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遊休地に屋台などでにぎわいを。3密を避けたウィズコロナ時代のまちづくり

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

遊休地に屋台などでにぎわいを。3密を避けたウィズコロナ時代のまちづくり

新型コロナウイルスの感染リスクを低減しつつ、街のにぎわいを生み出すにはどうしたらいいのか、テラス席を設置して活用するなど、屋外を有効利用しようという試みが世界中ではじめられています。今回は都市部にある遊休地を活用して、半屋外・風通しのよい環境でにぎわいを生み出す取り組みをご紹介します。
高架下・建設予定地・空き店舗など、都市部には遊休地がいっぱい

遊休地とは、利用されていない土地のこと。地価が高く、土地の高度利用が進んでいる都市部ですが、鉄道や高速道路の高架下、建設予定地、空き店舗など、実は使われていない土地=遊休地は意外にたくさんあるもの。しかも空き家問題が進んでいることから、遊休地が増えているといいます。また、2020年の新型コロナウイルスの影響で、再開発事業などもストップし、一時的に塩漬けになっている土地もあるとか。

遊休地は一見するとなにも問題ないように見えますが、街のにぎわいが損なわれますし、放置されて不法投棄などがされれば、治安や景観にマイナスとなります。

「私自身、まちづくりや都市開発に14年ほど携わってきましたが、空き地や空き店舗など都市部の空洞化、スポンジ化が大きな課題のひとつでした。遊休地や空き家・空き地は街の活力を奪い、心理的にも視覚的にも大きなデメリットになっているんです」と話すのは、遊休地に屋台を並べて新しいにぎわいを創出している「Replace」の中谷タスク(なかたに たすく)さん。

写真最左が中谷 タスクさん(写真提供/Replace)

写真最左が中谷 タスクさん(写真提供/Replace)

課題となっている遊休地でなにかできないか、中谷さんが考えだしたのが「屋台」という手法です。飲食店は店舗を構えるとなると1000万円以上の費用が必要になり、それが経営の大きな負担になっています。ただ、屋台であれば初期費用が店舗と比較して1/20以下、キッチンカーと比べても1/6以下で済み、利益を生みやすくなります。

また、土地の所有者からすると、活用しかねていた土地を貸すことによる賃料収入を得ることができ、街ににぎわいも創出できるというメリットがあります。

京都府京都市の「梅小路京都西駅」の廃線跡の「梅小路ハイライン」に小籠包やクラフトビール、おでんなどの屋台が並ぶ様子。屋台って並んでいるとやっぱりワクワクしますよね……。8月7日からエリアを拡大してリニューアルオープンするとのこと(写真提供/Replace)

京都府京都市の「梅小路京都西駅」の廃線跡の「梅小路ハイライン」に小籠包やクラフトビール、おでんなどの屋台が並ぶ様子。屋台って並んでいるとやっぱりワクワクしますよね……。8月7日からエリアを拡大してリニューアルオープンするとのこと(写真提供/Replace)

「今までにぎわい創出を目的として、土地所有者、例えば鉄道事業者などがイベント開催費用を負担していましたが、この仕組みでは反対に賃料収入を得られる。何よりにぎわいも生み出せて、地域のブランド力の向上につながると考えています」(中谷さん)。

また、屋台そのもののデザイン性を向上させ、スタイリッシュな印象にしているのも印象的です。

実際、以前は不法投棄や違法駐輪でいっぱいだった大阪環状線天満駅の遊休地で中谷さんが実施した「ほんまのYATAI天満」では、駅の印象を大きく変えただけでなく、「この場所に来たい」と屋台を目当てに訪れる人も増えているとか。遊休地が資産になっている好例といえるでしょう。

「ほんまのYATAI天満」には焼き鳥、台湾料理、沖縄料理などの幅広い種類の飲食店の屋台がならぶ(写真提供/Replace)

「ほんまのYATAI天満」には焼き鳥、台湾料理、沖縄料理などの幅広い種類の飲食店の屋台がならぶ(写真提供/Replace)

屋台は半屋外で風通しのよさは抜群。でも人との距離が近い…

新型コロナウイルスの対策でいうと、屋台は「屋外」になるので、「密閉」にはなりませんし、お弁当やテイクアウトなどの業態とも親和性が高く、時流にあわせて業態を変えられるのも大きな魅力です。

「ただ、屋台では店主と客、客同士、つまり人との距離が近いことがあるんです。ここで会話がうまれて、新しい交流がうまれる。一方で、アルコールが入ることも多く、『密接』に近くなることも。そこはマスクや消毒など対策を徹底しつつ、取り組んでいます」と話します。

現在、Replaceには廃線跡や高架下、公開空地などに出店しないかという引き合いも多いといいます。
「屋台を始めたいという飲食店側、土地の所有者、それぞれからの問い合わせが増えています。街のにぎわいを絵に描くだけでなく、実際につくりだしていけたらと思っています」(中谷さん)

高架下はホステルやスポーツイベントにも活用できる

遊休地の活用法は飲食店だけではありません。「Tinys Yokohama Hinodecho(タイニーズ横浜日ノ出町)」(神奈川県横浜市)は、鉄道の高架下に複数のタイニーハウス(小型の移動できる住まい)を設置して「Tinys Hostel (タイニーズホステル)」とイベント・飲食スペース「Tinys Living Hub(タイニーズリビングハブ)」のほか、目の前を流れる大岡川で水上スポーツ「SUP(スタンドアップパドルボード)」などが体験できる「Paddlers+(パドラーズプラス)」からなる複合施設です。可動式の5台のタイニーハウスを設置することで、食べるだけでなく、遊ぶ、集うということも可能です。この「Tinys Yokohama Hinodecho」を運営する川口直人さんは、高架下の遊休地の可能性についてこう話します。

鉄道の高架下に可動式のタイニーハウスを並べてできた「Tinys Yokohama Hinodecho」(写真提供/YADOKARI)

鉄道の高架下に可動式のタイニーハウスを並べてできた「Tinys Yokohama Hinodecho」(写真提供/YADOKARI)

「Tinys Yokohama Hinodecho」にはタイニーズホステルがあり、宿泊も可能に(写真提供/YADOKARI)

「Tinys Yokohama Hinodecho」にはタイニーズホステルがあり、宿泊も可能に(写真提供/YADOKARI)

高架下は半屋外なので換気は良好。密を避けるにはぴったりの環境だ(写真提供/YADOKARI)

高架下は半屋外なので換気は良好。密を避けるにはぴったりの環境だ(写真提供/YADOKARI)

「遊休地は土地の所有者が今後、どうするか決めかねているということも多いもの。建築物は一度、つくってしまうと動かせませんが、可動式の施設を使うというのは、相性がいいのかもしれません。このスタイルだと、一時的にお試し・実験的に事業をすることも可能です。また、今回の新型コロナ対策のように大きな変化があっても、柔軟に対応することができます」と川口さん。

ちなみに「Tinys Yokohama Hinodecho」ができたのは2018年。もともとは違法風俗店が立ち並んでいたエリアでしたが、アートによるまちづくり、「Tinys Yokohama Hinodecho」などの努力によって、街の雰囲気が大きく変わりつつあった矢先、今回の新型コロナ騒動がおきました。今後のにぎわいについてどのように考えているのでしょうか。

「高架下は屋根や壁がなく、半屋外になるため実は換気が抜群なんです。また、タイニーズ横浜日ノ出町では基本的には外から何をしているのか見えるデザインになっています。ウィズコロナでは外から何をしているのか、にぎわいが可視化されて、不安を取り除けることがとても大切だと考えています」(川口さん)

大岡川から川を下れば、みなとみらいの風景を眺めながら水上スポーツ「SUP(スタンドアップパドルボード)ができる(写真提供/YADOKARI @横浜SUP倶楽部)

大岡川から川を下れば、みなとみらいの風景を眺めながら水上スポーツ「SUP(スタンドアップパドルボード)ができる(写真提供/YADOKARI @横浜SUP倶楽部)

さすがに密接・密集になるようなイベントはできませんが、それでもにぎわいを取り戻すための取り組みは続けています。

「街のにぎわいは、人が集まり、交流からうまれます。人が集まって語らうことは、街を守ることにもつながります。感染を恐れるあまりネガティブになりすぎるのではなく、気をつけながら街が少しずつ回復していくことを願っています」と川口さん。

「遊休地」を単なる「困った場所」ではなく、新しいにぎわいの場所とするために、試行錯誤はまだまだ続きそうです。

●取材協力
STAND3.0
Tinys Yokohama Hinodecho(タイニーズ横浜日ノ出町) 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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SUUMO

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