自動車事故、すぐキレるetc. 暴走老人のトリセツ

更新日:2018年4月17日 / 公開日:2018年4月17日

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もう運転免許は返納したほうが……と止めても運転をして大事故を起こす、ちょっとしたことでキレて暴力をふるう。そんな老人のニュースがテレビをにぎわす昨今、みなさんの周りにも困った老人はいませんか?
「老いては子に従え」といいますが、そんな困った老人に意見をしても、キレられるだけで話は聞いてもらえません。どうしたら困った老人を制御できるのでしょうか。
長年にわたり高齢者を診てきた老年精神医学の専門家、和田秀樹先生にお聞きしました。

「高齢者が困った行動を起こすのは、多くの場合、脳の老化が関係しています。
脳の中ではじめに老化するのは、前頭葉という部分です。前頭葉というのは思考や意欲、感情、性格、理性などを司っている部分。ここが老化してしまうと、感情を抑えられなくなったり、元々の性格が強くあらわれるようになったりします。そのため、元々怒りっぽかった人に腹が立つようなことが起こったりするとガマンがきかなくなり、暴力をふるってしまったり、大声で怒鳴り散らすというようなことをしやすくなるのです」

自動車事故の場合も、脳の老化が影響するのでしょうか?

「高齢者が事故を起こすと認知症が原因のようにいわれますが、多くの場合、認知症は関係ありません。認知症というのは新しいことは覚えられないのですが、ずっとやり続けていることというのはできるのです。

ですからブレーキとアクセルを間違えてしまうほどの認知症であれば、運転自体ができません。そのようなことが起こるのは、単に思わぬことが起こってあわてているだけで、あわてて事故を起こすのは若い人にも少なくありません。

確かに高齢になると判断力や瞬発力は低下するのですが、車の運転には問題がない場合も多いのです。高齢になってきたからというだけで免許を取り上げてしまうと、それまでの生活が続けられなくなったり、引きこもるようになったりして、かえって脳の老化が進んで認知症のようになってしまうこともありますから注意が必要です。

もしフラフラ運転をしているような場合でも、前の晩に服用した睡眠薬や安定剤が影響しているだけという場合もあります。高齢者は薬が切れるまでに時間がかかるからです。
このように本当に危ない運転をしているのか、その場合でも、取り除ける原因はないのかを考えてから返納について考えたほうがよいでしょう」

ニュースでは暴力事件を起こすなど、いわゆる「暴走老人」が多く取り扱われますが、実は何をする気力もなくなり、一日中ゴロゴロしているとか、お風呂にさえ入らなくなるといった相談も多いそうです。

「前頭葉が老化すると、意欲低下が起こりやすくなります。そのため家から出なくなったり、何もしなくなったりすると、ますます前頭葉が老化する悪循環に陥ります。

また、高齢になると脳内の神経伝達物質、セロトニンが減ってしまい、うつ病にもなりやすくなります。日本では高齢者の自殺がとても多いのですが、それはうつ病と無関係ではありません。

しかし、高齢者についてあまり知らない医者だと、高齢者がうつ病の症状をうったえても認知症と判断されて、治療してもらえないことが少なくありません。確かに老人性のうつは意欲低下のほか、妄想にとらわれたり、物忘れが増えたりと、認知症と症状がよく似ています。とはいえ実は高齢者のうつは薬が効きやすく、治療さえすればだいぶ症状はよくなるのです。うつ病は本人には地獄の苦しみですから、つらそうにしていたら高齢者を得意とする精神科などの診察を受けさせてください」

ほかにも高齢者は何気なく飲んだ薬によって急激に認知症のような症状が起こるなど、さまざまなトラブルが起こりやすくなります。そのような高齢者ならではの変化をよく知った上で適切な対処をすれば高齢者の困った行動はおさまっていくそうです。

高齢者の困った行動にお悩みの方は、さまざまなケースに和田先生が目からうろこのアドバイスを送る『困った老人のトリセツ』(和田秀樹著)をご覧ください。

『困った老人のトリセツ』
著者 : 和田秀樹

 


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