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コロナ禍で“タクシー”に注目。AIなどで進化続ける未来の可能性

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

コロナ禍で“タクシー”に注目。AIなどで進化続ける未来の可能性

電車やバス、飛行機、そしてタクシーといった公共交通機関をシームレスにつなぐ次世代モビリティサービス「MaaS(Mobility as a Service)」などモビリティの進化が目覚ましい。なかでもタクシーは、このコロナ禍で3密を避けられると需要が高まっているほか、今後の高齢化社会の移動手段としても注目されている。そこでAIの導入によってさらに便利になったタクシーの最新事情について、AI配車システムの開発などを行う、株式会社未来シェアの代表取締役 松舘渉さんに話を聞いた。
「移動困難者をなくしたい」という想いが原点松舘渉さん(画像提供/株式会社未来シェア)

松舘渉さん(画像提供/株式会社未来シェア)

株式会社未来シェアは「移動困難者をなくしたい」という想いのもと、独自のAI配車システム「SAVS(Smart Access Vehicle Service)」を開発し、プラットフォームを提供している企業だ。

アプリを使い他の乗客と一緒に同乗する「相乗りタクシー」、AIによる「タクシー配車計算」、「予約ができるバス」としてドアtoドアの送迎ができる「オンデマンド(需要)バス」など、移動交通の効率化を実現している。

SAVSの全体的なシステム概要(画像提供/株式会社未来シェア)

SAVSの全体的なシステム概要(画像提供/株式会社未来シェア)

松舘さんによると、5年ほど前までは、バスのように乗り合いができ、タクシーのように移動先が指定できる「オンデマンド交通」の概要は、一般的な公共交通の活用法とは異なっていたため、なかなか理解してもらえなかったそうだ。スマートフォンが普及し、AIへの注目度が高まるにつれて認知度が増していったという。

現在は岡山県久米南町、岩手県紫波町、長野県伊那市、群馬県太田市で運用され、介護業界や観光地でも利用されている。そのほか、企業にライセンス提供を行い「AI運行バス」(NTTドコモ)という名称でさまざまな自治体などで活用されている。

住まいが駅から遠く、自家用車を持たない世帯にとって、タクシーやバスは生活に密着した大切な移動手段だ。特にドアtoドアで移動できるタクシーは高齢化社会にともない需要は高まっているが、タクシーの運転者数は年々減り続けている現実がある。需要はあるもののなり手が少ないため、いかに効率的な配車計算を行うかが、タクシー業界の課題を解決するカギとなっている。

「タクシーにAI配車を導入すると、効率的な配車計画が可能となります。地域住民にとってはタクシーの利便性が上がり、事業主には効率化によるコスト削減が可能となるのです」(松舘さん)

効率的な配車計算は運転手にとってもメリットになる。長時間労働をしていた運転手が、AIによる配車システムにより短時間でより大勢のお客さんを送迎し、無駄な時間が無くなることで効率の良い働き方ができるため、働き方改革につながっているという。

では実際に、オンデマンド交通を取り入れたことで、住民の暮らしがどう変化したのだろうか。

高齢化進む岡山県久米南町、新たな足とコミュニケーションの場に町内風景(画像提供/久米南町役場)

町内風景(画像提供/久米南町役場)

岡山県久米南町は、岡山県中央部に位置し、総人口4737人、世帯数2249世帯(2020年6月30日現在)の小さな町だ。
2020年から株式会社未来シェアのAI配車プラットフォーム「SAVS」を導入し、その運行エリアは、町内全域に及ぶ。

カッピーのりあい号(画像提供/久米南町役場)

カッピーのりあい号(画像提供/久米南町役場)

町内では『カッピーのりあい号』と呼ばれる乗用車が4台(ほかに予備車両1台)用意され、スマートフォン(Web)や電話で予約をすると、1人1回300円(割引制度あり)で指定の時間に迎えに来てくれるうえ、町内どこでも移動できる。運行時間は年末年始を除く、平日の8時15分から17時。乗り合いのため、住民同士のコミュニケーションがはかれるサービスだ。

「完全に町内どこでもいつでも、ドアtoドアで移動できるサービスを『交通空白地帯』と言われる地域で実現したのです」と松舘さんが話すとおり、住民からも好評のようだ。「病院や美容室などの時間が読めないときも、呼べばすぐ来てくれるので便利。時間を気にせず安心して利用できるようになった」との声も。

カッピーのりあい号の利用者数を比較したところ、2019年は644名(20日間)だが、翌年は928名(22日間)で、1年の間に月284名の増加(1日当たり約10名増)。地域を支える「足」として認知されてきている様子がうかがえる。

さらに今年の6月からは、宅配サービスもスタートしたという。

カッピーのりあい号の「宅配サービス」(画像提供/久米南町役場)

カッピーのりあい号の「宅配サービス」(画像提供/久米南町役場)

人と共に荷物も運ぶ「貨客混載」型のサービスで、現在のところ宅配時間は、運行時間と同様。配送料1ケースにつき300円(5kg以内)で利用できる。

スマホからの予約画面。人と荷物をのせる場合も簡単に予約可能だ(画像提供/久米南町役場)

スマホからの予約画面。人と荷物をのせる場合も簡単に予約可能だ(画像提供/久米南町役場)

6月にはさっそく4件の利用があった。宅配サービスはスタートしたばかりのため今後さらに周知がされれば、より利用者も増えていくだろう。

「オンデマンド交通という新しいサービスを取り入れることで、新型コロナなどの影響により経済的ダメージを受けたお店にも、『宅配サービス』という形で町の活性化に繋がるチャンスが生まれている」と松舘さん。

完了時刻を基準にした曜日毎の時間帯別トリップ集計表(画像提供/久米南町役場)

完了時刻を基準にした曜日毎の時間帯別トリップ集計表(画像提供/久米南町役場)

また上の集計表にあるように、利用可能時刻のすべてが満遍なく埋まっている点も興味深い。毎日、何らかの予約が入り、地域住民に愛されているサービスであることが読み取れる。

松舘さんによると既存のバスをやめて、オンデマンド型交通に置き換えることで利便性が高まり、どんどん利用者が増えている地域もあるという。需要があるから予約をしてタクシーのように利用できるが、価格はバスのような価格(300円※)とあれば、それは利用増となるだろう。高齢化が進む地域ならばなおさら、重宝される移動手段だ。

※乗車価格等は、自治体などにより異なる

今後増えるかも!? 便利な相乗り通勤タクシーサービスオンデマンド相乗り通勤タクシーの全体イメージ(画像提供/KDDI株式会社)

オンデマンド相乗り通勤タクシーの全体イメージ(画像提供/KDDI株式会社)

「この事例は、満員電車から解放され、新型コロナウィルス対策にもなるサービスであるため、今後増えていくと思います」と松舘さんが教えてくれたのは、延べ約2000人のKDDI社員を対象として実施された「オンデマンド相乗り通勤タクシーサービス」の実証実験(2020年7月13日~8月7日)だ。

相乗り走行ルート一例(画像提供/株式会社未来シェア)

相乗り走行ルート一例(画像提供/株式会社未来シェア)

サービス範囲は、都内の一部エリアから飯田橋、新宿、虎ノ門エリアにあるKDDI事業所の間で行われた。出勤時は希望する場所で社員をピックアップし、会社周辺まで送迎。退勤時も同様で、事務所からエリア内の自宅周辺まで送迎してくれる。出勤時の送迎予約は前日の夜、退勤時は当日の昼までにアプリで行う。乗降場所や時刻などが指定でき、コンビニなどの乗降場所も指定可能だ。

もちろん車両は、徹底したコロナ対策を行っている。車には運転席と乗車席の間に「飛沫防止ビニールカーテン」を設置し、3密対策として、少人数での移動(非密集)やソーシャルディスタンスを意識した座席設定(非密接)、常時の換気実施(非密閉)、送迎後のアルコール消毒、ドライバーおよび乗客の事前検温、マスク着用も行っている。

さらにこのサービスは、すべてITで管理されているため、「いつ誰がどの車両を、どこまで利用したか」がしっかりと把握できる。感染症の封じ込めも即座に対応しやすいというメリットがあるそうだ。

地域住民のニーズと共に、今後も移動困難者を減らしていきたい

政府は今年度中に相乗りタクシーの解禁にむけ法改正を進めているが、「バスのように乗り合いができ、タクシーのように予約や乗降場所が指定できる」オンデマンド交通は、未だ厳密なルール化はされていない。現行の法律は「乗り合いは、バス」「タクシーは貸し切り」という認識のままなのだという。

「地域のニーズとして実証実験などを繰り返して普及させ、追随するかたちで認めてもらっている現状があります」(松舘さん)。逆に言えば、地域の移動交通を進化させているのは、「そこに住む人々のニーズ」ということになる。それが行政をも動かしているのだ。

「私たちは今後も、移動困難者をなくす活動を続けていきたいですね。そしてほかのさまざまな地域や技術と連携しながら、MaaSの1技術として発展に参加していきます」と松舘さんは言葉に力を込めた。

AIなどで進化を続けるタクシーをはじめとする公共交通機関は、高齢化社会における人々の「足」として、そして交通渋滞の緩和や新型コロナ対策として、今後も、さらに多くの人の生活を支え続けるだろう。これからの展開にも注目したい。

●取材協力
・株式会社未来シェア
・久米南町役場 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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SUUMO

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