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【医師監修】ライ症候群とは? 発症の原因と症状、治療・予防法

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子供がインフルエンザで発熱したら、解熱剤を飲ませますよね。アスピリンという解熱剤を使用した場合、ライ症候群になるリスクが高いといわれています。この解熱剤の小児への使用は避けるように警告が出されており、発症例は減少していますが重篤な症状を引き起こすものですので、詳しく解説していきたいと思います。

この記事の監修ドクター

内科・小児科藤丸拓也 先生 小児専門病院にて研鑽を積む。

ライ症候群とは?原因と症状

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ライ症候群とは

ライ症候群とは、小児に発生する急性脳症の一つです。インフルエンザや水疱瘡などのウイルスに感染した際にアスピリンを解熱剤として使用することで、ライ症候群が発生するリスクが上昇することが近年明らかになり、使用を避けるように警告が出ています。警告が出て以降はアスピリンの使用が控えられるようになり、患者数は減少傾向にあります。しかし脳だけではなく、肝機能にも障害が出ることが特徴であり、生命にかかわる危険性の高い病気ですので容態が急変している場合は救急車を呼んで、迅速に治療を開始することが重要になります。

発症の原因

ライ症候群の原因は不明とされています。しかし1980年代の研究では、アスピリンをインフルエンザや水疱瘡に感染しているとときに使用することと、ライ症候群の発生リスクの上昇との関連が指摘されています。

インフルエンザや水疱瘡などになった際、アスピリンを使用しないよう警告が出されて以降はライ症候群の発症数は減っています。ライ症候群の症状が生命にかかわるほど重篤になる原因は、肝臓のミトコンドリア代謝の障害によるものです。これにより、脂肪酸代謝に異常が発生しほかの代謝系にも異常を及ぼし、最終的に脳浮腫を引き起こすと考えられています。アスピリンはライ症候群の発端となる肝機能障害を誘発している「炎症性サイトカイン」の放出に関与しているのではないかといわれています。

主な症状と進行ステージ

ライ症候群の症状は時間経過とともに変化します。初期の症状は、嘔吐が続く・暴れる・話しかけても答えないほどの意識障害などがあげられ、そのまま進行すると過呼吸・痙攣・無呼吸・除脳硬直といった脳に障害がでているときに特有の症状が現れるようになります。

これらの症状が継続したまま重度となると、昏睡、脳浮腫、瞳孔の拡大などを経て、呼吸が停止してしまうこともあります。いったんライ症候群が発症すると、初期症状のような症状から急速に状態が悪化してしまいます。遅くとも痙攣が始まった時点で救急車を呼ぶ必要があるでしょう。

またこれらの症状は、意識・肢位・痛覚・瞳孔反応・眼球の反射の5つにおいて評価され、5つのステージに分類されます。意識障害の起こるステージ1では入院治療を行いますが、ステージ2以降では集中治療室での治療が必要であるとされています。

ライ症候群の致死率は平均約20%ですが、ステージ4、5では80%以上になるともいわれており、重症例は予後も運動機能障害や脳神経麻痺といった神経学的後遺症が残ってしまう場合があります。また合併症として、電解質および体液の異常、頭蓋内圧亢進、尿崩症、ADH不適合分泌症候群、低血圧、不整脈、出血傾向(特に消化器)、膵炎、呼吸不全、高アンモニア血症、誤嚥性肺炎、体温調節不良などがあげられます。

ライ症候群の治療・予防

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ライ症候群の治療方法

ライ症候群を発症してしまったら、血糖値や血圧、肺機能、痙攣、体温等をモニタリングするとともに症状の緩和を目的とした支持的な対処療法が行われます。ですから、治療内容は患者さんの症状によって異なりますが、マンニトール点滴による脳浮腫の治療や脂肪酸異常に対するカルニチンの投与、交換輸血、血液透析等が行われます。一方で、ライ症候群でもっとも恐ろしい症状は脳浮腫と肝機能異常であるといわれています。これらを抑えこむ治療が優先的に行われるでしょう。

ライ症候群の予防方法

ライ症候群を予防するためには、ライ症候群の原因の一つとして明らかにされているアスピリンの使用を控えることです。研究ではインフルエンザや水疱瘡の際のアスピリンの使用がライ症候群の発症と関連があるとされていますが、これらの病気になった場合に気を付けるだけでなく、その他の病気でもアスピリンを含む解熱剤をむやみに使用しないことが重要です。小児科医であればアスピリンを含む解熱剤は処方しないと思いますが、特に、市販の解熱剤を使用する際にはよく気をつけて確認しましょう。

ライ症候群とインフルエンザ脳症の違い

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インフルエンザ脳症とは

インフルエンザ脳症とは、インフルエンザにかかった主に6歳未満の小児にけいれん、意識障害、異常行動などの神経症状がみられ、さらに血管のつまりや多くの臓器不全を引き起こす、生命にかかわる重篤な疾患です。インフルエンザにかかった普通の人はおよそ一週間で治癒しますが、幼児を中心とした小児において急激に悪化する急性脳症が増加することが明らかになっています。脳症の発症は急激であり、インフルエンザにかかった日から1~2日で発症するといわれています。脳症の原因はウイルスであるため、他のウイルス感染症でも同様に脳症が起こることがあるのですが、インフルエンザウイルスに発症する脳症を「インフルエンザ」脳症と呼びます。

インフルエンザ脳症はとくにA型にかかった小児に発症しやすいと言われていて、1990年代後半から我が国で多くみられています。ライ症候群とは臨床経過や病理所見からは区別されますが、詳しい原因はわかっていません。

インフルエンザ脳症の症状として、意識障害やけいれん、異常言動や異常行動があります。けいれんは熱性けいれんの場合もありますが、けいれん後も意識障害が続く場合は注意が必要です。対応のできる病院に紹介してもらった方がよいかもしれません。また、15分以上続くけいれんや繰り返すけいれん、左右対称でないけいれんも注意が必要です。異常言動や異常高度もインフルエンザ脳症の初期にしばしばみられます。両親が分からなくなったり、幻覚が見えたり、急におびえたりします。熱せん妄との区別が難しいですが、1時間以上続いたり、意識障害を伴う場合は、対応できる病院へ紹介してもらった方がよいかもしれません。

2005年に治療の指針であるガイドラインが発表され、インフルエンザ脳症の死亡率は、無治療で約30%だったものが8〜9%まで改善しています。しかし、後遺症が残るのは25%のままであり、重大な病気であることは変わりません。後遺症はごく軽い場合から寝たきり状態になるほど重い場合もあります。主な後遺症の内容としては、知力低下、運動麻痺、てんかん、視力・聴力障害などが挙げられます。障害の程度に関わらず、リハビリテーションを行います。

インフルエンザ脳症は特に有効な治療法があるわけではなく、対処療法を行うのが一般的です。肺機能を正常に評価し、安定させ、痙攣の抑制と予防を行います。また、脳圧亢進の管理や体温の管理も行い、患者の状態からより高次の医療機関での治療が必要であると判断された場合は、患者の搬送も行います。

ライ症候群とインフルエンザ脳症の違い

ライ症候群と似た症状としてインフルエンザ脳症を紹介しました。では、ライ症候群とインフルエンザ脳症の違いは何でしょうか。

ライ症候群は好発年齢が6歳であり12歳まで発症するのに対して、インフルエンザ脳症は5歳以下が好発年齢となります。また、発症時期はライ症候群が発熱してから5~7日後であるのに対してインフルエンザ脳症は発熱してから平均1.4日後となって違いがあります。ライ症候群はインフルエンザだけでなく水疱瘡も発熱の原因となる一方で、インフルエンザ脳症はインフルエンザが主な発熱原因となっています。意識障害や異常行動など、ライ症候群とインフルエンザ脳症は同じような症状がみられるものの、好発年齢や発症時期、発熱原因には違いがあることがわかります。

これらの違いに加えて、ライ症候群とインフルエンザ脳症は病因にも違いがあると考えられています。ライ症候群の原因はアスピリンの代謝産物であるサリチル酸がミトコンドリアを傷害することであると推測されるのに対して、インフルエンザ脳症の原因は過剰な免疫反応による高サイトカイン脳症の状態であるといわれています。

どちらもインフルエンザで高熱を出しているときに起こる症状です。子供がインフルエンザに罹ったときはなるべく子供のそばにいてあげて、こまめに様子を見てあげるようにしましょう。ライ症候群もインフルエンザ脳症も急速に症状が悪化してしまいます。症状が出てしまっても、すぐに発見できて対処できれば後遺症や生命の危険を回避することができるでしょう。

まとめ

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ライ症候群はインフルエンザや水疱瘡の発熱時に解熱剤としてアスピリンを使用することによって発症リスクが高くなるといわれています。発症後の症状は嘔吐や過呼吸、意識障害などであり、生命にかかわる重篤な病気です。市販の解熱剤を飲ませなくてはならない場合は、子供には小児用の解熱剤を与えましょう。小児用の解熱剤にはアスピリンが使用されていません。しかし、大人用の市販の解熱剤を与えてしまうとアスピリンが含まれている可能性があります。ライ症候群を防ぐためにも、子供の健康のためにも適切な薬を適切なタイミングで使うことが重要でしょう。

また、ライ症候群と同様にインフルエンザの発熱によって重篤な症状を示すものとしてインフルエンザ脳症があります。インフルエンザ脳症は急速に進行する急性の脳障害です。ライ症候群とインフルエンザ脳症は違いもたくさんありますが、どちらも生命の危険が高い症状です。症状を知っておくことで落ち着いた対処ができると思います。初期症状が見られたら、すぐに小児科を受診しましょう。


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情報提供元:マイナビウーマン子育て

更新日:2017年2月10日


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