わらない金額をもらえた人も多くなっています。ボーナスをもらった人は、使い道をどう考えているのでしょうか?
日本生命の調査では、2020年夏のボーナスを貯蓄(資産形成含む)に回すという人が56.2%で、前年度の46.1%よりも増加しています。また、2020年夏のボーナスのうち貯蓄に回す割合は54.9%と、こちらも前年度の49.4%よりも増えています。
年代別では、次の表のようになります。
年代
20代
30代
40代
50代
60代
70代以上
全世代平均
ボーナスを貯蓄・資産形成に回す人の割合
58.8%
65.0%
61.2%
57.8%
36.7%
19.9%
56.2%
ボーナスのうち貯蓄・資産形成に回す割合(平均)
48.6%
53.5%
55.4%
56.7%
60.2%
37.9%
54.9%
出典:ニッセイインターネットアンケート「夏のボーナス・新型コロナウイルス感染症の影響」にもとづき筆者作成
半数以上の人がボーナスを貯蓄に回しており、金額としてはボーナスの半分くらいを貯蓄していることがわかります。
日本生命の調査では、貯蓄以外のボーナスの使い道としては、次の表のようになっています。
順位
2020年度
2019年度
内容
割合
内容
割合
1位
生活費の補てん
28.1%
国内旅行(宿泊あり)
19.5%
2位
買い物(自分の欲しいもの)
14.6%
生活費の補てん
18.8%
3位
国内旅行(宿泊あり)
7.8%
買い物(自分の欲しいもの)
18.1%
4位
ローンの返済
6.4%
海外旅行
10.4%
5位
近場のレジャー(日帰り)
5.3%
ローンの返済
7.2%
出典:ニッセイインターネットアンケート「夏のボーナス・新型コロナウイルス感染症の影響」にもとづき筆者作成
2019年度は国内旅行に使う人が最多でした。コロナの影響でボーナスを国内旅行に使う人の割合は大きく減り、代わりに生活費の補てんに使う人が増えています。
貴重なボーナスの使い道には悩むところでしょう。以下、FPが考えるおすすめのボーナスの使い道について解説しますので、参考にしてください。
コロナの影響で雇用も不安定となり、今後は収入が減るおそれもあります。冬のボーナスはもっと期待できませんから、夏のボーナスの少なくとも半分は貯蓄や資産形成に回すのがおすすめです。ボーナスが40万円出たなら、20万円は貯金するようにしましょう。
低金利の現在、普通預金の金利は0.001%程度(2020年7月現在)です。普通預金に預けていても、お金はほとんど増えません。一方で、貯金を全部定期預金などに入れてしまうと、急に現金が必要になったとき解約しなければならなくなります。
生活費の4~6か月分くらいは普通預金に残しておき、それ以外は定期預金や投資で増やすことを考えましょう。
たとえば、ボーナスのうち貯蓄・資産運用に回せる額が50万円、1か月の生活費が20万円で、既に普通預金が150万円程度ある場合、50万円は全額普通預金以外で運用を考えるのがおすすめです。
定期預金の金利も金融機関によって違います。都市銀行よりもネット銀行のほうが金利は高めで、ボーナス時にはキャンペーンでさらに金利がアップする金融機関も多くなっています。
50万円を1年ものの定期預金に預け入れした場合に受け取れる利息は、金利0.02%の場合たった7円ですが、金利0.2%の場合795円と100倍以上の差です。預け入れできる期間や金額と照らし合わせ、できるだけお得になる金融機関を選びましょう。
株式や投資信託で資産運用すれば、お金が大きく増える可能性があります。特に、投資初心者におすすめなのが投資信託です。
投資信託なら1,000円程度から始められます。運用はプロに任せられるので、専門的な知識も不要です。投資信託では株式や債券などさまざまな金融商品に分散投資を行うため、リスクも比較的抑えられています。
借金がある場合には、早く返してしまったほうが安心です。ただし、返済し過ぎて後で困ることのないよう注意しておきましょう。
ボーナスをもらったら、「住宅ローンの繰上返済をしたほうがよいのではないか?」と考える人も少なくないでしょう。しかし、住宅ローンの金利が低い現在、繰上返済の効果はそれほど大きくありません。
貯金がほとんどないのにボーナスを繰上返済に充ててしまうと、急にお金が必要になったときに困ります。十分な余裕資金がある場合以外には、焦って繰上返済しないほうがよいでしょう。
カードローンで借りたお金を毎月返済している人や、クレジットカードの買い物をリボ払いにして毎月払っている人もいるでしょう。カードローンやリボ払いの金利は15~18%と非常に高い利率です。ボーナスで資金に余裕ができたら、繰り上げ返済しましょう。
貯金があれば、急な出費の際にもカードローンやリボ払いを利用しなくてすみます。ボーナスで完済できるならば完済し、この機会に貯金ができるように生活設計を見直しましょう。
終身保険、養老保険、学資保険など貯蓄型の生命保険に加入している場合、解約返戻金を担保に契約者貸付でお金を借りられます。契約者貸付で借りている場合も、ボーナスでできるだけ返済するのがおすすめです。
契約者貸付の金利はカードローンよりも低くなっていますが、カードローンと違って複利計算されるため、借りっぱなしにしていると利息が大きく膨らんでしまうことがあります。利息が解約返戻金を超えると保険が失効してしまうため、早めに返済しましょう。
ボーナスで買い物する場合、欲しい物を思いつくままに買っていると、あっという間にお金がなくなってしまいます。優先的に買うべきものを把握しておきましょう。
洗濯機や電子レンジなど、今の生活に必須と思われる家電が突然壊れると困ってしまいます。その時点で手元にお金がなければ、リボ払いで買って余計な借金を作ってしまいかねません。購入後年数が経過している家電は、ボーナス時に買い替えを検討しましょう。
最近の家電は節電効果にも優れたものが多くなっています。買い替えをすることで、電気代も節約でき、長い目で見るとお得になります。
パソコンも定期的に買い替えが必要です。パソコンは在宅での仕事や副業にも役立つので、優先的に買い替えしたいものです。手持ちのパソコンが古くなっているなら、ボーナス時に買い替えを検討しましょう。
同様に、今の生活に欠かせないスマートフォンも、ボーナス時に一括払いで購入すると、毎月の携帯料金の支払いが楽になります。
ボーナスで余裕資金ができたら、積極的に考えたいのが自己投資です。先行き不透明な時代だからこそ、将来につながるスキルや資格を身につけておく必要性が高いと言えます。
コロナの影響でオンラインで学べるセミナーやスクールも増えていますので、家にいながらでも学べるチャンスです。
たとえば、英会話やプログラミングなどは、どの業界でも役立ちます。また、今後は会社員でも副業により収入を増やすことを考えたほうがよいですから、副業の足がかりとなるセミナーや講習に参加してみるのもおすすめです。
2020年夏のボーナスは貯蓄に回したいと考えている人が多数です。コロナの影響でまだまだ先行き不透明な情勢ですから、ボーナスの少なくとも半分は貯蓄に回しましょう。
せっかくのボーナスなので有効に使いたいという方は、借金の返済、必要性の高いものの買い替えに使うほか、ぜひ自分への投資に使うことを検討してください。
この記事のライター
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