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有名な3物件を訪問! ヴィンテージ・マンション徹底解剖(後編)

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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有名な3物件を訪問! ヴィンテージ・マンション徹底解剖(後編)

長い歳月を経てもなお、高い価値を維持し続けるヴィンテージ・マンション。その価値はどのようにして保たれてきたのでしょうか。また、実際の住み心地も気になるところです。後編では、「広尾ガーデンヒルズ」と「三田綱町パークマンション」、「ビラシリーズ」を訪問。ヴィンテージ・マンションの真価を探ってみました。
竣工時より高値がつく「広尾ガーデンヒルズ」【画像1】広尾ガーデンヒルズのサウスヒル(写真撮影/浜田啓子)

【画像1】広尾ガーデンヒルズのサウスヒル(写真撮影/浜田啓子)

最初に訪ねたのは日本のヴィンテージ・マンションとして有名な「広尾ガーデンヒルズ」です。1984年から2年にわたって分譲され、約5万7000m2の敷地に15棟が立ち並んでいます。

敷地内は「ヒル」と呼ばれる5つの区域に分かれ、それぞれが異なるコンセプトでデザインされています。なかでも、セキュリティー含め高いグレードを目指したのがサウスヒル。石畳が美しいこのヒルの3棟は100m2を優に超える住戸がプランされ、それぞれにコンシェルジュが常駐する80年代としてはとても珍しいホテルのようなエントランスロビーが設けられています。

【画像2】サウスヒルのエントランスロビー(写真撮影/浜田啓子)

【画像2】サウスヒルのエントランスロビー(写真撮影/浜田啓子)

また、敷地の中央に位置するセンターヒルには管理センターのほか、カフェ、ミニスーパー、クリニック、銀行などが入り、このマンションの暮らしを支えています。竣工から30年以上たった現在も高い人気があり、流通価格は新築時とほぼ変わらず、値上がりしている住戸も少なくないそうです。

【画像3】センターヒルの広場(写真撮影/浜田啓子)

【画像3】センターヒルの広場(写真撮影/浜田啓子)

時代に合わせて管理の内容も進化

そんな広尾ガーデンヒルズの“価値”の一つが、前編でも触れたように敷地内を彩る豊かな緑。広尾駅のほど近くから続くメインストリートには、見上げるほどの高さのケヤキ並木が連なり、春になると桜の名所になる場所もあります。クスノキ、ツツジ、ツバキなど数えればキリがないほど多種多様の樹木が植えられていて、歩いていると思わず深呼吸をしたくなる心地よさです。

「竣工当時は背丈が低かった樹木が、30年以上の歳月で大きく育ちました」

こう教えてくれたのは、第34期の管理組合理事長、国安嘉隆さん。樹木の成長はまさに長い歳月を経たマンションだからこそといえるでしょう。

もっとも、樹木の成長には剪定(せんてい)や土壌の改良など適切な管理が欠かせません。管理組合では理事会とは別に植栽委員会を立ち上げ、管理会社や造園業者と相談しながら植栽の管理・保全を計画的に行っているそうです。

「三田綱町パークマンンション」はタワーマンションの先駆け【画像4】三田綱町パークマンション(写真撮影/浜田啓子)

【画像4】三田綱町パークマンション(写真撮影/浜田啓子)

純白のタワーが2棟並ぶ「三田綱町パークマンション」も、やはり住民主導の管理によってその価値は守られてきました。竣工したのは1972年。19階建て・地上52mの高さを誇り、「東京タワー、霞が関ビルに次ぐ、日本における第3の高層建築物」として大きな話題に。超高層マンションの先駆けとしても知られています。

マンションを訪ねてみると、まず目を引くのは立地の希少性。北側には三井グループ迎賓館「綱町三井倶楽部」があり、その庭園を眼下に望むことができるうえ、北西側にはオーストラリア大使館、東側にはイタリア大使館が控えて、東京都心とは思えないほど緑が多く閑静な環境が広がっています。

【画像5】住戸から見て楽しめる綱町三井倶楽部の庭園(写真撮影/浜田啓子)

【画像5】住戸から見て楽しめる綱町三井倶楽部の庭園(写真撮影/浜田啓子)

そんな豊かな住環境に加えて、ランドスケープも魅力満載です。敷地内には表情豊かな和風庭園があり、生活のなかで四季の移ろいを楽しむことができます。管理員の方によると、野鳥が多く飛来し、白鷺やカルガモ、カメなどの姿をみかけることもあるとか。

公道からエントランスまでは50mほどのアプローチで結ばれて、傍らには全住戸分の152台分の平置き駐車場がつくられています。都心でこれほどぜいたくに敷地を使ったマンションは今となってはあまり見られず、そこが気に入って購入を決めたという居住者もいるほどです。

【画像6】広々としたエントランス(写真撮影/浜田啓子)

【画像6】広々としたエントランス(写真撮影/浜田啓子)

価値が維持できているのは、管理のたまもの

共用部についても同様で、各所にゆとりが感じられます。1階には24時間有人のフロントがあり、庭園の緑が広がるガラス張りのロビーラウンジもまさにホテルさながらです。一方、住戸設計についても、各フロアとも住戸数は4戸以内に抑えられ、全室が角住戸というリッチさ。専有面積は120m2前後というゆとりある広さが実現されています。

【画像7】ロビーラウンジはホテルのよう(写真撮影/浜田啓子)

【画像7】ロビーラウンジはホテルのよう(写真撮影/浜田啓子)

聞けば、10戸については、1階にシャワーやトイレ、エアコンを完備したメイドルームが付属。現在は書斎や子どもの勉強部屋として使われているそうですが、竣工時は実際にメイドさんが住んでいたという話から居住者のライフスタイルが想像できます。

こうした住まいのクオリティを高いレベルで維持するには、やはり管理が重要といえるでしょう。

「躯体や設備などの修繕とともに、共用部の段差を解消してバリアフリーを徹底するなど、より快適に暮らせるよう常に見直しをしています」

と話すのは管理組合の理事長。竣工時の姿を保つのが第一ですが、難しい場合には雰囲気を損ねずにそれに代わる方法も検討するとのこと。ロビーの廊下を木の壁から大理石にしたのはその一例。時代に応じて変えるべきところは変えつつ、このマンションに暮らすステイタス感は維持していきたいと話してくれました。

斬新なデザインのビラシリーズ【画像8】ビラ・ビアンカ(出典/『都心に住む by SUUMO』2017年9月号)

【画像8】ビラ・ビアンカ(出典/『都心に住む by SUUMO』2017年9月号)

昨今のマンションには見られない、高いデザイン性から歴史に名を刻む物件もあります。その代表がビラシリーズ。

ビラシリーズの第1号「ビラ・ビアンカ」が竣工したのは1964年。以降、セレーナ、フレスカ、ローザ、グロリア、モデルナ、サピエンザ、ノーバという8つのマンションが1980年代までに竣工しています。

このシリーズを手掛けたのが、興和商事の前会長である故・石田鑑三氏。住宅づくりに情熱を注いだ石田氏は、生産性と合理性が第一とされた高度経済成長の真っ只中で、デザインを最重視したマンションを打ち出しました。

ビラ・ビアンカはガラスのキューブを積み上げたような幾何学的なデザインが取り入れられています。直線的な造形は1960年代から70年代にかけて、欧米の建築界の潮流であったモダニズムを意識したもの。その容姿は神宮前という場所にあっても目を引き、さながら街にたたずむアートという趣。設計者は建築家、堀田英二氏。石田氏の熱意をくみ取りながら、採算を度外視してこのマンションをつくり出したといいます。

【画像9】廊下にあるガラスブロックの円柱(出典/『都心に住む by SUUMO』2017年9月号)

【画像9】廊下にあるガラスブロックの円柱(出典/『都心に住む by SUUMO』2017年9月号)

壊すのは簡単。でも、一度なくしたものは取り戻せない

シリーズのほかのマンションもしかり。20世紀建築の巨匠、ル・コルビュジエの弟子である坂倉準三氏が創設した坂倉建築研究所を設計に起用するなど、それぞれに明確なコンセプトを打ち出した上で、ふさわしい設計者を石田氏自らが選び、幾度も打ち合わせをした後にプランを練り上げ、さらに建設現場にも足しげく通って完成させてきたのだとか。

そのコンセプトを盛り込んだのがマンション名です。セレーナ(静寂)、グロリア(栄光)、フレスカ(新鮮)といった名前は、確かにマンションのフォルムや色に表れています。

ビラシリーズは、いわばプロデューサー的立場にあった石田氏と、気鋭の設計者との共同作業によって誕生した渾身作というわけです。その思いを引き継いでいるのは、ビラシリーズに暮らす人々。「斬新なデザインにほれ込んで入居する人がほとんどです」と話すのは、ビラシリーズの管理に携わる「興和商事」の新槙さん。

「修繕に関しては、セントラル空調が住戸ごとのエアコンにしたり、老朽化した給排水管の取り替えをしたりと、必要なところには手を加えながら、できる限り、竣工当時の状態を保っていく方向で進めています。

例えば、ビラ・モデルナの場合、3年前にエントランスの回転扉が壊れて取りはずすことも検討しました。でも、回転扉はデザインの重要な要素。やはり残そうということになったんです。壊すのは簡単ですが、一度なくしてしまったものはもう取り戻せないですから」

ビラシリーズに限らず、建物の老朽化は避けて通れない問題です。その点をどのように解決していくか。ヴィンテージ・マンションの真価が問われる場面といえるのかもしれません。

【画像10】ビラ・モデルナの回転扉(写真撮影/浜田啓子)

【画像10】ビラ・モデルナの回転扉(写真撮影/浜田啓子)

ヴィンテージ・マンションに共通するのは、建てられた当時に込められた思いとそこで暮らす人々の思い。双方が一つになって初めて、ヴィンテージと呼ばれる価値が生まれるということを実感しました。当然、そのマンションに暮らすのは、その思いの一端を担うということ。どこまでそのマンションを愛せるか。ヴィンテージ・マンションを買うときには、自分に問いかけてみるといいかもしれません。

●前編はこちら
どう探す? どう住む? ヴィンテージ・マンション徹底解剖(前編)
●取材協力
・広尾ガーデンヒルズ
・三田綱町パークマンション
・ビラシリーズ/興和商事
●監修
・坂根康裕さん 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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SUUMO

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