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例年なら楽しみな夏のボーナス。今年は新型コロナウイルスの影響もあり、ボーナスが少ないと感じた人もいるのではないでしょうか?たまたま自分が少ないのか、ほかの人はもっともらっているのかも、気になるかもしれません。
本記事では、ボーナスの平均支給額を知りたい人のために、データをもとに解説しています。ボーナスのしくみを理解しておき、今後のマネープランを考えましょう。
コロナ禍で売上が減った企業も多い2020年(令和2年)上半期ですが、夏のボーナスの平均支給額にもその影響が出ています。
日本生命が2020年(令和2年)6月に契約者9,180名を対象に行った、『「夏のボーナス・新型コロナウイルス感染症の影響」について』というアンケートの結果をもとに分析します。
日本生命のアンケートによると、2020年(令和2年)夏のボーナスの平均支給額は55.4万円という結果が出ています。
平均支給額(全体)
男性の平均支給額
女性の平均支給額
55.4万円
65.5万円
29.6万円
この平均支給額は、無職、専業主婦(主婦)、公務員、パート・アルバイト、学生は除いて集計されています。主に民間企業の正規雇用者のデータということになりますが、男性の平均支給額が女性の倍以上になっていることがわかります。
年代別のボーナスの平均額については、次の表のとおりです。
全体
男性
女性
~20代
31.3万円
35.7万円
26.9万円
30代
44.6万円
51.1万円
28.2万円
40代
55.6万円
65.4万円
30.1万円
50代
70.2万円
81.8万円
33.2万円
60代
54.0万円
58.5万円
26.4万円
70代~
49.8万円
56.7万円
19.8万円
男性は30代以上では平均額が50万円以上であるのに対し、女性はどの世代でも50万円を超えていません。また、年齢が上がるほど、男女間の格差は大きくなっています。
男女間で差が開いてしまう理由の1つとして、男性のほうが管理職が多いという点があります。女性は年齢が上がっても男性より管理職になる人が少ないため、元々の給料も少なく、ボーナスも少ないことが考えられます。
2020年(令和2年)夏のボーナスの平均額は、前年度(61.0万円)と比べると5.6万円のマイナスです。前年度と比べて増えた人、減った人の割合は、次のとおりです。
今年ボーナスが増えた人
今年ボーナスが減った人
昨年と変わらない人
7.5%
30.1%
62.4%
今年ボーナスが増えた人はわずか7.5%です。約3割の人のボーナスが減っており、コロナの影響が出ているものと推測できます。
ボーナスの使い道としては、「貯蓄・資産形成」に回すと答えた人が56.2%となっており、手堅く貯金する人が多数派です。
民間企業では各会社で独自にボーナスを決めているため、支給額には差があります。大企業のほうが中小企業よりもボーナスの支給額は多いのが一般的ですが、業界によってもボーナスが多い業界、少ない業界があります。
厚生労働省が行っている毎月勤労統計調査によると、2019年(令和元年)夏季賞与の平均支給額の業界別ランキングは、次のようになっています。
順位
業種
平均支給額
1
電気・ガス業
77万9,700円
2
情報通信業
67万9,098円
3
学術研究業
66万0,402円
4
金融業・保険業
60万7,594円
5
鉱業・採石業等
57万5,709円
6
製造業
51万5,779円
7
建設業
51万3,611円
8
教育・学習支援業
50万5,637円
9
不動産・物品賃貸業
44万7,396円
10
複合サービス事業
42万9,742円
11
運輸業・郵便業
36万7,721円
12
卸売業・小売業
33万9,683円
13
医療・福祉
27万6,147円
14
その他のサービス業
20万8,834円
15
生活関連サービス業等
15万9,437円
16
飲食サービス業等
6万2,688円
調査産業計
38万1,520円
出典:厚生労働省「毎月勤労統計調査 令和元年分結果速報等」より筆者作成
表からわかるとおり、ボーナスの支給額が多いのは、電気・ガス、情報通信、学術研究などの業界です。金融業・保険業(銀行、証券会社、保険会社など)も、かなりボーナスが高くなっています。
一方、医療や介護、福祉、生活関連サービス業、飲食サービス業など、生活に密着した分野で働く人のボーナスはあまり多くはないことがわかります。
日本生命のアンケート(ニッセイインターネットアンケート「夏のボーナス・新型コロナウイルス感染症の影響」について)によると、2020年(令和2年)夏のボーナスが減ったと回答した人の割合が多い業種別ランキングは、次のようになっています。
順位
業種
割合
1
製造業
42.2%
2
生活関連サービス業・娯楽業
40.0%
3
金融業・保険業
34.4%
4
宿泊業・飲食サービス業
34.2%
5
卸売業・小売業
32.8%
アンケート結果によると、製造業では4割以上の人のボーナスが減っています。また、生活関連サービス業や飲食サービス業など元々ボーナスの支給額が低い業界でも、支給額が減っています。
公務員のボーナスは期末手当・勤勉手当と呼ばれます。期末手当・勤勉手当は法律や条例にもとづき、6月と12月の2回支給されることになっています。
国家公務員のボーナスは、人事院が調査した民間企業のボーナスの支給状況を基礎として、毎年支給月数が法律で定められます。一方、地方公務員のボーナスは、国家公務員に準拠して、各自治体の条例で定められています。
内閣人事局の報道発表資料「令和2年6月期の期末・勤勉手当を国家公務員に支給」によると、2020年(令和2年)6月期の一般職国家公務員(管理職を除く行政職職員)の平均支給額は、約68万0,100円となっています。
ボーナスは正式には賞与と呼ばれるのが一般的です。賞与にはどんな意味があるのか、どのようにして計算されるのかを知っておきましょう。
労働基準法施行時の通達(昭和22年9月13日付発基第17号)では、賞与とは「定期又は臨時に、原則として労働者の勤務成績に応じて支給されるものであって、その支給額が予め確定されていないもの」とされています。
賞与は毎月の給料とは別に、臨時で支給されるものです。法律上は賞与も賃金に含まれますが、賞与は支給が義務付けられているものではありません。
賞与の支給については、各企業が独自に決められます。ただし、賞与を支給するときには、支給基準や支給回数、計算方法などを就業規則に記載しておく必要があります。
賞与の支給額は、通常「基本給の○か月分」という形で決められています。毎月の給料には基本給のほか役職手当や残業手当などが加算されていますが、基本給の部分のみが基準となります。
なお、基本給を基準として算出した金額に、勤務成績による評価分が上乗せされることが多くなっています。
賞与の計算期間は、次のように年2回に分かれているのが一般的です。
4月~9月までの実績
12月支給分に反映
10月~3月までの実績
6月支給分に反映
上記に加えて、3月の決算月に決算賞与を支給する会社も多くなっています。
日本では勤続年数が増えるほど賃金が上がる年功序列型が慣習となっています。給料はだんだん上がっていくものなので、ボーナスも当然上がるものと考えている人もいるかもしれません。
しかし、民間企業には賞与を支給する義務はなく、金額も各企業で自由に決められます。会社の業績が悪ければ、従業員に給料以外のお金を払っている余裕はないので、ボーナスは下がるのが普通です。
厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、夏季賞与が支給された事業所の割合は2018年(平成30年)は67.9%、2019年(令和元年)は66.8%となっており、4割近くの事業所ではボーナスが出ていないことがわかります。
2020年(令和2年)はコロナショックにより、ボーナスが支給されなかった会社はさらに増えているものと思われます。
大阪シティ信用金庫が大阪府内の中小企業約1,000社を対象に行ったアンケート調査によると、2020年(令和2年)夏のボーナスを支給する会社は50.4%となっており、約半数の中小企業ではボーナスが支給されていないことがわかります。
出典:大阪シティ信用金庫「中小企業の2020年夏季ボーナス支給予定」より抜粋
民間企業に勤める会社員と違い、公務員は法律上ボーナス(期末手当・勤勉手当)がもらえることが明確に定められています。
国家公務員のボーナス支給額については、毎年法改正により支給月数が決まるしくみになっています。2020年(令和2年)の年間支給月数は4.5か月です。
国家公務員のボーナスの支給月数は民間企業に準拠して決まります。1975年(昭和50年)以降の支給月数の推移は以下の表のようになっており、近年は毎年上がっていることがわかります。
出典:内閣人事局「国家公務員の給与(令和2年版パンフレット)」より抜粋
民間企業の場合、ボーナスは想定していた金額が必ずもらえるというものではありません。ライフプランを考えるときにも、最初からボーナスを含めて年収を考えるのではなく、むしろボーナスはないものと考えておいたほうが安心です。
2020年(令和2年)夏のボーナスの平均支給額は約55万円で、昨年よりも減った人が多くなっています。ボーナスの支給額は業績によって変わるため、コロナ禍の影響が出ていると考えてよいでしょう。
2020年(令和2年)の冬以降は、さらにボーナスの支給額が減ることも考えられます。マネープランを考えるときには、ボーナスをあてにし過ぎることのないよう気を付けておきましょう。
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