1日1回の離乳食をスムーズに食べてくれるようになったら、次のステップは1日2回食。「どんなタイミングで2回に増やす?」「量はどれくらいになる?」というママの疑問を1日の生活スケジュールを提案しながら解決していきます。
離乳食の2回食とは
離乳食が始まってしばらくすると、1日1回だった食事の回数が2回に増えます(2回食)。
大人と同じように1日3回食になる間のステップになりますが、離乳食の進み具合などには個人差があるので、あくまでも目安として 食事を2回にする時期や1回あたりの量などを知っておくとよいでしょう。赤ちゃんのペースを尊重し、進めてくださいね。
2回食の進め方
2回食に切り替えるのはいつから?
少しずつ母乳だけではエネルギーが足りなくなってくるので、生後7~8ヶ月(離乳中期)ごろが2回食へ切り替える時期と考えていいです。もしくは、食べられそうであれば1回食を1ヶ月ほど続けたら2回食に進めてもいいでしょう。ただし、離乳食の進行が早い遅いなど個人差もあるので、無理ないように進めるのが大切です。
なお、「1回の食事でうまく食べられない」という場合には、チャンスを増やす意味で2回にしても構いません。
2回食スタートの見極めポイント
2回食に進むタイミングとしては、以下のようなものがあります。
・スプーンで食べることに慣れてきた ・口に入ったスープやペースト状の食べ物を口を閉じてゴックンと上手に飲み込めるようになった ・おかゆ、野菜、豆腐、白身魚…と離乳食に取り入れる食材が増えたなど
赤ちゃんのたべるお口をよく観察してみてくださいね。 ただ、先にもお伝えしたように、1回の食事をほどんど食べず、足りないと思った場合には2回に増やしてもいいでしょう。食べてくれないと悩む前に、食べられるチャンスを増やしてあげてもいいですね。
2回食にする場合のタイムスケジュール
2回食の食事時間の目安
1回食のときは、なるべく午前中にあげているという人が多いようですが、2回食に増えるとどのようなタイムスケジュールになるのでしょうか。
まず、離乳食のスケジュールに決まったものはありません。 1回目は今までと同じように午前中。そして2回目は午後の遅くならない時間に設定し、だいたいの時間を決めておくと、赤ちゃんも体のリズムをつくりやすいかもしれません。
また、まだ母乳やミルクからの栄養も必要なので、どの時間帯に授乳するかによって、2回目の食事時間が変わってくるでしょう。お風呂の時間や寝る時間などをどのように組んでいくかによっても、何時に2回目を食べさせるかが変わってきますね。
1日のタイムスケジュール例
6:00授乳(母乳またはミルク約200ml) 10:001回目の食事+授乳(母乳またはミルク約100~120ml) 14:00授乳(母乳またはミルク約200ml) 18:002回目の食事+授乳(母乳またはミルク約100~120ml) 22:00授乳(母乳またはミルク約200ml)
上記はあくまでも目安。これを参考に、ご家庭や赤ちゃんのペースで決めていけるといいでしょう。
2回食の献立
2回食の献立表一例
いろいろな味、舌ざわりを楽しめるようにメニューや食品の種類を増やしていきましょう。食べ物の固さは舌でつぶせる程度が目安です。
〈しらすがゆ〉
細かく刻み、塩抜きしたしらすと少しお米の形状が残っているおかゆを合わせます。
〈豆腐とほうれん草和え〉
豆腐はざっくりと潰し、細かく刻んだ茹でほうれん草の穂先とかつお節などをまぶして和えます。
〈かぼちゃのパンがゆ〉
6枚切りの食パンの4分の1枚くらいの量を目安に、粉ミルクを活用してパン粥を作ります。かぼちゃやさつまいもなどの野菜を加熱して細かくみじん切りし、パンがゆに混ぜれば完成です。
〈ささみと野菜の豆乳スープ〉
① 鶏ささみ肉はゆでて、フォークの先などで繊維をつぶすようにほぐします。小松菜の穂先は茹でて縦横にみじん切りします。 ② にんじん、玉ねぎ、じゃがいも、小松菜、皮むきトマトはみじん切りして煮ます。 ③ ①②に豆乳を加えて温まったらできあがりです。
2回食となると、おかゆ以外に麺類・パンなどを取り入れたり、野菜もいろいろな種類の味に慣れさせていきましょう。穀類・野菜・たんぱく質類を組み合わせて、徐々に栄養のバランスを意識した献立にしていきたいところです。
とはいえ、毎食毎食きちんとそろえようとすると大変なもの。「食べられるもの」を少しずつ増やしていくことを優先し、「昨日は野菜少なかったから、今日は少し野菜が多めにしよう」くらいの程よい心がけができるといいでしょう。
おいしそうに一口一口食べてくれる姿を想像すると、離乳食の用意も楽しくなりそうですね。
1回あたりの食事量はどれくらい?
厚生労働省の資料によると2回食となる離乳中期には、以下のⅠ、Ⅱ、Ⅲがそれぞれ1回の食事量の目安となります[*1]。
Ⅰ穀類:全がゆ 50~80g Ⅱ野菜・果物類:20~30g Ⅲ魚:10~15gもしくは以下のいずれか ∟肉:10~15g ∟豆腐:30~40g ∟卵:卵黄1個分〜全卵なら3分の1個分 ∟乳製品:50~70g
もちろん、赤ちゃんの食欲や進み具合、成長、食への興味などの状況に合わせて、量を調節していくことが重要ですので、無理をせず進めていけるといいですね。
また、2回食をスタートしたばかりは、2回目の食事の量にも気を付ける必要があります。2回目の食事は1回目よりも少なめにして様子を見るとよいでしょう。このころは母乳やミルクも併用する時期なので、食事の量も赤ちゃんのペースに合わせてあげましょうね。
2回食のよくある悩み
外出でタイムスケジュールがズレる
規則正しい生活は理想ですが、毎日計画通りに食事ができるわけではありませんよね。外出してタイムスケジュールがズレてしまったとしても気にせず、翌日以降戻していけば大丈夫です。予定通りに行かず、大人がイライラしたり不安になっている状態を赤ちゃんは敏感に察知します。少し食事の時間が遅れたとしても、気にせず割り切りましょう。
2回食にしたら便秘になった!
母乳やミルクを飲む量が減ってきたタイミングで便秘になった、というケースは珍しくありません。
水分摂取量が減ってうんちかたくなっているような時は、食事でスープ類や水分多めのメニューにしするなど水分補給を心がけましょう。便秘が続き、赤ちゃんが苦しそうであれば一度かかりつけの小児科で受診を。
■赤ちゃんの便秘への対処法については、以下の記事をご覧ください。
まとめ
お口を閉じてゴックンと飲み込むのが上手になったり、いろいろなものが食べられるようになったりと2回食へ切り替えるポイントはいくつかあるので、赤ちゃんの様子を見ながら赤ちゃんのペースに合わせてスタートしましょう。まだまだ食べるのに慣れないので、2回うまく食べられないこともありますが、食べる時間や量、タイミングはそれぞれに合わせましょう。徐々に栄養バランスのよい献立を意識して、家族も一緒においしく食べられるといいですね。
この記事の監修者 川口由美子 先生(管理栄養士/母子栄養指導士) 一般社団法人母子栄養協会 代表理事 女子栄養大学 生涯学習講師。大学時に小児栄養学を学んだのち、育児用品メーカーでベビーフード開発を経て栄養相談、離乳食レシピ執筆、講演会に携わる。2児の母。現在は、母子栄養協会にて離乳食アドバイザー®他、専門家を養成している。 ◆一般社団法人母子栄養協会HP:https://boshieiyou.org/
参考文献 [*1]厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」p.34 https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_04250.html