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「資産価値が落ちない家ってどんな家?」 住まいのホンネQ&A(4)

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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「資産価値が落ちない家ってどんな家?」 住まいのホンネQ&A(4)

“人生最大の買い物”とも言われる住宅。せっかく買うなら、資産価値が落ちない物件を購入し、その価値を維持したい、と誰もが思うのではないでしょうか。
住宅に関するさまざまな疑問について、さくら事務所創業者・会長の長嶋修氏にホンネで回答いただく本連載。第4回の質問は「資産価値が落ちない家ってどんな家?」です。物件選びからその価値を維持する秘訣までをお答えいただきました。2018年4月に始まったホームインスペクションの意義や、ホームインスペクターの選び方についても詳しく解説します。

資産価値が落ちない家その1:なんといっても駅近!

まずは、物件の条件からお話ししましょう。昨今顕著なのは「駅距離格差」です。購入であれ賃貸であれ、求められる「駅からの距離」がどんどん短くなっているのです。

REINS(東日本不動産流通機構)のデータによれば、東京都心7区(中央区・千代田区・港区・新宿区・渋谷区・品川区・目黒区)において2013年は、駅から1分離れるごとに、中古マンション成約単価が平米あたり8000円程度の下落を示していました。しかし2017年には、1万6000円ずつ下落しています。

この傾向は都市郊外のベッドタウンでも同様で、千葉県柏市の場合は柏駅から1分離れると、2008年の中古マンションの成約単価は平米8000円ずつの下落でしたが、2017年では1分ごとに平米1万6000円以上の下落を示しています。

都心でも郊外でも駅前や駅近はめっぽう強く、駅から離れるほどどんどん弱くなっているのです。このような現象が起きている最も大きな理由は言うまでもなく「住宅余り」が影響しているものと思われます。

世帯数に対して住宅数は圧倒的に上回っており、18年の現時点ではすでに1000万戸を超える空き家が存在しているといわれていますが、要はよりどりみどりの「買い手・借り手市場」なわけです。また、若年層が自動車を保有しなくなったこととも関係があるでしょうし、部屋の広さや間取り、日当たりなどを多少我慢してでも、通勤や買い物などの生活利便性を優先するといった嗜好もうかがい知れます。

資産価値が落ちない家その2:選べるなら“立地適正化区域内”を

またこれから本格的な人口減少、少子化・高齢化社会を迎えるにあたり、全国1740あまりの自治体のうち384自治体において、街を縮める「コンパクト&ネットワーク政策」が進められています。これはかんたんに言えば、人口密度を一定程度に維持することで、行政効率の悪化を防ごう、市民の生活利便性を維持しようというものです。埼玉県毛呂山町はこの「立地適正化区域内」については、地価上昇10%を目指すとしています。言いかえると、区域外は地価について約束もできないということです。

岐阜県岐阜市は現市街地のうち、立地適正化区域を55%程度にする方針です。この政策は5年ごとに見直しが行われる予定ですが、その中で徐々に規制を厳しくしながら街のコンパクト化はじわりじわりと進み、やがて10年、20年と経過するうちに、人が集まる区域とそうでない区域が徐々に色分けされていく可能性が高いでしょう。

そうなると不動産の資産価値にも大きな影響が出そうです。決定的なのは、金融機関の評価。金融機関が、立地適正化区域内であれば一定の担保評価ができるが、区域外は評価できない、といったことになれば、両者の資産性に差が出るのは必至です。自分が選ぶ自治体において、こうした計画があるかどうか、あればその中身はどういったものか、調べてみてください。

宅地建物取引業法が改正され、18年4月から「インスペクション説明義務化」がスタートしました。これは簡単に言えば「媒介契約」「重要事項説明」「売買契約」といった不動産取引の節目に、建物のコンディションを見極めるインスペクションについて説明を行うということです。2025年までに中古住宅市場・リフォーム市場を2倍(15年比)にする、といった国の方針の一環で、建物の劣化具合などを見極めるホームインスペクション(住宅診断)を普及させようというもの。

資産価値が落ちない家その3:ホームインスペクションで良コンディションの物件を

これまで日本の住宅は、一戸建ては25年、マンションなら30年程度で価値ゼロになるとされてきましたが、こうした慣行を改め、コンディションの良い建物は積極的に評価、中古住宅でも一定の品質を保っているものは積極的に評価しようという試みです。

住宅購入時には、新築でも中古でも、専門家に依頼してホームインスペクション(住宅診断)を入れ、建物のコンディションを見極める。住み始めたら適度な点検とメンテナンスを行い建物価値を維持するといったことが、今後非常に重要になってきます。

なおホームインスペクション(住宅診断)を行うホームインスペクター(住宅診断士)を探す際にはまず「実績」を確認してください。候補をいくつか選んだら、まずは率直にこれまでのインスペクション実績を尋ねましょう。どの構造に詳しいのかも必ず確認を。建物の工法にはさまざまな種別がありますが、木造に詳しいホームインスペクターが、RC(鉄筋コンクリート)造に詳しいとは限らないためです。自分がホームインスペクションを依頼する建物の構造に詳しいかどうかを必ず確認するようにしてください。

またその際には「専門用語を多用せず、分かりやすく説明してくれるか」に注目を。建築の専門用語を極力使わず、なるべく平易な言葉で、分かりやすく判断材料を提供してくれるかどうかというのは重要なポイントです。

ホームインスペクターは客観性・第三者性が大切

そして最も重要なのは、ホームインスペクターの「客観性・第三者性」。現時点ですら早速、業界では大きく問題となる動きが起きています。それは「ホームインスペクターと不動産業者との癒着」です。この癒着は、売主や買主が、不動産業者からホームインスペクターを紹介されたとき、つまり、買主や売主が自らインスペクターを選べない場合に起こります。なぜなら、不動産業者とインスペクターは、仕事を発注する側ともらう側の関係になってしまっているからです。

不動産業者は常に「契約したい」といったモチベーションをもっているもの。しかし建物の不具合など不都合な真実が出てきたとき、不動産業者がそうした不都合を隠そうと、インスペクターに問題写真や文言の削除を依頼するケースが報告されています。このとき、インスペクターがこの依頼を断ったら、この不動産業者からはもう仕事が来ることはありません。

ホームインスペクションを手掛けるさくら事務所にはしばしばこうした依頼があり、すべて断っていますが、次から依頼がくることはありません。ということは他のインスペクターが、その業者のインスペクションを引き受けて業者の主張を受け入れている可能性があるのです。

米国ではかつて、ホームインスペクターと不動産業者との癒着が問題となり、州によっては「不動産業者によるインスペクターの紹介は禁止」です。オーストラリアでもやはり「売主のインスペクションは虚偽が多い」と問題になり、買主がインスペクションする仕組みが創設されてきました。英国でも同様に買い手がホームインスペクションを依頼しています。インスペクションはあくまでも、買い手が選んだインスペクターが行うのが望ましいのです。

また「無料インスペクション」にも注意しましょう。なぜ無料なのか、その理由を考えるとよいでしょう。そこにはほぼ100%の確率でリフォームや耐震工事のプレゼンが付いているはずです。
「格安ホームインスペクション」にも留意してください。あまりに安すぎるホームインスペクションは、やはりリフォームなどの仕事が目的か、能力に自信がないかのどちらかという可能性があります。ホームインスペクション単体で営業できるだけの妥当な料金設定であることが、その健全さを判断する指標になると言っていいでしょう。相場としては、目視による診断で5万円~7万円程度。床下や天井裏にまで進入する場合は11~12万円程度です。

ホームインスペクションで大事なのは、あくまで第三者を立て、買主あるいは売主が自ら選んだインスペクターに依頼をすること。この原則を忘れないようにしてください。

最後に「”瑕疵(かし)保険”と”ホームインスペクション”は別物」ということを知っておきましょう。建物の保証をしてくれる「瑕疵(かし)保険」は、ホームインスペクションではありません。これは文字通り、念の為の建物保証をするもので、建物の劣化具合について判断材料を提供したり、直し方などについてアドバイスをくれたりするものではありません。くれぐれも、混同してしまわないようにしましょう。

s-長嶋修_正方形.jpg長嶋 修  さくら事務所創業者・会長
業界初の個人向け不動産コンサルティング・ホームインスペクション(住宅診断)を行う「さくら事務所」を創業、現会長。不動産購入ノウハウの他、業界・政策提言や社会問題全般にも言及。著書・マスコミ掲載やテレビ出演、セミナー・講演等実績多数。【株式会社さくら事務所】 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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SUUMO

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