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毎月1日は映画サービスデー!中井圭さんが選ぶ最新映画2選

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期末を迎え、「職場で異動があった」、「旦那さんの転勤が決まった」「後輩ができた」など、環境の変化が起こった方も多いのでは?今回は、そんなターニングポイントにピッタリの新作映画2本をご紹介。それぞれ違ったタイプの女性が主人公の映画です。オトクな1日に、映画館へ足を運んでみては?

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目次

この記事で紹介されている映画の上映時間

  • 『未来よ、こんにちは』102分
  • 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』99分

今月のテーマは「生きることをそっと応援してくれる映画」

毎月1日は映画サービスデー。映画館で映画をお得に観ることができます。本コラムでは、4月1日の映画サービスデーに観に行くことができる作品の中で、苦しい時に前を向いて生きていくことをそっと応援してくれたり、静かに勇気をくれる2本の映画をご紹介します。

『未来よ、こんにちは』

フランスの名女優、イザベル・ユペール。ミヒャエル・ハネケ監督の衝撃作『ピアニスト』や、今年のアカデミー賞主演女優賞にもノミネートされた、ポール・ヴァーホーヴェンの新作『ELLE』でも鮮烈な演技を見せ、知性の中に鋭さを感じさせる演技派女優として知られています。

彼女は近年、若手監督との仕事を意識的に選択し、サミュエル・ベンシェトリ監督の意欲作『アスファルト』などで、自身と若手作家の化学変化による可能性を引き出そうと試みています。本作『未来よ、こんにちは』もまた、若干30代半ばの女性監督ミア・ハンセン=ラブとタッグを組んで、新しい引き出しを生み出すことに成功しました。

人生を生き抜くヒント

本作は、イザベル・ユペール演じる高校の哲学教師ナタリーが、後半に差し掛かった自分の人生とどのように向き合っていくのかを描いた作品です。子供も独立し、同じ教師である夫と特に不自由なく暮らしていたナタリーですが、徐々に彼女の生活が崩れていきます。ある日、夫は別れを切り出し、母親はこの世を去ります。気がつけばひとりぼっちになってしまったナタリー。そんな喪失の数々に呆然としながらも、自分自身の今後について現実を見つめていくのです。

本作は、よくある人間ドラマのように劇的ではありません。しかし、まだまだ続いていく人生で、時に感情を露わにしながらも前を向いて生きるナタリーの姿に胸を打たれます。

この映画の肝になっているのは、劇中に登場するルソーの思想にあります。それは、希求することこそ希望だという考え方です。現時点であなたが幸せな状態でなかったとしても、何かをこの先に期待して生きることこそ豊かな人生ではないかと提示しています。

本作には大きな事件は起きませんが、ナタリーの願いのようなものを、彼女の生活の中から感じることできます。だからこそ、ひとりであっても彼女は毅然としていて、どこか予感のようなものを感じさせ、決して人生が重苦しく不幸なようには見えないのです。我々を取り巻く、簡単ではない人生を生き抜くヒントが、本作から滲み出しています。

タイトル:『未来よ、こんにちは』
監督・脚本:ミア・ハンセン=ラブ
出演:イザベル・ユペール、アンドレ・マルコン、ロマン・コリンカ、エディット・スコブ
2016年/フランス・ドイツ/102分/カラー/1:1.85/5.1
原題:L’AVENIR/英題:Things to come
協力:フランス大使館/アンスティチュ・フランセ日本、ユニフランス
配給:クレストインターナショナル
公式サイト:crest-inter.co.jp/mirai/

(C)2016 CG Cinema ・ Arte France Cinema ・ DetailFilm ・ Rhone-Alpes Cinema

2017年3月25日(土)より、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー

『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』

アカデミー賞主演女優賞に、ナタリー・ポートマンがノミネートされたことでも注目を集めた本作。第35代アメリカ合衆国大統領となったジョン・F・ケネディの妻として知られるジャクリーン・ケネディ(=ジャッキー)の人生のある瞬間を切り抜いた作品です。

ジャッキーといえば、アメリカのファーストレディの中でも最も有名な人物の一人。それは、アメリカ大統領夫人の歴史上3番目の若さでファーストレディになり、洗練されたセンスで、ファッションアイコンとして時代の寵児となったことだけではありません。

ジョン・F・ケネディ大統領の不倫に耐える日々や、浪費と叩かれながらも相当の費用をかけたホワイトハウスの修復、ケネディ暗殺の後の資産家との再婚を含め、ファーストレディとして波乱万丈の人生を歩んだことで知られています。

本作は、そんな彼女が夫への愛とプライドを示した暗殺後の葬儀というある瞬間にスポットライトをあてています。

ケネディ大統領が、ネバダ州ダラスのパレードで銃撃により暗殺された時、ジャッキーはケネディのすぐそばにいました。となりで頭を打ち抜かれた夫の凄惨な死を受け止めた彼女が、その悲劇から立ち上がり、歴史に残る葬儀を執り行うことでケネディの名声を多くの人々の記憶にとどめた様子を映画は描いています。

本作は、銃撃前後から刻一刻と状況が変化する中で、彼女自身に湧き上がる絶望、怒り、死への恐怖、そしてケネディへの愛と誇りを、葬儀などが一段落してからのジャッキーへのライフ誌のインタビューを通じて描くことで、彼女が何を思いどう行動したのかを、主観でありながらも世界にどう伝えたいかを踏まえて語っていく構成が絶妙です。

それにより、ジャッキーという女性の強い意志と心情を感じさせることに成功しています。また、ナタリー・ポートマンによるジャッキーへの没入は、アカデミー賞主演女優賞にノミネートされる演技でも明らかで、単にジャッキーのモノマネ的演技ではなく、内側の人間的弱さ、それでも下した結論など、我々が知ることのない新たなジャッキー像を生み出しました。

本作で、ミュージカル「キャメロット」が引用されています。アーサー王が統治していた王国キャメロット。同ミュージカルで、一瞬でも光り輝く瞬間があったことを忘れてはいけない、という歌詞があります。それこそがキャメロット、つまりはケネディ政権そのものだと本作でジャッキーは主張します。

ジャッキーの人生を描くにあたり、ケネディの暗殺から葬儀までを描いたのは、スタイルだけが取り沙汰されたこのファーストレディとしての真価は、ケネディへの愛と誇りをキャメロットになぞらえた、永遠の王国へと変化させることにあったと主張しているのです。

タイトル:『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』
配給:キノフィルムズ
コピーライト:(C)2016 Jackie Productions Limited
2017年3月31日(金)より、TOHOシネマズ シャンテほかにて全国公開



この記事のライター

中井圭

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