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定年後に親と同居[3] リフォーム編【前編】高齢二世帯のリフォーム

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定年後に親と同居・リフォーム【前編】 高齢二世帯のリフォーム

定年を機に妻と猫4匹を連れて東京のマンションから38年ぶりに実家にUターン。一戸建て住宅で二世帯居住を始めたものの、生活価値観の違う老親との暮らしに、ホームのはずなのにいまだにアウェー感覚から抜けられない毎日。そんななか、胃がん発覚という想定外の危機にも見舞われつつ、介護や相続など将来に備えてリフォームを果たすまでの様子を2回に分けてお伝えします。
二世帯住人4人合わせて300歳のリフォーム

冬の寒さが残る3月に始めた同居ですが、エアコンを入れても猛烈に寒い1階には閉口しました。一方、冬温かかった日当たりの良い3階は、夏は夜になっても熱がこもって寝苦しさは格別です。また、水まわりの設備は20年前のものだけに、陳腐化したデザインもさることながら、1度に13Lも水が流れるトイレや保温の悪い湯船など省エネ面でも大いに不満があり、できればリフォームしたいと思いました。

若い世帯なら、生活の快適性や利便性、省エネなどがリフォームのキーワードになるでしょう。趣味嗜好の実現や格好良さなどといった面も重視されるかもしれません。これに対して、二世帯4人合わせて300歳になろうかという高齢世帯なので、お互いできるだけ長く健康に過ごせ、たとえ加齢や病気、けがで身体が不自由になっても安心して住み続けられる環境の確保がより重要だと考えました。

幸いわが家は丘陵地に20年前に建てられた重量鉄骨構造のプレハブ住宅なので防災・防火面は安心で、災害時に足腰の弱った両親と一緒に避難生活するリスクは避けられそうです。また、室内事故防止として、部屋の段差の解消や手すりの設置、傾斜が緩やかで踏み板の広い階段、引き戸などのバリアフリー対策が建築時にされていたのには驚きました。

残念ながら玄関にスロープや手すりはありませんが、こちらは介護認定を受けて補助金で設置するつもりです。しかし、窓が多く断熱性が低いうえ、エアコンの効きも悪くて気候の厳しい夏や冬が過ごしにくいので、夏の熱中症や冬のヒートショックが心配です。また、浴室の洗い場の狭さや洗面所との段差の大きさ、床のタイルの硬さは足腰の弱った高齢者には危険だと思いました。

さらに、現在2階で生活している両親が、近い将来階段が使えなくなって1階に生活の場を移すことを想定する必要があります。すでに二人とも85歳を超えているので、リフォームに着手するなら急ぐべきです。また私自身、経済面でも体力面でもまだ余裕がある今なら決断できても、10年後にリフォームできるかどうか自信がありません。

そこで、浴室以外ほとんど使われていなかった1階だけをフルリフォームすることにしました。(1)キッチン、トイレ、洗面化粧台、ユニットバスを交換、(2)DK、トイレ、浴室、和室、玄関、勝手口の窓やドアのガラス面を複層化、(3)トイレを拡張しドアを引き戸に、(4)DKと和室に床暖房を設置、(5)ベッドが置きやすいよう和室をフローリング化、(6)古いエアコンを交換 というもので、間取りはそのままで柱や壁など構造部分にはほとんど手を加えないつもりでした。なお、同居直前に3階は猫仕様に、2階の窓ガラスは複層化しており、外壁塗装や屋上防水工事も済ませて維持管理状態は良好でした。

リフォーム会社探しと見積もり依頼。梅プランに絞り込み、検討開始

次に、具体化に向けて企画提案力と施工監理力のあるリフォーム会社を探しました。まず、以前猫仕様への改修工事を発注したハウスメーカーのリフォーム担当者に、現在の住居の不満点や改修イメージを表にまとめて相談を持ちかけました。施工当事者で建物の構造や履歴に精通しているので期待しましたが、将来的にリフォームを検討したいと言ったのがまずかったのか、食いつきが悪いというか受け身というか、鈍い反応しかありませんでした。

一方、最新の住宅設備を知るために住宅展示場に行ったのですが、そこで名刺交換した大手不動産系列のリフォーム会社からはすぐにアプローチがありました。面談してみると、こちらのニーズをしっかり把握したうえで良いプランを提案してもらえそうな感触を得ました。また、リフォーム専業としてかなりの実績もあり、無料で提案書までつくるというので話を進めることを決めました。

長い人生経験がある高齢者といえども、自宅の売買や建て替え、リフォーム経験が豊富な人は普通いませんから、少々勉強したくらいではプロの知識や情報量にはかないません。最初から自分の案を固め過ぎないためにも、リフォーム会社にはこちらのニーズや想いを反映したフルリフォーム(松竹梅でいえば「松」)と、優先順位からリフォーム箇所を絞り込んだプチリフォーム(「梅」)の提案と概算の予算見積もりを依頼しました。

さすがに「松」プランは素晴らしかったのですが、小さな一戸建て住宅が建てられるくらいの予算が必要だと分かりました。和室のフローリング化や床暖房設置、対面式キッチン化など既存の床をいったん壊して張り替えるので工期も長くなります。結局、両親の賛同も得られなかったため「松」は早々に断念し、「梅」をベースにどれだけ予算内でスペックの上積みができるか検討を進めました。その際、非常に役立ったのは、工事や材料ごとに単価や値引き率などが細かく示されたリフォーム会社の見積書です。

高齢になると和室は不要、座布団・布団より、椅子とベッドの生活へ

断念した「松」プランでは、両親のベッドやソファーセットを持ち込むので和室を床暖房付きのフローリングに変えるつもりでした。どうしても親が畳を残したいというなら、端に腰かけられる畳敷きの小上がりをつくろうかとも考えていました。床の間や違い棚はそのままでフローリングにしても結構マッチすることもこれまでの施工例で確認していただけに、リフォームできなかったのは残念です。最も、いざとなれば畳の上にカーペットを敷いてベッドなどの家具を置けばいいだけで、ちぐはぐ感はあっても生活面で大きな問題があるわけではありませんが。

とはいえ、そもそも和室は高齢世帯には無用の長物のように思えます。畳とふすま、障子の部屋で育った昭和世代にはそれなりの郷愁があるでしょうが、高齢になって足腰が弱ってくると座布団と布団の生活より、椅子とベッドの生活の方が明らかに楽です。実際、母は介護用ベッドを寝室の畳の上に置いて使っていますし、両親とも普段は居間のソファーに座ってテレビを見ており、客間である和室は、子ども家族が来る帰省時期か法事の席以外はほとんど使われていません。

いまや、旅館の大広間にテーブルと椅子が並び、和室のない間取りの分譲マンションは珍しくありませんし、掘りごたつ席のない居酒屋やエレベーターのない旅館は高齢者に敬遠される時代です。私自身も洋室で寝起きしているので、旅館よりホテルの方がよく眠れます。

もちろん和室は、季節や用途、人数に応じて布団や座布団、こたつなどを出し入れでき、空間としてのフレキシビリティに優れています。ほどよいクッションのある畳のほうが、自由に寝転がれてくつろげる、という人も多いでしょう。また、今の和室なら隙間風や暗さとも無縁です。しかし、超高齢社会となっている現在、住宅における和室のあり方はもっと議論されていいのではないかと思います。

不便を解消!水まわりリフォームBefore・After

結局、予算や家族の意向、建物の構造などの制約のなかで、トイレ、洗面化粧台、ユニットバスと和室のエアコンの交換ができました。やはり新しい設備は便利で気持ちが良いうえ、浴室の床が柔らかく、洗面所(脱衣所)との段差がなくなったので転倒事故防止が図れ、トイレと浴室の窓ガラスの複層化と洗面所への暖房機設置でヒートショック対策もできました。

なお、断念したDKの床暖房の代替策として、エアコンより足元が温まり部屋の乾燥も防げるガスファンヒーターを設置しましたが、いまのところ寒い日もずいぶん過ごしやすくなりました。

【画像1】左:リフォーム前のトイレ。調節できない水量と掃除しにくさが問題だった。右:リフォーム後:ポイントは節水機能と掃除のしやすさ(写真撮影/松村徹)

【画像1】左:リフォーム前のトイレ。調節できない水量と掃除しにくさが問題だった。右:リフォーム後:ポイントは節水機能と掃除のしやすさ(写真撮影/松村徹)

【画像2】左:リフォーム前の洗面化粧台。汚れやすい洗面と非効率な収納が問題だった。右:リフォーム後:ポイントは一体型洗面とスッキリした収納(写真撮影/松村徹)

【画像2】左:リフォーム前の洗面化粧台。汚れやすい洗面と非効率な収納が問題だった。右:リフォーム後:ポイントは一体型洗面とスッキリした収納(写真撮影/松村徹)

【画像3】左:リフォーム前のお風呂。硬くて冷たい床と狭い洗い場、容量が大きすぎる浴槽が問題だった。右:リフォーム後:ポイントは柔らかくて温かい床と広い洗い場、節水型浴槽とシャワー(写真撮影/松村徹)

【画像3】左:リフォーム前のお風呂。硬くて冷たい床と狭い洗い場、容量が大きすぎる浴槽が問題だった。右:リフォーム後:ポイントは柔らかくて温かい床と広い洗い場、節水型浴槽とシャワー(写真撮影/松村徹)

【画像4】左:段差のなくなった浴室と洗面所。右:ヒートショック対策のために洗面所に暖房機を取り付けた(写真撮影/松村徹)

【画像4】左:段差のなくなった浴室と洗面所。右:ヒートショック対策のために洗面所に暖房機を取り付けた(写真撮影/松村徹)

今後の楽しみは、省エネ効果で毎月の水光熱費がどのくらい大きく減るかです。浴槽は湯量が少なくてすむタイプで、シャワーや洗面化粧台、キッチンの水栓とトイレは節水タイプなので、水道使用量が特に大きく減りそうです。今住んでいる街は東京より上下水道代が高いだけに、節水効果の大きさに期待しています。また、和室のエアコンを最新式にし、電力供給者をガス会社に変更したことで、エネルギー料金も減る見通しです。

高齢対応だけでなく生活が楽しくなるリフォームも同時に実施

せっかくリフォームするのですから、生活がより楽しくなるようDKや寝室を同時に模様替えしました。具体的には、(1)キッチン機器の交換や照明のLED化、(2)壁紙の一部張り替え、(3)ダイニングのソファーやテーブル、マット、パネル、ブラインド、カーテン、グリーンなどインテリアの見直しです。

対面式キッチンはあきらめましたが、気持ちよく料理ができるようLED照明付きの薄型レンジフードや安全装置の付いたコンロ、シャワー切り替えのできる水栓に交換しました。キッチンと寝室は、天井や柱まわり、壁の一部を色彩豊かで手触りの良い輸入壁紙に張り替えてアクセントをつけてみました。また、妻が職人さんからもらった輸入壁紙を板に貼ってパネルにしてみたのですが、華やかなデザインや色が白い壁に映えてすてきです。

【画像5】寝室の壁紙(天井と壁面を張り替え)(写真撮影/松村徹)

【画像5】寝室の壁紙(天井と壁面を張り替え)(写真撮影/松村徹)

【画像6】左:キッチンの壁紙とグリーン。右:壁紙で作ったパネル(写真撮影/松村徹)

【画像6】左:キッチンの壁紙とグリーン。右:壁紙で作ったパネル(写真撮影/松村徹)

長くなりましたが、ここまで具体的なリフォームについて紹介しました。後編では、高齢二世帯住宅でリフォームをする際に注意したい相続や親兄弟との関係などについてご紹介します。

・松村徹
長年、シンクタンクで不動産調査に携わるなか、業界の常識には顧客本位を貫く哲学や時代を先取りする意欲が欠けていると痛感。フリーな立場になって自らも両親と同居して「実家問題」に悩みながら、利用者目線から面白くて役に立つコラムや記事を発表している。共著に『不動産ビジネスはますます面白くなる』、『不動産力を磨く』、『猫を助ける仕事』ほか●「定年後に親と同居」関連記事
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情報提供元:SUUMO

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更新日:2017年1月5日

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