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【医師監修】妊娠後期に陰部が痛い! 痛みの理由と対処法

目次

妊娠後期、陰部に痛みを感じたら、体調が心配なうえ出産に何か影響しないか気になるかもしれません。人に相談しにくい話題ですが、恥ずかしいからと放っておくのは禁物。産婦人科専門医に可能性がある痛みの理由と対処法を聞きました。

どうしてデリケートな部分が痛む?

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陰部の痛みには多様な原因が考えられ、単純ではありません。

松峯先生によると、そもそも妊婦さんの表現も多様で「陰部」を「おまた」「デリケートゾーン」などと言う人も多く、同じ言い方でも痛みを感じている場所が違うことが往々にしてあるとのこと。ですから、医師が原因を特定するときには、まずはそれぞれの症状の聞き取り(聴診)を丁寧に行ったうえで、患部の視診、そして必要に応じた検査をすることになります。

可能性があると考えられる原因は?

松峯先生のクリニックを訪れる妊娠後期の妊婦さんから訴えが多い「陰部の痛み」は、頻度が多い順に次の通りです。どのケースも症状の聞き取り(聴診)と視診、検査によって診断がつくので、診断後すぐに治療やケアが始められます。

痛む場所でわかる「恥骨痛」

赤ちゃんが大きくなり、骨盤、特に「恥骨(骨盤を構成する骨のひとつ)」辺りを圧迫することから痛みを感じます。痛い場所が「恥骨」または「恥骨結合(左右の恥骨をつなぐ軟骨)」部分とはっきりしているのが特徴です。

松峯先生: 「この場合、立ち仕事をしているときに痛いと訴える妊婦さんが多いので、立ちっぱなしを避け、こまめに休憩をとるようにアドバイスをしています。骨盤ベルトの利用で痛みが軽減する人もいます。ただし骨盤ベルトは正しい位置に、適度な圧迫があるようにつけなければ逆効果になってしまいます。最初は主治医や助産師さんのアドバイスを受けて利用しましょう」

痛むタイミングでわかる「膀胱炎」

急性の膀胱炎は、主に大腸菌による尿路感染症の1種です。尿路感染症は膀胱炎や腎盂腎炎など、腎臓、尿管、膀胱、尿道に起こる感染症のことで、膀胱炎の場合は、排尿するときに痛むのが特徴。トイレに行った後の残尿感も強まります。頻繁に排尿したくなる(頻尿)、尿の濁り、下腹部の不快感といった症状もあります。

女性は尿道が短く膀胱まで細菌などが入り込みやすいので、膀胱炎になるのは珍しいことではありません。ただ、感染が膀胱から腎臓に及ぶ「腎盂腎炎」になると発熱などの全身症状が出て、敗血症性ショック(細菌感染による重大な臓器の障害)から、妊婦さんでは切迫早産、前期破水などを引き起こすリスクがあります。妊婦さんの場合はとくに、尿路感染症は予防と共に早期発見・早期治療が大切です。

妊娠中は次の3つの理由から尿路感染症になりやすいので、排尿痛などの症状があったらすぐに受診しましょう。

妊娠中に膀胱炎、腎盂腎炎などが起こりやすい3つの理由

①大きくなった子宮が尿管(腎臓と膀胱をつなぐ管)を圧迫して、尿の流れが滞ったり、膀胱から尿管への逆流が起こることがあり、腎臓に細菌が感染するリスクが増える。 妊娠中に分泌されるホルモンの影響で尿管が拡張することも、膀胱から腎臓に感染が広がるリスクを増やす。

②妊娠中はホルモンの影響で膀胱の周囲の筋肉が緩み、膀胱を収縮させる機能が低下するので、尿を出しきれず、残尿が起こりやすい。

③妊娠中は抵抗力が下がっており、もともと腟にいる菌などであっても感染しやすい。

松峯先生: 「妊娠中はとくに、陰部の清潔を保って感染や膀胱炎の再発、重症化を防ぎましょう。尿道口から菌が入り込んでも、排尿すると尿と一緒に細菌も排出されるので、水分をきちんととり、トイレはがまんしないようにしてください」

痛がゆくなることが多い「カンジダ腟炎」

カンジダ属真菌による女性に多い性感染症です。かゆみを伴うことが多いので、訴えは「痛がゆい」が多く、おりもの(白色)の増量も起こります。診断がつけば治療と共に「陰部の清潔」「休養&体力回復」「通気性の良い下着の利用」など、セルフケアが必要です。

松峯先生: 「腟カンジダ症は日和見感染症(*)の1種で、何らかの原因で感染に対する抵抗力が下がったときに炎症が起き、症状が出ることが多い病気です。 一般的に抗菌薬を服用したときが多いのですが、妊娠や過労、体調不良、睡眠不足なども誘引になることがあります。再発も多い病気なので、規則正しい生活を心がけ、体調管理に気を付けましょう」

*日和見感染症:菌を保有していても、普段は症状がないものの、何らかの原因で感染に対する抵抗力が下がったときに症状が出る感染症のこと。

ほかにもある痛みの原因

次の病気などの場合も「陰部の痛み」が生じる可能性があります。

ヘルペス

ウイルス性の潰瘍が腟や外陰部にできます。患部の視診でわかり、すぐに薬物治療が始まります。 分娩時に赤ちゃんが産道感染すると、「新生児ヘルペス」を発症し、全身型の重症な症状によって死亡することも多いため、分娩時に治っていなければ母子感染を防ぐ目的で帝王切開となります。

陰部静脈瘤

妊娠中の血液量の増加やホルモンバランスの変化により、卵巣や子宮周囲の静脈内で血液の逆流を防いでいる弁が機能しなくなったり、壊れてしまうことでできる静脈瘤です。脚の付け柄や太ももの裏側、会陰部などに静脈瘤ができ、違和感や痛みを引き起こします。

大陰唇に静脈瘤ができている場合などは視診でわかることもありますが、体の中の見えない部分に静脈瘤ができることもあります。静脈瘤の存在や痛みに気づかなくても、患部に熱感があったり、腫れていると感じる場合もあるようです。こうした症状のほか、脚のむくみや疲労感、こむら返りなどがひどい場合や、症状はないが血管がボコボコしているなど下半身の異常に気付いたら、一度主治医に相談してみましょう。

妊娠中に陰部静脈瘤ができた場合は、出産まで悪化させないように静脈瘤のできた部位により「患部を圧迫する」「適度に動きながら血流を促す」「便秘を防ぐ」など、主治医からの生活上の注意に従って過ごすことになるでしょう。

松峯先生: 「陰部静脈瘤の場合、出産後には骨盤内の血流改善に従って自然治癒することが多いため、妊娠中は特に積極的な治療はしないことがほとんどですが、悪化させないための日常生活のアドバイスはできます。主治医とコミュニケーションをとりながらコントロールしていきましょう」

まとめ

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ここで紹介したとおり、デリケートな場所の痛みの原因はさまざま。なかにはここまでで説明した以外の理由で痛むこともあります。いずれにしても、「痛い」という症状だけでは原因は特定できないので、医師による詳細な聞き取り(聴診)と患部の視診、そして適切な検査が必要になります。早期に治療を始める必要がある原因の場合もあるので、違和感を覚えたら、放っておかず、早めに受診をして異常がないか調べてもらいましょう。

この記事の監修ドクター 松峯美貴先生 医学博士、東峯婦人クリニック副院長、産前産後ケアセンター東峯サライ副所長(ともに東京都江東区)妊娠・出産など女性ならではのライフイベントを素敵にこなしながら、社会の一員として悠々と活躍する女性のお手伝いをします!どんな悩みも気軽に聞ける、身近な外来をめざしています。 http://www.toho-clinic.or.jp/

(文・構成:下平貴子、監修:松峯美貴先生)

※画像はイメージです

参考文献 ・妊娠・出産期の理学療法.須永康代,2019 https://www.jstage.jst.go.jp/article/ptcse/26/1/26_26-011/_pdf ・「病気がみえるvol.10 産科」(メディックメディア) ・産婦人科外来パーフェクトガイド.医学書院,P389

※この記事は、マイナビウーマン子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました

※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます


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マイナビウーマン子育て

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