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労災休業補償の期間はいつまで?打ち切りはある?気になる疑問をFPが解説!

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目次

労災で休業が長引く場合、今後の収入がどうなるかは気になるところです。収入次第では、これからの生活設計をどうするのか考えなければならないでしょう。

今回は労災で休業補償を受けている方に向けて、休業補償の受給期間とほかの給付制度との調整、注意したいポイントなどを解説します。

労災保険の適用と休業補償

労災保険の適用と休業補償

労災保険が適用されるケースと休業補償の概要は下記のとおりです。

労災保険が適用される場合

労災保険が適用されるのは、、会社員などの労働者が仕事中や通勤の途中にけがや病気になり、治療や休業、死亡した場合などです。パート・アルバイトを含むすべての労働者が対象となります。

また、支給要件は、けがや病気の原因となる災害が「業務災害」または「通勤災害」に該当することで、下記の災害が該当します。
業務災害と通勤災害

業務災害
・仕事中の事故や業務が原因の病気などが対象。
・「災害と業務との因果関係」が認定のポイント。
・仕事の準備、後始末のときや出張中の事故も対象。

通勤災害
・会社への通勤中の事故が対象。
・通勤が「合理的な経路と方法」で行われているかが認定のポイント。
・帰りに飲みに行ったりした場合(中断)は対象にならない。

https://manetasu.jp/1287494

休業補償とは

休業補償とは、業務災害や通勤災害により休業することとなった場合に、休業中の収入を補償するための給付金です。業務災害で休業した場合に支給されるものを「休業補償給付」、通勤災害の場合は「休業給付」といいます。

https://manetasu.jp/1287055

休業補償の給付金額

休業補償の給付金額は、業務災害と通勤災害のどちらも、給付基礎日額(※)の100分の60です。給付基礎日額とは、事故が発生した日の直前3か月間にその労働者に支払われた金額の総額を、その期間の歴日数で割った1日当たりの賃金額です。

ただし、実際には、労災保険の「社会復帰促進等事業」から支給される休業特別支給金(給付基礎日額の100分の20)を加えて、給付基礎日額の8割が支給されます。

また、通勤災害による休業では、初回の休業給付支給額から一部負担金200円が控除されます。

休業補償はいつまでもらえる?

休業補償はいつまでもらえる?

休業補償は、条件を満たせば無制限にもらえます。ただし、所定のケースでは休業補償は支給されませんので、支給のポイントを解説します。

待機期間が過ぎれば支給期間は無制限

休業補償は、一定の条件を満たせば支給期間は無制限です。ただし、休業から最初の3日間は待機期間といって休業補償は支給されません。待機期間中の休業に対する補償責任は事業主にあります。

休業補償の支給要件は下記のとおりです。

療養のために休業していること
労働不能であること
賃金の支払いがないこと
待機期間(休業の最初の3日間)が満了していること

上記条件を満たせば、一度復職して休業補償が打ち切られたあとに再び体調を崩すなどして2回目の休職になった場合でも、休業補償を再度受けることができます。休業中に退職した場合も、継続して休業補償を受給できるので安心です。

労災休業中の解雇の扱いについて

また、「労災で休業している間およびその後の30日間は解雇してはならない」と労働基準法に定められていますので覚えておきましょう。労働者を保護するための規定です。

ただし、休業中に契約期間が満了する場合には解雇に該当しないので注意しましょう。さらに、療養開始から3年経過しても傷病が治らない場合、使用者は平均賃金の1,200日分の打切補償を行えば解雇制限を解除できるため、解雇される可能性はあります。

1年半後に傷病年金に切り替わることも

前述のとおり、休業補償は基本的には無制限ですが、療養開始後1年6か月を経過した日(またはその日以降)に所定の要件に該当した場合は、傷病(補償)年金に切り替わり、休業補償は支給されません。

傷病年金の支給額は傷病の程度(傷病等級)に応じ決まりますが、休業補償と比較して大きく減ることはなく、増額になる場合もあります。また、傷病(補償)年金の支給要件に該当しない場合は、これまでどおり休業補償が支給されます。

傷病(補償)年金

傷病(補償)年金の支給要件は、療養開始後1年6か月を経過した日、またはその日以後、下記に該当することです。

対象となるけがまたは病気が治っていない
対象となるけがまたは病気による障害の程度が傷病等級表の第1級から第3級に該当する

傷病(補償)年金の給付についても、休業補償と同様に「社会復帰促進等事業」からの支給(傷病特別支給金・傷病特別年金)が加算され、下記が支給されます。
傷病(補償)年金の支給額

等級
障害補償
傷病特別支給金
傷病特別年金

1級
給付基礎日額の313日分
114万円
算定基礎日額の313日分

2級
277日分
107万円
277日分

3級
245日分
100万円
245日分

「傷病特別支給金」は、一時金で支給は1回のみです。「傷病特別年金」の算定基礎日額は、ボーナスなどの特別給与を365日で割った額で、ボーナスをベースとした給付金と言えます。

1級の場合は年収の約85%プラス114万円(初年度のみ)の支給、3級の場合は年収の67%プラス100万円が支給されることになり、1年目の受給額は多くの場合、休業補償を上回ります。

時効になればもらえない

休業補償は条件を満たせば基本的には無制限に受給できますが、請求が遅れると時効で受給できない場合があります。

休業補償の時効は、「請求権が発生した日の翌日から2年間」です。請求権は休業した日(賃金を受けない日)の翌日に発生しますので、例えば4月1日に休業した分は、4月2日から2年後の4月1日までに請求しなければなりません。

休業中に1か月サイクルで請求する場合、途中での請求漏れは少ないですが、復職後の請求は溜まった仕事に追われて忘れがちになるので注意しましょう。

休業補償の支給調整など

休業補償の支給調整など

休業補償の支給要件を満たしているにも関わらず、ほかの給付を受けた場合、休業補償が受けられないケースがあります。休業補償が打ち切られたわけではなく、ほかの給付との支給調整により休業補償の全額または一部が一時的に支給停止になるのです。

障害年金との支給調整

休業補償と障害年金が同時に支給される場合、休業補償は障害年金と支給調整され、休業補償の給付金額が減額されます。減額幅は受け取る障害年金の種類によって異なり、本来の休業補償の給付金額に下記割合を乗じた金額になります。
障害年金との支給調整

受け取る年金
休業補償の給付割合

障害基礎年金+障害厚生年金
73%

障害基礎年金のみ
88%

障害厚生年金のみ
86%

障害年金

障害年金とは、加入する公的年金制度(国民年金、厚生年金など)から支給されるもので、障害基礎年金と障害厚生年金の2種類があります。

加入する年金制度やこれまでの加入状況、障害の度合いに応じて、障害基礎年金と障害厚生年金を両方受給できる場合と一方のみを受給できる場合があります。

損害賠償との支給調整

災害の原因が第三者の行為によるもので、第三者より損害賠償(自動車事故の場合は自賠責保険などの支払い)を受けた場合、賠償金額分の休業補償は支給されません。休業に対する補償が、損害賠償と労災保険とで重複しないようにするためです。

損害賠償がまだの場合、休業補償は通常に行われますが、第三者に対する損害賠償請求権は政府が取得(「代位取得」といいます)することになります。

給与との支給調整

労働者が休業中に使用者が給与を支払った場合、「賃金の支払いがないこと」という休業補償の支給要件を満たさないため休業補償は支払われませんが、もし使用者が給付基礎日額の40%だけ支払った場合は休業補償があります。

休業補償の給付金額は、給与との支給調整により給付基礎日額の20%となり、給与と休業補償の合計が給付基礎日額の60%となります。

障害年金や損害賠償、給与との支給調整については、休業補償に対してのみ行われます。そのため、前述の「休業補償の給付金額」で解説した「社会復帰促進等事業から支給される休業特別支給金(給付基礎日額の100分の20)」の支給調整はありません。

その他のポイント

休業補償とほかの給付などとの関係では、下記ポイントについて留意しましょう。

有給休暇を取ると休業補償は受け取れない

有給休暇を取ると休業補償は受け取れません。「賃金の支払いがないこと」という休業補償の支給要件を満たさないためです。有給休暇の取得を事業主が強制することはできませんが、労働者は休業補償を受けずに有給休暇取得を選択することはできます。

有給休暇取得のメリットは、受給額が多くなることです。有給なら通常に勤務しているときと同じ金額が受け取れますが、休業補償なら給付基礎日額の100分の80(休業特別支給金を含む)です。

デメリットは有給休暇日数が減ってしまうことです。有給休暇の時効(付与から2年)が近い場合は、有給休暇取得を選択する方法もあります。

労災の障害(補償)給付を受けると休業補償は受け取れない

労災の障害(補償)給付(前述の公的年金制度の障害基礎年金や障害厚生年金とは異なる)を受けると、休業補償は受け取れません。「療養のために休業していること」という休業補償の支給要件を満たさないためです。

労災の障害(補償)給付は、病気やけがが治ったこと(障害の症状が固定し治療が不要になった状態)が前提となるため、障害(補償)給付と休業補償が併給されることはありません。

労災の障害(補償)給付
労災の障害(補償)給付は、労働災害により病気やけがをし、治ったときに所定の障害等級に該当する場合、障害(補償)年金または障害(補償)一時金が支給されます。
労災の障害(補償)給付

障害(補償)年金
障害1級から7級に該当する場合、毎年、給付基礎日額の313日分から131日分が支給。

障害(補償)一時金
障害8級から14級に該当する場合、一時金として、給付基礎日額の503日分から54日分が支給。

療養の給付や介護(補償)給付を受けても休業補償は受け取れる

労災の療養給付や介護給付を受けても、休業補償は受け取ることができます。休業補償の支給要件に抵触することはないからです。

療養の給付
療養の給付とは、労働災害による病気やけがの治療費用を全額給付するものです。健康保険のような自己負担金はありません。

労災病院など所定の病院で治療する場合は治療費の支払いはありません(現物給付)が、それ以外の病院で治療する場合は、いったんは治療費を支払い、後日に支払い分全額の給付(現金給付)を受けます。

介護(補償)給付
介護(補償)給付とは、障害(補償)年金や傷病(補償)年金の受給者のうち、所定の障害状態にあり、常時または随時介護を受ける者に対し、月単位で介護費用の額が実費で支給されるものです。

介護の状況ごとに、給付の上限額と親族などが介護する場合の最低保証額が設けられています。

休業補償の申請手続きは?

休業補償の申請手続きは?

休業補償の申請手続きは下記のとおりです。

休業補償の申請方法

休業補償の申請は、「休業補償給付支給申請書」を所轄の労働基準監督署に提出します。また、電子申請による申請も可能です。

申請書には医師と事業主による証明が必要になります。ただし、退職後の期間について申請する場合は事業主による証明は不要です。

休業補償の申請書類

休業補償の申請書類は、業務災害と通勤災害で異なります。

業務災害:「休業補償給付支給請求書(様式第8号)」
通勤災害:「休業給付支給請求書(様式第16号の6)」

また、添付書類が必要なケースもあります。

障害厚生年金、障害基礎年金等の支給を受けている場合は、支給額を証明する書類
労働災害の原因が第三者行為による場合は「第三者行為災害届」  など

申請サイクルと支給日

休業補償の申請は、休業した全日数を一括請求するか、数回に分けて請求するかの定めはありません。休業が長期化する場合は、1カ月単位の請求が一般的です。

理由は、休業補償は休業中の生活を支える収入なので、給与と同様に1か月単位が適当であると考えられるためです。また、休業期間を証明する事業主にとっても、毎月の勤務管理の周期に合わせたほうが都合がよいといえます。

なお、休業給付の支給日は申請日から1か月程度あとになります。

労災休業補償の期間と打ち切りに関するまとめ

休業補償は、労働災害により休業する場合に休業中の収入を補償するための給付金で、所定の条件を満たせば無制限にもらえます。

しかし、療養開始後1年6か月を経過した日以降に所定の要件に該当すれば、傷病(補償)年金に切り替わり休業補償は支給されません。

また、公的年金制度の障害年金や第三者からの損害賠償、給与を受けられる場合、休業補償の支給調整がありますので事前確認しましょう。


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この記事のライター

マネタス

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