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【ポコチェ】Cover interview 田中麗奈

日本映画界に確固たる存在感を示す女優・田中麗奈さん。 確かな演技力で数多くの役に命を吹き込んできた彼女が、最新作「幼な子われらに生まれ」ではふたりの娘の母親役に挑む。

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Profile

5月22日生まれ。1995年に映画デビュー。1998年「がんばっていきまっしょい」で、第22回日本アカデミー賞新人俳優賞など数々の賞を受賞した。その後、映画を中心にドラマ、CM、舞台などで幅広く活躍。9月15日(金)〜11月3日(祝・金)まで、劇団☆新感線「髑髏城の七人」Season風に出演。

―血がつながっていてもいなくても、家族の新しい幸せの形を感じられる作品。

映画「幼な子われらに生まれ」は、重松清氏の傑作小説を原作に、つぎはぎだらけの家族の中で成長していく不器用な大人たちを描くヒューマンドラマ。主人公の信(浅野忠信さん)はバツイチ子持ちで再婚し、2人目の妻・奈苗(田中さん)とその連れ子の2人の娘と共に、平凡ながらも幸せな日々を送っていた。2度目の結婚だからこそ家族を大切にし、連れ子にも父親として誠心誠意接しているが、奈苗の妊娠が分かってから少しずつその関係が変化していく。

「私が演じた奈苗は、女性の弱さと強さを知っている人という印象でした。彼女は社会で戦うよりも、家庭を守ることを重視している専業主婦です。しっかりとパートナーがいて、経済的なことなどは男性に頼り、自分は子育てに専念するところはとても女性らしい人だなと思いました」

 子どもたちの前では笑顔を絶やさず前向きな奈苗だが、実は前夫とはDVが原因で離婚したという悲しい過去を背負う。

「信と奈苗が結婚する前の回想シーンが出てくるのですが、過去の奈苗を演じるときはちょっと不幸な顔を出したいと思っていて。きっと過去の彼女は今みたいに笑っていないだろうし、彼女らしく生きていなかったでしょうね。少し頼りないというか、そういうところを見て信も守ってあげたいと思ったのかもしれない。

でも、信と結婚してからは、奈苗はいつも笑ってる。母親は強いなと思いました。やっぱりお母さんは家族にとって太陽のような存在で、奈苗が立ち止まると家族全員が停止しちゃうのではないかなと。それも含めて母性だと思うし、女性の強さを感じました」

 三島有紀子監督は、エチュード(即興)手法で役者の自然な表情を引き出した。田中さんも子どもたちと一緒にエチュードに挑戦し、コミュニケーションを重ねながら、雰囲気を作っていったという。

「子どもたちと私の3人でリハーサルをすることが多かったのですが、その中で監督がちょっとエチュードでやってみようか、ということがあって。例えば3つくらい台詞は決まっているけど、それ以外はそのとき思ったことを自由に話していいし、台詞の順番が逆になってもいいんです。

私は子どもたちの言葉に対して“どうしてそう思ったの?”とか“あなたはどう思う?”とか、色々なパスを出しながらその場を回す役割でした。男性は黙っていたり、重要な部分で言葉を発したりするものだから、そういうのはやっぱり母親の役割ですよね。口数が少ない夫や思春期の娘にとっては、うっとうしい! と思うこともあるでしょうけど、奈苗が動かなかったら家族が本当にバラバラになってしまうと思う。

これまで積み上げてきたものを全部ぐちゃぐちゃにしちゃいましょう、みたいな三島監督の演出方法はとても新鮮で、私もそれに応えられるよう務めました」

 夫婦役を演じた浅野忠信さんとは、感情をぶつけあうシーンも。

「浅野さん演じる信は、新しい子どもが生まれてくるのに、自分の家族と住む家の居心地がよくないという、ストレスの多い役だったのではないでしょうか。思春期を迎えた奈苗の連れ子との関係がギクシャクしてしまったり、気まずさもあったと思います。浅野さんとのシーンもドキュメンタリーを撮るような手法で撮影したので、浅野さんがどんな動きをするのか事前に読めなくて、それが生々しさにつながったと思っています」

 完成した作品を見た後は、数日余韻に浸っていたと語る田中さん。そんな本作のみどころは?

「家族というものをひも解いて、向き合っている作品だと思います。家族には色々な形があって、幸せの形もそれぞれで、自分が育ってきた家族だけがすべててではないですよね。

原作は20年以上前に出版されたものですが、現代の家族にも共通するものはたくさんあるし、家族の見方を変えてくれる作品です。家族として一緒に暮らすとは、父親、母親になるとはどういうことだろう、幸せってなんだろうって人とのつながりや過去との向き合い方を、より深く考えるきっかけになるかもしれません。是非たくさんの方に見ていただきたい作品です」

『幼な子われらに生まれ』

原作/重松清「幼な子われらに生まれ」(幻冬舎文庫)
監督/三島有紀子 脚本/荒井晴彦
出演/浅野忠信、田中麗奈、宮藤官九郎、寺島しのぶ 他
8月26日(土)より、テアトル新宿・シネスイッチ銀座ほか

TEXT / Yukari Tanaka
PHOTO / Hirohiko Eguchi(LinX) vSTYLING / Megumi Isaka(dynamic dynamic)
HAIR & MAKE / WANI(orange)


執筆者:Poco'ce

更新日:2017年9月11日

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