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一歩進んで二歩下がる40代の婚活。OTONA SALONE編集長・アサミ(48歳)は婚活歴4年、なかなかゴールは見えない。
現在進行形のお相手は、50歳の眼科医・レンズさん。婚活アプリで知り合い、3回目デートまで至ったけれど……。この話は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活ドキュメントである。
レンズさんとの3回目デートは、瀟洒なベトナム料理店。この日のデートでは彼との感覚が合うかどうかを確認したいと思っていた。味覚、言葉遣い、男女対等という意見、女性のキャリアに対する考え、ゴルフが趣味というところはわりと一致していた。
でも時間の使い方に対する意識は違うな……そう思っていたところに、この言葉だった。
レンズ「彼女は無職ですから、そのくらいやってもらうのが当たり前じゃないですか」
しばらく、言葉が出なかった──。
仕事と介護の両立が大変なことくらい、想像はできる。眼科医という仕事をしているレンズさんが、介護のために休職、離職するわけにもいかないだろうし。
肉親の介護を配偶者にサポートしてもらうことも、理解はできる。夫婦が支え合って暮らしていくのだから、それぞれの両親の介護をお互いにサポートし合うのだと思うし。
でも「無職だから」とか、「やってもらうのが当たり前」とか、そういう感覚はわからない。なんていうのかな、心がないというか、ありがとうの気持ちがないというか。
「やってもらうのが当たり前」という意識は、彼が何度か口にしている「対等」という言葉に、なんか矛盾している気がした。
アサミ「ちょっと意外でした」
レンズ「何がでしょうか?」
アサミ「以前のご結婚でも、対等な夫婦関係でいらっしゃるのかと思いました」
レンズ「対等じゃなかったからこその、反面教師ですよ」
アサミ「前の奥様はお仕事をされていなかったんですね」
寿退社やキャリアを積まない女性にあまりいい感情を持っていなかったのに、前の奥様が専業主婦だったことに驚いた。
レンズ「結婚した頃は仕事をしていたんですけどね、僕が地方の大学病院勤務になったときに退職したんですよ」
アサミ「レンズさんの転勤にともなって」
レンズ「そうですね。彼女は会社員でしたけど地方に支社があったわけでもないので。僕が単身赴任する以外は、辞めるという選択肢しかなかったですね」
レンズさんの都合で退職したから専業主婦となったってことか。
アサミ「前の奥様がお仕事なさっていなかったのは、レンズさんの転勤についていったからなんですね」
レンズ「ええ、退職した理由はそうです。でも、その後もずっと仕事をしないとは思いませんでしたね。転職するなり、資格を取るなりしたらとは言ったんですけど」
アサミ「以前どんなお仕事をなさっていたかわかりませんが、ある一定の年齢になると女性の転職って意外と難しいんじゃないかと思います」
レンズ「じゃ、アサミさんご自身は転職できないと思いますか?」
アサミ「いまの年齢でですか?」
レンズ「じゃ、仮に30代前半だったとして」
アサミ「その年齢だったら、なんとか転職できるかなと思います」
レンズ「そうおっしゃると思っていました」
アサミ「でも、仕事を選ばなければ、ですけれど。希望の仕事には就けないかもしれません」
レンズ「まぁ、アサミさんはご自身で何とかする方じゃないですか。元妻はそういうところがなかったんですよね」
前の奥様が仕事をしていなかった理由はわかったけれど……。レンズさんは自分の転勤という都合に合わせて退職した彼女の気持ちや女性の転職の難しさを、あまり理解していないんじゃないかと思った。簡単にいえば、ちょっと自分勝手だなと。
レンズさんと決定的に一致しない感覚があることがハッキリ見えてきた。それは、“僕に合わせてもらうのが当たり前”という感覚だ。
結婚したら、僕と一緒のときは30分前行動にしてもらう。
転勤になったら、ついてきてもらう。
ついてきてもらうけど、仕事はしてほしかった。
無職だから、僕の母親の介護はしてもらって当然。
前の奥さん、よく10年以上も結婚生活を続けられたな……なんて思ってしまった。
なんとなく、レンズさんとは根本的な相性が合わない気がする。お付き合いするのはちょっと厳しいかも。ここまでの会話で、それがよくわかった。
3回デートしてみたけど、そろそろ潮時かな。
だからその後の会話は、お互いの感覚を探るようなものではなく、他愛のないものにとどめておいた。共通する、食事のこと、ゴルフのこと。そんな程度にしておいた。
会話をゆるくした分、食事やお酒を美味しくいただけたので、それなりに楽しくデートを終えた気がする。
お会計は、私が席を立って化粧室へ行っている間にレンズさんが済ませてくれていた。
アサミ「おいくらでしたか?」
レンズ「いいですよ」
アサミ「いえ、先日もごちそうになっているので」
レンズ「いや、いいんです」
アサミ「そうですか? 恐縮です。ごちそうさまでした」
ペコリとお辞儀をして、その場をあとにした。時刻は22時を過ぎていた。美味しいものを一緒に食べる友達としては悪くないけれど、一緒に人生を歩んでいく人ではないかなと思いながら帰途についた。
自宅に着いてからレンズさんにメッセージを送った。
アサミ「今日はありがとうございました。トムヤムクン、すごく美味しかったですね。ごちそうさまでした」
すると、10分くらい経って返信がきた。
レンズ「いまからちょっと話せますか?」
なんだろう? さっきまで一緒にいたのに何か言い忘れたことでもあったのかしら?
アサミ「大丈夫ですよ」
と返信を送るとすぐに、レンズさんから電話がかかってきた──。
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